今回はコラボという事になっています。
コラボの相手は、サードニクスさんの「東方血戦華」です。
その内、本編の時期ネタ等も時期を見て、こっちに移すつもりです。
皆さんどうもこんにちは。私の名前は
まだまだ駆け出しですが、実は仙人やっています。
私の師匠は邪仙で、年齢1400歳以上の超年増で、我ままで自己中で、無茶ぶりと自分の事が大好きで、善悪や良心の呵責が一切なく非道な行いを簡単に行える所謂サイコパス気質な危険人物……
ですがそれでも毎日楽しく過ごしています。
さぁ、今日も師匠とその手下のキョンシーの芳香と一緒に修業――
「あらぁ?何か今、聞こえた気がしたわねぇ~?
半人前で、仙人モドキで、下半身と脳が直結して、ドジで運が無くて、そのくせお調子者の私の弟子が何か言ったのかしら?」
うぐっ!?師匠、いつからそこに……?
「最初からだぞー!」
いでで!?噛むな噛むな!!
ギャー!!ギャ!!ギャ!!
「ぅひぃ!?」
一人の少女が、悲鳴にも聞こえるカラスの飛び立つ音に驚き、小さく悲鳴を上げる。
夕暮れ時の黄昏時――、夜の帳が降りつつある幻想郷の最西の墓場で、びくびくと怯えながら頼りない歩みで進んでいく。
石畳の最低限しか掃除のされていない地面。
久しく人の手が掛かっていないだろう、草が伸び放題の地面、苔に侵食され緑に変色した墓石。
枯れ木の様に、葉を失いその身を晒す木……
それらすべてが、彼女の恐怖と不安を煽っていた。
「大丈夫……大丈夫……だから」
自身に言い聞かせる様に、墓の奥へ奥へと進んでいく。
カラららら……っ
「あった、風車……」
少女が、墓に括りつけられた風車を目にする。
これは『目印』だ。此処に来る前、此処に来るように言った妖怪が教えてくれた目印。
そして――
「此処からは『異界』……」
人里で必要な物を買う時に、この場所の話題を出した時皆そう言った。
『墓場に行くのか?もう、戻っては来れないぞ?』
『あそこは近寄っちゃなんねぇ!!妖怪よりもっと危ないもんの巣窟だ!!』
『風車を見たら引き返せ、それを超える事は閻魔様に会いにいくのとおんなじ事だぁ』
『あんた自殺者かい?やめときな、あそこだけは……あそこだけは人間の行き場しょじゃねーよ……』
今日であった、人里の人々の言葉が脳裏に蘇るがそれを必死で振り払う。
「行こう――ここから先へ――」
少女、
そこはまさに、不可思議な空間だった。
「桜?……まだ、冬なのに?」
目の前にある桜の木、冬だというのに枝には桜が咲き、やってくる者を歓迎している様であった。
だが、そのあまりに不自然な様はカモに狡賢い捕食者が疑似餌を用意している様を連想させた。
「なにこれ……」
石畳が割れている。
それもただ普通に割れたのではなく、何かをたたきつけたかのような衝撃を感じさせる砕かれ方だった。
いや、砕いただけではない。
よく見ると人の様な爪痕が、石畳についてる。
まるで、何処かの誰かが『奥に引きずられる』のに必死で抵抗したかのような傷の付きかただった。
「縄……」
別の木には、縄がぶら下がっていた。
比較的新しく、縄の先が丸く円を書く形になっている。
長さは『丁度人間の首が来る位置』より少し高い位の位置にある。
様々な、ありとあらゆる物がカモの不安と恐怖を煽る。
しかし、それを乗り越えた先、ぽっかりと口を開ける洞窟が見えた来た。
此処こそが、カモが向かっていた場所。ここがカモの目的地。
だが、足が地面に張り付いたように動かない。恐怖で震え体が脳の指示を無視しているのだ。
「か、かえろう……そう、だよ……こんなとこ居ないで――」
「お前、入らないのか?」
「え!?」
カモのすぐ後ろ――声をかけて振り向いたそのすぐ後ろ、そこに顔に札を張った異様に青白い肌をした死体が立っていた。
「きゅう……」
様々な要因が固まり、カモの遂に自身の意識を手放した。
「んおー?どうしたんだ?」
「あーあー……ま、いきなり墓場で出会ったら
芳香、家の中運ぶから手伝ってくれ」
「分かったー」
