迷い込んだのはリリカルな世界 By Build 作:Plusdriver
『何故、こんな事を聞くのですか?』
「お前には関係ない。サッサとしろ」
グランディアはそれ以上詮索することなく仮想スクリーンを操作した。
『...今の所動きはありません。ですが平行世界への移動に最近は時間を賭けています」
「...分かった。動きがあったら連絡しろ」
一方的に通信を切った龍斗は殴った岩の上に座る。
「親父、お袋、香澄...皆の仇は、俺がとる」
いつもよりも速く雲は動いていく。龍斗が座ったその位置には決して日光が当たることはなかった。
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「万丈がグランディアから聞いた通り、今スカリエッティはお前の持ってるエニグマの再現をしたいみたいだな」
「...やはりこれが狙われたか」
「まぁ、仕方がないんじゃないかな。次元世界の移動だけでなく、過去や未来へも、平行世界にもアクセス出来るエニグマをもしスカリエッティが完全に完成させてしまったらこの世界もろ共彼の手に落ちてしまうだろうね」
手を付けられなくなることは確かなのが病室に集まったメンバーに伝えられた。葛城も既に動き出してはいるものの、未だにスカリエッティの行方が終えていない。
「そこでだ。俺達でスカリエッティの先回りをして奴を叩きたい。出来るか?」
「このまま探し続ければ良さそうだけどね。だけど問題はそれだけじゃない」
戦兎からエニグマを借りてコードを繋いでシステムをいじり始める葛城。
「エニグマの転移は未だに安定
「どういうことだ、葛城さん」
龍斗が聞けば仮想スクリーンを沢山展開していく葛城。そこには、今迄転移して来た様々な時代・場所が映し出されていた。
「私はわざとエニグマを完成させなかったんだ」
「...父さん以外の人が使いこなせないようにですね」
「ああ、その通り。それにこの人数を転移させようとすると更に安定性がなくなる。だから安定した転移が出来るのは精々5、6人が限界だろうね」
「なら行くメンバーは決定だな。俺と戦兎、一斗にティーダと...」
「サポートが出来る者がいいだろうね」
メンバーは決まった。次に始まったのは装備の強化だった。
「元から計画は練っていたこれらを形にしなくちゃいけないね」
「時間がどれだけあるかわからない。早速始めましょう、葛城さん」
病み上がりのはずの戦兎を誰も止める事なくことは進んでいきます。そんな中、純一郎はエボルトに話しかけた。
「話がある」
「...ああ、俺もだ」
ティーダ、龍斗と共に病室の外へ出る。
「お前、そのままだと完全に力を発揮できないだろ?」
「「!?」」
純一郎は知っていたのだ。エボルトが自らの力をうまく使えてないことに。それを知らないティーダと龍斗は驚きを隠せない。
「いやはや、流石は元相棒!俺の事を良く理解していr」
「俺の身体を使え」
純一郎は相性の良かった自分の身体をエボルトに使わせる事で力をコントロールさせるという提案だった。
「...何?」
「使えと言ったんだ」
「待ってください!」
「何を考えているんだよ!そんな事をしたr」
その言葉を妨げるように純一郎はトランスチームガンを自分へと向ける。
「そんな事じゃないんだよ、龍斗君。このままだと確実に巧は自分を犠牲にしてまで世界を救おうとする。でもね、俺はいつもこう思ってるんだ。「親より先に息子が死ぬんじゃない」ってね」
純一郎の思いを知ったティーダと龍斗は上手く話せなくなってしまう。
「...そんな事を言われたら、止められねぇじゃねぇか」
「.......」
「どうする、エボルト」
既に引き金に指をかけた純一郎はエボルトへと問い掛ける。エボルトにとってはデメリットなしの提案だ。
「勿論、円了なく使わせてもらうぜ。よろしくな、相棒」
純一郎が持つトランスチームガンの引き金に同じ様に指を掛けたエボルト。同時にその引き金を引いた。
エボルトは自分の力を純一郎と共有することに決めた。
それだけでなく、新たな力が開発されていく。
そんな中で、スカリエッティの居場所が判明した。
次回、『彼の復讐』