前話を投稿した時は半袖だったのに今では長袖の上に何か着ないと寒くて外出できなくなりましたね。
最近忙しいし今回文字数が多くなるし…ああ、三ヶ月ぐらい休みたい。
あっ、今回初めてバトルシーンを書いてみましたよ。いろいろ研究してみたんですけど戦いのヒリヒリ感を出すのが難しいですね。
ささっ、愚痴はこの辺で本編どぞー
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「ふぅ、てっきりおばさんにおもちゃにされると思ったんですが…何故か助かっちゃいました」
そう独り言を言いながら台所で牛乳を探します。もう勝手知ったる台所、いつもの所に…
「あれ?冷蔵庫にありませんね…」
てっきり冷蔵庫にあると思ったがない
「あのマメなおばさんがこんなミスを…いや無いですね」
ヒロくんの話ですとおばさんがは自分の財布の中の小銭も一円単位で把握しているらしいですし、頭の中で家計簿もつけているんだそうです…流石学院で全テスト100点を叩き出した伝説の生徒恐るべしです。
「ここに無いとすると、もう1つの方ですかね」
そう思い、きた道を引き返します。ついでにヒロくんの様子も見てみましょうきっと楽しい事になっているに違いありません。
そうワクワクしながらお店の方に向かうと突然風が吹いてきました。誰かがお店の入り口を開けたのでしょうか?そんな事を考えていると風に流れてヒロくんの声が聞こえてきました
「…安心しろよお袋誰も、誰も悲しまないようにするからよ」
その声を聞いた瞬間私は思わず隠れてしまいました。その声は小さい声でしたが風に乗って聞こえたヒロくんの声はどこか悲しげで倒れてしまいそうな何かを必死になって支えようとするようなそんな風に聞こえる声でした…
ヒロくん…悲しまないようにって何ですか?何でそんな悲しそうなんですか?
そしてなにより…ヒロくんの助けになりたいのにただ服の裾を握ることしかできない自分が情けなかった…
どんなに言葉を並べてもヒロくんを本当の意味で救えない
どんなに態度で尽くしてもヒロくんは諦めてはくれない
誰かの為に一生懸命になれるあなただから私はあなたが好きなんです。でも今はあんな顔や言葉を聞いた後ではどうしようもなく不安になります。そんな今日の天気とは正反対の気持ちの中私は廊下を歩き始めました
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「おーい、茉子?」
「・・・」
「茉子さーん?」
「・・・」
「聞こえてる?」
「・・・」
「………てい」
「ひゃい!!?ひ、ヒロくん!!!いきなりなにするんですか!?」
「何べんも呼んだのに反応しないねえからだよ!ここの階段急だからな気を付けろ」
「あ、ありがとうございます」
声をかけても反応しない茉子の脇腹に指を指し茉子を強制的に再起動させる。なんかお袋に紅茶用のミルクを頼まれた後から様子が可笑しい…なんか変な物でも台所で食べたかね?
そんな事を思いながら俺たちは地下へと向かうするとそこに広がるのは
「いつ来てもここはなんだか別世界って感じですね…」
「まあ、ここは竜脈のど真ん中だからな、空間にある神力の密度がちがう」
階段を降りるとまず目に飛び込んでくるのは部屋の周りの岩盤丸出しの壁にぐるりと一周している注連縄だそれによってここが俺たちとは違う空間ということがわかる。
そして部屋の一番奥、光源は蝋燭のみというこの部屋で一際明るくなっておりそこは俺達のいる所より一段高くなっていた。そこにあるのは高さ1メートル程の細長い木箱で表面にはびっしりと文字のような図形のようなものが刻まれておりそれが部屋を囲っている注連縄にぐるぐる巻きにされて下半分が埋まっている状態になっている
「まあ、この神力のお陰で結界が守られてるんだから昔の人は考えたもんだよ」
「ですね…」
「ま、こんな所に何時までも居てもしゃあないからとっとと終わらせようぜ。」
そう言って俺は木箱の方に歩いていった。
遠目からではわからなかったがよく見ると木箱の表面の模様は所々掠れている所が見受けられた。それを見て俺は小さく舌打ちを溢す
「どうしましたか?」
「いや、前回確認した時に直したところがな…」
「前回はいつ直したんですか?」
「………二月の頭らへん、昔の記録よりわずかづつだけど早くなってる」
「…そうですか」
俺がそう言うと茉子が若干表情を曇らせた。…っていかん、いかんぞ!写田大則!なんかさっきから妙に元気の無い茉子に追い討ちをかけてどうする!考えろ考えるんだ俺っ!……あっ、そうだ
「まあ、茉子早くなってるっていっても少しだけだし俺もこまめに確認するからそんなに心配すんな」
そう言って俺は徐に立ち上がると茉子の頭に手を置いて頭を撫でる。茉子の髪はさらさらで時々手の甲に当たる毛先が少しくすぐったい。穂織の温泉は髪の毛にも効果が有るのだろうか?
