Fate/ School magics ~蒼銀の騎士~   作:バルボロッサ

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3話

 

 

 22世紀を目前にしたこの時代においても日本の首都である東京。その都心にほど近いところにある高級住宅街。立地的にそこには豪華な街並みが前世紀から並んでおり、その景色に溶け込むようにして建つ豪華な洋風の邸宅にかの屋敷はあった。

 七を冠する数字付き(ナンバーズ)の家系。十師族が成立して以降、一度もその座から堕ちたことのない名門―――― 七草家。

 

 その屋敷の一室である当主の書斎に七草家直系の長女である真由美は呼び出されていた。

 クラッシックな本棚と重厚なデスクと、背もたれの高い革張りの椅子が一脚置かれただけの、簡素な、けれども決して質素ではなく、むしろ威圧するかのような部屋。

 

「お父様、ご用件は何でしょうか?」

 

 前世紀後半のエリートビジネスマンを髣髴とさせる外見の、線の細そうな身体つきをした男性。彼女を呼びつけたのは父である七草弘一。七草家の現当主だ。

 

「なに。今年はお前の高校生活最後の年。一高の九校戦三連覇がかかっているのだろう?最近忙しそうにしていたようだからな。少し話をしてみたいと思ったまでだ」

 

 弘一の顔には右目の義眼を隠すための薄い色のついた伊達眼鏡がかけられており、外見こそ人当たりの良さそうな顔つきをしており、向けられる笑顔も言葉も、娘を気遣ういい父親然としている。 

 だが、真由美はそれが単なる外面だけのものであることをよく知っている。

 

 権謀術数。表の権力には関わらないというはずの十師族が、魔法協会よりも強大な発言権を有しているのは、その魔法力にある。

 そしてその魔法力を背景にした軍事貢献力、情報・諜報力、有形無形のそれらの力こそが、十師族の発言権の源であり、政治力にも関わっている。

 七草家は十師族の中でもとりわけそういったことに力が強く、弘一はそんな七草家のトップだ。

 見た目は狐だが、その本質は狸親父だと、真由美は思っている。

 そこには真由美の潔癖さや親に対する反抗心もあるだろう。

 ゆえに真由美の応対も実の父に対するものとしては寒々しいほどに硬いものだ。

 

「たしかにそうですが。今年の新入生は期待の新人たちです。自信を持って挑めます」

 

 ただ、その答え自体は真由美としても本心だ。

 1年生の成績上位者である北山雫や光井ほのかは数字付き(ナンバーズ)ではないもののそれに負けないくらいに高い魔法力を有しているし、彼女たち以外にもかなりの粒ぞろいばかりだ。そして学年主席の司波深雪に至っては上級生でも彼女に対抗できるものは少ないであろうと思わせられるほど。

 残念ながら二科生であり、実技成績の振るわないために競技メンバーには()()()()()()司波達也。彼に関しては学校の、ひいては公的な評価基準が即ち魔法師の魔法力を正しく評価しているわけではないということを表している証左のような人材だ。

 今回はなんとか彼を技術スタッフに組み込むことができたが、これがどのような結果を導くことになるのかは、真由美をしてもまだ分からない。

 そして、さらなるイレギュラー。魔術師、藤丸圭と獅子劫明日香の参加。

 正直、彼らは九校戦という表だった舞台には立たないかもしれないという懸念はあった。魔術師というのはそれほど魔法師にとって、そして十師族にとっても謎の多い存在だった。

 だが予想に反して彼らは九校戦の選抜メンバー入りに異を唱えなかった。

 魔術という魔法師の知らない未知にして秘奥の技術を開帳する気になったとは思わないが、だからこそ意外だった。

 彼らの――特に獅子劫明日香の戦闘能力を思い出すに、彼らの前向きな参加は決してマイナス要因にはならないだろう。それが例え、真由美たちの期待していた競技への参加でなかったとしてもだ。

 

