迷い込んだのはリリカルな世界 By Build   作:Plusdriver

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49.エボルトは星を狩る 後編

一度は日常に戻ったはずだったが、この事件の原因は未だに捕まっていないのだ。

 

「パンドラボックスを狙ってここに来ると思っていたよ、スターク」

 

「私はグランディア。仮面ライダーマッドローグですよ」

 

「そう。さ~て龍斗、行けるな?」

 

「勿論だ」

 

俺と戦兎は病院の前にハードガーディアンをずらずらと引き連れてきたグランディア(マッドローグ)へと向かって走り出す。

 

『クローズマグマ!』

 

『ラビットラビット!』

 

変身したが如何やら戦兎は今のビルドのスペックについていけていないみたいだ。

 

「仕方がねぇ!戦兎、こいつの相手は任せろ!」

 

「わ、わかった!」

 

何処か頼りない動きでバスターを振り下ろしていく戦兎(ビルド)の背中を見ながらグランディアへ向けてナックルを突き出す。

 

「如何やら桐生戦兎の調子は良くなさそうですね」

 

「黙ってろ!お前の相手は俺だ!」

 

何度もスチームブレードとマグマナックルがぶつかり合う。その度に少しずつだがマッドローグの力が強くなり始めていることに気が付いた。

 

「っぐ!?さっきよりも威力が上がってやがる!?」

 

「おや、気が付きましたか。マッドローグのライダーシステムは人間の限界を超えるもの。今の私は貴方と戦う度に強くなっていっているのですよ!!!」

 

遂には押され始めた。このままではグランディアを病院の中へ入れてしまうことに他ならない。俺は黙ってベルトのハンドルを回した。

 

『READY GO!』

 

『ボルケニック・アタック!』

 

「いっけええええええええええぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!!!!!」

 

召喚したマグマライズドラゴン達と共にグランディアを押し返して病院から離れさせる。序に群がっていたガーディアン達の群れに突っ込む事でその数も減らす。

 

「中々、上手くは行きませんか...ですが!」

 

「ぬぉ!?」

 

グランディア自身に与えたダメージはそこまでなく、簡単に反撃をされてしまう。

 

「さて、ここで貴方達に問題です。何故ここにエボルト様が来ていないのでしょうか?」

 

「あ、そんなの...!?」

 

あいつの狙いはパンドラボックスと一斗の身体。ここにグランディアだけで来てるってことは!?

 

「ええ、貴方の想像通りでしょう。これで私は失礼しますよ」

 

グランディアは一人目的を達成したからか不敵な微笑みをマスクで隠しながらネビュラスチームガンのトリガーを引き撤退していった。

 

「畜生がぁぁぁぁ!!!」

 

俺たちの一人でもここを離れる事が出来ないほどのガーディアン達が再び召喚された。俺は一斗の元へ行けない悔しさをそいつらにぶつけた。

 

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今日も戻ってきた日常が_

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

____破壊された。

 

展開したはずの防御魔法陣は粉々に破棄され再展開することは不可能。原因の対処に向かった先生達は戻ってきていない。怯える生徒達の中で僕は只々祈ってしまった。誰も死んでいないようにと。

 

それでも、あいつは僕を狙うことを辞めない。辞めるわけがないとも。

それで大勢の人が死のうとも関係ないのだとも。

 

「全くこんな所に隠れなくてもいいじゃないか、一斗」

 

そしてそいつは最後の砦だった体育館の壁を破壊して、中に入ってきた。

 

僕は、あの日からまともに戦えて

いなかった。父さんを助けに行った時も、先輩達の足を引っ張ってしまっていた。

怖かったのだ。これ以上自分のせいで他の人が傷つくのが。

 

「覇王断空拳!」

 

「おっと、まだ戦えるやつがいたか!!!」

 

僕が動き出す前にアインハルトさんやヴィヴィオ達がエボルトと闘い始める。生徒たちは立ち上がり戦いに巻き込まれないように逃げ出している。

 

「一斗さん!逃げてください!」

 

「早く!一兄!」

 

「あまり長くは、持ちません!」

 

「だから...!」

 

みんなから逃げるように言われる。きっと、ここに父さんたちは来ないだろう。エボルトがパンドラボックスを後回しにしてでも僕の身体を欲しがっているのだと、何故か考えられてしまった。

 

『スクラッシュドライバー!』

 

「一斗さん!?」

 

「僕は...君たちを置いて逃げられない....!」

 

『ロボットゼリー』

 

僕らで戦っても勝てない事は分かっている。それでも僕の手は動いた。

 

「変、身!」

 

走りながらバリアブルゼリーを身にまといその姿を変える。両手に武装した二つずつのレザーがエボルトの肩アーマーの一部を破壊した。

 

「...成程、狙いを一つに絞り込んで破壊したか。それでも俺には敵わないがなぁ!」

 

分かり切っているのだ。人質を取られない限り、負けるつもりはない。必ず父さんたちが来るまで時間を稼ぐのだと。

 

「とまぁ、大きく出てもいいのだが...」

 

エボルトは急に素早く移動しアインハルトさんの首を掴んだ。

 

「さぁて一斗。再び取引だ。こいつを見捨てるか、それとも俺のところに来るか」

 

そんなことを聞かれても俺の答えは決まっている。

 

「俺を、連れていけ」

 

「そう来なくっちゃな」

 

アインハルトさんの首を離しエボルトが俺に近づいてきた所で、僕は意識を失った。

 

____________

 

 

「一斗さん!」

 

アインハルトは目の前で敵と共に倒れていく中で叫んだ。だが

 

「フゥ....ハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

その思い人の口からは絶対に出すはずのない音が出ていた。

 

「お前のお陰で俺は一斗の身体を手に入れられた...感謝するぜぇ?」

 

啞然としているアインハルトの脇腹をエボルトは蹴り上げ壁に吹き飛ばす。

 

「お前たちもだ」

 

「「「きゃあああああああああ!?」」」

 

アインハルトの安否を確認しようとする彼女たちも纏めて吹き飛ばす。

 

「これで、エボルトリガーが使えるはずだ...待ってろよ戦兎!!!お前だけは苦しんで苦しんで苦しめ続けた挙句の果てで殺してやるからよぉ」

 

気分がいいエボルトはそれ以上破壊することなくその場を後にした。

 

残されたのは大量の負傷者と意識不明者達、崩壊した校舎だった。

 





次回、『究極のフェーズ』









平和なんてものはない。エボルトを倒すまでは___

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