善が倒れたカモを背負い、目の前の扉を開けて家の中へと入っていった。
現実は小説よりも奇なり――なんて、事を言ったのは誰だったか。
今は誰がという事は関係ないが、今の自身の状況を考えると少なくともその言葉は真実だったのだと、カモは思う。
「はぁ、またこのパターンなのね……」
カモの目の前、青い髪をした美女が気だるそうにため息を付く。
同性のカモから見ても、ほれぼれするほどの恵体でなかなかに神様は不平等だな、と現実逃避気味に考える。
「あたしは、
もしかして聞いてない?」
カモのセリフに再度、目の前の女がため息を付く。
事の始まりはおよそ半日前の事。
「えっと、今日と明日の分を……」
友人である、アリス・マーガトロイドの家に行った帰り、人里で必要な物を買おうと頭の中で整理していると、突如聞きなれない人物の声が聞こえた。
「申し訳ありません。行き先を間違えた様です――
所でお嬢様、
あ、ありました」
なぜかメイド風に改造された軍服に背中にライフルを背負った女と、ワンピースに身を包んだ少女が会話している。
メイド風の女は近くの木に引っかかった腕を回収する。
「目ぇ!!目ぇ!!そっちも落としてる!!」
それに対して少女が、落ちていた目を拾って渡す。
「なに、あれ……どっかの芸に――んん!?」
突如体を襲う、浮遊感とも眩暈ともとれる、体がねじ切れるような不思議な感覚が突如カモを襲う!!
「一旦帰りましょうか」
「そうですね、お嬢様」
その言葉が聞こえたのを最後に、カモはその空間から消え失せた。
そして、次に目を覚ました時は同じくさっきの森に居た。
だが、肌で感じる違和感、かすかだが確実に感じるその感覚。
「ここは、あたしの世界じゃない……」
不思議な事にその事が感覚的に分かった。
「ここは……ここ……は……」
誰も自分を知らないという事は、カモを急速に不安にさせた。
自身を知っている人間を探し、カモは『見覚えのある見たことも無い世界』をさまよった。
「む、お前は――」
八雲 藍と出会ったのは完全に、偶然だった。
彼女は困り果てていたカモを見つけると、すぐさま事情を察したように言ってくれた。
「今は紫様が冬眠中だからな、ごくごくまれにだがこうやって空間が緩んで他の世界からの迷子がやってくる事が有るんだ。
残念ながら、私はお前の面倒を見てやれないが知り合いに、お前を預かってもらう事にした。
私は紫様を起こすから、それまで此処に厄介になると良い」
そう言って藍はカモに幾らかのお金と墓場への地図を渡してくれた。
「厄介事を完全に丸投げしましたね……」
「あなたって、どうも目を付けられているのよね」
カモの説明を聞いて、少年がため息を付いた。
もう1人の女とは違い、どこにでもいる普通の少年に見えた。
「善、この子――ええと……カモちゃんだったかしら?
この子の面倒を見てあげなさい」
「……はい、師匠。じゃ、確かとりあえず客間を掃除して、布団を出してきます」
「待って、あたしも手伝うから」
善と呼ばれた少年が、部屋を出ようとした時カモもそれ付いて行こうとしたが……
「お客さんにやらせる訳にはいきませんよ。
それに手伝いはもう居ますから。
芳香ー、手伝てくれ」
「分かったー」
善はやんわりと断ると、もう1人の顔に札を張り付けた少女と共に、部屋を出ていった。
「大変だったでしょうね、ゆっくりしていってくださいね?」
目の前の女、少年に師匠と呼ばれた女が柔和な笑みを浮かべて微笑んだ。
(口角の位置……話しかけるタイミングそして、イントネーション、僅かに首を傾けての愛嬌……この人は……意図的に相手に好意を持たせるコミュニケーション方法を知っている?)
カモは心理学を専攻して大学の生徒だった。
ある程度の心理の、相手に自身をどう思わせるかをコントルールする技術などは知っている。
目の前の女は、同じく心理学を専攻していたのだろうか?それほどに、的確に相手に好かれる技術を持っていた。
「あんたは……」
「ああ、
さっきの子は、弟子のええと、苗字は確か……詩堂、そう!
