迷い込んだのはリリカルな世界 By Build   作:Plusdriver

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主人公がティーダさんの物語


Ep ROGUE

「お前も災難だったな。管理局の闇を知っちまった為に消されるなんてよ」

 

この頃は、まだ自分の目的がはっきりしていなかったのを憶えている。

 

「でだ。ティーダ・ランスター、お前はこれから何がしたい」

 

僕が答えたのは、妹の夢を応援することだった。

 

「僕は、管理局を破壊する。そしてもう一度やり直すんだ」

 

僕にできることは、悪役を演じることだけ。

 

「そうかそうか。なら、俺の手を掴め。お前に力を与えてやる」

 

僕は、その男。ブラッドスターク(エボルト)の手をとった。

 

____________

 

今でもたまに夢を見る。悪役を演じていたあの頃を。

 

「....そっか。今日は休みだったっけ」

 

連続で勤務がありあまり寝ていないせいか、頭痛が酷い。今日は一日ゆっくりすることにしよう。

 

「........」

 

ダメだ。やっぱり今日は体を動かすことにしよう。僕はナカジマジムへと足を進めることにした。

 

_____________

 

 

スタークは僕に力を与えてくれた。人体実験を受けて、ブロス姉弟と闘い、魔導士の頃とは全然違った戦い方ができるにもなったりした。

 

「ティーダ。お前にこれをやるよ」

 

そう言って渡されたのがトランスチームガンだった。初めてナイトローグになったときは今でも覚えている。不思議な感覚だった。とにかく冷静に動けた。トレーニングの相手だったクローンロボット達をあっという間に破壊することもできた。このころだったか、年を取らなくなったのは。

 

それでも、僕は悪役を演じたりないと思った。

 

「スターク。依然話していたライダーシステムの件ですが、僕も参加していいですか?」

 

「ああいいぜ。但し、あの力は今のお前に使いこなすことができるかは分からない。」

 

そこからは、ただハザードレベルを上げる日々だった。どうやら僕にハザードレベルを上げる才能はなく、気が付いた時には、翼と翔と同じくらいにまでなっていた。

 

「ティーダ。悪いが今日はここまでだ。今から仕事に行くぞ」

 

「はい」

 

今までしてきた事と言えば管理局から送られてくる極悪次元犯罪者達を使った人体実験のレポート作成に、証拠の隠蔽。僕は無心でやり続けた。悪役を演じ続けるために。

 

この日は、忘れられない日になった。桐生戦兎に負けて、スタークの指示通りにバットフルボトルを置いて自分の正体を明かした。

 

「これでお前がライダーシステムを使う条件は揃った。ほら、使ってみろ」

 

アルハザードへと行った後、僕はスタークからスクラッシュドライバーを受け取った。

 

「俺の手作りだぜ」

 

というクロコダイルクラックボトルと共に。

 

それからだ。毎日が苦痛となったのは。

 

毎日毎日、ボトルを起動させベルトにセットする。レンチを倒してボトルを砕こうとするも、拒絶され続ける。

 

同じ様に他の仕事もこなしていく。スカリエッティから直々に依頼されたこともあったっけ。

 

「ティーダ、遂にカイザーシステムの改良型が完成したんだが、お前はまだなのか?」

 

スタークに言われなくてもわかっていた。このままでは僕はライダーシステムを取り上げられると。

 

それだけは阻止しなければならなかった。僕の目的である「悪役を演じる」為に。すっかり忘れていた僕の目的。その為なら、僕は自分の命も惜しくはなかった。

 

 

実験室の中辺りを極悪犯罪者達に囲まれ、デバイスを持っていなかった僕は、ベルトを使うしかなかった。

 

「良くも俺達をこんな目にあわせてくれたな!」

 

そいつの両腕はスカリエッティの実験に使うために僕が切り落とした。

 

「お前を殺せば、ここから出られるんだろ!」

 

変な勘違いをした者もいたっけ。されるがままじゃなかったけど、流石に一対複数では分が悪い。

 

『いいのか?このままだとお前は死んじまうぞ?まぁ、お前の代わりなんていくらでもいるんだがな』

 

スタークの言葉で、僕はボトルを起動させた。

 

『デンジャー』

 

『クロコダイル』

 

「.....変身」

 

変身と同時に僕の近くにいた者は消滅した。そして気が付いたら、僕以外誰もいない部屋が出来上がっていた。

 

「ハハハハハ!!!!!遂に覚醒したか!!!!」

 

あの言葉はよく覚えている。そこからは僕がどれだけローグの力を引き出せるかだった。

 

スタークを相手にもした。スカリエッティの作ったガジェットも数え切れない程破壊した。

 

その内、スタークの様子が可笑しいと感じ始めた。まるで、何かが完成するのを待っているようだった。

 

そして、あいつが世界を破壊することが目的だと話しているのを聞いてしまった。

 

僕の目的は飽くまで「演じる」こと。それ以上のことをするのならば、それは僕の目的(正義)に反する。

 

さらってきたというギンガを連れて僕は戦兎さん達の方へ寝返った。

 

____________

 

頭痛が感じなくなるとともに、程よい疲労を感じ始める。

 

エボルトの元にいたは暇さえあれば特訓だったからか、身体を動かさなければ疲れを感じない、なんてこともあった。今ではただの思い出に過ぎないけど。

 

「あれ、今日休みだったんだ」

 

「ああ、僕自身も忘れていてね。いつもみたいに管理局へ行こうとしていたよ」

 

あの頃にいたトップは全てスカリエッティによって殺害された。そのせいで幾つかの情報も消滅してしまったのを覚えている。それよりも驚いたのはエボルトによるスカリエッティ殺害だった。

 

どうやら僕の貰ったベルトも、スカリエッティさえ、単なる捨て駒にす過ぎなかったらしい。

 

「翼はさ、この後暇かい?」

 

「ん~、もうテストも終わったし後は結果を待つだけだからね。空いてるわ」

 

僕はこれから、どうなっていくのだろうか?




ティーダさんの悩み。

既に目的を達成して戦兎達に支えられながら生きている。

だが、やはり目的を見失ったことで彼は未だに悩み続けている。

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