迷い込んだのはリリカルな世界 By Build 作:Plusdriver
やっちまったものは仕方がない。
それでは本編をどうぞ。
もう一度バスターブレードを振り下ろす。それはエボルトが左手を犠牲にする事で受け止められる。エボルトの左手からは血は流れ、他の傷は結晶体となって固形化している。だが、一度結晶体を砕かれた背中には結晶体を再び形成することは出来なかった。
受け止めると同時に結晶体で再構成した羽を広げて空へとエボルトは逃走をはかった。
「逃がすかよォ!」
ビルドは逃がすつもりはない。それよりも背中を見せてしまったエボルトに対してバスターキャノンを向けてトリガーを引いた。放たれた一撃は、天に羽ばたく天使モドキを墜落させた。
「俺の、
落下したエボルトに向けて何の躊躇いもなく武器を振り下ろす。
戦兎は取り込まれている間に、見てしまったのだ。助けてと叫ぶ女の子を。それは想像以上に幼い頃のことだった。まだ未来がある彼女達の物語を、こんな狂った奴のせいで終わらせるわけにはいかない。
「あああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!」
『タンクタンク!』『ツエーイ!』
両手足を切り落とし結晶化したら再び切り落とす。喋れないように喉元に刃を当て切り裂く。タンクタンクのパワーでトドメを刺そうとした時だった。
「がっ!?」
タンクタンクが吹き飛ばされたのだ。その理由は、戦兎が回収できてないものにあった。
「やっぱり残ってたか...」
エボルトは結晶体を全身に創り上げ、しばらくすればそれは全て砕け散る。それはエボルトの得た治癒能力であり、叩き切ったはずの手足が綺麗な状態で現れた。
「...なぁ、教えてくれよ。何が気に食わなかったんだ?」
エボルトはそう問いかけてくるが、戦兎は答えない。わかり切っていることなのだ。これくらいはこいつだって知っているのだと。
「俺の物になってはくれないのか?不便なんてないのに...苦しみも、悲しみも、絶望もない。あるのは心が壊れることだけなのに、か?」
「...俺には不便なんだよ。俺には、大切な人達が待っている。お前なんかに付き合っている暇なんてない。」
バスターブレードを何時でも攻撃を受け流せるように構え直す。
「やっぱり、俺は...お前が好きだ。ここまでしても折れない心が好きだ。でも、
エボルトは戦兎だけを欲していたのだ。既に吸収した鳶一折紙の影響は狂った方向へその人格を変化させ始めていた。
「
召喚したはずのデュランダルはグリップを握られる事なく地面に突き刺さる。両手で顔を抑え混乱し続けるエボルトはもがき続ける。
「俺は!
戦兎はその様子を見ながらも攻撃に備えるがそこで気が付いてしまった。彼女の結晶で出来上がった羽に虹色が混じり始めている事に。それは戦兎が回収出来なかったジーニアスボトルの成分を吸収し始めた証拠であった。
「.........」
『ラビット』『ドラゴン』『ロボット』
『ミラクルマッチで~す!』
ビルドはバスターにフルボトルをセットして地面に突き刺し、別のフルフルボトルで姿を変える。
『不死身のディスティニーソルジャー!』『ツインフェニックス!』
そして一本のボトルをホルダーから取り外す。それは
『仮面ライダー』『アルティメットマッチで~す!』
それをバスターにセットしグリップを稼働させてから地面から引き抜く。そのまま刺さっていたデュランダルも引き抜いた。
羽を広げて一気に炎に身を包み、そのままエボルトへ向けて向かっていく。既に彼女の羽は大半が変色しており、残り時間が僅かである事を表していた。
「...このまま、逝ってくれ.....」
『アルティメットマッチ・ブレイク!』
全身、刀身共に炎に包まれたままエボルトの横を通りずぎる。
炎が散り、後ろを向けば、エボルトは泣いていた。
「嫌、また一人は、お前がいないところなんて、嫌だ!」
戦兎はデュランダルを投げ、そのまま片翼を切り落とした。
「返してもらうぞ。お前の奪った大切なものを」
「あ、ああ....」
エボルトはそのまま地面へと落下していった。
彼女は取り込んだ依存した心をえてしまった事で暴走してしまった。
更にジーニアスボトルを完全に吸収したら、彼女を止めることが出来る者はいなかっただろう。
次回、『明日』
ではまた。