「三森お母さん!次はどうするの~?」
「ええと、次は・・・・・・」
何だろう。小学生組と三森を見ているとモノホンの家族に見えてしまう。
というか園子(小)は、もうお母さんと呼んでしまっている。
現在、家庭科調理実習室において、三森と小学生三人娘、そして俺は牡丹餅作りをしている。
それにしても・・・・・・うん、これに結城友奈が加われば五人家族の完成ってとこか?
父親:結城友奈
母親:三森
長女:園子
次女:須美
三女:銀
・・・・・・うん、なかなか良い家族のような気がしてきた。
あんこを練りながら、そんな事を考える。
うーん、母親・・・・・・うん、風もオカンといった感じがしてピッタリだな。
あのヒト女子力じゃなくてオカン力が日に日に上がってんじゃあないだろうか。
「ルカリオ、あんこは大丈夫?」
「(いい感じだとは思うがな)」
三森が俺の方に寄ってきて、あんこの出来具合を聞いてくる。
ちょっと味見して、
「うーん、少し足りないわね。ルカリオ、あれ取って?」
「(コイツか?)」
「それよ。それを大さじ一杯足してもう少し・・・・・・」
そのまま次はどうするか聞いていると、
「なんだか夫婦って感じがするね~」
不意に園子がそんな素っ頓狂な事を言い出した。
「(や、何故そう思った?)」
「なんだか二人が出す雰囲気が何と言いうか~・・・・・・夫婦のそれにしか見えない?」
・・・・・・ふむ、ならば少し一芝居打つか。
波導を少々調節し、三森にだけ聞こえるようにテレパシーを送る。
三森は俺の方を向き、少々微笑みながらコクンと頷いた。よし。
「ふふ、料理が上手だったのね、“あなた“。長年連れ添って来たけれど・・・まさかそんなに料理が出来たとは知らなかったわ」
「(なに、“おまえ“の料理してる風景を何時も見て、毎日その料理を食ってりゃこれくらいできる)」
「「「おおおおお~」」」
うん、なかなか面白いもんだな。これ。
熟年(っぽい)夫婦を演じてみたが・・・・・・上手く出来ただろうか?
俺あんまり演技得意じゃあないし。
「創作意欲が湧いて来たぁ~!」
・・・・・・何か約一人ハッスルしていらっしゃる。
*
牡丹餅が美味しい。
や、まあ、上手く出来たから美味いのは当たり前なんだが、何かこう・・・・・・ね?自分で作ったものだからそれの補正とかもあって、何か何時もより美味く感じる。
「これで桜があれば完璧だね」
「・・・・・・確かに、この牡丹餅を食べながら花見をしたいものだ」
「(食べるのに夢中)」
「今度、行きませんか?」
「良いこと言った我が妹よ!よし、今度準備して行きますか!」
もっきゅもっきゅ。
皆さん牡丹餅を頬張っていらっしゃる。
あ、こらこら、銀よ。ほっぺにあんこが付いてる。・・・・・・よし、とれた。
そういえば、巫女二人がこの牡丹餅パーティーの場にいないな・・・・・・。
若葉や歌野に聞くと、どうやら用事で朝早くから大赦の方に出向いているらしい。
牡丹餅、二人の分を先にタッパに取って残しておこう。
うわっ!もう殆ど食い散らかしてる!やべぇ、さっさと取っとかないと二人の分が無くなる!
「(ちゃんとひなたと水都の分も残しとけよ~!)」
牡丹餅の争奪戦は、それはもう激しいものであった。
牡丹餅を食べて少しした後。
俺はダブル友奈に、武道場に呼び出されていた。
用件は、“俺との格闘術の試合“である。
まあ、俺のメインウェポンは拳だし、良い練習にもなると思って、二つ返事で了承したのだ。
「(食後の運動には調度良いな)」
そんな事を独り言で呟きながら約束の時間に武道場に出向くと、もう二人は胴着に着替えて正座の状態で俺を待っていた。
今日はこの場は貸し切りらしく、俺達以外には誰もいない。
「来たね、ルカリオ」
「どっちからやる?」
「(どっちからでも、好きな方から来い。・・・・・・言っとくが、俺は負けるつもりは一カケラもねぇぞ)」
さあ、試合・・・・・・いや、“死合“の始まりだ。
*
[同時刻/神樹の結界の外]
その存在は、ヒトに見えて、人ではなく、どこか神々しさがあって、その存在そのものが輝いて見えた。
その神々しい存在が、一つの、“星屑“と呼ばれるバーテックスに手をかざすと、手からまばゆい光を放つ何かが出て来て、それが“星屑“に吸い込まれていった。
光を取り込んだ“星屑“は、身体から青いオーラのようなものを出すと、周囲にいた他の“星屑“をどんどん吸収していき、巨大化、変形して、最終的には一本の巨大な、持ち手の長い奇妙な形をした、剣のような形に見える怪物に変化した。
「行け、“トツカノツルギ“」
神々しい存在がそう言うと、“トツカノツルギ“と呼ばれたバーテックスは、遠目に見える、光輝く樹木に向かっていった。
「我が神格の一部をバーテックスに託した・・・・・・さあ、どう対抗する?」
軽く世界に危機が訪れた。
長らくお待たせしました。