迷い込んだのはリリカルな世界 By Build 作:Plusdriver
「平和だなぁ~」
「ふふ、そうだね」
今日は事件が起きそうにない日曜日。
俺とフェイトは二人で桜並木の下にいた。ゆったりと川を流れる花びらを眺める。
フェイトのお手製弁当に手を伸ばす。
「うん、うまいな」
「それは良かった」
やはり俺の彼女は可愛すぎる。俺がこういうのに耐性がなければ尊死するところだっただろう。
「龍斗、どうかした?私の顔に何かついてる?」
俺は目を閉じて静かに言った。
「頬に米付いてるぞ」
照れている姿を直視出来ないのは、仕方がないのだ。
「わわわ!!」
....可愛い。
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俺達は今まで、余りデートらしい事をしたことがない。
仕方がないだろう。俺は格闘家兼フリーの魔術師で、フェイトは執務官なのだ。会える日が限られてくる。
だからこそ、今日は一段と緊張していた。
「お、お待たせ」
「ぜ、全然待ってないよ?」
離れて見ればとても初々しいカップルだろうと後にドラゴンとバルディッシュは語ったらしい。
フェイトが俺の右腕に抱きつく。
「ちょ、まt」
「恋人なんだから、これくらいいでしょ?」
フェイトさんや、無理にせんでもいいんやで。顔が真っ赤やないか。
「....分かった。」
本当のことを言いたいが、それを言ってフェイトが離れてしまうのも嫌なので俺はその言葉を自分の中で高らかに叫んでいた。
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確か
「よろしく、龍斗」
「おう!」
そして闇の書事件の間に色々話して仲良くなったんだ。
「それで戦兎がさ...」
「なのはも....」
そう言えば、あまり自分達については話していなかった気がする。
そして、戦兎が
圧倒的な魔力と攻撃力で、あの場にいた殆どの心に傷を残しちまった。
そして、一斗を探す旅に出た。
10年の月日が流れて、俺達は再開した。
「久しぶり、そしておかえりなさい。」
「ああ、ただいま!」
あったときはもう話が止まらなかった。
それから弟と妹が出来た。一人子だった俺は、嬉しかったのを覚えている。
それに、すくすくと成長していくのをみるのも楽しかった。
そんな中、スカリエッティとエボルトが事件を起こした。
俺達は闘った。ラブ&ピースの為に。
結果としては、エボルトを無事倒して終わった。死人も出ていないことになっている。
どうやら管理局のトップだけが殺害されたらしい。それすら曖昧なんだと戦兎に言われた。
でだ、ここで俺達は解散するはずだったんだけど.....
「龍斗、話があるんだけど....この後時間ある?」
それはお別れ2次会の後だった。
「あるぞ。何かようか?」
「うん」
誰もいない桜並木に連れていかれ、フェイトが話し始めた。
「私はさ、今まで生きてきて知らないことが沢山あったんだ。」
俺はそれを静かに聞いた。
「その中には、人を好きになるって事も入っていたんだ。だから.....」
言葉を返そうとした所を、フェイトに塞がれた。
「これが私の気持ち....フェイト・テスタロッサ・ハラオウンは、万丈龍斗が大好きです」
俺の顔はどうなっていたんだろうな。きっと真っ赤だったのだろう。
海際に起動六課のオフィスは有ったから、本当に真っ赤だったんだ。夕陽もあったからな。
「...俺で良かったのか?」
「うん。私は龍斗以外を選ぶつもりはないよ」
「...これから無茶をするかもしれない。隣に居れないかもしれないぞ」
「それでも、私は貴方が好き」
覚悟をしたのを覚えている。
「...これから、よろしくな」
「! うん!」
これが俺たちの始まり。
今思い出すと懐かしいものだ。
「龍斗、そろそろ帰らなくちゃ」
「おう。片付けるか」
この可愛らしい人が、俺の最愛の人なのだ。
彼らは本当に幸せだ。
それでも、龍斗がライダーであることを忘れてはならない。