失踪しかけの作者ケロもりです。
自分でもサボりすぎじゃねと思いますが何はともあれッッ!!
私はげんきでーーーす!!
24時間楽しんでいる訳ではありませんが生きております。
こんな作者ではありますが。ありがたくもお気に入り登録していただいている方のため地べたを這いながらも頑張っていきます。
そんな作者のいいわけタイムもほどほどに第16話です。
どうぞ~
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『ここは…』
ふと気がつくと俺は見知らぬ民家の中にいた。それはどこか古ぼけた民家で回りを見渡すとほとんど家具は無く、唯一あるタンスも年代の感じるものと一目でわかる。
そのまま周りを見渡しているとふとあるところで目が止まった。そこにいたのは和服を着て縁側に座る初老の男の人だった。
別に特別な何かがあるわけじゃない、ただ漠然とその後ろ姿に見覚えがある気がした…そんな誰かを思い出そうとしていると、いつの間にか縁側にはもう一人の人影があることに気がついた。
その人はどこか浮世離れした雰囲気でどこか回りから浮いて見えるようなそんな錯覚すら覚える存在感のある綺麗な女の人だった。
その人は縁側に座る男に何か声をかけようとしている様だったが何か言いかけては言葉を飲んでいる様子で二人の間には沈黙が支配していた。男の人も女の人に気づいているはずなのにあえて何も言わない様にしているように見えた
「お前…あれでよかったのか?」
そんな長い沈黙を破ったのは女の人からだった。
「……あれってなんの事だい?心当たりが多すぎるなぁ」
そんな女の人に答えるように縁側に座る男の人は笑いながら答える。
その笑顔がどこか取り繕った様に見えたのは俺だけじゃないらしくその男の人に続き女の人が声を荒らげていた
「っ…お前!こんな時まで軽口か!オレはお前の事を思って…「ありがとう」…言っ…」
「…ありがとう。君がそう言ってくれるだけで十分だよ…私の事を心配してくれる人がいるだけで私は、救われてるんだ」
声を荒らげ、男の人に今にも掴み掛かろうとしていた女の人も流石に毒気を抜かれた様子でしばらく呆然とした後
「…ほんと、ほっっっっとうにお前は!!っ!……この馬鹿!アホ!グズ!この薄らとんかち!!!」
「どれも否定できないのが辛いところだね…」
と自身の肩を震わせ、不満をはたきつけるように男の人の悪口を一息で言いきった。一方言われた本人も苦笑いを浮かべていた。
「キミには気苦労を多くかけてしまってすまないね。そうだお詫びといっては何だが今夜は秘蔵のものを出すよ」
「…本当にお前はがんこは筋金入りだな……おい」
「ん?」
縁側から腰を上げ、大きく伸びをしている男の人に女の人は大きく一つため息をつくとおもむろに声をかけた
「もうお前たちの家族とは無関係じゃないんだ、だから…」
「一人で抱え過ぎるなオレを頼れ…お前を見てると消えちまいそうに見える」
女の人は一度言葉を切ると男の人の両頬に手を置き瞳を覗き込むようにして語りかけた
「…うん、わかった僕の手に余る事態がおきたら手伝ってもらう」
「その言葉忘れるなよ…オレは嘘が嫌いだからな。その時は喰ってやる」
「それは…気をつけるよ」
「…さ!そうと決まればメシにしようぜ!酒と言えば肴がいるだろう。な?」
とさっきまでの真剣な雰囲気は何処へやら、女の人はニカッと白い歯をみせ笑う。おそらくこちらが女の人の素なんだろう先程までの脅迫?をしていた時の雰囲気が嘘みたいに吹っ飛んでる
「フフッ…そうだね。準備しないといけないね…そうだ!さっき頼ってったよね」
「うっ…お、おう!オレは嘘はいわねぇ!」
「じゃあ晩御飯、作るの手伝ってね」
そう男の人が言ったあと女の人の肩をポンと叩き台所と思われる方向に歩きだす。
「げっ…そういう細けぇの苦手なんだが、おい!聞いてんのか!おーい!」
そしてその後を追いかける様に女の人がついていく
「料理に関してはズブの素人なんだ手伝ってくれないと困る。さて包丁包丁っと…」
「お前が普段やっている事に比べたら赤子の手をひねるような……って!おい!!食材を押さえる手は猫の手にしろ!!……口でニャーって言っても手は猫になるかっ!!お前不器用か!!」
