なんと言うか、主人公に激しさはそこまで無いんですが、静かな中に有能性が大きく出ていて、様々なキャラと関わり合って鋭い事を行って良く姿は何処となく某世界の破壊者を思わせますね。
皆さんどうもこんにちは。私の名前は
まだまだ駆け出しですが、実は仙人やっています。
私の師匠は邪仙で、年齢1400歳以上の超年増で、我ままで自己中で、無茶ぶりと自分の事が大好きで、善悪や良心の呵責が一切なく非道な行いを簡単に行える所謂サイコパス気質な危険人物……
ですがそれでも毎日楽しく過ごしています。
さぁ、今日も師匠とその手下のキョンシーの芳香と一緒に修業――
「あらぁ?何か今、聞こえた気がしたわねぇ~?
半人前で、仙人モドキで、下半身と脳が直結して、ドジで運が無くて、そのくせお調子者の私の弟子が何か言ったのかしら?」
うぐっ!?師匠、いつからそこに……?
「最初からだぞー!」
いでで!?噛むな噛むな!!
春の幻想郷。
厳しい冬が終わりを迎え長い間、土の中で息を潜めていた生物達が一斉に目を覚ました。
木々や草花は温かい陽気を受けて、つぼみを開かせ花を咲かせた。
温かい風が、幻想郷の自然の残った野原を駆ける。
ブワッ――!!
風が吹き、草を揺らし、散った花びらを躍らせた。
その風に踊るリボンが有った。
刀の鞘に白いリボンが揺れるのを見る少年。
銀の髪に、緑の瞳に白い前の開いた生地の薄いパーカーの様なモノを羽織った装い。
少年はゆっくりと辺りを見回す。
「あ――ま、いいや」
何かを考えるそぶりを一瞬だけ見せた少年は、そのままゆっくりと歩き始めた。
「ん、で……っと?」
ぺらぺらと本を読む善。
座布団に座り、膝の上では黒猫姿の橙がリラックスした様子であくびをする。
「またあのうさぎですか?」
膝の上の橙が、膝の上から起き上がり善の声をかける。
「うーん……うまく、行かないな……」
善が少し休憩、と言って橙の首を指先で撫でる。
「人間でも、動物でも体の仕掛けはあるし……」
何気なく善が、橙の手を持ちあげる。
肘関節、腕筋肉、神経、血液、皮膚に毛に、爪。
「構成だけでも、こんなにたくさんあるんだなぁ……」
橙の腕をプラプラと動かしながら善が、つぶやいた。
「動かすだけなら、意外と簡単なんだけど……」
「けど、最適化は難しいわよね?」
「うおっ!?」
いつの間にか、善を後ろから抱くように、師匠が姿を現す。
ふわりと包み込んだかと思うと、善が橙にしたように師匠が善の腕をつかんだ。
「筋肉の収縮と神経の信号の仕組み、それさえわかれば動かすのは簡単よ?」
善の目の前、自身の腕がぴくぴくと勝手に痙攣して、指先をグー、チョキ、パーと善の意思に関係なく手が動く。
「けど――」
「そ、いちいち命令しなくちゃ動かないわね。死体には自我を持たせないと命令以外の事はしないわ。
極端な例なら、瞬きすら自分でしなくなる。
悪趣味な言い方をするなら、生物の肉を使って作ったラジコンね」
酷く醜い存在でしょうね。と師匠が付け加えた。
「けど、それならなんで芳香はあんなに――」
善の脳裏、いつも自分と一緒に居る芳香の姿が思い浮かぶ。
彼女は師匠の作ったキョンシー、さっき師匠自身が言ったように命令で動く死体だ。
だが、その性格は非常に個性的で、明るくいつも楽しそうにしている。
大きく違っているのは簡単に分かる。
「さぁ?なんででしょうね?教えないわ」
師匠が善から離れると、座布団を自身で出して座った。
「はぁ、まだ努力あるのみ、か……」
善がため息と共に、その場で背伸びをする。
「けど、善さんならすぐですよ。
毎日頑張ってますからね?あの子の匂い……指からします」
橙が善の指を軽く噛みながら、甘えるように喉を鳴らす。
「ははは……」
力なく善が笑った。
その時、居間の襖が開いた。
「ぜーん!外、桜すごいぞ!!沢山ピンクだぞ!!」
さっきまで外で遊んでいたのか、服にあちこちに桜の花びらを付けた芳香が部屋に走って入って来た。
「昨日あたりは、つぼみだったのになぁ」
「善!!お花見!!お花見に行きたいぞ!!お弁当作ってくれ!!」
ふんふんと鼻息を荒くして、芳香がお花見とお弁当を交互に連呼する。
「お前、なぁ……花より団子を素で行ってるな……」
「私も行きたいわね。さ!気分転換も兼ねていきましょう?