 真由美の返答に弘一は顎に手をやり考える素振りを見せ、色眼鏡の奥にまったく笑っていない瞳をしたままで口元に笑みをつくった。

 

「期待の新人、か……ふむ。泉美を救ってくれた魔術師、そう、獅子劫といったかな。彼も九校戦のメンバーなのかな?」

 

 弘一の問いかけに真由美は眉を顰めそうになった。

 

 ――白々しい――

 

 そう吐き捨てたくなるほどだった。

 九校戦のメンバーはすでに外部に対しても公開されており、それは魔法科高校の生徒だけが知ることのできる情報に留まっていない。

 九校戦は一般公共放送ではなくて契約放送ではあるものの、魔法競技関連を多く取り扱っている番組ならば非魔法師であっても民間人であっても気軽に観ることができる。

 つまり機密事項でもなんでもない情報を、それが気になっている魔術師のことであり、知る気があるのならば七草家の当主の耳に入らないはずがないのだ。

 

 名前だって思い出そうとしてうろ覚えだったなんてことは絶対にない。

 この狸親父がそんな耄碌していないことは真由美がよく知っていた。

 彼が子供たちの中で一番甘い顔をするのは末娘であり、大人受けのする対応のできる泉美だ。家人の多くに加え、そもそも泉美が誘拐されたことは七草家にとっても忘れ難い恥辱だ。

 何よりもかつて婚約者を誘拐され、自身も片眼を失い、婚約破棄したことのある弘一にとっては、あの事件はある種のトラウマを抉るものだったのは間違いない。

 

 ならばそれを解決した外部の、それも魔法師ではなく魔術師に対して、その動向に関心を抱いていないはずがない。

 それは彼らが強力な戦力を保有しているだろうということもあるし、チャンスがあれば取り込んでその力を七草家のものにしたいという企みもあるだろう。 

 七草家は十師族の中でも四葉家と並んで抜きん出た家門だとされている。七草家がかつては三枝家――つまりは“七”ではなく“三”の数字付きとして研究機関にその成果を求めていながらも、後には別の力を求めて“七”に転じたというのは師補十八家、百家でもよく知られた事実である、当代の当主である弘一が、過去のいざこざもあって四葉家当主の真夜に対して複雑な感情を抱いているのもよく推測されることだ。

 アンタッチャブルとまで恐れられる四葉家に対して、その戦力を隙あらば削ぎ、対抗するための戦力を貪欲に求めているのを真由美はよく知っている。――無論真由美の知っている範囲を超えて弘一が謀略を巡らせているだろうことも。

 

「ええ、出ます。彼は新人戦のバトル・ボードに出場する予定です」

 

 どうせ知っているだろう情報であれば、敢えて隠すような子供じみた反抗をすることもない。真由美は肯定して、率直に彼の出場競技を述べた。

 本年度の九校戦唯一の水上競技。バトル・ボード(波乗り)

 

「ほう? モノリス・コードには出ないのかね?」

「モノリス・コードには彼の友人の藤丸君の方が出場する予定です」

 

 本来はモノリス・コードに出て欲しかった。

 それは克人と摩利を合わせた三巨頭の一致した意見でもあり、実際4月のブランシュとの騒動の際に見た戦闘能力は、非殺傷を絶対とする競技であっても破格のものだろう。

 ―――それが白兵戦、モノリス・コードにおけるルールに抵触してしまうものでなければ。

 

 先の戦いで獅子劫明日香は不可視の攻撃によってホムンクルスだという巨大悪魔やサーヴァントを撃破していたが、それはそういう魔法なのだと思っていた。

 そうであれば問題はなかったのだが、藤丸圭のいう所によると、あれは持っている武器(それが何なのかは言ってくれなかったが、振るい方などからはおそらく剣)を不可視化して直接斬りつけているだけであるとのこと。

 それでは直接攻撃を禁止するモノリス・コードのルールに反してしまい、それ以外でもルールに照らし合わせると獅子刧明日香はモノリス・コードに対してはさして適正が高くないとの結論に達してしまったのだ。

