迷い込んだのはリリカルな世界 By Build   作:Plusdriver

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世界を救う鍵

戦兎は理解していたのだ。その言葉の意味を。

 

「必ず、一つじゃ足りなくなる...」

 

ビルド本編のラスボスはエボルトとなっている事を彼は知らないが、何となくだが理解していた。

 

何せ解析不能のパンドラボックスを持って来た異星人である。そのハザードレベルは自分達よりも圧倒的に高いだろうと。

 

だからこそ、一つ(一人)では越えられない壁を二つ(二人)で超える為に、このベルトはこう設計されたと。そうじゃなければ、何でスクラッシュドライバーがボトルを一つしかセットできないのかが分からないからだ。

 

つまり、相棒との絆で更に強くなれるという事。今迄、色んなパワーアップを、皆に支えられながらも行ってきた事にも納得がいく。

 

「必ず、助け出すから」

 

戦兎ははやてが持って来た2本のボトルを握りしめる。これが、切り札になると信じて。

 

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戦兎が提案した作戦は今居るライダーが、それぞれ別々に戦うことでブラッドへの融合を防ぐというものだった。既に一斗達から才賀がアリシアの身体を乗っ取っていることは伝えられ、誰と戦うかが決められた。

 

 

「それで、お兄ちゃんが私の相手をしてくれるのね」

 

「お前にそう呼ばれるつもりはない。必ず、返してもらうぞ」

 

『ボトルキーン!』

 

一斗は昨夜にアインハルトからブリザードボトルを渡されていた。

 

「この先、きっとこの力が必要になるはずです。だからこそこれを返します」

 

悲しそうな表情をしたアインハルトからそれを受け取った一斗は決めたのだ。必ず、妹を取り戻すと。

 

「フク、フォレス、スタッグ....準備はいいな?」

 

全員が無言で頷く。一斗は目の前のジャックを睨みつけながらナックルをベルトにセットした。

 

『グリスブリザード』

 

ハンドルを回す事で展開されるブリザードライドビルダーは冷気を放ちながらも、一斗の頭上へと移動する。

 

『ARE YOU READY?』

 

「変身」

 

その鍋をひっくり返し、一斗は全身を凍り付ける。

 

『『『♪!!!!!!!!!!』』』

 

三体のガジェット達によりその結晶は砕かれる。

 

『激凍心火!』『グリスブリザード!』『ガキガキガキガキガッキーン!』

 

「心火を燃やして......ぶっ潰す!!!」

 

「やれるもんならやってみなさい!」

 

ここに、ジャックとグリスの戦いが始まった。

 

 

____________

 

 

 

「貴様が俺の相手をするのか」

 

何処か気にくわなさそうに言い放つ郷原。ティーダはそれに疑問を持った。

 

「何かおかしいところでもあるのか?」

 

「...命を運んでくると書いて運命、とは上手く言ったものだな」

 

「どういうことだ」

 

「...お前の女を浚ったのは、俺だからだ」

 

その言葉は、ティーダを怒らせるのに十分だった。

 

「お前のせいで、翼は、翔は...」

 

「何を言うか?貴様はそのおかげでその力を手に入れたのだからな」

 

「黙れ!!!」

 

ティーダは柄にでもなく、クラックボトルを地面へと叩き付けた。

 

完全にひびの入ったボトルを拾い上げて、起動させた。

 

『デンジャー』

 

「そんなことは理解している。だからこれは....」

 

『クロコダイル』

 

ティーダはベルトにセットし、レンチにその手を沿える。

 

「単なる八つ当たりだ!」

 

その言葉と同時にレンチを押し倒し、ボトルを砕く。展開されたビーカーは液体で満たされると同時に砕け散る。

 

『割れる!』『食われる!』『砕け散る!』

 

『クロコダイル ㏌ ローグ』『オーラァ!!!』

 

「....ハザードレベル5.5か...面白い」

 

ローグとゼブラロストスマッシュの戦いが、始まった

 

____________

 

 

彼らが作戦通りに闘いを始めているころ、戦兎はバイクに乗って街の中を駆け回っていた。

 

「今、どうなってる?」

 

『今の所、殆どの人がマスターを追っている状態です。このままで問題ないかと思います』

 

二人が戦いやすい環境を作るために戦兎はわざと住民達の目に入ることで、彼らを街から遠ざけたのだ。

 

魔術師達の攻撃をフェイトがいなし、はやてがそれを捕らえる。その繰り返しだった。

 

動ける魔術師二人と戦兎は、向かう先で待機している翼の姿を発見する。

 

「準備はできてます!!」

 

「行くぞ二人共!」

 

「「はい!」」

 

3人が翼の横を通り過ぎると、その後を追っていた住民たちは次々に街から離れていく。

 

「これで、お終い!」

 

翼が最後の一人を見送った後、その横を戦兎が駆け抜けていく。

 

「起動させろ!」

 

「はい!」

 

昨夜作戦の為に作った結界維持システムを翼は起動させた。これで、ミッドチルダの街に残っているのは洗脳された一部の魔術師と、仮面ライダーのみになったのだ。

 

「それじゃあ俺は、龍斗の所に行ってくる。後は頼んだぞ」

 

「任せて。なのはは私が止めて見せる」

 

「兄を止めるのは妹の役目やからな」

 

フェイト達は、洗脳された魔術師たちの集まるブロックへと向かった。既にアインハルトも洗脳されたナカジマジムメンバーと戦い始めていることが、ミカによって伝えられている。

 

