千恋*万花 Another view   作:ケロもり

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最近寒い日ばかりでいやになりますね。
皆さん風邪には気を付けよう。(戒め)

第5話です。ドゾー


第5話

今日は、まさに皐月晴れという言葉に相応しく太陽の光がサンサンと降り注いでおり、なんと昨日よりも気温が高くなるらしい。つまり、俺が何を言いたいのかというと

 

「あちぃ……」

 

と、人混みのお陰で更に気温の上がった建実神社の境内で汗をかいている俺、写田 大則がお送りしています。

あれから凡そ十分が過ぎ、元々余り広くない境内で人が大勢の集まった結果、なかなかの人口密集具合になっている。

 

「さすがに、私も少し汗をかいてしまいました」

 

と茉子が服の袂からハンカチを取り出し汗を拭いていた。その時チラッと見えた白いうなじが眩しい、ふう、目の保養だぜ。

やっぱりあれだな、俺にはやはりチラリズムは最高だと断言できる。あの見えそうで見えない短い丈のスカートとかニーソックスとスカートの間にできる絶対領域とか、ついつい目で追っちゃうもんね、みんなもそうだろう?(真顔)

あっそうだ廉太郎とクラスの男子何人かとで時々やっている"男子会"に将臣も誘ってやろう。おそらくあれだけイケメンならモテたことも有るだろうし、きっと紳士に違いない。うん。

そんな、男子会の期待の新星(不名誉)に期待をしつつ舞がいつ始まるのかと、ヤキモキしながらカステラを茉子と一緒にモシュモシュ食べているとカステラが親の仇のように水分を持っていく、正直食べずらくなってきた…

だがお祭り男 写田くんに死角はない、こんなときの為にと某宇宙戦艦の真田志朗もびっくりするほど準備は整えてあるのだ、おもむろに腰に吊り下げていたペットボトルホルダーに手を伸ばす、が、おかしい、ペットボトルが無い。

もしかしてと思い茉子の方を見ると……

 

「んぐっ、んぐっ、プハー!やっぱりカステラは喉が乾きますね。」

 

と俺の命の水(仮)を飲む不届き者がいやがった。

 

ステイステイ落ち着け俺、まだ茉子が勝手に飲んだとは決まって無い、まずは事実確認からだ。

 

「お、おい茉子その水ってもしかして」

 

「ええ、自分のです」

 

「…なんだすまんな、俺の水が無くなってな。てっきり……」

 

どうやら茉子ではないらしい、いけないな茉子が近くに居るときに物が無くなったら茉子を疑うのは…

 

「嘘ですけど」

 

「おい、こらぁぁぁぁぁぁぁ!!!俺の反省を返せぇぇぇぇぇ!!!」

 

「てへっ」

 

「可愛い、だが許さない」

 

「かわっ…!!!」

 

茉子が何だか顔を赤くしているがそんな事は今はどうでもいい、問題は…

 

「俺の飲み物無くなっちまったくだろうが…」

 

そう俺のサハラ砂漠ばりに乾いた喉を潤す物が無くなったことの方が重要だ。

仕方がないのでこの人混みから一回出て、飲み物を買ってくるとしよう…はぁ

まだ、隣で『かっ、かわ、かわわ……』とフリーズしている幼なじみの脇腹をつついて再起動させる

 

「うっひゃあ!!、な、何をするんですか!?」

 

「何って俺、ちょっと飲み物買ってくるわ」

 

そう言い残し、飲み物を買いに行こうとすると服の後ろ袖が摘ままれた。

 

「別に、買いに行かなくても良いですよ?」

 

「?…何言ってんだ」

 

「これ、飲んで良いですから」

 

そう言って、さっき飲んでいた水を渡してきた

 

「…いいのか?」

 

「大丈夫ですよ。」

 

茉子はそうニヤニヤ笑いながら言う、コイツさてはこれが狙いだったな…だが

 

「おっ、じゃあ遠慮なく」

 

そう言って俺は、勢い良くボトルを煽る。ただし、飲み口に口は着けないで。

そう俺がしたのはいわゆる"滝飲み"と言われているものだ。フッフッフッこれなら間接キスだとかそんなのに気にしないで遠慮なく飲めるぜ!!俺の天才っぷりに脳が震える。

 

茉子の方をちらりと見るとポカンと口を開けてこちらを見ていた。間抜けな顔までかわいいとかコイツは無敵か!?