 その代わりに、彼には藤丸が推薦したこともあってバトル・ボードへの出場と、藤丸圭がモノリス・コードに出場する運びとなったわけだ。

 

「魔術師―――いや、()()の魔術師、藤丸か……」

 

 漏れ出たようにも聞こえる呟きは、果たして真由美に聞かせる意図があったのかなかったのか。

 何かのギミックでも仕込んでいるかのように色眼鏡が光を反射したように見え、陰影が弘一の目を真由美の視線から遮った。

 

 ――星見…………?――

 

 彼を呼称するのだろう意味で、その言葉は初耳だった。

 いつだったか、彼は自身のことを花の魔術師と呼称してはいたが、星見の魔術師などとは言っていなかった。

 そしてブランシュとの騒動のときも、使っていた魔術は光弾のような攻撃系の魔術と植物らしき蔓を使った拘束魔術。

 どちらかというと植物繋がりで花の、という方が合っているように思えるが…………

 

「真由美。お前から見て、あの二人はどのような人物だ?」

 

 ふと思った疑問への埋没は、弘一の問いかけに遮られた。

 それがこの呼び出しの本命の理由なのだろう。あの二人の魔術師たちについての所感。

 

 真由美はあの二人のことを思い返した。

 藤丸圭が操る魔術。真由美や摩利、そして克人の魔法でさえ寄せ付けなかった悪魔に対して有効打を与えることのできた異能。

 そして獅子劫明日香の圧倒的な力を――――

 

「……獅子劫くんについては、十文字家から報告のあった通りです。学校では生真面目な生徒、というように見えます。藤丸くんは…………」

 

 正直なところよく分からない、というのが本音だ。

 魔術と魔法。一体何が違うのか。CADを使わない超能力に近い異能、などという単純なものではない。

 そうであればきっと真由美たちの魔法だってあの悪魔には通用したはず。

 なのになぜ通用しなかったのか。

 魔法師とは違う彼らはなぜ魔法科高校にやってきたのか。彼はサーヴァントに対抗するためにやって来たとは言っていたが、そもそもなぜサーヴァントが現れるようになったかについては、彼は答えなかった。

 サーヴァントと明日香との戦いについては真由美は実際には目にすることがなかったが、十文字家からの情報提供があった。

 あの克人ですらも深手を負う程の相手を真っ向から斬り伏せた力は、2年と少し前に七草家を翻弄したサーヴァントとの戦いの苦い記憶を想起させるには十分だった。

 とはいえ、過去の英霊すらも圧倒する獅子劫明日香とは違って藤丸の魔術は戦力という点においては魔法師とはそう大きな違いがあるようには見えなかった。

 

「むしろ私は、藤丸君にも、底の知れない何かを感じます」

 

 ただ、彼はどこか違うものを見ている気がする。

 飄々として軽薄にも見える態度の中で、まるで未来を見通しているかのように酷薄にも思える何かが垣間見える、そんな気がするのだ。

 

「ふむ…………」

 

 顎に手を当てて思案する素振りをする弘一だが、真由美にはそれが本当に思索にふけっているのかフリなのかは判別がつかなかった。

 この狸親父はたとえ身内相手でさえそんな演技を手抜かりしない。

 そう―――――

 

「近々、お前か、あるいは香澄と泉美のいずれかを相手に、藤丸家に対して見合いを申し込むつもりだ」

「!」

 

 以前から心算していたであろうその計画を今決断したというように告げることも。

 

 

 

 

     ✡  ✡  ✡

 

 

 

 八月一日。

 少々の出発遅延があったものの、一高は()()()()()()()()()()九校戦の舞台となる富士の演習場南東エリア、その近くにあるホテルへと到着した。

 一般の民間人、それも高校生が宿泊するにはかなり豪華なホテル。だがそれに気後れを感じるような生徒は殆どいなかった。

 

「ついに来ちゃったね、九校戦。ドキドキする……!」

 

