迷い込んだのはリリカルな世界 By Build 作:Plusdriver
翼をおいて、戦兎とミカはミッドチルダにある管理局へと忍び込もうとしていた。もしかしたら使える情報があるかも知れないと少しの期待を寄せていたのだが、建物の中から龍斗が出て来るのを戦兎達は見てしまった。
「龍斗の奴、ここにいたのか」
『ここにいたと言うことは、洗脳されている可能性が高いですね』
葛城からの情報の3人がここに居れば、また話は変わってくるのだが、それを確認する手段が今はない。
「.....大義の為の、犠牲となれ」
『ウェイクアップ クローズ!』『ゲット グレートドラゴン!』『イエーイ!』
龍斗は戦兎の姿を見つけるとすぐさまグレートクローズへと姿を変え打撃を放ってくる。
『今はベルナージュの力が使えそうに有りません!応戦を!』
「仕方がない、か!」
『マックスハザード・オン』
『ARE YOU READY?』
「変身!」
『ラビットラビット!』『ヤベーイ!』『ハエーイ!』
戦兎も応戦する為にラビットラビットへと変身するが、龍斗を倒せる程の攻撃を放つことができない。いくら洗脳されていても、大切な仲間なのに変わりがない。
「目を覚ませ!龍斗!」
攻撃を受け流しながらも戦兎は龍斗へと声をかけ続けた。
「無駄だ。彼にはもう君の声は届かない」
そこに、伊能賢剛が現れた。戦兎は龍斗の両腕を掴み抑え込む。
「お前が伊能か!こんな事をして、何が目的だ!?」
戦兎は龍斗を抑え込みながらも質問を投げかける。そこで戦兎は気が付いた。伊能が
「目的、か。これから死ぬ君には関係のないことだが、教えておこう。この世界を破壊する。これまでの事は、ただその為の手段に過ぎないのだ。
戦兎は幾つか引っかかる言葉を聞いた。
「がっ!?」
拘束から抜け出し直ぐに打撃を放ち、ビルドを怯ませるクローズ。
「やれ、エボルト」
「はい」
戦兎は聞き逃さなかった。今伊能は確かにあいつの名前を言った。それに反応したのは、龍斗だったと言うことは...
『ドラゴニック・フィニッシュ!』
戦兎は言葉の意味を考えていたためにクローズの一撃を食らってしまい、変身が解除される。
「ごほっ....龍、斗」
変身を解除した龍斗は、その表情を変えることなく戦兎のベルトからハザードトリガーを外す。
「ま....て....」
「君には死すら生温い。この世界が壊れていくのを指を加えて見ているがいい。それが、
ここ数日の間、雨が降る事がないミッドチルダに、大粒の雨が流れた。
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龍斗からハザードトリガーを受け取った伊能はやって来た郷原に話し掛ける。
「才賀はどうした?」
「今、捕らえた仮面ライダーからベルトを回収している。伝えることがあるのか?」
「ああ。この世界の奴を特等席へ案内してやれと伝えてくれ」
「了解だ」
郷原はその場から姿を消した。龍斗は静かにボトルを握る。
「どうかしたのか?」
「いえ、何でも有りません。」
龍斗は何故自身の目から水が出ているのか理解できなかった。
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何とか誰にも見つからずに帰宅することに成功した戦兎は、すぐさまベッドへと運び込まれた。
「龍斗さんに、会ったんですね」
「ああ....」
戦兎自身も本当に長い間一緒に戦ってきた仲間が洗脳されたのだ。
悔しい? そんなものではない。戦兎の中にあるのは、自分の力のなさである。
そんな中だった。
「巧にぃ!テレビを見て!?」
意識を取り戻したはやてが慌てて戦兎の部屋へとやって来る。
「一斗達が映ってるんや!」
「何!?」
何時までも帰って来ない一斗とティーダは檻の中に入れられ、テレビに映し出されていた。
『これを見ている桐生戦兎に告ぐ。明日の10:00、この2人をこの街の石碑にて処刑する。だが、貴様がその命を差し出せば、2人の命は保証しよう。会えるのを楽しみにしている』
