今日はキツネと二人きり。
クマさんはあまりにキーボードが打てなくてイライラすると言って散歩に出掛け、ウサギさんはクマさんに付いていった。異性と部屋で二人きりの状況など、フレンズになる前ならばドキドキしたはずだが、今は何も感じない。今は同性のようなものであるし。
「キツネ、それ面白い?」
「楽しいです」
キツネはというと、部屋に付いた霜を意味もなくカリカリとしていた。何が楽しいのか全く分からないが、やけに集中している。
そんな時だった、扉の向こう側からコンコンとノックの音がする。
「誰だろ、クマさん達が帰ってきた?」
「それなら、ノックせずに入ってくると思いますけど」
ハイハイと返事をして扉を開ける。そこにいたのは、赤みがかった金色の長い髪と、オレンジのコートを着たキツネのフレンズ、キタキツネだった。
「ここ、流石に寒いね……」
「あれ? ここにキタキツネっていなかった気がしますが」
ホッキョクギツネが言うようにこの施設にはキタキツネのフレンズはいなかったはずだ。新しく入って来たのだろうか。
「今匿ってくれるところを探してるの……」
「匿う?」
キタキツネは冷凍室に入ってくるとそう言った。寒そうにしているが、ギリギリ耐えられているらしい。ホッキョクギツネが下げていた温度を戻したほうがいいか。
そうして、話を聞くと、キタキツネは新しくこの施設にやってきたわけではなく、元からこの施設にいたのだという。それもつい先日までは人間という形で。
「僕、けものフレンズが大好きだったんだ……。それでジャパリまんの味がどうしても気になって。あれ、フレンズ以外は食べちゃ駄目って言われてたから……」
しかし、どうしても我慢出来なくなって食したところ、止まらなくなって二個、三個と食べてしまったらしい。そして、今朝目が覚めるとキタキツネになっていたそうだ。
「急にこんなことになっても行く宛てもなくて。見つかったら面倒なことになりそうだし、他のフレンズのところに行こうかなって」
「しかし、こんな極限環境みたいなところじゃなくても良かったのではないか」
「そう思ったんだけどね。いくつか回ってみたけど、北極組以外は、この身体には暑すぎるところしかなくて。今は冬だからある程度の暖かさが大丈夫なフレンズは皆家に帰ってるんだよー」
「まぁ、ここに置くのは構わない。だが、全員の許可が取れたらな」
「私も別に良いですよ」
「やったー。確かあとはホッキョクグマとホッキョクウサギだね」
この後、帰ってきたクマさんとウサギさんも二つ返事で許可をした。
しかし、ジャパリまんを食べた人間がフレンズになるか……。もし原因がジャパリまんであるならば、これは本当に食べ続けて良いものなのだろうか。少しだけ、普段自分が食べているものに恐怖心が沸いた。