 2,3年生は昨年も経験したことであるし、1年生にしても九校戦のメンバーに選ばれるほどの魔法師であれば基本的に一般人とは言い難い。雫にしても日本屈指の大実業家のご令嬢だ。

 だからほのかがドキドキと高揚に弾む胸に手を当てているのも、ホテルへの気後れではなく、大舞台、初めての魔法競技大会への出場への意気込みからだ。

 

 この豪華なホテルも確かに豪華ではあるが民間用の5つ星ホテルというわけではない。軍の施設の一部であり、本来は視察の文官や会議のために来日した他国の高級士官とその随員を宿泊させる為のホテルであるためだ。

 九校戦は魔法実技を競い合うという競技特性上、そして魔法力が国家の軍事力と結びつくという性質上、九校戦で活躍した選手から軍人の道に進むものは多く、そのため軍としても優秀な実戦魔法師を確保するために九校戦に全面的に協力しているのだ。

 

「まずはこの後の懇親会だね。本戦は明後日、新人戦は5日後から」

 

 普段からクールな雫も、表情こそ大きくは変化していないものの、憧れの舞台を前にして意気は高い。

 

 本戦、新人戦とに分かれる九校戦は、本戦から始まって4日目から新人戦を挟み、9日目から本戦のミラージバッドとモノリス・コードが行われて10日目に終わる。

 その開会式も明後日からで明日一日は完全に休養日。最後の詰めを行ったり、選手は英気を養ったりする休養に当てられる。

 ちなみにこの日程は一高が東京の西外れという比較的近距離にあるからであり、小樽の八校や熊本の九校、四国の七校などの遠方の魔法科高校の学生たちはそれよりも一足先に現地入りしている。

 一高が乗車してきたのは選手が乗っていたバスと技術スタッフや大型機器などを積んだ作業車。選手である雫やほのか、真由美たちは自身の手荷物を持って移動を始めているが、男子選手の一部や技術スタッフが小型の工具などの荷物の積み下ろし作業などを行っている。

 

 その作業を手伝っている一人の男子生徒を視界に納めて、雫はふと気になって声をかけた。

 

「どうかしたの明日香?」

 

 バスの中では隣に座っていた明日香だ。

 

「いや……。なんでもないよ」

「……そう?」

 

 作業をしながら何か考え込んでいるようにも見えたのだが、雫が隣に立って見上げながら問いかけると微笑みを返した。

 その態度には何か懸念があるようにも見えなければ大会に向けた気負いもなくいつも通り。

 気にかかることはあってもそれは単なる違和感のようなものでしかなく、その時、ほのかやほかの1年女生徒たちから呼ばれてしまい、雫は少しだけ後ろ髪を引かれるようなものを感じつつもその場を後にした。

 見送る明日香の顔には雫が懸念したようなものは素振りも残ってはおらず

 

「それで。何を“直感”したんだい、明日香?」

 

 けれどもその彼に次いで声をかけてきた圭の言葉に微笑みを消した。

 “予測”による未来視が可能となる圭とは違い、明日香は戦闘に関する事柄に限って直感により未来の最善の選択手を手繰り寄せることができる。

 無論それにも限度があって、どう足掻いてもできないことはできないのだが、意識無意識下における膨大な情報の処理を要する圭の“予測”とは異なり、明日香のそれには縁もゆかりも必要としない。

 

「一瞬だけど、サーヴァントの気配を感じた……気がする」

 

 そしてサーヴァントの気配感知のレベルではただの魔術師である圭よりもデミ・サーヴァントである明日香の方が格段に上だ。

 

「いや。ただの勘だ。気のせいかもしれない」

 

 とはいえ、それは第六感。

 戦闘時ならばともかく、今回の感じたものの戦端が開かれなかったことからやや自信は薄い。だが――

 

「君の直感、だろ」

 

 圭はそう感じてはいなかった。

 魔術師は魔術師を知る。サーヴァントはサーヴァントを知る。

 デミとはいえサーヴァントの霊基を受けている明日香の感知能力は、それに特化しているものではないとはいえ、軽く見てよいものではない。

 