俺がそんな事を考えている間、茉子はポカンとしていたが少ししたら自分が撫でられていることに気がついたのだろう
「ひ、ひひひヒロくんっ!!?突然何をしゅるんですか!!!」
と顔を赤くしてワタワタしだした…かわいい(真顔)
その後もしゃがんでいる茉子を無心で撫でていると羞恥心が天元突破した茉子は俺の撫でる隙をついて素早く立ち上がると1メートル位距離を取った…流石忍者の茉子略してSNM
「ひ、ヒロくん!ストップです!これ以上はなんというか…その…あの…えと…とにかくだめです!破廉恥です!!!」
と某T○L○veるのヒロインの一人の口癖のような事を言って離れてしまった。うーんちょっと残念、、
「えー、昔もさっきみたいに慰めたじゃん」
「小学生の時の話じゃないですか!いきなりされたらびっくりしますよ!」
「でも良かった茉子さっきから元気なさげというかなんか様子が変だったから元気な様で」
俺がそう言うと茉子は少し俺から目線を反らすとおずおずといった感じで
「ありがとう、ございます…」
と言ってきた。うんうん良かった良かった。
あっ、そうだ
「そう言えば茉子が前に注文していた少女マンガ昨日来てたよ」
「なにまったりしているんですかヒロくん!さっさと終わらせてしまいましょう!」
「…元気になって何よりでーす」
そう言って俺はテンション高めの茉子を尻目に木箱に向き合った
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ヒロくんの家の地下のこの空間は地下室ということも関係しているのか驚く程静かでここでヒロくんの作業している後ろ姿を見ていると何だか、私の好きな少女マンガの台詞を借りるなら、世界に二人だけになってしまった様な不思議な感じがします。
ねえ、ヒロくん…もし二人だけの世界だったらヒロくんは私だけを見てくれるのでしょうか?私に全てを委ねてくれるのでしょうか?そう思った後私はその考えを否定しました。
だってみんなに優しいヒロくんが私が好きなヒロくんですし、自分の決めた信念を貫こうとするそんな所をカッコいいと思います。だから私はヒロくんのやろうとすることにできるだけ協力してあげたいと思います。…これが惚れた弱みってやつなんでしょうか?
そう思った直後さっき頭を撫でられた時の事を思い出しました。
…本当ヒロくんは突然さっきみたいな事をするから心臓に悪いです全く…自分でやる分には心の準備ができるから良いですけどいきなりはダメです…何て言うかあの大きな手に触れられると頭が真っ白になって心臓がきゅっとなって何も考えられなくなっちゃいます…それなのに当の本人はのほほんとした顔を……あれ、何だかムカムカしてきましたよ…全くヒロくんは女心を弄んで悪い男です。
「いつかやり返しましょう」
「ん?何をだ?」
……………ひょわっ!?