お弁当作って来てちょうだい、今日の気分は鶏肉かしらね」
師匠のお許し、というか勅命が出た善は残念ながらこれに歯向かう事は出来ない。
「分かりました、分かりましたよ!
んじゃ、お弁当の準備しますから、花見に必要な物……用意してくださいね」
善が台所に向かって小走りで走っていった。
約一時間後……
「にゅっふっふ♪にゅっふっふ♪」
妖怪の山の中を、橙がお弁当の入った袋を頭に乗せ、鼻歌交じりで歩いていく。
「こっちですよー」
偶に振り返って、こいこいと招き猫の様に手を振る。
肝心の花見の場所は、最初はいつもの墓場でするつもりだったが師匠が――
『いつも同じ場所じゃ、つまらないわ。
という訳で、何処か穴場とか無いかしら?』
という何時もの無茶ぶりをしてきたが、そこで空かさず橙が――
『妖怪の山に良い場所がありますよ!!
善さんなら、少し訳を話せば入れてもらえると思いますよ!!』
橙が、密かに仲間の猫たちに教えてもらった穴場を教えてくれるというのだ。
普通なら不可侵の妖怪の山だが、そこに数人の知り合いがいる善は入る前に、滞在する場所と時間、それと自然をむやみに傷つけ無い事を条件に、半場黙認されている。
もっとも、その黙認のバックにちょっとした権力者が居るというのもあるのだが……
だが!そんなことよりも、今の善には立ちはだかる壁があった!!
それは――
「ぜーん、はやくー」
「そうよ、何時までグズグズしているのかしら?」
芳香と師匠、二人のお怒りの言葉が飛ぶが善は答えられない。
「そう思うなら、もう少し荷物持ってくれませんか!?」
善が背負うのは山盛りの荷物!!
ついた場所で、地面に敷くブルーシートにお弁当。
そして、ちょっとした調理をする為の手製のバーベキューコンロに炭(予備含む)水(飲料用、手洗い用、緊急予備用)さらに師匠が外で飲む用の酒とつまみ、などなどの大量の荷物!
妖怪の山は、神社に行く道はある程度だが整備されている。
しかし今回橙が案内すると言ったのは、『穴場』つまりはあまり人に知られていないという事でアリ、さらに言うとそんな場所が足元の整備などされているハズなどなく――
「うわっぷ!?うッげ!!顔に蜘蛛の巣が!ぺ、ぺっぺ!!」
両手がふさがった善が口に入った蜘蛛の巣を吐く。
ぼこぼこと歩きにくい斜面のきつい山を大荷物を持って、善が進んでいく。
「もう、汚いわね……ほら、もう少しだから頑張りなさい!」
「う、うう……師匠が厳しい……」
キャッキャウフフと師匠たちが軽やかに進んでいく中で、善は一人涙を流しながら、修行僧のような面持ちで橙の教えた場所まで進んでいく。
30分後……
「あー、耐えきった……何とか耐えきったぞ……
お、おお……これはすごい……!」
木々の生い茂った場所を抜け、開けた先に会ったのは一面の桜のピンクだった。
荷物を下ろし、目の前に広がる景色に思わずため息が漏れる。
特に山の斜面の桜が素晴らしく、まるで巨大なひな壇を見ている様な気分にさえなった。
「ぜーん!!ごはん!!お弁当!!お弁当!!」
「お前は……もう少し桜見ろよ……」
せわしく昼をせがむ芳香の為に、善が持ってきた手製のバーベキューコンロを用意する。
「おー、それか?」
「ああ、外界から入って来たドラム缶を縦に切って足を溶接した、調理器具さ」
地面げに善が炭を入れて、マッチで火をつけた。
最初は師匠に修業の一環として、やらされていて料理だが今となってはすっかり善の趣味の様になっている。
「あなたって変なとこで懲り性よね?」
師匠もそう言うが、なんだかんだ言って内心は楽しみなのだろう、目にはわくわくした感情が見えている。
「そう、ですかね?
