迷い込んだのはリリカルな世界 By Build   作:Plusdriver

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ローグと呼ばれた男

ティーダは怒っていた。翼達を裏側へと強制的に連れて来た犯人に。そして、それで力を手に入れた自分自身に。

 

「ああああああああああああ!!!!!!!!!!」

 

「ハザードレベルが急上昇しているのか」

 

ローグの攻撃を交わしながらもゼブラは分析を続ける。今ここに戦兎がいたなら「お前、機械だろ?」とか言い出しそうなくらいに、冷静だった。

 

「フム、以前はグリスと戦ったが、貴様も中々面白そうだ」

 

「黙れぇぇぇ!!!!!」

 

ティーダはベルトのレンチを乱暴に押し倒した。割れているボトルは欠片をまき散らしながらも、成分をタンクへと流し込む。

 

『クラックアップ・フィニッシュ!』

 

「.....だが所詮、お前はここまでが限界だ。ここで静かに散るがいい」

 

右拳にエネルギーを集束させて放った一撃は、いとも簡単に防がれてしまう。それでもティーダは止まらなかった。いや、止まれなかった(・・・・・・・)

 

「..言ったはずだ。これは、八つ当たりなんだと」

 

ティーダはJIMを起動させ、銃弾を放つ。

 

「ほう?この世界では質量兵器を見れないと思ったのにな」

 

「管理局が管理する世界では、質量兵器を持っているだけで犯罪者だ。それでも、僕はずっと持ち続けることに決めたんだ!」

 

ティーダはエボルトの元にいたときに初めて銃弾という質量兵器の存在を知った。それで、簡単に人を殺せることも。

 

ティーダが持ち続けているのは、「どれだけの時間が過ぎようと自分自身が犯罪者だという事を忘れるな」という自己暗示なのだ。決して許しを問わず、大切な人達を守るために。

 

ティーダは効果がないとわかっていても、実弾を撃ち続けた。ダメージは与えられてないものの、ゼブラロストスマッシュを後退させることは出来ていた。

 

『残り装弾数は12だ。このまま撃つ続ければ無くなるぞ』

 

「わかってるよJIM。それが狙いなんだから」

 

そして最後の一弾のみが、JIMの中に装填された。

 

『クロコダイル』

 

欠片をポロポロと落としながらもJIMのスロットにボトルを振るセットする。エネルギーが銃口へ集束していく。

 

『ファンキーアタック!』『クロコダイル』

 

放たれた実弾は、ゼブラの中心に突き刺さった。ダメージはないものの、紫のイナズマがゼブラの動きを止める。

 

「これで僕はただの犯罪者へと戻った。ティーダ・ランスターでもなく、仮面ライダーでもない。今の僕は、ただのローグ(悪者)だ!!!!!!」

 

JIMを待機状態に戻し、ティーダは再びベルトのレンチを押し倒した。

 

「砕け、散れ!!!」

 

バリンという音と共に、遂にクロコダイルクラックボトルは砕け散った。

 

『クラックアップ・フィニッシュ!』

 

「何度も食らいついて、砕く。嚙み砕き続ける!!!!!」

 

ローグは両足にまとった鰐の顎状のエネルギーで動けないゼブラを何度も何度も嚙み砕く。

 

「ぐお、がっ、き、さ、ま、あああああああ!!!!!!!!」

 

それでもゼブラの胸部アーマーを破壊するだけになってしまった。

 

『おいマスター!どうするんだよ!まだ倒せてないぞ!?』

 

ボトルを完全に砕いてしまった為に、ローグの変身が解除される。JIMは慌ててそれを指摘するが、ティーダ自身もこうなることぐらい把握していた。

 

ティーダはスクラッシュドライバーを腰から外して投げ捨てた。

 

「....ほう。私に勝てないから、自ら手に入れた力を捨てたか」

 

ゼブラは自らの両拳をぶつけ合い、せめて一瞬で終わらせる事にする。だが

 

「何を、勘違いしてるんだ?」

 

「何?」

 

ティーダは、笑っていた。それはもう、不自然なくらいに。自らの力すら効かない相手が殺そうとしてきているのにだ。

 

『そうだマスター!?もう戦える手段は...!』

 

「君にも言ってなかったね。これを僕が持っている事を」

 

JIMは驚愕する。それはティーダが持っているはずがないものだったのだから。

 

『何でマスターがエボルドライバーを持っているんだよ!?』

 

「グランディアに、一度きりだけど借りたのさ」

 

ベルトからは、定期的に粒子が出ている。それを気にすることなくティーダはそれを腰に当てる。

 

『エボルドライバー!』

 

「貴様が持っていたのか。我らが減らした戦力の一つを」

 

「大当たりだったや。明らかに不自然にあの事件が起こったからね。」

 

ティーダは確信した。郷原達3人があの男に力を与え、一番消滅の恐れがあったライダーを一人減らす狙いであの事件を起こさせたことを。その為に、グランディアがその命を燃やしたことを。

 

ティーダは、後少しでも衝撃を与えれば完全に砕け散りそうなクロコダイルクラックボトルをもう一度起動させる。

 

「最後まで付き合ってもらうよ!!!」

 

『デン、ジャー!』

 

