迷い込んだのはリリカルな世界 By Build 作:Plusdriver
動くのは右腕のみ。左腕を治せる時間は、無い。
エボルトは結界の張られたエリア全体を吸い込む事が出来る程のブラックホールを創り出している。
片手で扱える武器は呼び出している間に攻撃される可能性がある...
打つ手なし...いや、きっと何かがあるはずだ...考えろ...この状況を覆せる方法を...
「後、少し...」
エボルトの創り上げたブラックホールは結界の壁を伝う様に広がっていく...まさか!
「ミカ!今すぐにフラクシナスを転移しろ!」
『は、はい!』
結界維持にフラクシナスの霊力を少し使っていた為に、そのままフラクシナスが転移されたのを確認する。
このブラックホールは、俺を逃がさないようにする為のもの...俺がここから逃げ出せばこの街に、その世界に何が起こるか分からない。
結界の上からブラックホールが張られた。これで俺とエボルトだけがこの中にいることになる。でもアイツは吸い込まれてもいいのに対して俺が飲まれたら吸収という状況だ。
「圧倒的に、不利ってか...」
「どうした?諦めて俺の物になることにしたか?」
俺はフルボトルバスターをバスターキャノンモードに変形させて片手で構える。
「まさか!勝利の法則が決まっただけだよ!」
単なるハッタリに過ぎない。勝てる見込みなんてまだ考えついていない。でも、勝たなきゃいけない。
この
だから、戦える自分がどうにかしなくちゃいけないんだ。
俺はフルボトルバスターのトリガーを引き、エネルギー弾を放つ。
____________
「あ、ああ、ああああ、あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
俺の中に、
「エネルギー弾さえも吸収できるってか!」
剣が邪魔だな...捨てちゃえ
「正解♪」
ここまで俺にさせたんだ。だから...
「うぐぅ!?」
___________
何!?さっきまで本気じゃなかったのか!?
俺はエボルトに捕まって、身体からビルドドライバーをはぎ取られた。
「がはっ」
「そうだ。これだ、これなんだよ」
エボルトはビルドドライバーを
ビルドドライバーを持っていた方の手が俺の髪に触れる。
「この髪も、耳も口も目も...お前の身体全てが俺の物だ...絶対に誰にも渡さない...」
至近距離でエボルトの顔を、その目を見てしまう。
「____!!!!!!」
「逃げようとしても無駄だぞ?」
可愛げに聞こえる言葉は、音だけのもので俺は抱きつかれたエボルトを振り払おうと必死だった。
怖かったのだ。底が見えない、あの目に自分が映り込み続けるのすら...こいつから、直ぐに離れないと!
「離せ!離せぇぇぇぇ!!!!!!!!!!!!」
「いいよ、離してやるよ」
「え?」
俺はすっかり忘れていたのだ。ここがブラックホールで包まれた
「うああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!」
「ようやく一つになれる...これでこの世界を破壊できる___」
最後に聞こえた声は、やはりあいつがエボルトである現実を俺に叩き付けてきた。
サブタイトル、「えぼたん」でも良かった気がする...
吸収されてしまった戦兎。
目的を果たして次なるターゲットを定めたエボルト。
マスターの反応が消失したミカさんが_______
ではまた。