「ほら僕運動苦手でしょ?だから…」
「…いや関係ねぇだろ!!」
その後台所からバタバタと物音がした後なにやら愉快な声が聞こえてきた。いい年こいたおじさんのニャー…ちょっと聞いてみたい気もする。
『あれ…?』
その二人を見ようと思ったその時俺はある違和感に気づく
『動けない…!?』
周りが見渡せるから体が動かないなんて思いもしなかった。そう慌てていると二人の声がだんだん聞こえなくなってきた。
そして…俺の視界は白に覆われていった
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「今のは…夢?てかここは?」
ふと目を開けると飛び込んできたのは知らない光景というか何処かで見覚えのある内装だったそうだ確か…
「朝武さんの家か?」
この内装間違いない朝武さんの家だ。そういえば俺いつ寝たんだ…?風呂は?歯磨いたっけ?しかもなんか変な匂いするし…最悪だ…
そう思い布団の中で身体をよじったその瞬間
「んぎっ…!!?」
右肩から背中にかけて鋭い痛みが走った。
そう例えるのなら右肩が焼かれるようなじんじんとした痛み…………ん?右肩?
「右肩っ!!」
そうだ俺は龍成くんを探して裏山に入ってそして、よくわからない黒い影みたいなのに襲われて山の斜面を転がり落ちたんだ!それで…あれ?
「落ちた後どうなんたんだ…?…………ん?」
「・・・すー・・・すー・・・」
その時の事を必死に思いだそうとしていると近くから寝息が聞こえる
誰が…と思い音のする方に目を向けると俺のすぐ横で寝息をたてて寝ている朝武さんを見つけた。なにやら力尽きたようにして床に寝ている
しかめっ面ばかり見ていた事もあってなのだろうあどけない姿で寝ている朝武さんはギャップもあってドキッとした。まつ毛なが…って見とれてる場合じゃない
「…朝武さん?風邪、引くよ?」
「・・・うみゅ・もうたべられないゎ・」
意を決して朝武さんの肩を軽く揺する。それにしてもなんてベタな寝言を…
「今は寝かせておいてやれ。徹夜でご主人の看病をしておったのだ」
「ムラサメちゃん…徹夜で看病って…?」
俺が首だけで後ろを見るとそこにいたのはムラサメちゃんだった。
ムラサメちゃんは空中でヒラリと身を翻すと朝武さんの側に降り立つ
「吾輩が看ると言ったのだがな、ホントに頑固な奴だ」
「そうか…朝武さんが」
ムラサメちゃんはそう言うとやれやれと苦笑いを浮かべ寝ている朝武さんを見つめる。とりあえず座布団を掛けておこう
「ところでムラサメちゃん俺どれぐらい寝てた?」
「意識を失ったのが昨日の夜、今は昼を過ぎたところじゃ」
「なるほど…」
思ったより気を失っていた期間は短かった事に少し安心する。運良く軽傷ですんで良かった
「身体の方はどうじゃ?医者が言うには裂傷、打撲は有るが命に別状はないと聞いておるが一応な?」
「右肩が動かすとちょっと痛いけどそれ以外は大丈夫そうだよ」
「そうか…倒れたご主人を見たときは正直肝が冷えたからな、安心した」
「それは…面目ない」
そう言うムラサメちゃんが胸を撫で下ろした様子を見て改めて申し訳ない気持ちになる
あっそうだ…
「あれ?そういえば俺どうやって帰っ…」
と、どうやって帰ったのかをムラサメちゃんに聞こうとしたその時おもむろに襖が開いた
★
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「ふぃーやっと一息つけるな…」
「ですねー」
そう言って俺と茉子は朝武さん家の居間にドカッと腰を下ろす。将臣を運んだ後、駒川先生を呼んだり、玄十郎さんの所へ行ったりとドタバタしてたせいで久々に座った気がする。おもむろに窓の外に目をやると遠くに見える山のシルエットがうっすらと白んで見えた
どうりで…
「疲れる訳だな…」
「え?ああ…もう夜明けですか、昨日はいろいろありましたからね。私も結構くたびれました…」
そう言って茉子は両手を頭の上で組んで大きく伸びをするその際肩から下ウエストから上の茉子の立派なものに目を奪われたのはしょうがない事なんだ。寝不足で自制心が緩んでいるから仕方のないことなんだ、うんつまり俺は悪くない。QED!!
