迷い込んだのはリリカルな世界 By Build 作:Plusdriver
アインハルトの試合が終わり、ヴィヴィオ達はミウラのお見舞いの為に病院に来ていた。その帰りに始めて、ノーヴェの口から龍斗達が入院していることが伝えられた。
「フェイトママ!龍斗さん!」
「うおっ!びっくりさせんじゃねぇよ」
「良かった、ヴィヴィオは今日も元気だね」
既に目を覚ましていた彼らの元にヴィヴィオは一番早く到着した。
「ヴィヴィオ~、ここ病院。走っちゃダメだぞ~」
ノーヴェは余り注意するつもりはないらしい。大切な人達が入院していて、今日初めて知ったのだ。存分に甘えさせてやるべきだと考えた。
暫くして、フーカ達も病室にやって来る。フーカはヴィヴィオの年相応な姿を見て、改めて年下だったなと思い直す。
アインハルトだけは違和感を感じ続けていた。
「一斗さん.....」
先程から何度も連絡を取ろうと電話をかけているものの、一向にでる様子はない。病院に入る前にメールを送ったが、彼女の心配は収まらなかった。
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はやては一人、泣いていた。戦兎を救急車で搬送し終わった後、病院からでた後に今日は家には帰れないと連絡したのだ。
そして、ここは一斗の部屋である。
「私は......」
彼女も理解している。自分自身に時を戻せる力などなく、仮にできたとしても覚悟を決めた彼の気持ちを踏みにじる事になりかねないと。
リインは既に泣きつかれて泣いている。
はやては一斗の机の上に置かれた写真立てに手を伸ばした。
「.............」
その写真は4年前、出張任務の際に撮った物だった。今よりも幼い一斗の姿にはやては自分の過去と重ね始めてしまう。
「....経験した事があっても、辛いなぁ....」
あの日、リインフォース・アインスが旅立った。
あの後、何度も夢に見てしまった。彼女と、守護騎士達と、兄と、ただ幸せな日常を。
夢が覚めるたびに自分に残ったやるせなさ。
兄と再会した時の喜びを。そして、時間は掛かったが結ばれた事を。
最後の最後に、一斗が『母さん』と呼んでくれたことも。
「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」
夜は深まっていく。誰にも伝えられなかった闘いの代償は、こんな所で発生していた。
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真夜中の病院、既に消灯時間は既に過ぎている。
「............」
そんな中、少女は歩き出した。はだしのまま、自身の病室の窓に足を掛ける。
「....行かなきゃ.....」
アリシアは、病院を抜け出した。
真実は、時に残酷なものである。
目覚めたばかりの英雄は、只々自分を責め続けた。
少女は、何かの為に動き出す。
それが意味することは.....