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「ひょわっ!?」
俺が作業を終わらせてふうと一息つくと背後から何か不吉なことが聞こえたので聞き返すと茉子が間抜けな声を出した
「そんな驚かんでも…」
「いきなりヒロくんの顔が近くに現れたらびっくりしますよ!」
「えー理不尽な…なんで突然のメンタル削られてんだろ…」
「終わったんでしたら早く上に上がりましょうマンガが私を待ってます」
「…で、結局何をやり返すの?」
理不尽なメンタル攻撃を食らった意趣返しもかねて質問する。すると茉子は顔を少し赤らめプイッと後ろを向いて
「……セクハラで訴えますよ」
「どこにハラスメントが!!?」
と何故か訴えられる流れにツッコミをいれ俺達が上への階段を登ろうとしたその時
「写田の!!茉子!!おるか!!」
と血相をかけた様子でムラサメ様が突撃してきた。ヨ○スケかな?
「ど、どうされましたか?ムラサメ様」
「お、おお写田の!それに茉子も!すぐあえて良かった。ご主人がご主人が……」
「将臣が?」
「裏山に入っているようなのじゃ!」
それを聞いた瞬間俺と茉子の反応は早かった。俺は素早く時計を確認すると同時に階段をかけ上がり茉子もそれについてくる
「ヒロくん時間は?」
「ちょうど5時過ぎ、祟り神がもういつ現れてもおかしくない」
「わかりました。急いで家に戻って準備をしてきます!」
「オッケー、防護札は俺が準備しておくからちょっぱやで頼む!」
「了解です!!」
「ご主人は丸腰じゃ!そんな状態では祟り神には太刀打ちできんぞ!」
そう言って俺達が別れた後ムラサメ様も横を並走してきて俺に話しかけてきた
「一応、今朝護身用に防護札渡しといて正解でした」
「そうか…それを聞いて少し安心した」
「でもまだ安心できません将臣に渡したのは急造で作ったもの、祟り神の攻撃にはあまり多くは耐えられません」
「…どちらにしろ猶予はないということか」
「ええ、なのでムラサメ様は急いで朝武さんの所に連絡を俺も準備を整えたらすぐに茉子と一緒に山に入ります。家の真裏ですし」
「わかった……どうやらご主人はそこまで深くは山にわけいっては無さそうじゃ三番結界柱の近くと言う方がお主には分かりやすかろう」
「ありがとうございます」
「…ではな、写田の、頼んだぞ!」
そう言い残すとムラサメ様の姿がスーッと薄くなり目の前から消えてしまった。おそらく叢雨丸の側に移動したのだろう
「さて、俺も準備するかね」
そう言って俺は自室の押し入れを開きそこにしまっている物を手に取る
手に有るのはオーストリア グロック社製の名作グロック17ーーーのエアガンである。
中二病の時に黒いコートと一緒に買ったのが役にたっている。…まあ手にするたび昔を思い出して悶えそうになるがそれはご愛嬌だよ、ね?
ちなみにBB弾一つ一つには俺の祟り神への愛(憎)が籠った手彫りの結界陣が掘ってあり、俺みたいな『祓う』ことができない人でも祟り神を牽制できる優れものだ。
エアガンと茉子と俺用の防護札を懐に入れ、急いで茉子と合流しようと部屋を出ようとすると俺の視界にあるものが映った
「これも一応持っていっておくか」
それを手に取り俺は外へ急いだ
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「茉子、ムラサメ様によると将臣は三番結界柱の近くにいるらしい」
「三番と言うと…そこまで山奥ではないですね」
俺と茉子は互いに準備を整えた後、山の麓に向かいながら要件を伝える。茉子も何時もの忍者服に着替えていて戦闘態勢だ。
夕暮れの道を裏山の方に進むにつれ山の陰に入ったのだろう辺りは薄暗くなっていった。
「ああ、だから最短距離を突っ切って行く。こっちからの道は俺の方が詳しい付いてきてくれ」
「わかりました。祟り神との戦闘はドーンと任せて下さい。追加で防護札も貰いましたしそうそう遅れを取ることはないかと」
「ふっ、なんだよそれ」