ま、いいや。火が大きくなるまで時間がまだかかりますから、他の準備しますから。
芳香、火を見ていてくれ。炭の量を調節して赤くなるまでなってくれよ」
「わかったー、赤くなるまでだな?」
善に渡されたトングをガチャガチャと開いて、コンロの前に立った。
その間に、善は持ってきたシートを広げ近くに在った大きめの石を四隅に置いて重石にする。
3つ目の石を置いた時、すでに師匠は善の持ってきたリュックから酒瓶を取り出し、一杯やっていた。
「んん……」
少し言いたいことが有ったが、善は黙って作業を再開する。
何時までも芳香に火を任せてはおけない。
「ぜーん、おつまみ」
「それ位自分でやってください!!」
遂に善が師匠に言い返す。
「ぜーん、お肉もういいか?火、赤いぞ?」
「善さーん!あっちの桜、きれいですよ?ほら、あっちの人気のない所の桜を見に行きましょうね!!」
もう我慢できないと言わんばかりの芳香と、なぜか人気のない薄暗い草の茂みに善を連れ込もうとする橙。
あっちこっちからお呼びの声が掛かる!!
「詩堂さん、少し良いですか?」
「あああ!!もう!!うるさい――あ”」
最後に掛けられた声に、善がいら立ちながら声を返す。
その先に立っていたのは、白狼天狗の犬走 椛だった。
「あ、すいません……ちょっと立て込んでまして……」
「いえ、良いんですよ……忙しそうなのは分かりますから……」
お互い遠慮気味に、声を掛け合う。
椛は善の友人だが、癖のある多くの妖怪とは違う、とっつきやすい友人だ。
家に勝手に上がり込んでくる橙や、こいし、小傘を除くと善と最も接触頻度の高い妖怪と言える。
「で、何かあったんですか?」
数分後、師匠に酒のつまみと、芳香に弁当と、橙に適当な事を言って椛の前に善は戻って来ていた。
「ええ、実は見たこと無い人間が山に入って来てて噂では、刀をもって着物を羽織った銀髪だそうです。まだ何もしてませんけど、持ってる物が持ってる物なので……
今は見失った状態なんですけど、厳戒令が出てまして……
普通の道にはその旨の立て札が有ったんですけど……ああ、なるほど」
椛が橙をみて、大よその内容を理解した。
橙は人間の使う道で案内をしなかった。緊急を知らせる立て札など見ていないのは当然だった。
「大変ですね……天狗も」
「ええ、下っ端ですから……
昨日から無休でひたすら、仕事です……
私、この仕事が終わったら温かいお風呂に入ってごはんをお腹いっぱい食べて、ゆっくり布団で寝るんです……」
椛が何処か暗い目をして、ため息を付いた。
そのあまりにも、普通過ぎる願いに善の目にも涙が湧いてきた。
「へぇー天狗社会の大変なのね」
「むぐ、むぐ……タイヘンなんだなー」
シートの上、広げたお弁当と酒を楽しみながら師匠と芳香が興味なさげに話す。
すっかり用意の出来た、コンロの上では肉や野菜がいい具合に焼けている。
きゅるるるるるるる……
「あう……」
肉の匂いを嗅いだ椛の腹が、切なそうに鳴った。
「師匠は、もう少し他人の心が分かる様になってくださいね!?」
我師匠ながら、非常に非道な事をしているような気がして善は非常にいたたまれない気持ちに成った。
仕方ない。と善が一人つぶやくとリュックから一人分の弁当を取り出した。
それは善が自分用にと作って来ていた物だった。
「椛さん、コレ差し入れです。私や師匠のせいで世話掛けちゃったので……」
「詩堂さん!?ダメですよ、まだ勤務中だし――はぅ!?」
必死に断ろうとする椛のお腹が再度、小さく鳴った。
「食べてください。というか、此処で師匠たちを見ていてくれませんか?