 

そんな、イザコザはあったものの気が付いたらもう舞の時間になったらしく朝武さんが舞台の上にあがってきた、上がると共に外国人の

 

「FOOOOOOO!!」

 

「YAAAAAAAA!!」

 

といった、いかにもというかけ声が聞こえてくる。

 

「おっ、始まったな」

 

「そのようですね」

 

舞の舞台に上がった朝武さんはいつも見ているのにも関わらず見るたび、どんどんあの人のようにきれいになってい(似てい)く気がする…

 

…そう、俺にトラウマを与えた人、時間は残酷で、とても無慈悲だと教えてくれた人、そしてこの負の連鎖を終わらせると、固く誓った人…

故・朝武 秋穂さん、今代の巫女姫、朝武 芳乃さんの実の母である。

 

絶対に俺が成し遂げてこの負の連鎖ーー呪いを今代で終わらせる。だから俺はっっ……

 

その時俺の右手が暖かい物に包まれた…

 

「大丈夫ですか…」

 

その声にハッと気がつくと茉子が心配そうな顔で俺の顔を覗き込んでいた、右手を見ると茉子が両手で俺の右手を包んでくれている。

その時はじめて俺は右手を強く握りしめていることに気がついた。

 

「ごめん、茉子、」

 

俺がそう言うと茉子は右手を放して笑顔を向けてくれた。右手を見ると手のひらには爪の跡がクッキリと残っている。

 

そうだ、俺が秋穂さんの姿を朝武さんに重ねて思い出すのは勝手だが、それを朝武さんに押し付けるのだけは決っしてしてはいけない、そう決めたはずなのに久々に舞を見たら思わず重ねてしまった、それはきっと故人にも朝武さんにも失礼なことだ。気を付けよう。なにせ

 

俺には本来そんな資格無いんだから(・・・・・・・・・・・・・・・・)……

 

俺がまたそんな思考の渦に沈んでいこうとしていた時、

 

「さあ、気を取り直して芳乃様の舞を見ましょう♪」

 

と茉子が少し大袈裟に声をかけてくる。

 

茉子のこういう気遣いに俺は何度も救われた。

 

「お前は本当、いい女だな…」

 

そう思わず声が出た。茉子は少し目を丸くした後

 

「でしょう、もっと誉めてくれてもいいんですよ~」

 

と少しイタズラっぽく笑う。

今は手を伸ばせばそこに彼女が居ることに、ひどく安心した。

 

そんな中、どうやら朝武さんの舞の効果もあって、会場がだいぶ盛り上がってきたのか俺と茉子は

 

「うおっ!!」

 

突然、後ろから強い力で押された。おそらく朝武さんの舞をもっと近くで見ようとした後ろの人が自然と前に詰めてきているのだろう

俺はあまり強い力で押されなかったからか大丈夫だが茉子はかなりの力で押されたらしく体勢が完全に崩れている、俺は思わず体が動いた

 

「茉子っっ!!」

 

「きゃっ!!」

 

俺は茉子の倒れる先に回りこんで、確実に受け止めようと体を茉子の方に体を向けた瞬間、俺の胸に茉子の頭がなかなかの速度でぶつかった、地味に痛い…

 

「いてて…おい、しっかりしろ自称忍者…っ!」

 

「あ、ありがとうございます…って、違いますよ!、自称じゃなくて事実で…っ!」

 

俺は茉子と近距離で目が合った。いきなり目のに前に美人の顔があり、俺は言葉に詰まる。

二人の距離はおそらく20センチも無いだろう、茉子は俺の顔が思ったより近くにあることに驚いているのか目をいつもより大きく見開いていた。こけそうになったせいか、心なしかいつもより目が潤んでいる気がするし、それにこの暑さのせいか、顔がが若干、上気している、さらにトドメの上目遣い……

 

端的に言おう…エッッロッッッッッ!!

 

なんだこのやろう、コチラときたら17年間、筋金入りのピッカピカの童貞だぞ!!?こんな時の対処法なんざわかるかぁぁぁぁ!!!

しかも、さっき汗かいてたせいかなんか女の子独特の甘酸っぱい良い匂いまでしてきたヨ、

あぁ、匂いががががががががががが…

と頭の中が大変なことになっていると。

 

「しゅ、しゅみませんっっっっ!!」

 

茉子も相当恥ずかしいのだろう、いつも冷静な茉子にしては珍しく呂律が回っていなかった。

 

「すぐに、離れますねっっ!!」

 

そう言って、茉子は俺の腕の中から出ようと体を捩るが茉子の立っていたスペースにはもう人が詰めていて、もう戻れそうにない。

 

「む、無理そうだな…」

 

「そ、そうみたいですね…」

 

「嫌じゃないんだったら、終わるまでいたら?しょうがないよ、こんなに人がいるし…」

 

「そ、そう!しょうがないですよねこんなに混んでますし、しょうがないです…よね?」

 

と言い訳じみたことを言っているのにも気に止めず何故か虚空を見つめている写田 大則は…

 

(うわぁぁぁぁぁ!?初め気づかなかったけどこの体勢、茉子の柔らかい二つの双丘が当たってるぅぅぅぅぅぅ!!今わかったけど茉子さん着痩せするのね、幼なじみ歴17年目の新事実だよ!!)

 

と茉子にも悟らせないほどのポーカーフェイスでだいぶピンクなことを考えていた。

 

(春祭りに来て、よかったぁーーーーー)

 

と、今祭りに来ている人の中である意味一番幸せな状態の中、脳内でDirty Workを流しつつそう叫んだのであった。




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