俺がそう言うと茉子は胸を軽く叩き、少しおどけてみせる。そのしぐさに俺は思わず少し笑ってしまい、そして俺が思った以上に肩に力が入っていたことに気がついた。…エスパーかよ
「わかった俺は基本、後方支援だからな戦闘は任せるよ」
「はい♪任されました」
「あと今回はあくまで将臣を裏山から連れ戻すことが目標だからなあまり深追いはするなよ」
「わかってます。…ヒロくんも無茶しないで下さいね?」
「もちろん、将臣もいるしな…さて着いたぞ、ここから山に入るのが三番結界柱までの最短距離だ」
そして俺達の目の前に細い獣道が現れた…さて
「いくぞ茉子!」
「いつでも行けますヒロくん!」
そうして俺達は獣道へ分け入っていった
暫く獣道を走る…のは危ないので良くて早歩き位のペースで歩いていく。ミイラ取りがミイラになってはいけないのと同じく俺達も遭難する訳にはいかない。気持ちは急くが今は我慢の時間だ…もうそろそろ三番結界柱の近くなだけあってもどかしい
「…有地さんは大丈夫でしょうか」
「…恐らく大丈夫なはずだ、俺が渡した防護札は発動したら光るし、祟り神の攻撃を防ぐ時に大きな音が出るからな。まだそれが聞こえていないし光ってもいない」
「…ちなみに有地さんは確実に防護札を身につけているんですよね?」
「…………あっ、」
「えっ、何ですかその不穏な『あっ、』は!?ま、まさかヒロくん渡し忘れたとかじゃないですよね!?」
そして茉子は凄い剣幕で近づいてくる。ここが薄暗い事と将臣を必死で助けようとしているのがあるのだろう。近い近い近い!!なんか男の子からはしないいい臭いがするんだけどぉぉ!がんばれ俺の理性っ!!男の子でしょう!(意味不明)
「いやいや、違う違う。茉子さん落ち着いて!そして近い顔近い!!いや違くて将臣には祟り神については教えるつもりは無かったから祟り神については何も言って無いことを思い出しただけだから!!でもちゃんと俺が渡したのをポケットに入れてたから大丈夫なはずだ!」
「…なんだそういうことですか、驚かせないで下さい」
「お、おう、そっちもな」
ほんとこっちの心臓が持たないので…
「?…まあ、現状としては有地さんが防護札を持っている事に期待するしか…」
と俺が胸に手を当ててこの突発的な動悸を静めようとこっそり深呼吸していると
『ガギャャャャャャャンッッッッ!!!!!』
「「…っっ!!!」」
と暗闇を切り裂くような豪音が響いた
「上かっ!!」
「はい!でも少し遠いです!」
俺達は反射的に山頂の方を見上げ、よく目を凝らすと木々の間からチラチラと光が木漏れ日の様に瞬いているのが見えた。
「チッ、結構あるな…急ぐぞ!!」
「どうやら移動しているみたいです。ここからは私が先導します。いつ祟り神と戦闘になるかわかりませんから」
そういいながら将臣が逃げていく方を先読みして進んでいる最中でも時折 『ガギャャャンッッ!!』やら 『バキッ!!』という音が山彦のように響き渡っていた
「このペースで将臣に攻撃が当たっていたらもうそろそろ本格的に防護札がヤバイぞ!?」
「それに音もしなくなりました。もし目印の光と音が消えたとしたらこの暗闇では……っ!」
そう思っていた時、比較的近くで何かが転がり落ちるような。そんな音が聞こえてきた。その音で俺と茉子は反射的に息を潜める
「祟り神…ですかね?」
「わからん、でも確認した方が良さそうだ」
そして俺達が恐る恐る近づいていくと俺達の耳に聞き馴染みのある声が聞こえてきた。
「ああこら、安心するな!気を緩めるでない!しっかり意識を持て!迷子よりご主人が危ないぐらいだ。もうすでに助けは呼んでおる気をしっかり持てご主人!!」
その声を聞いたとたん俺達は急いで駆け出すとムラサメ様に介抱されている将臣を見つけた。
「ムラサメ様!!将臣は!!」
「写田の!!良かった間に合ったか!!安心しろご主人は生きておる。体を強かにぶつけた様で気を失っておるが幸い頭はぶつけてはおらんようじゃ」
「良かった…」
ムラサメ様の言葉を聞いて俺は大きく息を一つつく、どうやら茉子も一安心したようで胸を撫で下ろした様子だった