「この後は懇親会だけだ。明日も調整休暇で選手はミーティングもない。君にはCADの調整も必要ないだろう?」

 

 幸いにも明日香のCADの調整は術式の問題もあって圭が担当しているし、圭自身も技術者の手を煩わせることはない。その傾向は術式を秘匿することの多い古式魔法師にはよく見られることで、首脳陣にも不満を覚えても異は唱えられなかった。

 つまりは明日一日は完全に自由に使える時間というわけだ。

 

「……上手く誤魔化しておいてくれよ」

 

 問題は今日の懇親会。

 選手やスタッフは全員参加が原則となっていて、それは魔術師である二人も同様。むしろ魔法師ならざる異端の、そして魔法の祖たる魔術師という珍しさからも出ることは必須といっていいだろう。

 

「任せておきたまえ。口先三寸、魔術や剣なんかよりも得意中の得意さ」

 

 だから二人揃っていなくなるわけにはいかないが、藤丸家の代表である圭が居れば十分とまではいなくとも妥協点としてはありだろう。

 実際魔法師であってもなんだかんだ理由をつけて欠席をする生徒は多いらしく、400人を超える規模の選手・スタッフの中でも懇親会への参加者は300人から400人ほどだそうだ。

 

「…………訂正する。黙っておいてくれるだけでいいよ、ケイ」

 

 ただ、隠蔽を依頼する相手が相手だけに、戻ってきたときにどんな大事になっているかも分からないことには、不安を覚える。

 例えば女生徒とのデートの約束を大量に取り付けられていたりなど……直感や未来視などなくてもあり得そうすぎて不安だ。

 サムズアップして送り出そうとする幼馴染に明日香はため息交じりに返した。

 

 

 

     ✡  ✡  ✡

 

 

 

 

<なぜ一高のバスを襲わなかった、ランサー>

 

 片手に鉄の義腕をつけた男――ランサーが生身の左手に持つ携帯端末から不機嫌な声が流れてくる。

 明らかに叱責の声音を孕んでいる声に、しかし端末を介している男は飄々としている。 

 

「あのまま襲撃しても失敗に終わったからですよ」

 

 もっともそれはお互い様だ。

 一応形式上は彼、ランサーは端末の向こう側の男たちに雇われている立場、サーヴァントではある。そう、雇い主だ。連中は直接的にマスターではない。あくまでも傭兵としての対価に応じて従っているに過ぎず、通常のサーヴァント契約のように彼らから魔力供給を受けているわけでもなければ令呪による縛りがあるわけでもない。

 超常的な力を持つサーヴァントという式神に対して、雇い主の魔法師たちはあまりにも脆弱だ。対面した状態であれば威丈高に叱責などできないだろう。

 

「彼の直感は事戦闘に関することに限っては未来予知に等しいものですからね。無駄に資源を損ねて相手の警戒心を強める必要もないでしょう」

<くっ……しかし……>

 

 とはいえ雇い主には違いない。

 彼は騎士ではあり、契約をこそ大事にする。

 眼前に居ないからこそ強気に出られる雇い主たちを鼻で笑いながら、ランサーは丁重に応えた。

 ランサーの隣には意志のない男が立っている。本来の計画では一高のバスに対して自爆攻撃を行って死んでいるはずの魔法師の男だが、その特攻はランサーが事前に止めた。

 魔法師の子供たちを気にかけたわけでもこの魔法師の男の命を気遣ったわけでもなく、単に無駄だからだ。

 無駄死にした挙句、無用に警戒心を高めてしまっては逆効果だ。

 

 ――もっとも、騎士王にはこの程度の誤魔化しはきかないだろうがな――

 

「ひとまずはアサシンに処理を任せます。彼なら“上手く”やりますよ。それに大会は二日後からなのでしょう? なら大丈夫。なぁにお任せください。騎士の力ってやつをお見せしますよ」

 

 

 


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