少し私は向かいたいところが有るので」
半場無理やり椛に弁当を押し付けると、善は自身のリュックを背負って再度何処かへと飛んで入った。
「詩堂さん……良い人ですね……むぐ、おいしい……」
食欲に溺れた椛が、弁当箱からおにぎりを取り出しゆっくりと食べ始めた。
なぜか涙が出てきた椛。鼻をすすってオカズに手を伸ばした。
「ふぅん……善も、人をこっちに引き込むのが上手くなってきたわね」
関心関心と師匠がつぶやいて、コンロの上の肉に手を伸ばした。
これでまた、少し妖怪の山に忖度を受けやすくなっただろう。
本人は恐らく無自覚だろうが、他人に頼られるという才能を善は持っているのかもしれないと師匠は酒を傾けながら思った。
一方善は、リュックを背負ったまま高い木の上に上り自身の居る位置を大まかに、理解していた。
「えーと、山頂はアッチで、河はこっちか……っていう事は目指すは向こうだな」
ばッとその木の上から、飛び出し滑空する。
目指すは別の木、太い枝を足場に木の
目指す場所は――
「はたてさーん!いますかー?」
勝手に扉の開いていた、はたての家に入る善。
此処は新聞を書いている天狗、姫海道 はたての家。
本人曰く天狗社会の中でも上位に位置する家の出で、椛の様にせかせかと働くこと自体無く、悠々自適に新聞を書いて過ごしているらしい。
そんな出実もあってか、他人と関わらない半場引きこもりのような生活をしている。
それだけなら良いが、たまに放っておくと寝食を忘れ何時のまにかミイラ化していたりもする少し困った天狗だ。
「あれ?」
返事が来る事など無いと、半場諦め屋敷の中を歩いていく。
掃除は他の天狗がやってくれるらしいので、最低限は綺麗だが――
「あー、詩堂じゃない。毎回勝手に入ってくるのね」
「はたてさん……料理できたのね」
食堂を見ると、てんぷらをかじるはたてが居た。
ホクホクと湯気が立ち、たった今できたばかりの言わんばかりだ。
「んな!失礼な――って言いたいけど残念ながら出来ないのよねー
偶には自分で料理しようと思って、一念奮起したのよ。
けどいやー、お米って薪使うでしょ?薪の割り方分かんなくて、あー困った困った」
「え?それすでに一人じゃ生きていけない段階じゃ……」
はたての笑う姿に善が、非常に困ったものを見ている気になる。
椛が不眠不休で昨日から、食事すら無しで働いているのを見た後では、この世の理不尽さの様なモノをありありと感じた。
「け、けどこの料理どうしたんです?誰かが来て――」
「俺が作った」
善の後ろ。そこに誰かが立っていた。
銀色の髪に緑の目――まるでビスクドールを表現するようなパーツだが、立派に一人の男だった。
「えっと……誰ですか?」
「零士」
たった一言そう言って、零士ははたての机の上にキャベツともやしの炒め物を置いた。
善が次の一言を待つが、零士は自身のおいたオカズの前にすわると、おもむろに箸を手にし……
さくッ――
「うん、うまい」
「いやいやいやいや!!ゆっくり食べて無いで!!
自体が全く読めないんですけど!?」
善の言葉に零士とはたては、同時に善を見る。
「えーと、私が説明するわ」
零士を止めてはたてが、口を開く。
「零士は私の家の裏に偶然いたから、連れてきたのよ。はい、以上説明おわ――」
「終わんな!!終わんな!!」
あっさりと、話を終わらせようとするはたてを静止する善。
食事を再開しようとしていたはたては露骨に不機嫌になる。
「てんぷらはサクサクの内に食べたいんだけど?
はぁ~ええと、どこまで……ああ、そうそう。
家の裏に居たんだけど、迷い込んだみたいで仕方ないから家に居れた上げたのよ。
んで、お腹減ってたから料理を作ってもらったって訳」
「あー、なるほど」
善が納得する中、ずっと食事を一人で黙々と続けていた零士が顔を上げる。
「で、お前は?」
「私は、はたてさんにお弁当を届けに来たんですけど……
近くまで花見に来たんで余分にお弁当作て来たんですけど、十分みたいですね」
善が愛想笑いをしながら、リュックの弁当を撫でる。
「え?お弁当!?欲しい欲しい!!
っていうか、今は春なのね~」
感慨深そうにしながら、はたてが両手を善に伸ばす。
「いや、今食べているじゃないですか!?」
「育ち盛りなのよ!!!それ、私の為のなんでしょ?寄越しなさいよ!!」
「いやですって、私まだお昼食べて無いんですから。
これは私が食べます!!」
善とはたてが弁当をめぐって、小さな諍いを始める。
その時、開いた窓の隙間から一匹のハチが飛んでくる。
「邪魔」
一瞬、ほんの一瞬だけ善の視界に銀色のナニカが通り過ぎた。
その輝きの通った後、空中に居たハチが真っ二つに成って床に落ちた。
「邪魔しないでよ、食うの」
するどい眼光に射すくめられ、善とはたてが震えあがった!!
そこで善はハッとする。
銀の髪に、緑の瞳、白い着物に、一本の刀――
それらの特徴に善は覚えがあった。
彼こそ、彼こそが、今妖怪の山で探されている、不審人物だった!!
「なにか、俺の顔についてる?」
零士が善に刀を思わせるような、冷たい輝きを持つ瞳で問いかけた。
いけない、いけない……
季節物を全然書いていない。
個人的にコラボ系は、師匠ルートのその後。
時期ネタなどは芳香ルートのその後のイメージです。
所詮イメージですが……