「ですが今の状況が良いというわけではありません…今は姿が見えませんがまずは祟り神をなんとかしないと」
「だったら茉子、これを使ってくれ」
そういい茉子の声を聞いて俺は腰につけていたポーチから箱に入った綺麗な球状の物を取り出す。ほんと持ってきておいて良かったぜ…
「ヒロくんそれは…?」
「まあ、結界術師の本領発揮ってとこかな。結界の核さ自作のね」
「でも、それって貴重なものじゃ…」
俺が結界の核を見せると茉子が少し目を見開いた。こんなもの作っている事を知らなかったからだろうその目から驚愕の感情が読み取れた
「ああ、そんな貴重な物じゃないから安心して、昔祟り神を全部結界で閉じ込められるんじゃないかって作ったけど効果時間が短くて使い物にならない奴だから、苦労した分捨てずらくて…まあこんな時こそ役立ててくれ」
「…わかりました。ヒロくん効果時間は?」
そんな俺の言葉に一応の納得はしてくれたのだろう
俺が遠慮するなと結界の核を突きだすとしぶしぶといった様子であったが受け取ってくれた
「正直なところ祟り神に対して使った事が無いからよくわからんが祟り神を拘束できると思う。ただ…」
「ただ?」
「これは半分失敗作でな、俺たちが将臣を連れて山を下るほどの時間を作るためには常に穢れをこの核に触れさる状況を作らないとダメなんだ」
「なるほど…当てるのではダメなんですね?」
その通りという意思を伝えるため大きくひとつ頷く。流石茉子、察しがいい
「結界を長時間発動させるには核に穢れが常に触れている状況つまりコレを祟り神の中にぶちこまないといけない」
「なるほどそれはなかなか…祟り神に直接触れる訳にもいきませんしどうしましょう」
そして茉子は自身の手の中にある結界の核を見つめ思案顔になる。こんな暗いなかでも核は僅かな光を反射して青く輝いている。もちろんなにも策が無くこんなもの渡したわけじゃない
「もちろん策はある。いいか…」
そう言って俺は茉子に作戦を伝える。だが茉子の表情は話を進めていく内にだんだん険しい表情になっていった。
「…ダメですヒロくん、その案ではヒロくんが危険過ぎます。」
その言葉を聞いた瞬間俺は茉子に言い返そうと口を開こうとしたが茉子の次の言葉を聞いて言葉に詰まってしまった
「私じゃ、頼りないですか…」
「っ……」
その言葉を言った茉子はまるで捨てられそうな子犬が最後に飼い主の背中に向かって鳴くようなそんな響きが見え隠れしており、そして何より
(そんな顔されたらな…)
「あーうーもう!わかったわかったよ!もう他の方法考えるよ!!」
「…最初から素直にそうすればいいんですよーだ」
「うっせ…」
…俺はただお前に危ない目にあってほしく無いんだよ
ただ時間が無い。頭を回せいまある手札でどうすればいいのか考えろ。一番危険が少なくかつ全員が無事に帰れる手段を・・・
「…ひとつ思い付いた。だが、こっちの作戦ははっきり言って俺達二人だといくつか不確定要素があるそれをどうにかしないといけない」
そう前置きをして俺は茉子に作戦を話す、話を進めて行くにつれて俺の微妙な顔になっていくと共に茉子の顔にも俺と同じような微妙な表情になっていった。
やっぱり最初の作戦でやるしか…
「…確かに私たち二人ではちょっと厳しいかもですね。あっでも『だからやっぱり最初の作戦で行こう』っていうのは無しですからね!」
「…うーん、じゃあどうしようか」
と茉子に釘を刺され言葉につまるやっぱり茉子にはかなわない…
と二人で頭を悩ましていると
「のう、二人とも…話の途中ですまんのだが」
「どうかされましたか?ムラサメ様?」
「我輩に考えがあるぞ」
「「え?」」
「ご主人も守れぬ様なら管理者の名が廃るわ」
と俺と茉子が振り向いた後、俺達が目撃したのは俺達に向かって不敵に笑うムラサメ様の姿だった。
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太陽がいよいよ本格的に沈み辺りを闇が覆い尽くしはじめ、祟り神の活動が活発になる頃合い。それは闇が深くなるのに合わせる様に俺達の近くにやって来た。
