迷い込んだのはリリカルな世界 By Build 作:Plusdriver
私事が多くしばらくの間執筆時間がなく、即興で書いたものになっております。
それではどうぞ
「えと...ただいま、母さん。」
「...巧なのね?...」
「ああ。巧だよ。」
母さんが玄関まで出てくる。
「....指名手配はどうしたの?」
「未だに指名手配中だよ。色々あってね。こんな機会二度とないかもしれないからこの子達を連れて来たんだ。」
そう言って一斗を前に出す。
「えと、こんにちは。僕は桐生一斗。父さんの息子です。」
「娘のミカです。初めまして、おばあ様。」
ミカが何時の間にかビルドフォンから子供の大きさに戻っていた。全く気が付かなかったぞ。
「ええ、こんにちは。お父さんは今までお父さんしてた?」
「はい。」「もちろんだよ!」
照れくさいな....
「ほら、このまま玄関で長話をするのもなんだしさ。上がってもいいかな?」
「.....何言ってんの。ここは貴方の家でもあるのよ?」
「!」
敵わないな...
「..ありがとう。」
「フフフ。さあ、あなた達も上がって頂戴。お父さんの話を聴かせて?」
『はい!』
子供達と共に家に上がる。10年過ぎたとはいえ、変わらない風景にしんみりとしてしまう。
....母さんに話さないとな。今迄俺がどこで何をしてきたのかを。
覚悟は既に決まっているんだ!
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これ....ミカは人型になれなかっただけで、今迄の俺を見てきてるんじゃないか?
「....お父様はこの時....」
「あら....お父さんしているのね~。」
ミカと母さんの話を軽く聞き流しながら一斗と仏壇の前に行く。
「.....久しぶり、父さん。」
「......おじいちゃんはもう....」
そうだ。俺こと佐野巧の父親、佐野純一郎は俺が中学に上がるとすぐに亡くなった。正確には遺体は見つかっていない為に亡くなったと言っても過言ではないのだろう。
「父さんは何処までも真っ直ぐな人だった。だからかな...一斗には自分のやりたい道に進んでほしい。」
「.....分かったよ。」
それからしばらくの間会話は無く、只々火を付けた線香からの煙が外へ流れていた。
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「....もう行っちゃうのね。」
「仕方がないさ、この世界では指名手配されているからね。」
時間の流れは早くあっという間に夕方でそろそろ研究所に戻らなければ葛城さんに心配をかけてしまう。
「それではおばあ様、お元気で。」
「またお話ししましょうね。」
「はい!」
ミカと母さん、かなり仲良くなったみたいだ。
「一斗も元気でね?」
「うん!」
一斗からは俺が父親になった理由を聞いたみたいだ。何を話したのか気になるな...
「それじゃあ母さん、行ってきます。」
俺は魔法で顔を変えて玄関から出ようとする。
「行ってらっしゃい、巧。いいえ、桐生戦兎。」
母さんからの言葉は直前までの懐かしさがあるものではなく、覚悟の決まったものだった。だから
「行ってきます!母さん!」
『行ってきます!』
「はい、行ってらっしゃい!」
俺達は先程よりも大きな声で返して家を出た。きっとまた....帰ってくるから。今度は龍斗も一緒に。
クローズマグマ、来ましたね。
あ、大事な事を書いておきましょう。
佐野純一郎は宇宙飛行士で有ったが、主人公が中学の時に火星へ行っています。
ですが、行方不明になったのは地球に帰って来てからです。
それでは次回でお会いしましょう。