迷い込んだのはリリカルな世界 By Build 作:Plusdriver
前回の後書きで書いた劇場版編ですが、
皆さん読みたいですか?
なら、アンケートで答えてくれてもいいんですよ?
ヴィータが大変なことになっている頃、そんなことを知らない戦兎ははやて達当てに一斉メールを書いていた。
「左手で書くと時間かかるな。両利きの為に練習しようかな」
『それはいい考えですね』
右手は常にアリシアの手と繋いだままである。未だに一斗の体は復活していない。戦兎は書き終えたメールを一斉送信の待機状態にすると、結界が解除される。
「あ」
『分身が消滅したみたいですね』
戦兎は病院に置いてきた自分の分身が消滅したことに気が付いた。現在進行形で警備に当たっていたヴィータが大変なことになっているのだが、戦兎が知るのはまだ先である。
「まぁ、病院には誰も来てなかったし大丈夫だよな。」
『さぁどうなんでしょう?』
「嫌なこと言わないでよ....」
『フフフ....』
普段と何処か変わらない会話をしつつも魔力と粒子を流し続ける。フルボトルがロストロギアと同じだとしても、決して無限ではない。フルボトルは震ることで出力を上げることができるのだが、今ボトルをベルトから外してしまえば何が起こるか分からない。戦兎自身の魔力にも限界が来ていた。
「最後のひと踏ん張りだ!」
『はい!』
流す量を一気に加速させ、戦兎達は全てをアリシアに欠けた。一斉送信のボタンを押しながら。
____________
「ここって...」
アリシアは何もない空間で目を覚ました。先程まで戦兎の顔を見ていたはずと思いながらも、自分が何かに引き寄せられていることに気が付く。
「アリシア?」
「あ~!一斗!ここにいたんだ!」
そう、一斗のもとである。アリシアは一斗の正面で止まると、問い掛ける。エボルトに言われた通りに。
「『お前の望みはなんだ?』」
「僕の望みか...」
問いかけて直ぐに一斗はその答えを伝える。
「大切な人を守りたい。それに、まだやり残した事が沢山あるんだ」
挙げていったらきりがないやと言いながらも一斗はその足をどこかへと進める。アリシアはそれについていく。
「今からどこに行くのか、わかってるの?」
「うん、教えてくれたんだ。
アリシアはその言葉に疑問を持ったが直ぐに忘れることにした。何故ならそれを聞かない方がいい気がしたから。
「そうなんだ。あ~!一斗、見て見て!あそこ!」
アリシアが前方に粒子が集まっている所を発見した。そしてその粒子は扉へと姿を変えた。
「扉...」
「一斗。どうやってこの扉を開くのか、わかっているよね?」
「ああ」
一斗は何故か目の前にあるドアノブのない扉を開ける方法を知っていた。誰に聞いたわけでもなく、何処かに説明文があったわけでもない。それはずっと、一斗の中にあったものだった。
一斗はその扉に手を当て、そこに少しずつ力を加える。
「僕はみんなに会いたい。父さん母さんに先輩方、ヴィヴィオ達、そして、アインハルトに」
その扉の隙間から少しずつ光が漏れ始める。
「僕の望みは、変わらない!」
扉は開かれた。その先には暗闇の中に一本道が続いている。
「ここから先は私は行けそうにないや。
「アリシア...」
アリシアはその扉の向こう側に進むことはできない。何せその扉は一斗だけのものなのだから。
一斗はその一本道を走り出した。その先には、また新たな扉が見えている。その扉にはしっかりとドアノブが付いていた。
「僕は帰るんだ!」
一斗はそのドアノブに手を掛けた。
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一斉送信されたのが早朝6時ごろである。送られた者はすぐさま飛び起きて、そのメールに書かれた場所へ急いだ。
「アインハルト!?」
「八神さん!? と言うことはあれは皆さんに送られているんですね」
目的地へ向かって走っている中で、はやてとアインハルトは情報を交換すると、そのスピードを上げた。
既に太陽はミッドチルダの街を照らし始めている。遺跡に到着すると、そこでは
「良かった...本当に.....」
「お帰りなさい、一斗」
戦兎を中心に右肩ではアリシアが、左肩では一斗が寝息を上げている。
その手は戦兎の正面で繋がれていた。
「幸せそうに、何吞気にここで寝てるや...」
「一斗さん!」
2人がその場で涙を流す中、少しずつメールが送られた皆が集まり始める。
ここに、桐生一斗は帰ってきた。
帰ってきた少年。
フーカは新たに目標へ向かって進んでいく。
少年は自分の気持ちを伝えるために動き出す。
次回、『これから』
少年の物語は、完成する。