もちろん将臣にはさっきまでとは段違いの結界を張ったので心配はいらない
「………来たぞ」
「はい」
「う、うむ」
俺がそう言い茉子とムラサメ様がそれに答えた直後、さっきまでとは異なる空気が俺達を包んだ。まるで泥の様な粘つく空気…祟り神が近づいて来ている。
逢魔が時または大禍時…この世で最も不吉な時間、祟り神が活発になる前に山を降りたかっただけに内心舌打ちをつく
そうこうすると辺りには俺達以外の生き物の気配がしない静寂が訪れた…
「茉子」
「わかってます」
そう短く言うと俺は両手でエアガンを構え茉子は肩まである手袋を付け右手で改めてクナイを握り直し、さらに耳を澄まし警戒すると…
「…ハァッ!!」
突然茂みの向こうから祟り神が攻撃してきた。それに茉子は素早く反応、祟り神の攻撃を潜るように回避ししゃがんだ反動を利用して上に反らした。狙いはやはり将臣か…
「そこかっ!!」
茉子が攻撃を反らした直後俺はエアガンで伸びてきた黒い触手の根元付近に向かって連射をする暗闇でよく見えないがこれは牽制だから当たればと思っていたがどうやらヒットしたらしい
触手の一部から黒い煙を出しながら茂みから祟り神が飛び出してきた。
祟り神はその勢いのまま此方に突っ込んで来ようとするがそこに茉子の投げたクナイが飛んできたことで大きくたたらを踏む
「当たったのにダメージそれだけぇ…」
と俺は思わず愚痴をこぼし、さっき打ち切った弾倉を交換しながら後ろに下がる。弾作る労力に見合わねぇ…
「ヒロくん、愚痴もほどほどに…手筈通りにいきますよ」
「おう、わかってる」
そう茉子に返し俺はスライドを引いた
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俺と茉子の連携はいたってシンプル、片方が攻撃を行いある程度でもう片方が牽制がてら攻撃を引き継ぐ、これを繰り返して戦うという安定性を重視した連携だ
だがこれにはある弱点がある、そう…ぶっちゃけ決め手がないのだ。茉子にムリ攻めを禁止されているのでまじでじり貧…だが
「茉子っ!!」
「はいっ!!」
俺の合図で俺と茉子は二人揃って祟り神から距離を取る。
今まで絶え間なく続いた攻撃が止んだ事で祟り神は好機と捉えたのか一気に距離を詰めてくる…俺と茉子の運命やいかに!
「待ってましたぁ!!」
ともちろん無策でこんなことをしたわけではない、若干やられ役っぽい口調で俺はあらかじめ仕込んでおいた術を作動させた。
すると祟り神のルート上に突如半透明な壁が立ちふさがり祟り神はなすすべなくその壁に激突した。
そう、じり貧だったらこっちの都合のいい状況に持ってくればいい。
たかが壁、だがこの不意打ちは今までこちらの些細な動きに反応していた祟り神に致命的な隙を産み出した
そして祟り神の体勢が崩れたのを見計らったように他の三方向の壁が立ち上がり、祟り神の四方を取り囲む
祟り神も突然閉じ込められたことに動揺したのか自身の触手を動かしジタバタするがもちろんその程度で壊れるものじゃない。
祟り神がそんな状況の中俺と一緒に下がった茉子は体を低くしていつでも走り出せる体勢をとり目を閉じて集中していた。
「……茉子、頼んだぞ!」
「任せて下さい!常陸茉子参ります!」
と俺は前に立つ茉子の背中に言葉を投げる。その直後姿勢を低く保ったまま、爆発的な加速で茉子の背中がみるみる遠ざかっていった。忍者のマジ走りぱねぇ…
とそんな感ことを思いなら結界の制御に集中する茉子のためにも将臣のためにもここで失敗するのは避けたい
そんな中茉子と祟り神の距離はもともと両者の距離は近かったこともありぐんぐん近づいていく、祟り神も近づいてくる茉子に何かを感じ取ったのかさらに抵抗を強くする
「くぅ・・・・・」
その影響もあり俺の額に脂汗が浮かぶ…
「だが、そんなことさせねぇよ!!!」
と自信に気合いを込めるのもかね大声を出す。
なんとしても結界をもたせる…いや持たせてみせる!
