迷い込んだのはリリカルな世界 By Build 作:Plusdriver
一斗が戻ってきて数日が経った。しばらくの間は何処か慌ただしい日常だったが、それも落ち着き始めて、今日もアインハルトと共に一斗はナカジマジムを訪れていた。
「で、そろそろ覚悟は決まったのか?」
「それが.....」
一斗はアインハルトへ伝いたいことがあるのだが、中々覚悟が決まらず未だに話せていないのだ。
「はぁ...戦兎そっくりだな。」
「へ?」
「そういうところだよ」
婚約届出を出したのに未だに結婚式をあげていない彼らを、龍斗は早くしろの言葉で片付ける。はやてが母さんと呼ばれた為に戸籍を入れたというのだが、完全なる早とちりである。
「そろそろあいつらの決戦の日だろ?」
「はい、明後日に迫ってます」
それは、フーカとリンネの練習試合の事である。彼らの本音がぶつかり合う前に一斗はそれを伝えなければと何処か焦っていたのだ。
「決勝も決まったからか」
「はい...」
既にウィンターカップは残すところ決勝のみになっている。それはアインハルトとフーカの師弟対決となっている。つまりアインハルトに一斗は自身の気持ちを伝えてから決勝に望んでほしいのだ。
「はぁ.....」
龍斗のため息がナカジマジムの機械の音でかき消された。
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そして、あっという間に練習試合当日。決勝の相手が決まっていることでアインハルトはフーカの戦いを見ることはなかった。相手の手の内を知りたくない。それは彼女なりの気遣いなのだ。でだ。我らがグリスこと一斗はと言うと....
「言えなかった....」
「あらら...」
父親である戦兎と共に二つの映像を見ていた。一つはフーカとリンネの練習試合。もう一つはこの日の為に呼んだジークとアインハルトのトレーニングである。
「一斗、一つ聞くよ?」
「なに?」
戦兎は一斗に向かって問い掛ける。
「『
一瞬一斗が固まるも直ぐに答える。
「できてるよ。よし、行ってくる!」
一斗が走ってアインハルトの元へ行ってしまう。
「頑張れよ、少年」
この男、つい最近まで自分の気持ちに正直になれなかったのである。お前には言われたくないとどこかからか聞こえてくるも、戦兎はそれを聞き流した。
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「ハル!」
「はい、何ですか?」
「うぉ!?」
先程までリングの上でジークと戦っていたはずのアインハルトが目の前に現れた為に一斗は変な声を上げてしまう。いきなり親友が吹き飛ばされ目を回しているのに驚いて「ジークぅぅぅっ!?」と叫んでいる声が聞こえてきたために一斗は心の中で謝りながらアインハルトと目を合わせる。
唐突に訪れた恥心が一斗を何も言えなくしてしまうが、そこは天然のアインハルト。
「貴方が呼べば何処でも、私は駆けつけますから」
「あ、うん」
一斗もその場で返してしまったからか発言の意味がかなりやばいことに気が付いていない。因みに、何故アインハルトがこうなったのかというと、全ては
「恋する乙女は最強やで?」
との事である。一連の流れの中で一斗は本題を思い出した。
「そ、そうだ、ハル。聞いてほしいことがあるんだ。」
「何でしょうか?」
深呼吸を済ませ、一斗は自身の心火を燃やす。
「桐生一斗、12歳。彼女いない歴は年齢と同じ!あなたのことが心火を燃やしてフォーリンラブでした!付き合って下さい!」
「.....私で良ければ。末永く宜しくお願いしますね」
この時のアインハルトの微笑みは、これから先もずっと一斗の中に残り続けた。
何処か不器用な一斗君がこれからも幸せに過ごせることを願わせていただく作者です。
この物語は何時も誰かの愛で出来ています。
もう少しお付き合い頂けると幸いです。
それでは次回、
『エピローグ』
でお会いしましょう!
彼らに幸あれ!