今回はリンディに成り切る事すらせずに伊能本人がでかでかとテレビに映し出されていた。
「.....行くしか、ないじゃないか」
「マスター....」
自分自身を逃がすために傷つけられない人々を相手に闘った2人が捕らえられている。戦兎の答えは決まっていた。
「待ってろよ....」
戦兎は明日に控えた決戦に向けて、部屋に閉じこもった。
「巧にぃ...」
「私達に出来ることは他かが知れてます。だからこそ、いつも通りを演じましょう」
「そうやな...」
戦兎は気付かない振りをした。心配を掛けていることを。
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「ティーダさん。明日、父さんは罠だとわかっていても来ますよね」
「そうだね...」
ジャックと名乗った者にアリシアの身体と沢山の一般人を人質に取られた二人は、抵抗できずに幽閉されていた。
「君のガジェット達は、無事かい?」
「いえ、変身機構を破壊されています」
声を出すことなくアイコンタクトで彼らは本題を話していた。
フクとフォレスは先程言ったとおりに変身機構だけが破壊されて、武器としてしか使えないこと。
あの戦いの中で一体逃げ切って、助けを求めに行っていることを。
「....君たち、面白い話をしているね」
そんな中で、来客があった。
「アリシアの身体に何もしてないよな?」
「あら...私が約束を破る女に見える?」
アリシアの身体を乗っ取った才賀はハサミ型のガジェット、『シーザー』を一斗へと向ける。
「
「お前が、アリシアの真似をするな!」
演技をした才賀だったが、面白くなかったのかティーダへと刃の方向を変える。
「先に教えといて上げる。貴方は明日処刑されるわ。何があったとしてもね」
「...そうか」
「あら? 聞き分けがいいのね」
「僕は今も昔も罪人だ。ようやく裁かれる時が来たと思えばいいだけだ。」
ティーダは軽く話を流す。その内飽きたのか才賀は檻から離れていった。
「...こんな所では死ねない。生きて彼女に会うまでは」
ティーダの言葉に無言で頷きながらも一斗はスタッグと共にいるアインハルトの事を考えていた。
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「来たか」
翌日、住民達の間をかき分けて戦兎は石碑の前に現れた。
「一斗とティーダは何処だ!」
「何を言っている?奴らはそこにいるだろうに」
「!」
伊能が指をさす先には、ビルの壁に鎖で繋がれた一斗達がいた。その周りには魔導士達が沢山飛んでいる。
「ついでだ。彼女の処刑もここで行う」
「フェイト!?」
同じ様に反対側のビルにも、鎖を繋がれたフェイトの姿があった。
「もう彼女は必要ない。」
伊能は龍斗のビルドドライバーを装着し、グレートクローズドラゴンにコブラロストボトルをセットした。
『覚醒!』
「貴様はここで散るがいい。
ハザードトリガーをベルトに装填する。
『グレートクローズドラゴン』
ハンドルを回す事でライドビルダーが展開される。ライドビルダーからパイプが龍斗へと延びていき、吸収されてしまう。
「龍斗!」
『ARE YOU READY?』
「変身」
伊能は前後からライドビルダーへ挟み込まれ、その姿を変える。
『ウェイクアップ クローズ!』『ゲット グレートドラゴン!』『ブラブラブラブラブラッド!』『ヤベーイ!』
肩を覆うように付いた漆黒のマント、複眼にはコブラとドラゴンの姿があった。戦兎は民衆の真ん中に立ち、ジーニアスボトルを取り出す。
「待ってろ龍斗、一斗、ティーダ、フェイト....必ず助け出すから!!」
『グレート!』『オールイェイ!』
戦兎はハンドルを回しながら仮面ライダーブラッドへ向けて走り出した。
『ARE YOU READY?』
「変身!」
活動報告にて、クロスオーバー編のネタを募集中です。感想もお待ちしています。
今回、かなり意味深い言葉が多々使われていたと思います。
その意味を考えながら、次回をお待ちいただけると幸いです。