その後どんどん両者の距離が近づきとうとう両者の距離が4m、3m、2mと近づき両者の距離が1mとなろうとしたその時俺はあえて茉子と祟り神を隔てている結界だけを解除した
「・・・!!」
それは最早反射に近かったのだろうそれに気づいた祟り神が目の前に迫る脅威を排除するべく自身最大の武器である一番大きな尻尾の様な触手をまっすぐ突きだした、いや…
まっすぐ茉子に向かって突き進む触手、このままでは茉子に直撃するかと思ったその時この暗闇で突如白い光が辺り一帯を覆い触手の動きが一瞬止まった。だが一瞬、一瞬あれば…
「茉子いけっ!!」
茉子なら見切ることは造作もない。そして茉子は最小限の動きで体を半歩分ずらし、とうとう隙だらけの祟り神の目の前にたどり着いた。
「これで終わりです!!」
そして茉子は穢れ対策のために巻いている肩まである手袋ごと右手に掴んでいた結界の核を祟り神の内部に埋め込んだ。最初祟り神は茉子に攻撃を加えようとしたがその後、祟り神に変化が起きた
「!!・・~!?!!・・・・!!!!!」
祟り神の中が青く輝きだすと祟り神が苦しみだしその場から動かなくなり、おとなしくなる
「ヒロくんあれは…?」
「おう、茉子おつかれ」
「は、はいお疲れ様です」
と祟り神にえげつない抜き手をかました茉子がいつの間にか側にいた…ていうかあれだけのことして若干しか息が上がっていないとか流石忍者だわ…
「茉子のいうとおりじゃ写田の、吾輩もあのような祟り神見たことないぞ」
「おそらくは穢れが押さえつけられて一時的に行動不能になっていると考えられます」
「なるほどのぅ」
「なるほど。あ、ムラサメ様先ほどのご助力ありがとうございます」
「うむ、茉子に怪我が無いようで何よりじゃ」
そんな茉子の感謝の言葉にムラサメ様は空中で 大仰に頷き、そんな様子を失礼ながら微笑ましいと俺達は思った
そう祟り神の攻撃が一瞬止まったのはムラサメ様による神力の解放のお陰である。祟り神の死角から祟り神の天敵である浄化の力・・神力をぶつけたのだ
ムラサメ様が発生させられる神力は祟り神を浄化することは出来ないが祟り神の気を引くのには十分だ
「まあとにかくこの効果はあくまでも一時的ですなので…」
そして俺たちは俺たちの後ろの木に近より
「この呑気に寝ている将臣を運んで山を降りましょうか」
「ですね」「そうじゃな」
そして今回の功労者たちに苦笑いを浮かべられながらメチャメチャいい顔で寝ている将臣を担いで山を下るのだった
「ヤバっ、将臣重っ!」
「こら!写田の!ご主人はどこを打ったのかわからん絶対に!絶っ対に落とすでないぞ!!」
「わわわっ!ヒロくん危なっかしいです!有地さんの反対の肩貸してください!」
………………筋トレしよ
何気に初めて一万文字越えた気がします
この話の全体はある程度できてたのに紆余曲折して季節がガンガン進んでいきました…(遠目)
なんか年を取るたびに一年が早く過ぎ去っていく気がします。だって前回の更新した時まだ半袖必要だったもん(錯乱)
今回で一応流れとしては一段落したのでもうそろそろオリジナルエピソードや日常回を書いていきたいですね
今話もお付き合いくださりありがとうございました。ゆっくりですが更新していきますので今後もよろしくですm(_ _)m
読んでみたい話を教えて下さい。※需要調査も兼ねてます
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日常系
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主人公たちの昔話
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デート回
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男子会 定期レポート
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穗織人、都会へ行く