迷い込んだのはリリカルな世界 By Build 作:Plusdriver
皆が仮想スクリーンを見詰める中で、エボルトは龍斗の過去について話し出した。
龍斗は両親と妹と共にいつも通りの日常を送っていた。だがそこに
『更にだ。万丈はブラッドをしっかりと見て聞いていた。だからこそ、スカリエッティと全く同じ声だったことに気づいたからこんな事をしたんだろうな』
「先輩にそんな過去があったなんて...」
「俺も一度もそんな事を聞いたこともない」
エボルトは純一郎の頭の上に陣取ると、その視線をスカリエッティのベルトへと向けた。
『万丈の使うデバイスは、平行世界のお前が与えたものなんだぜ?戦兎』
『!?』
「...まぁ、そうだろうとは思っていたよ」
平行世界、別名パラレルワールド。それは『
実際龍斗にクローズドラゴンとビルドドライバーを渡したのは平行世界の桐生戦兎なのだ。
決して
『俺が話せるのはこんなところだ。そら、話が進みそうだぜ』
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「...全く、手こずらせてくれるね。流石はプロジェクトビルドの集大成とでもいうところか」
「がふっ...おまえ、その言葉を、何処で知りやがった...?」
クローズチャージのアーマーは破壊され、今も立っているのがやっとな状態にまで追い詰められていた。
「簡単さ。こちらの世界に来る前に何個か世界を旅していてね。次いでに破壊もしておいた」
「!て、めぇえ.....」
ブラッドはふと思い出したかのように返事を返す。
「そういえば君の質問に答えてなかったね。私にとって自分自身以外はどうでもいい。ただの
龍斗は右手を少し後ろに下げビートクローザーを召喚する。
「...ならよ、お前が生み出した
「ああ、彼女たちか...確かに大事な娘たちだったさ。今は実験道具に過ぎないがね。いや、今は必要すらないか」
龍斗は改めて考えていた。自身でも気が付いているが既にスクラッシュドライバーの副作用に身体が蝕まれている。今は無理矢理身体を動かしているものの、ここ最近で出来た傷が痛む。
『スペシャルチューン!』
『ボトルキーン!』
既にこの世界の建物や生物は全て灰にされている。この場に彼ら以外の者は存在して
「俺は色んな世界を旅してきた。その中で『旅は一期一会、出会いと別れを大切に』って事を学ばされたんだ」
龍斗はビートクローザーを逆手に持ち変える。ブリザードナックルを自然体で構えながら龍斗は少しずつスカリエッティとの間合いを詰めていく。
「こんな俺でも誰かに感謝された。相手の名前も知らないのに、見返りもないのにさ...」
龍斗はナックルでベルトのレンチを押し下げる。
「だからこそ、言えることがある...スカリエッティ!!!!」
『スクラップ___
「お前と戦う事は、俺の為でしかない!その結果が誰かの為になったとしても!!!!」
__フィニッシュ!!!!』
ある少年はマントを広げたまるで帝王のような人物と、反射でよく確認できない人物が戦っているのを見ていた。
「あいつが香澄を、親父もお袋も、みんなも...」
手には妹が着ていたはずの制服が力強く握られていた。
ここから先、本編のネタバレ有り。
忠告はしましたよ?
少年
目の前でクローズチャージとブラッドの戦いを目撃する。その結果、聞こえてきた声からこの一連の災害の原因がブラッドであることを知った。
本来ならばクローズドラゴンとの出会いがあるはずなのだが彼のいる世界は平行世界、『桐生戦兎が存在しておらず、万丈龍斗に妹がいる世界』なのだ。
万丈龍斗
エボルトによって失った記憶を取り戻した。ということになってはいるが全てはとある人物の目的の為に平行世界の自分との記憶共有の実験に巻き込まれた。
なので、本来ならば妹はいない。受け継いだ記憶は『桐生戦兎が存在しており、万丈龍斗に妹がいる世界』の自分の記憶である。この世界の龍斗は目の前で妹を、友人を、否。
目的はただ一つ。全ての世界からスカリエッティを消すこと。だが彼自身は平行世界を旅することは出来ず、光写真館に居候(皮をかぶりまくって)しながら正体を追い続けている。
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いよいよややこしくなってきたのではないでしょうか?
感想お待ちしてます。それでは!
次回、『氷龍の欠片』