人に味方する神々は、この世界を守る為に、異世界から四人の戦士を呼び出した。
北方の地には“凍える世界“を宿した者、四国には神さえも切り裂く“聖なる剣“の担い手、南西の海に、全てを焼く“青い炎“を操る魔王、そして、中部地方には、“流星群“を降らせる、大いなる龍を。
・・・・・・だが、『異世界』から呼び出した、というのがまずかった。
本来起こってはならないイレギュラーが起きたのだ。
異世界と、この世界を繋ぐ『穴』が完全に塞がる前に一人の人間がその『穴』を通って、やってきてしまったのだ。
更に、神々が戦士を呼ぶ際に行使した力の余剰エネルギーをその身に受け、他の戦士と同じように、『力』を持ってしまった。
・・・・・・これは、本来やってくる筈も無かった、神々さえもその存在を見逃した
*
[九月/関東地方/某所]
最早原型を留めていない業務用スーパーが、ボクの秘密基地にして隠れ家だ。
空から意味不明な化け物がやって来て三年。良くもまあ生き残れたものだと、自分自身素直にそう思う。
業務用スーパーの中には保存食や飲み物が腐る程あって、更に毛布がわりの布がいっぱいあったから、風呂に入れない事を我慢さえすれば、生きるのには余り苦労をしなかった、というのが大きい。
毎日化け物の存在にビクビクしながら過ぎ去っていく日常。
正直、もう限界だ。でも、発狂することも、泣くことも無かった。
そもそも、そんな事をする暇もない。
毎日、生き残る事だけで精一杯。
今日も、カンパンと水で一日を食いつなぐ・・・・・・筈だった。
とうとう見つかった。
化け物達に。
走って逃げた。
自分の人生十六年の中で、一番走ったかもしれない。
でも、途中で転んでしまった。
目の前に、化け物が迫る。
「・・・・・・・・・・・・ッ!」
この三年で、初めて泣いてしまった。
涙が出て、目の前がぼやける。
化け物が、その大きい口を開け、ボクを食い殺・・・・・・
ザクンッッーーーーーー!
・・・・・・そうとした時、何かが引き裂かれる音のようなものが響いて、化け物が横から飛んできた存在に三枚下ろしにされた。
「あーもー!
全く、女の子がピンチな状態で助けるとか俺はラノベのヒーローですかチクショー・・・・・・。
で?だいじょーぶですかねおじょーさん?」
その存在は、ボクよりも少し年下の中学生くらいの少年だった。
オレンジ色のパーカーにジーンズとラフな格好をした、見た目ごくごく普通の少年である。
「ぼ、ボクは大丈夫・・・・・・」
「おおう、ボクっ娘か。初めて見た。ラノベの中の存在かと思ってたぜぇ・・・・・・」
そう少年は言うと、化け物達に向き直り、
「さてと、来いよ。めっちゃ可愛い正直俺好みな感じの超絶美少女をリンチしてた報いを受けさせてやる」
意味不明な事を言って、獰猛な笑みを浮かべた。
*
何かのヒーローものを見ているような感じだった。
百を超える化け物に勇敢に立ち向かうヒーロー。彼は正に、そんな感じだった。
拳が妖しく光ったかと思えば、次の瞬間には彼の腕にクリアパープルのクローがあり、化け物が切り裂かれ、敵の攻撃は虚空を突き、いきなり化け物の背後に表れて攻撃を仕掛ける・・・・・・まるで幽霊のような感じの戦い方だと思った。
ここいら一帯の化け物を一掃して、彼は一息着いた。
「ふぃー。疲れた・・・・・・で、一応怪我ねぇか聞いとくわ。大丈夫?」
「さっき言ったように、ボクは大丈夫だよ。君が守ってくれたお陰でね・・・・・・で、聞くが君は化け物と戦うヒーローか何かなのかい?」
「いや?化け物と戦ったのは昨日が初めて・・・・・・つーかまず、この世界に来たのが昨日の昼なんだよな・・・・・・」
「へ?」
・・・・・・一体彼は何者なんだ・・・・・・?
この人のタイプは一体・・・・・・?