波導の勇者がゆゆゆいにINしました。   作:千点数

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 どうも。お久しぶりです。
 さて、今回ちょっとした御都合主義と独自解釈が、ほんのちょっぴり含まれております。ご注意下さい。

 あと、短いです。


決戦

 動きが素早くなっている。

 オーラが灰色に変わっているからか、風のように敵の動きが速い。

 

 「・・・・・・ーーーーーー!!!!」

 

 金切り声もウザい!

 

 「(まず刀が喋ってんじゃねぇ!)」

 

 “しんそく“で移動しつつ、バレットパンチで確実にダメージを与えていく。

 

 オーラが青色の時よりも鋼タイプの技の効きが良い。もしかして、刀野郎のタイプが、オーラの色と共に変わったのか?特性:マルチタイプだったりするのか?

 格闘タイプの技は相変わらず効かない。絶対にゴーストタイプかフェアリータイプが混ざっている。

 

 タイプが変わった、という仮定が正しかったとしても、この鋼タイプの技の効きが異常だ。やはりメガルカリオの特性の効果だろうか。

 

 “てきおうりょく“。

 

 ポケモンシリーズにおいて、タイプ一致の技の威力は、通常1.5倍になる。

 その倍率を、1.5倍では無く2倍にするという特性だ。

 

 “メタルクロー“と、“バレットパンチ“を使い、刀野郎をボッコボコにしていく。

 

 時折、嵐が吹き荒れ、身体が風に持って行かれそうになる。

 ・・・・・・だが、そこまできつくはない。精々天候が荒れたくらいにしか思えない。

 

 刀野郎が倒れるまで、あと一歩。そこまでいったところで、急に刀野郎から、猛烈な嵐・・・・・・いや、もうこれは神風の部類に入るのではないか、と、思えるくらいの風と衝撃波が俺を襲った。

 刀野郎は嵐に包まれ、その姿を確認する事が出来ない。

 

 そしてそのまま、刀野郎は身体をぶんまわし俺に襲いかかってきた。

 

 「(うわっ!?あぶねぇちょっと待った危険危険!!)」

 

 必死で避ける。

 掠れば即死だろう。

 かまいたちが無数に発生し、周囲の空間には、もう安全な場所などなかった。

 

 「(逃げ場がねぇなら・・・・・・!)」

 

 俺は、覚悟を決め、“こうそくいどう“と“しんそく“で移動し、かまいたちを出来うる限り避ける。

 時々その刃が近くを通り、俺に切り傷を作っていくが、そんなのは気にせずに、文字通り『神速』をもってして刀野郎に近寄る。

 刀野郎に纏わり付く乱気流が邪魔をするが、そんなの知るか。振りきって行く。

 そして、ようやくもってたどり着いた刀野郎の、刃が付いていない横側を、“つるぎのまい“を積んでからの“バレットパンチ“でぶっ飛ばす。

 過剰な強化で腕が軋みを上げる。が、そんなのは気にせずに“バレットパンチ“を撃ち込み続ける。

 刀野郎の刀身に、若干ひびが入る。

 

 そこを逃さず、追い撃ちとばかりにひび目掛けてもう何発か撃ち込んだあと、攻撃強化系の技を高速で積み、

 

 「(これで、くたばれーーーーーーーーー!!!!)」

 

 “コメットパンチ“を、そのひび目掛けて撃ち込んだ。

 

 瞬間。荒れに荒れていた風が急に止む。

 そして、俺が撃ち込んだ部分から、刀野郎の全身にひびが広がっていく。

 

 気がつけば、刀野郎は砕け散るようにして、その姿を消していた。

 

 *

 

 メガシンカが解ける。

 次いで、俺自身を強化していた技の効果が消えていき、そのあとに猛烈な痛みが俺を襲った。

 過剰な強化の代償のようなものだろう。

 

 痛みに堪えながら、ふと、神樹がどうなったかが気になった。

 神樹の輝きが確か相当弱っていた筈だ。

 状態を確認すべく、神樹がある方向を向く。

 

 「(嘘だろオイ・・・・・・)」

 

 果たして、その神樹は、もう輝きを殆ど失いかけており、もう枯れる寸前のような状態だった。

 今まで戦っていて気がつかなかったが、樹海も、その神樹の状態に続くように、赤黒く、枯れていっている。

 

 「(マズイマズイマズイ!どうする!?神樹が消えれば、この世界が滅んでしまう。枯れない方法は?何かあるか。考えろ!)」

 

 必死に思考を回転させる。

 ポケモンのゲームやアニメ、映画の出来事も思いだし、この、ルカリオの身体で一体何が出来るかを考える。

 

 ・・・・・・映画?

 

 確か、ルカリオが出て来た映画でも、終盤、今のこれとほぼ同じ状況だった。

 はじまりの樹が死にかけていた時、ルカリオは一体何を、どうした?

 神々の集合体である神樹が、あの方法で復活するかは分からない。だが、試す価値は有るはずだ。

 

 急いで神樹に駆け寄る。

 痛む身体に精一杯鞭を打って、“しんそく“で駆ける。

 

 根本にたどり着くと同時に、俺は神樹の根本に手を翳す。

 

 「(さて、と。頼むから成功してくれよ・・・・・・?)」

 

 俺が尽き果てるのが先か。それとも。

 

 「(波導ハ・・・・・・我ニ在リ・・・・・・!)」

 

 身体から、何かが抜けていく。

 波導だけじゃあない。何もかもが抜ける感覚がする。

 

 めまいを覚えて、身体がふらつくが、それでも、翳したその腕は、決して動かさない。

 波導を腕に集中させて、神樹に流していく。

 

 チカチカと視界が明滅し、段々身体から力が抜けていく。

 それでも、波導を注ぎ込むのを止めない。

 

 神樹の弱まっていた光が強くなっていく。

 それに比例して、その神樹から感じる神々しさというものも増していく。

 ふと、気がついた時には、身体がどさり、と倒れていた。

 

 自身の身体を見れば、存在が消えていくように、段々身体が薄くなって、消えていっていた。

 映画のルカリオは元の時代に消えていったが、俺は、元の世界に戻るのだろうか。

 

 不思議と、恐怖は無かった。

 自分の身体が消えていっているのに、そのような感情は抱かなかったのだ。

 

 (綺麗だなぁ・・・・・・これで桜みたいに花が満開だったなら、最高だな)

 

 暗くなっていく視界の中、最後に見たものは、神々しく、強い光を発する、綺麗に復活した神樹と、周囲の空間に舞う、赤青黄緑等の、色とりどりの花びらだった。




 もう少し、もうあと本当にちょろっとだけ続きます。

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