戦兎は何の迷いもなく、そのハンドルをミッドチルダの中心へと向けた。

 

_____________

 

 

「...またしてもか!」

 

伊能は計画を滅茶苦茶にされたためにキレていた。パンドラボックスに近いものを集め、ハザードトリガーまで手に入れたのに、計画が実行できないからだ。

 

「貴様だけは、絶対に許さない」

 

「俺もだ」

 

怒りが頂点まで上がっているのは、現場にやってきた戦兎も同じだった。大切な仲間も、関係ない一般人をも巻き込んだ事件を起こした犯人が目の前にいるのだ。

 

『グレード!』『オールイェイ!』

 

「この世界は、破壊させない。龍斗も返してもらう!」

 

「貴様に何ができる!!!」

 

『マックスハザード・オン』

 

戦兎はジーニアスフォームに、伊能はブラッドへと姿を変えた。ビルドはフルボトルバスターを構える。

 

最初に動き出したのは戦兎だった。

 

「おりゃあああああ!!!!!!」

 

「無駄だ!!!!!」

 

重いバスターでの一撃を、片手で防がれてしまう。だが、戦兎は諦めなかった。続けて斬撃を続けた。

 

それを受け止め続けた伊能は、疑問を持った。

 

「一体、何が貴様を動かしている!既に身体は破壊され、仲間も失った。信じたものにも裏切られた!なのになぜ、貴様は未だに戦うことができる!!!」

 

戦兎は出来たスキを逃すことなく、瞬時にバスターキャノンへと変形させ、エネルギー弾を放つ。

 

「ぐぉ!」

 

「.....お前には分からないだろうな。エボルトと違って、人間を一切理解してないお前にはなぁ!!!!!!!」

 

そう、戦兎はエボルトのしたことを許した事はない。だが、それでも何度も手を合わせているうちに、エボルトが少しづつ変化していることに気が付いていた。

 

最後には、自身が復活できたはずなのに、それを一斗のために使った。この時点で戦兎はエボルトを、認めていたのだ。

 

「お前は変わった」と。本編の戦兎から聞いた事を繰り返している様な伊能達とは、異なると。

 

『フルフルマッチで~す!』

 

『フルフルマッチ・ブレイク!』

 

「ぐああああああああ!!!!!!!!!」

 

『ラビット』『タンク』『ドラゴン』『ロック』

 

戦兎は直ぐにバスターにフルボトルをセットする。

 

「.....人は変われるんだ。それは人間じゃなかったエボルトにも同じことが言えた。でも、お前たちは何も変わらなかった!只々世界を破壊して、一族の悲願を叶えるだけの機械のようなお前たちじゃ....」

 

戦兎は一気に吹き飛ばされているブラッドに近づくとバスターキャノンのトリガーを引いた。

 

俺達(・・)には勝てないんだよぉぉ!!!!!!!」

 

『アルティメットマッチ・ブレイク!』

 

「がはっ.......」

 

さすがのブラッドも、何度も最大火力の一撃を食らい続ければ、限界が訪れる。それを戦兎は狙っていたのだ。

 

その狙い通りに、ブラッドの身体から半透明な龍斗が浮かび上がる。

 

「龍斗、お前の命をもらうぞ!!!!」

 

その透明な龍斗へと戦兎(ビルド)は手を伸ばし、ブラッドから切り離す。そのまま、ブラッドは高層ビルへと飛んでいく。

 

「うらあああああああ!!!!!!!」

 

「ぐぇ!」

 

ブラッドから引き抜かれた龍斗は、戦兎が残した勢いに身を任せ、地面に叩きつけられた。

 

「あ、ごめん」

 

「痛てぇじゃねぇか!」

 

戦兎は嬉しそうに、背中を庇いながらも立ち上がろうとする龍斗へ手を伸ばした。

 

「悪かったって。後でラーメン奢るからさ。」

 

「ったく、そんなものでつられる俺だからなぁ」

 

その手を掴んで、龍斗は立ち上がる。戦兎は変身を解除し、持って来たクローズビルド缶を見せつける。

 

「何だそれ?」

 

「俺とお前で、ベストマッチってな。付き合え。既にフェイトは助け出したからな」

 

「それ、答えになってないぞ」

 

まぁまぁと言いながら戦兎はそのボトルを振る。

 

「そういやぁどうするんだ?俺のベルトはあいつが使ってるぞ?」

 

「だ・か・ら、俺のを使うんだよ。二人でな」

 

「はぁ!?」

 

さすがの龍斗もこれには驚くしかなかった。ミカはそれをサラッと動画に収めている。

 

「おのれ...おのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれぇぇぇ!!!!!!!!」

 

「ほら、敵さんのお出ましだ。」

 

「オイオイ、あいつ滅茶苦茶怒ってるじゃないか!一体何をしたんだ?」

 

「う~ん、色々?」

 

戦兎は会話しながらもプルタブを開け、ベルトにセットした。

 

『ラビット』『ドラゴン』

 

「え、マジでやるのか!?」

 

「だから、さっきから言ってるでしょ?」

 

龍斗が納得いかないのか抗議してくる中、戦兎はハンドルを回して、自分達の周りにライドビルダーを展開する。

 

『ARE YOU READY?』

 

「ダメです!」

 

「変身!」

 

龍斗がベルトからの問いかけにそう答えるが、既にライドビルダーは龍斗を巻き込んで、戦兎を挟み込むのだった。




投稿時間に、こだわりを見せる男、スパイダーマッ!


あ、感想お待ちしてますね。

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