迷い込んだのはリリカルな世界 By Build 作:Plusdriver
7.覇王少女2015
「交わさないで、下さい!」
「いや、それを食らえば、僕の身体も壊れちゃうからね!?」
「私はそれを望んでいるっ!」
アインハルトはアナザービルドを吹き飛ばすとすぐさまティーダへと攻撃を開始したが、交わされ続けていた。
「と、取り敢えず止めなきゃ」
アインハルトを止める為に一斗はベルトを装着しようとする。だがそれを邪魔された。
「それは使わせません」
「え」
先程までティーダに攻撃をしていた彼女が一斗の元へ戻っており、ビルドドライバーを投げ飛ばしてしまう。
「一斗さん、貴方が願えば私はそれを叶えます。それが『戦え』というならば戦います」
「...それって、僕が願えば戦わないってことだよね」
「はい」
アインハルトの願いは唯一つ。一斗に傷付いて欲しくないのだ。だが、一斗にも戦う覚悟がある。
「ハル、僕は戦いを避けられそうにない。それでも、力を貸してくれる?」
「ええ、貴方がそう望むのならば」
ティーダは今の状況がよくわからなくなっていた。取り敢えず、目の前の問題から解決することにした。
『デンジャー』
「戦兎さんを返してもらおう」
『クロコダイル』
スクラッシュドライバーを使いローグへと姿を変えたティーダはアナザービルドが吸い込まれて行った壁に近づいてゆく。
「『医者』、『ゲーム』、べすとまっち~」
「ボトルの成分で、回復したのか!?」
先程までアナザービルドが吸い込まれていった壁は、病院の壁だったのだ。そこでアナザービルドは新たなボトルを創り上げ、ダメージを回復したのだ。
「二人共!こいつはかなり厄介だ、気を付けろ!」
『どうするマスター!?龍斗の話じゃビルドの力じゃなくちゃ倒せない上、放置したらしたで被害が増えるぞ!』
「なら、僕がビルドになればいい!」
通常なら倒せないアナザーライダーを倒すためには、そのオリジナルの力が必要となる。だがアナザーライダー誕生と同時にオリジナルの歴史はきれいさっぱり消滅することになる。
そう、オリジナルの歴史は
それはオリジナルが別に存在しているか、又はアナザーライダーが平行世界から来た為の不具合か。
今回はその両者に当てはまっている。
「ハル、今すぐにビルドドライバーを取ってきて!」
「はいっ!」
戦兎を、アナザービルドによって被害を受けた人々を助け出すために一斗はベルトを欲した。そしてそれをアインハルトに
「アインハルトさんが戻ってくるまでは僕がこいつを抑え込んでおく!一斗君は援護を頼む!」
「はい!」
ローグはアナザービルドを逃がさない様に立ち回りながら攻撃を続ける。一斗はフォレス・キャノンモードを構え、隙が生まれるたびにそのトリガーを引いていた。
「お待たせしました」
「ハル、ありがとう。これで戦える」
戻って来たアインハルトからベルトを受け取る。
「そのまま、ティーダさんに加勢して」
「分かりましたっ!」
アナザービルドを後方から襲い、その動きを鈍らせるアインハルト。時間稼ぎをしている間に一斗はボトルを取り出す。
「何で、このボトルがここに...?」
そのボトルは本来ならば一斗が持っていないものなのだから。
次回、『新王誕生20XX』