イレギュラーな人の続きですはい。
穴の先は異世界だった。
いやいやいや・・・・・・えぇ・・・・・・マジかよ。
次元の穴みたいなブラックホールがいきなり目の前に出現して、吸い込まれたかと思えば二十一世紀の日本が世紀末状態になった感じの世界にいた。
しかも、変な力・・・・・・いや、これポケモンのゴーストタイプの技だわ。これが何故か使えるようになっている。
俺の体も、本当の
正直ありがたい。
だってこの世界、普通に化け物がウヨウヨいるんだから。
真っ白い口だけある化け物や、それの進化系みたいなのがそこらへん普通にいて、心が全く休まらない。
幽霊みたいに物質通り抜けしてたら少なくとも物理攻撃無効化出来るし。
ゴーストタイプの技かなり強いし。“かげうち“とか何あれ。チートすぎだろ。“ゴーストダイブ“や“シャドーダイブ“で不意打ち奇襲何でもござれだし。
ぐぅ~。
ああ、腹減った。
そういえば、飯どうしよう・・・・・・あと寝床も。
結局、この世界に来た初日は飲まず食わず、更に寝ずに過ごす事になった。
*
ボクっ娘を拾った。
化け物に襲われていたところを救出したのだ。
少々やせ細り、顔色が悪く、服もボロボロ。
何でも、この世界に化け物が闊歩するようになってから三年間もの間、ずっと一人でスーパーの廃墟に一人、暮らしていたらしい。
で、その時ボクっ娘が言った今日の年号と年が完全に俺がこの世界に来る前の日付だったから、やっぱり異世界だったのか・・・・・・と思った。まだ完全に異世界であるという確証が持てなかったしね。
・・・・・・未来の世界とかじゃなくて良かった。
・・・・・・それにしても、良く生き残ったよなぁ・・・・・・この娘。
俺より一つ年上の少女が三年間も化け物だらけの世紀末世界でサバイバルとか、凄すぎる。
感動して思わず抱きしめて撫で回したら、何故かボクっ娘が泣いてしまった。
もしかして痛かったのかと、離れようとしたら逆にぎゅうっと、弱い力で、必死に抱き留められた。
・・・・・・しばらく、このままにしておこうか。
*
「ぶ、無様を晒してしまったね」
うん、へたりこんで涙目で赤面した女の子が目の前にいるこの状況。確実に事案ですありがとうございます。
まあ、事案だからって飛んで来る憲兵もいないけどね。
あれからたっぷり十分。時々襲ってくる化け物を“かげうち“の遠隔操作で上手く撃退しつつ、頭を撫で撫でしまくって宥めてようやく泣き止んだ。
さてさて。ボクっ娘も泣き止んだところで。どうしようか?
「おい、まずボクはボクっ娘という名前じゃない。ボクにはちゃんとカリンという名前がある」
「おおう、そいつは悪かった。謝るぜ」
呼び方も改めたところで、さて。本当にどうしようか?
周囲にはまだ化け物はいないが(俺が殲滅したから)、だが、また、いつ襲ってくるかわからんから用心に越した事はないだろう。
「どうする?安全で良い隠れ家とかあったりしないか?」
「・・・・・・あるにはある。だけど、三年間も行ってないからなぁ、あそこ。無事だと良いが・・・・・・」
そう言って、遠い目をするカリン。どうやら心辺りがあるらしいが、三年間も行ってないから無事かどうかわからない上に、何でもここから遠いらしい。軽く二十キロはあるそうだ。
今まで隠れ家として使っていた廃墟は、もう完全に壊れて使い物にならないらしいから、僅かな希望にかけてそこに行くしか手はないそうだが。
「で?その場所ってどんなところなんだ?」
「何、君だって子供の頃に作った事はある筈さ」
カリンはユラリと、まるで幽霊のように笑って言った。
「秘密基地さ。ボクと、ボクの友達複数人とで作り上げた要塞。あそこなら、そうそう見つかる事もない」
*
道中、俺が化け物を吹き飛ばしたりしながら進み続けて五時間強。
町外れの山中にそれはあった。
「おいおいマジかよ・・・・・・」
そこにあったのは、上手く木々に隠れたツリーハウス。指摘されて、それでもわからないくらい巧妙に隠されている。
何でも、隠れた階段もあって、地上と地下にも部屋があるらしい。
元々ここは第二次世界大戦中使われていた防空壕のようなもので、最初そこを秘密基地にしていたらしいが、五年間地味に頑張って最終的にこうなったらしい。
「さて、案内するよ。ついて来ると良い」
カリンがまるで子供のように、目をキラキラとさせながら言う。
まるで、新しいおもちゃを自慢するかのように秘密基地を案内するカリンの姿は、それはもう可愛いかった。
ゴーストタイプの人の設定
特性:ファントムガード
素早さが高い。
ゴーストタイプの体になった為にモノホンの幽霊と同じような事が出来る。
十五歳。歳の割に幼く見える外見。