げんだいフレンズ   作:井戸ノイア

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1話

 けものフレンズ

 神秘の物質「サンドスター」の力によって動物たちがヒトの姿をした「アニマルガール」へ変身! そんな唄い文句と共に始まったアニメは、誰も予想していなかったほどに大ヒットを博した。

 一種の社会現象にまでなった「けものフレンズ」は様々な人に影響を及ぼした。

 

 そんな影響を及ぼされた科学者が一人。

 彼は、人が動物の超パワーを活用出来るようにすることを研究していた。本来ならば歴史の波に埋もれてしまうような名も無き科学者だ。

 しかし、彼は研究が進まないことへの疲れからたまたま深夜にテレビを付けた。

 そして、たまたま「けものフレンズ」が放送されていた。

 

 そうして、運命は変わり始めた。

 

 彼は「けものフレンズ」を一目見た時は「なんだこの幼稚なアニメは」と感じた。だが、不思議と目が離せない。気がつけばアニメの終わりまで見ていて、ちょっとした休憩のつもりが30分も無駄に過ごしてしまったと思った。

 研究に戻ってからも「けものフレンズ」が脳裏に焼き付いて離れなかった。

 何故、これほどまでに気になるのか。研究にもなかなか手がつかなくなった彼は、それを確かめるべく公開されていた一話を視聴した。

 見終わった瞬間、次週のアニメの予約をした。どうしてかは分からなかった。だが、そうしなければと思った。

 研究を進めることもなくなり、狂ったように「けものフレンズ」を見返して、一週間が過ぎると最新話をループに加える。

 そんな行動が続き、いつの間にか最終話を迎えた。

 見終えた。

 彼の脳裏には天啓が舞い降りていた。

 

 

 ヒトが動物の力を活用するのではない。

 我々が動物になるべきなのだ、と。

 

 

 その瞬間から、彼の頭は天性の閃きを発揮し始めた。

 研究の参考資料は全12話の「けものフレンズ」

 これまでの常識など無かったかのように、彼はいくつもの壁を超え、突き破り、そこに至った。

 彼は研究成果を持って、小さな研究室を出る。

 やって来たのは、東京駅。

 小汚い格好の彼を訝しむような視線を受けながら彼はそれを地面に置いた。

 

「我々は今、ヒトを超越するのだ!!」

 

 彼は叫ぶと同時に、それの蓋を開け放った。

 中から現れたのは虹色に輝く、光の粒。

 それが周囲の人間の頭上を飛び交う。

 

 ある人は綺麗だと、足を止めた。

 小汚い男の行動を見ていた人は何かやばいものかと逃げようとした。

 ある人は何かのイベントかと、光の粒に向かっていく。

 

 そして、光の粒がヒトに触れた瞬間、それは形を大きく変化させた。

 見ていた人、逃げようとした人、近づいた人、全てのヒトが光の粒に触れ、身体が虹色に変化する。

 その中心で科学者は叫ぶ。「成功だ!」と。

 

 

 

 やがて、虹色の光へと姿を変えた人は本来の形を大きく変え、再びヒトのような姿へと戻っていく。

 しかし、それはもう人間では無い。

 ある虹色に包まれたシルエットには頭の天辺の大きな耳があった。大きな尻尾があった。翼のようなものが付いていた。

 凡そヒトのようなシルエットに人には無い特徴を得た者達。

 光が収まる。

 

 そこに居たのは無数の「フレンズ」

 まさしく、人外の力を得た「ヒト」の姿であった。

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