流石乳ュートン先生抗えなかったぜ…
と俺が思春期を爆発させていると
「お、二人ともお疲れ様」
「どわっはい!!!?」
背後の扉が急に開いたせいで間抜けな声を出してしまった。
べ、別にやましいことをしてたわけじゃないんだからねっ!!?
「おや、驚かせてしまったかな?」
「?…安晴様おはようございます」
「い、いえ。おはようございます」
俺がすっとんきょうな声をあげた後に安晴さんが申し訳なさそうに声をかけてくる。言えねぇ…乳ュートン先生を見てたなんて言えねぇ…そんな事茉子に知られたら茉子からお袋、お袋からご近所さん、ご近所さんから町内中と広がっていき休み明けには学校での俺の好感度が下がるという町ぐるみの陰謀に巻き込まれてしまう!!くそっ!なんて残酷な世界なんだっ!!(錯乱)
と俺がこの世の不条理を嘆いていると安晴さんはなら良かったと頷きながらお茶の間にあるポットから急須にお湯を注ぎ始める
どうやら安晴さんも神社の朝の御勤めを終えて一息いれようとしていたようだ。この時何気なく俺と茉子の分も用意してくれるあたり安晴さんマジ優しい!!はっ!?さっき安晴さんが声をかけてきた時に心拍数が上がったのって…もしかして、これが恋っ……!!?
なんて下らない事を考えている間に安晴さんは手慣れた様子で3つの湯呑みにお茶を注ぎ俺たちの前に置く。
その後少し改まった様子で安晴さんは俺たち二人に向かい口を開いた
「昨日はバタバタしてたから改めて言わせて欲しい。二人とも昨日はお疲れ様。そして将臣くんを助けてくれて本当にありがとう」
そう言って安晴さんは机の上に手を置き俺達に向かって頭を下げる。そんな突然の出来事に頭を下げられた本人達は…
「い、いえそんな!俺たちは当たり前の事をしただけですよ!」
「そ、そうです!だからどうか頭を上げてください!」
「困らせるつもりは無かったんだ、ただけじめとしてはきちんとお礼を言わないとって思ってね」
とアワアワしている俺たちを見て安晴さんはその様子が可笑しかったのか優しげな笑みを浮かべながらそう言う。
やっぱり人にお礼を言われるのは違和感がある。
誰にも知らない自分の家の罪を言えないでいるのにどの面を下げているのだと心の中の俺が言う。
そんな思考を押し流すように俺は努めて明るい声を出して茉子と安晴さんとの談笑をしていた。その後安晴さんが淹れてくれたお茶がなくなった頃安晴さんは境内の掃除をするべく出て行き
茉子は「芳乃様の様子を見てきます」と言い残しお茶の間から姿を消した。
ついさっきまで気にしてなかった柱時計の音がやたら大きく聞こえる。朝日が庭の塀を越えて障子を照らし柔らかい光が部屋を満たしていく。何気なく見たインターネットの天気予報では今日は快晴だそうだ。
俺はその通知を乱暴に消すとポケットの中に突っ込んだ。
俺の思いに反して世界はそれでも回ってる。
「ホントにクソみたいだ…」
俺はそう吐き捨てると机の上にある湯飲みを片付け始めた。
何かしてないとこのまま思考の渦に呑まれてしまう。それを断ち切るために動き始めたが心の奥にあるソレは治りかけの傷の様にグジュグジュと不快な音を立てていた。
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