迷い込んだのはリリカルな世界 By Build 作:Plusdriver
「なぁミカ。俺達は何でここにいるんだ?」
『私も思い出せません。ですが、大切な何かがあった気がします』
戦兎達は街の展望台で佇んでいた。彼らには2日程の記憶がないのだ。
「...取り敢えず葛城さんの所に行くか」
『そうですね』
その進路を研究所へと決めた彼らはその足を進めた。
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「良かった....ホントに良かった...!」
ビルドが行った一撃によってエボルトは切り裂かれ、地面に落下すると同時にその姿を吸収された3人に戻ったのだ。
「マスター、ご無事で何よりです」
「ミカも結界維持お疲れ様」
既に公園の修復は終わり、この世界に平和が訪れた。でも、あと少しだけ残っている。
「なぁ琴理。こいつをどうする?」
「それの処分は任せるわ。このことは上に報告しないことにしたから、書類を作り直さなきゃいけないの。
それよりもアンタ達はどうするのよ?」
戦兎がボトルを見せるが、琴理は既に目的を達成したために気が抜けてしまっている。初めての
「琴理、安心しているところ悪いのだが、時間がないようだ」
「え?」
令音の指摘で戦兎達の体が消えかかっていることに気がいた。
「なんで!?どうして...」
「あ~、俺の推測なんだが...」
この世界にきたのはエニグマに表示されたためであり、その目的もこの世界で生まれたエボルトを倒すことだった。以前の様にエボルトを封印されたボトルが消滅を始めている。
「つまり俺達の役目は終わったみたいだ」
「...何よそれ...私たちは、何もできてないじゃない...」
琴理の気が沈む。それでも戦兎は声を掛けた。それは、彼らの記憶を見たからこその言葉だった。
「士道をちゃんと支えてやれよ。彼は君の事を本当に大切に思ってるみたいだからな。」
「...最後に言うことがそれって」
「お世話になりました!またな!」
そう言って戦兎は消えていく。残された琴理達は、それぞれの仕事に戻っていく。
「...私たちだけの約束よ。エボルトっていう、とんでもない生命体が精霊以外にもこの世界にもいるって事を」
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「ただいまー」
「お・か・え・り!!!」
「ほげっ!?」
『またですか...』
戦兎達は研究所によった後、自宅に帰ってきていた。
「そう言えば、一体どこに行ってたん?」
「それがさ...」
彼らの記憶の中に、今回の冒険の記録はない。あの世界に持ち込んだこの世界の物は全て戻ってきている。いつも通りに冷蔵庫に手をかけて戦兎は扉を開ける。
「あれ?はやてちゃ~ん!鮎なんて買ったかい?」
「い~や、買ってないで~」
あの世界にはこの世界の物が存在し続けることは出来なかったが、あの世界からの持ち込みは可能だったのだ。
「鮎がに2匹と....!?」
戦兎は記憶がなくても、今迄闘ってきたことで感じられることがあった。これが
「ハハハ....マジかよ...」
その言葉の理由は魚と共に袋に入っていた紙に書かれていたことにあった。
『お買い上げありがとな。軽く塩を振って焼くとうまいぜ。
またのご利用を待ちしてるからな?
チャオ♪
エボルト』
あと一話で残りを描きます。
さて、あの魚屋の店主がエボルトだと思っていた人はいるのかな?
ではまた。