迷い込んだのはリリカルな世界 By Build 作:Plusdriver
さてさてどうしたものか
未だに戦兎は目覚めない。一斗はあれから葛城巧にビルドドライバーの製作を頼んだ。自分が、抜けた戦兎の穴を埋められるようにと。
「もっと強く打ち込んで来い!」
「おりゃあ!!」
お互いのベルトが点検に出されているために生身のまま龍斗と一斗は闘っていた。それはエボルトに対抗するカギであるハザードレベルを上げるために。
前回の戦いの中でハザードレベルがかなり上がった龍斗だエボルトに比べれば程遠い。一斗もハザードレベルが5.0に達しているが実力がないと龍斗に特訓をつけてもらっていたのだ。
「やってますね」
「ティーダ様、お疲れ様です」
「どうも。...如何やらまだ戦兎さんはまだ目が覚めていないのですね」
「はい」
ミカは病院の中庭にやって来たティーダに返事を返す。戦兎達が戦っている間にガーディアン達が多くミッドチルダに召喚され、ティーダはそれを相手に闘い続けていたのだ。いくら何でも連日の戦闘で魔術師達も限界を迎えて来ており、戦える者が減りつつあったのだが、戦える子供達が戦い始めたのだ。
勿論大人達はそれを止めたが子供達に押し切られてしまい一緒に戦うことになったのだ。子供達をはやて達に任せてティーダは病院へとやって来たのだ。
「こちらもスカリエッティの足を追っているのですが...」
「逃げられてしまうのですね」
「ええ。お陰で緊急災害対策部隊も崩壊寸前ですよ」
エボルト・スカリエッティとミッドチルダで悪名高い者達が手を合わせているために崩壊した管理局の魔術師達が集まって一時的に誕生した組織も既に崩壊寸前。その元凶であるスカリエッティは未だにガーディアンを量産している。
終わりのない戦いに希望を持てない者はガーディアン達と自爆を始める始末。
「...すいません。10分後に起こしてください_」
「はい、分かりました。お休みなさいませ」
ティーダはその場に崩れこむと、そこが地べたであるのにも関わらず睡眠を始めた。
__________
翌日、同じ様に戦兎が目覚める様子はなく太陽は空を登っていった。
「グランディア...性懲りもなくまた来やがったのか!!!」
「...如何やら桐生戦兎はまだ戦えないようですね」
「父さんが狙い!?」
マッドローグは複数のガーディアン達を引き連れて病院の前に現れた。それに気が付いたミカにより転移された二人はビルドドライバーを装着していた。
「一斗、ブリザードナックルはまだテスト段階だ。無茶するなよ」
「そちらこそ」
龍斗はベルトにナックルを、一斗はフォレスをセットしハンドルを回す。
『クローズマグマ』『フォ―トレス』
『『ARE YOU READY?』』
「「変身!」」
だが、問題が発生した。
「あ、あれ?変身できない!?」
「チッ、仕方がねぇ!下がってろ。お前らの相手は、俺だ!!!」
クローズマグマは変身出来なかった一斗を後ろへ下げるとナックルを構えてマッドローグへ向かっていった。
「何で!?どうして!?」
一斗は何度もハンドルを回すがライドビルダーが展開されることはなかった。それもそのはず。ライダーシステムを使用するには必ずハザードレベルが必要となるのだが、一斗は人体実験を受けていない。何故使えたのかと言われればエボルトの遺伝子が原因だ。エボルトと融合したことで遺伝子を失った今の一斗にはその遺伝子が残っておらず、変身できないのだ。
「..変身できないならの方法で...!」
一斗はベルトからフォレスを取り外すと変形させてトリガーを引いた。生身の為に仰け反りそうになるが何とか踏ん張りガーディアン達に攻撃していく。その内グランディアが連れてきていたガーディアン達が一列に並ぶタイミングが有った。
「今だ!」
一斗はそのタイミングを逃すまいとフクをスロットにセットし構える。
『フルボトルブレイク!!!』
「うわあああぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!」
放った一撃はハザードレベルの変化により威力が上がっており、生身で放った一斗を吹き飛ばす。だが、その威力は...
「...想定外だ!君は、君たちは私の常識を簡単に破壊してくれるなぁ!!!」
アンリミテッド・デザイアの計画を進めるのに十分だった。
次回、『新たな龍の目覚め』
彼はエボルトとは違う。
破壊するのではなく、父親の様に作るのだと。
その覚悟の表れである。