迷い込んだのはリリカルな世界 By Build   作:Plusdriver

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再び長編です!


24.ゼロ度の炎 前編

『お前のハザードレベルは、人間の限界値に達している。こいつで闘い続ければ、消滅は免れないぞ。それでも闘うか?』

 

エボルトの忠告を聞いてなお、一斗はグリスブリザードへと姿を変えた。

 

「正義の為に、愛する者の為に闘うのが仮面ライダーだからな。言ったろ?『できてるよ』ってな」

 

一斗は左手に装着されたロボットアームが自由に動かせることを確認する。冷気が未だに身体から出ているために、一斗の身体は着々と冷え始めていた。

 

「君も、戦兎と同じ仮面ライダーなんだね。でも、僕も愛する人の為に戦うんだ!!!」

 

黒い靄と冷気がぶつかり合う。先に動いたのはグリスだった。

 

「おりゃあ!」

__________

 

 

はやてはすぐさまセットアップし、リインが泣きながらでもサポートしてくれているのを感じながらも詠唱を再開した。もし早く変身解除させる事が出来れば、一斗を助けられる可能性がある事にかけたのだ。

 

『「仄白(ほのしろ)き雪の王、銀の翼()て、眼下の大地を白銀に染めよ。()よ、氷結の息吹(アーテム・デス・アイセス)!」』

 

はやての周辺に発生した4個の立方体から氷結が放たれる。高温の檻と云えど、凍らされてしまえば何も出来ない。

この魔法を発動中は移動できないのだが、今は檻の中で身動きが取れない状態。

 

はやては全体が凍り付いた事を確認してから更に詠唱を行う。

 

『「彼方より来たれ、やどりぎの枝。銀月の槍となりて、撃ち貫け。石化の槍、ミストルティン!」』

 

本来なら生命体に効果が大きい魔法だが、この場では柵を同時に破壊するために使用する。結果檻は砕け散り、はやては自由の身になった。はやてはユーノから預かった白いパネルを呼び出して、みんなから前もって預かっていたボトルをセットする。

 

『はやてちゃん!一斗さんが、一斗さんが!』

 

リインから一斗の様子が一変した事が伝えられる。それは、グリスのボディからよく観察しなければ分からない程細かく粒子が発生し始めている事だった。はやてはすぐさま手持ちのボトルをセットしていく。

 

「あと2本...」

 

その2本は、本来一斗が変身する為に使うはずだったキャッスルロストボトルとフクロウロストボトル。未だなお、一斗が所持しているボトルだった。

 

「なんでや!なんで私は....何時も何時も見てることしかできんのや.....」

 

『はやてちゃん....』

 

はやては自分が無力な事に失望した。これまでも大切な人が危機に陥るたびに近くにいたのに、何もできなかった自分自身に。

 

『はやてちゃん.....一度だけ、一度だけ一斗さんの力になる事が出来るシステムがあるです...』

 

「え?」

 

リインフォース・ツヴァイははやて自身のリンカーコアをコピーして産まれたのだ。その殆どを自らの力で行ったはやてが知らないシステムなどないはずなのだ。

 

『巧さんから渡されたメモリの中に、仮面ライダーに力を貸すことが出来るシステムがあったんです』

 

リインは夜天の書にシステムのデータを送る。それを素早く確認したはやては、すぐさま実行しようとする。

 

「いけるなリイン!」

 

『はいですっ!』

 

足元に展開したビルド式の魔法陣にベルカ式の魔法陣を重ねて展開し、詠唱を行う。

 

『「誰かの為に、その魂を捧げる。この決意は決して揺るがぬものであり、ここで誓うことは絶対である」』

 

シュベルトクロイツを魔法陣の中心に突き刺し、最後の詠唱を行う。

 

『「魂の譲渡(ソウル・ギフト)!」』

 

はやては、その言葉を最後に地面に倒れ込んだ。魔法陣は展開されたまま、少しずつはやての目から光が失われていった。

 

___________

 

一斗はロボットアームでパンドラ捕獲し装備したナックルで連打を行う。

 

「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァァ!!!!!」

 

全てを塞がれた訳ではないが、致命的なダメージを与えるには至らなかった。

 

「君の本気はそんなものかい?それじゃあこっちからも行くよぉ!!!」

 

「やらせるかよ!」

 

同じ様にロボットアームを出現させ、それを使って一斗は拘束されてしまうがただでは済まさない。先程と変わらず自身のアームでしっかりとパンドラの腕を拘束し続けていた。

 

一斗はここがチャンスだと思い、ブリザードナックルのスイッチを手からナックルを垂直に落下させることで行った。

 

『グレイシャル・ナックル!』『カチカチカチカチカッチン!』

 

「何を...」

 

「これで、俺たちは動けない。つまりここがお前を倒すチャンスって訳だぁ!」

 

発動した技により、パンドラと一斗の足は凍らされてしまう。一斗は地面にぶつかって跳ね返ってきたナックルを右手の拘束から抜け出す事でベルトにセットし、ハンドルを回した。

 

『シングルアイス!』

 

「この距離で技を使えば、君もただじゃ.....」

 

「既に覚悟(・・)してるんでなぁ!」

 

『READY GO!』

 

一斗は両肩から美空色の液体を拘束で吹き出し、拘束していた足元の氷をボレーキックの要領でパンドラに叩き付けた。

 

『グレイシャル・アタック!』

 

「おりゃああああああああああ!!!!!!!!!」

 

放たれたキックが当たるとともに氷塊は砕け散り、パンドラを吹き飛ばす。

 

「はぁ.....はぁ.....」

 

『もうすぐお前は消滅する。あいつを倒すんだろ?」

 

「っ、ああ!」

 

一斗は既に粒子となり始めている身体の事を考えるのを止めて、再び構える。

 

「....全く、本当に気に食わない....君は、君たちはいつもそうだ!そうやって進化を続ける!」

 

パンドラは既にボロボロになった姿のままハンドルを回した。

 

『オーバーキル!』

 

『READY GO!』

 

『来るぞ!』

 

「耐え抜いてやらぁ!!!」

 

高く飛び上がり、空中で体制を整えたパンドラは一斗へ向かってキックを放った。

 

『ブラックホール・ブレイク!』『ジーニアス・フィニッシュ!』




正午頃に続きを投稿する予定です。


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