詩堂 善です。それに付いて行ったのは、私のキョンシーの芳香ですわ。
うふふ、まだまだ未熟な仙人ですけれども、弟子ともどもよろしくお願いしますわね」
そう言って、再び相手に好意を持たせるような笑みを浮かべた。
いや、その笑みに有るのはただの好意ではない。
もっと、即物的な――子供が新しいおもちゃを手に入れ、どうやって遊ぼうか決めあぐねている様なぞっとする笑みにも見えた。
「別の世界の人間に会うのは初めてじゃないけど、やっぱり興味は尽きないわね。
貴女は、一体どんな生活をしていたの?」
師匠がカモに対して興味深そうに聞き始めた。
数時間後……
「お待たせしました。客間の準備が出来ましたよ」
扉を開けて、善が居間に顔をのぞかせる。
「お疲れ様。善、カモちゃんって面白いのよ。
別の世界では心理学を学んでたんですって、人里でそれを使ってカウンセラーみたいな事やってたんですって。
私もね?ちょっとした心理テストをしてもらってたのよ」
そう言って、ニコニコと楽しそうに笑う師匠。
「へぇ、カウンセラー……」
何処か胡散臭げに、善がカモを見る。
「ちょっとしたことなら、相談とかしてみたら良いんじゃない?」
そう言うと、師匠は興味を失ったように壁に穴をあけて、隣の部屋へと消えて行った。
楽しそうにしてたらと思うと、今度は急に興味を失う。
猫の様な人だな。とカモは思った。
「なんか、悩みあるんなら聞いてあげるけど?」
カモが善の目を覗き込む。
こちらは、邪仙の弟子だ。さっきの師匠ほどではないだろうが油断はできない相手だ。
「あ、いや、大丈夫ですから……」
遠慮気味に手をふり、視線をそらして見せた。
典型的な嘘を付いている人間のリアクションだ。
そのあまりに「普通」な態度にカモは僅かに肩透かしを食った様な気がした。
「そう?あんたが良いなら、それまでだけど。
せっかく泊めてもらうんだし、その宿屋の料金代わりにって思ったんだけど」
そう言った時、善が動きを止める。
自身の中で、何か葛藤があったのか少し時間を置いて、非常に小さな声で――
「あのう、師匠と芳香にはナイショにしてもらえますか?」
小さな、小さな声で善が囁く様に聞いてきた。
カモはそれに対して、優しく頷くのだった。
「――んで、このままでも良いのかなって……いや、前よりはずいぶん良い生活なんでしょうけど……」
善の部屋でベットに寝転んだ善が、カモに話を聞いてもらう。
残念ながら、本格的なカウンセリングに使う道具は持っていては居ないが、それでもその話術を持てしてカモは善の話を聞いていく。
「不満はない?」
「うーん?うーん……ある、のかな?自分でもよく分かんないんです。
自身の心を全部納得させたいけど、どうしても『本当にそれでいいのか?』っていう自分がいて……」
悩まし気に話す善の言葉の内容は主だって『師匠』と呼んでいた女の事だ。
悩んでいるとは言ってもそこまで、深刻な事ではなく。
突き詰めてしまえば『自分の生活および、将来に漠然とした不安がある』という物だった。
しかもそれ自体、善自身でもはっきりしないほどの、かすかな物であり日々の溜まったストレスを他人に聞いてもらって、少し毒抜きしてリラックスしたい程度のほぼほぼ問題のない物だ。
「うん、そうだなぁ……少し悲観的になり過ぎてたのかも……うん、そうだよな……」
その証拠に、善は何処となくすっきりした顔でベットから起き上がった。
「すいませんね、なんか愚痴みたいになっちゃって……」
「別にいいよ、カウンセラーとしては患者の症状が軽度の方が良いに決まってるし。
けど、こうやって、誰かに話す事で心の整理をするってのは大事だね」
「そうね、こうやってストレスを溜めない事が重要なのよね?」
「え……?」
突如聞こえる、邪仙の声にカモが後ろを振り返る。
そこには壁から上半身だけを乗り出して、小さく手を振るう師匠の姿が有った。
「ずっと聞いていたの?カウンセラーとして言わせてもらうけど、そんなのは絶対にダメ!!
リラックスして誰にも知られずに心を整理するのが――」
「あー、いつもの事なんで良いですよ。
師匠は自由すぎる人だらかな……」
カモの言葉を善が制止する。
諦めにも似た感情が渦巻いてるのが分かる。
だが、それと同時に憧れや安堵に似た感情も感じられた。
「さてと、そろそろ夕飯を作らないとマズイ時間だな……」
日の傾き具合を見て、善がベットから起き上がる。
「ちょっと――」
そしてカモが留める間もなく、善は部屋を後にした。
その後はタンタンと時間が過ぎていく。
食卓の準備をする善、芳香と呼ばれたキョンシーにお替りをよそい、風呂を沸かし、最後に自分が入るなど意外なほどの平穏な時間が過ぎていった。
「……なんなんだ、この家……」
宛がわれた客室、カモ布団に入りながら今日有った二人の関係を整理する。
善は師匠に対して、複雑な思いを込めている。
受け入れがたい部分もあるのだろう、だがそれに反して崇拝にも近い部分もある。
苦手だけど、そばに居たい。そばに居たいが、近すぎるのは怖い。だが最終的にはあの師匠のそばに居る事を少年は選ぶだろう。
あの少年は、ずいぶんも矛盾した感情を持っているイメージだ。
逆にあの師匠はどうだろうか?