それをエボルドライバーにセットする。彼女に黙って持って来たギアも一緒に。

 

『ワニ』

 

『リモートコントローラー』

 

『エボルマッチ』

 

ハンドルを回すと紫のイナズマと青白い靄がティーダを襲った。

 

「いくら貴様とて、それはただの自殺行為だ。人間である貴様が、そのベルトを完全に使いこなす事ができるわけがない」

 

「...そんなこと、無力だった自分が一番わかってる!!!!」

 

それでもティーダはハンドルを回す続けた。血管の様に辺り一面に展開されたパイプは、まるで脈を打っているようにも感じられる。

 

ARE YOU READY(裁きの時か)?』

 

「ああ、僕が裁かれる時だ!!!!!」

 

ティーダはその身をパイプに包み込まれ、アーマーを装着する。

 

『クロコダイコン!』『フッハハハハハハハハハハ!』

 

ローグ(悪者)は自らの罪を、自分で裁く事にした。その為のローグ・ジャッジメントである。

アンダースーツがビルドと同じものになり、あちらこちらにひびが入っている。肩には鰐の方顎とリモコンが装着されている。

 

「お前は危険だ。このまま生かしておけば、確実に我らの計画の支障となるだろう。ここで排除させてもらう!」

 

「お前を裁くのは(ローグ)だ!!」

 

ローグ・ジャッジメントはベルトのハンドルを回す。突撃してきたゼブラを交わしエネルギーを両足に集束させる。

 

『READY GO!』

 

『エボルテック・アタック!』

 

「ふん!!!!!」

 

ゼブラは直ぐに振り返り、樋爪による致命傷を狙うがローグがそれを交わしてリモコンの能力で姿を消す。

 

「...姿を隠したか....」

 

ゼブラは静かに辺りを警戒する。何時、何処を攻撃されてもそれを捕らえて一撃で終わらせるために。

 

だが、それを良しとしないのがローグである。確実にゼブラの背後に回り、一度だけ蹴りつける。

 

「がっ!?そこか!」

 

攻撃を受けてすぐさま反対側を向き、その拳を振るうが、それは只々宙を仰ぐだけだった。

 

「ぐぉ!?そっちか!」

 

今度は左からの一撃が放たれる。同じ様にその攻撃を受けてから、ゼブラは動き出す。今度は微かな音を聞き取るために、静かに拳を解く。

 

「.........」

 

辺りを沈黙が襲う。どちらかが隙を見せた瞬間に勝負が付く。ここで誰かがこの戦いを見ていたら息を飲んだことだろう。自分の罪を自らを犠牲にすることで裁く事にしたローグと、彼が力を手に入れることになった理由を作り出した者の一撃で終わってしまうかしれない死闘。それがここで行なわれていた。

 

「....そこだ!!!」

 

足音を聞き取られてしまい、ローグが接近している事がばれてしまう。既に走り出していたローグはそのまま止まることが出ずにゼブラへと向かっていく。

 

「捕まえ、何!?」

 

手を伸ばして捕まえようとしたゼブラだったが、ローグの身体が透けてその手は無を掴んだ。足音は確実にそこから聞こえていたはずなのに何故だと。その答えは、ローグの口から語られた。

 

「!!!!!!!!!!!!」

 

「言ったはずだ。」

 

郷原は声を上げることすら出来なかった。理由はローグの目に負えないような速さに有った。ゼブラが掴もうとした瞬間に加速しながらそれを交わしたローグはそのままゼブラを中心とした円を描くように連続で移動と攻撃を繰り返したのだ。その為、全身を連続で攻撃されたゼブラの動きは鈍ってしまう。その様子を確認することなく、ローグが背中へと回り込む。

 

「お前を裁くのは僕だと」

 

『エボルテック・アタック!』『チャオ♪』

 

そのまま振り返りながら両足でゼブラを挟み込み数回嚙み砕いた後、そのまま投げ捨てる。

 

「がっ............がああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!」

 

壁に叩きつけられた後に、蓄積された攻撃分のダメージがゼブラを襲った。何が起きているのかもわからずに爆散する。それは、只々一方的なものだった。

 

「それがお前の罪だ。そしてこれが僕の罪だ」

 

ローグ・ジャッジメントの変身は解除されエボルドライバーは消滅し、ボトルとギアが地面へと落下する。

 

ティーダは身体のありとあらゆる所から出血していた。

 

それは元から人間では使うことすら出来ない代物を使用した代償であった。

 

『マスター、止血剤は打ち込んだぜ』

 

「ありがとう....JIM。何だかとても眠いんだ....」

 

『今くらい、休んだって誰も文句はいわねえだろうよ』

 

ティーダは背中を壁に預け、眠った。只々静かに。

 

ローグは、自らの罪をこの世界を救うという償い方を選んだのだ。それが、一番だと信じて。

 

『いい夢を。My Master』

 

JIMはネビュラにメールを送った。しばらくしたら、迎えが来るだろうと。

 

その間は、自分はこの人を守ろうと静かにティーダを見守り続けた。




彼なりの償いは自分の身を犠牲にしてまで誰かを救うということだった。

残るは一斗のみ。


間もなく、あのライダーが_____
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