迷い込んだのはリリカルな世界 By Build   作:Plusdriver

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主人公がこれって...これでいいのだろうか


28.心火 後編

戦兎が目が覚めると同時に、病室からの脱走を試みた。

 

まぁ、失敗したのだが

 

「ダメだったか.....」

 

戦兎は今の所誰にも話していない事がある。乗っ取られていた間の記憶が残っている事だ。

 

それはまるで別の次元から見ているようなものではあるが、一斗が変身したことも覚えている。

 

戦兎が病院からの脱走を試みているのは幾つか理由が存在している。

 

一つは、悲しんでいるであろうはやて達に伝えなければならない事があることだ。

 

そしてもう一つ。消滅していくパンドラをテレビを見るかのように感じている時に、聞き覚えのある声が聞こえたのだ。

 

『よう。お前は俺以外にも厄介な奴に好かれやすいな』

 

「それはお前にも言えたことだろ」

 

声の主は姿を現すことはなく、戦兎とまるで、久しぶりに会った友人の様に話す。

 

『お前が創ったアイテムのせいで俺も一斗も消滅だ。折角の復活するチャンスだったんだがな』

 

「復活するつもり、なかったんだろ?」

 

『はぁ....さすがは天才物理学者の助手だ。これくらいはお見通しか』

 

一向に進みそうにない会話の為、戦兎は何故そいつがここに、どうやって声を送ってきているのかを聞くことにした。

 

『そんなことか。元々お前の持ってるこのボトルは俺が作ったんだぞ。遺伝子くらい仕込んでおくさ』

 

「うわぁ....急に寒気が....」

 

『言ってくれるな....』

 

「悪かったって。でだ。お前がそこまでして俺に接触してきたんだ?」

 

ああ...悪い悪いと、まるでそう思っていないのがまるわかりな声である。戦兎もそれを軽く聞き流す。

 

『それなんだが消滅後。俺の力を使って一斗を復活させようと思う。そこで、アリシアが必要になるわけなんだが』

 

「アリシアにも何かあるのか...」

 

用意周到なこいつの事だ。まだ何かあるのだろうと、あきれながらも話を聞く。

 

『アイツはクローンだからな。スカリエッティに頼んでエボルドライバーの試作品を使えるように俺の遺伝子を植え込んだからな。で、それを使って一斗を復活させるって訳だ』

 

「なるほどなぁ。ん? それだとお前はどうなる?」

 

『俺も消えるなっと、始まったか』

 

少しずつ声が遠くなっていく。

 

「何というか、お前は変わったな」

 

『そうか? まぁ何だかんだいってずっとお前らの事を見てたからな。影響もあったんだろうな__』

 

『最後に一つ。アリシアの傍にいてやってくれ___』

 

「分かった」

 

既に最後の方は聞こえなくなってきている。それはそろそろ限界なのを物語っていた。

 

 

「お前との別れには、やっぱりこれだよな」

 

戦兎は右手を何もない宙を仰ぐように伸ばす。

 

 

 

 

『「Ciao」♪』

 

 

 

そいつ、エボルトの声はそれから聞こえてくることはなかった。一斗が復活するカギはアリシア。それを探すために外に出ようとしたら魔導師に捕まって病室戻り。

 

「今度は、フェイクでも使おうか...」

 

その後、戦兎は自分そっくりの分身を残して病院を脱走した。

 

 

___________

 

 

「ここ、初めて来たはずなのに」

 

アリシアは遺跡に来ていた。寝転がる事が可能な石の上に寝そべり、意識を集中させる。

 

『如何やら着いたみたいだな。少しずつ始めるぞ。』

 

エボルトの声が聞こえてから、少しずつアリシアの目から光が消えていく。アリシアの周りに粒子が集まり始める。

 

『暫くしたら戦兎が来るはずだ。力を貸してもらえ』

 

「うん」

 

アリシアは目を閉じる。ここまで訪れた各所を思い出しながら。




揃った条件

「アリシア!」

走る。___に会うために。

「まだ、やり残したことが沢山あるんだ」

次回、『きっと』


ここに、彼の物語は完結する。

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