軽い心理テストをやってみたが、自己愛がすさまじく強かった。
だが、そんな彼女もあの善という少年を気にかけていた。
そして、わざと彼にとって不利になる事をしている気がした。
まるで、子供が親に「怒られるかな?」と思いつつも、イタズラしている様な……
何処までやっても自分についてきてくれるか、試している様に見えた。
「我ままで甘えん坊な師匠と、それに振り回されあきれつつも付いて行く弟子……か」
カモの下した結論はそんな所だった。
勿論心理学は魔法ではない、自身の分析が間違っている可能性は十分ある。
だが、これは限りなく真実に近い気がした。
そんな事を考えている内に、カモの意識は夜の帳に消えて行った。
翌朝、4人が朝食を食べようとしていると――
空間が割れ、スキマが出現した。
「あ、来たようですね」
最早慣れているのか、落ち着き払った様子で善が声をだす。
「あー……えっと、おまたせぇ……」
そこから、寝間着姿の紫が姿を見せる。
なんと言うか、非常に眠そうで今にも眠りこけて倒れそうだ。
「紫さん?」
「大丈夫なのか?」
そんな紫の姿を見て、カモが心配そうに声を出す。
「ふぅわぁ……ねむぅ……藍に起こされたのよ……
えっと、また他の世界から迷い込んだ奴が居るって……
まずは、貴方ね?はーい、じゃ、隙間つなげるからー」
非常にめんどくさそうに、紫が空間に隙間を開ける。
寝起きで力が安定しないのか、いつもより心なしか隙間がへたれている気がする。
「コレ、大丈夫なのか?」
「うーん?こう見えて私は優秀なの――ぐぅ……ハッ!!」
「今一瞬寝てましたよね?」
カモの問に応えながら寝てしまった紫を善が不安そうに見る。
「えっと……詩堂君タオル!!冷たい水で冷やした奴、早く!!」
「は、はいぃ!!」
紫に命令され、善が急いで部屋を出ていく。
「うん、良い教育してるわね」
「もちろんですわ。あの子が居るだけでと~っても便利。
もう、善の居ない生活は考えられませんもの」
大妖怪の邪仙の二人が、慣れた様子で邪悪な笑みを浮かべる。
走っていった善の様子を見るに、これはもはや『馴染みの』パターンなんだろう。
今更になって、カモは善の悩みが本当の意味で理解出来た気がした。
数分後……
「ふぅ!お目覚めすっきりゆかりんよ!」
善に渡されたタオルと、ちゃっかり着替えまでしてきた紫が、キメ顔でポーズを取る。
「あらら……気を付けていたハズなのに、一体いつ隙間が開いたのかしら?
けど、すぐに戻すわ。あなたの世界にも、きっとあなたは必要な存在でしょうから」
紫がカモの前に、隙間を開く。
「カモさん、さよなら!またいつか!」
「うん、じゃ、またどこかで会ったらよろしくね」
そういってカモは隙間の中へと入っていった。
「他の世界か……本当に有るんだな。
けど、変わった人たちだった」
思い出すのは善とその師匠の二人組、それと彼女たちと一緒にいたキョンシー。
「互いが互いに、距離を持ってるんだけど、心の中では……
はぁ~、きっと素直に成れないんだろうな~。
子弟の立場とか、年齢差か、プライドとか……」
きっと彼らに自身の様に相手の心を知る術が有ったのなら、きっと関係は大きく変わるだろう。
けど、あえてカモはそれを言わなかった。
その方が良いのだ。きっとそうだ。
カウンセラーは、患者の心を他人に教えてはいけない。
彼女たちが自分でその関係を見つけなくてはいけないのだろう。
「ああー、けど言いたい!!すっごく言いたい!!」
カウンセラーとしての守秘義務と、カモ本人の人としての感情が激しく心の中でぶつかり合った。
久しぶりに書くと、結構難しいですね。
少し書かないだけで、腕が鈍った気がします。
気を付けないと……