World High school 〜CROSS〜 作:火神零次
活動報告にて次回の話などの方針などが書かれていますので、気になる方は活動報告を確認ください。
白玉楼で一日を過ごしたムラクモたちはその次の日に、異変調査を始める。先ずは、白玉楼に来る前に確認した通り、博麗の巫女に合流をし、そのあとに異変の原因を調べることになる。異変のことに関してはプロフェッショナルと言っても過言ではない博麗の巫女が協力を求めているとなると、敵は相当の手練れとも考えていいだろう。
未だに眠そうな顔をしているムラクモは欠伸をする。ムラクモは前日に幽々子を長い時間構っていたのかとても疲れたような様子も見せていた。
「ぱぱっと終わらせて帰ろうぜ……って言っても、この依頼は無理があるか……」
四人は博麗の巫女が待つ博霊神社に向かう。
彼女の相手は面倒だったかなと思い出した爛は、苦笑を溢しながら、博麗神社の石の階段を上がっていく。
異変が起きているということもあるからか、博麗神社全体に、異様な空気が流れている。とてもピリピリとした緊張感のあるものだ。一触即発、下手に動いてしまうと、博麗の巫女に攻撃されかねないような状態だ。
「おーい、霊夢~。俺だ、ムラクモだ」
ムラクモは『
誰が来たのかと確認をした彼女は警戒を解いた。ムラクモは博麗神社の鳥居を潜り、境内へと入っていく。
「ムラクモね、待ってたわ。後ろにいる人たちは、貴方と同じで協力してくれるのかしら」
ムラクモのことを知っている少女は、紛れもなく博麗の巫女『博麗霊夢』。ここ幻想郷での実力は確かで、異変解決には持ってこいの能力を持っているという。
ムラクモの後ろにいる三人に目を向けた霊夢は、驚愕する。霊夢が驚いている理由は、爛の存在だ。霊夢と爛は、とある事情で敵対している関係だったのだ。それは、この依頼に爛を指名した紫は勿論のこと、ムラクモも凛も知っている。
「してくれる。お前さんが少し不快に思うやつもいるけどな」
ムラクモは騙すような言い方はしない。爛もわかっていることだ。これで、攻撃されても仕方がない。その時はその時で何とかするとムラクモは決めている。
「……分かったわ。ただし、この異変が解決したらすぐに立ち去って」
少し霊夢の言葉に棘がある。それもそのはずだ。事情があるとはいえ、敵対していたものが協力するとなると、霊夢は不快に思うだろう。幻想郷に影響を与えかねない爛の存在は、霊夢にとっても脅威だ。
少し人選に不信感を抱くものの、この手の依頼は全て紫に任せてあるのだ。文句を言うなら、紫に言うしかない。
「はいはい、お前さんがそういう理由は分かってるから」
ムラクモはチラッと爛を見る。爛は小さく頷く。やはり、爛が理由で間違いなさそうだ。
「紫から、異変のことについては聞いてる?」
霊夢からの質問に、ムラクモは首を横に振った。協力をして異変解決しろとしか言われていないムラクモたちは異変については全く聞かされていない。
こういうような依頼をいくつも受けてきたムラクモと爛は馴れているものだが、怜と翔は厳しいだろう。
「紫から聞いてないのね……」
溜め息をついた霊夢は、今回起きた異変について話す。
人里から異変が起きたらしく、能力を持つ者たちを中心に居なくなるということが起きている。今のところ、居なくなっているのは人里に寄っている者たちだという。
「じゃ霊夢は何で居なくなってないんだ?」
ムラクモの疑問はそれだ。異変解決で人里を寄っているはずの霊夢は何故、居なくなっていないのか。目の前にいるのかが気になるのだ。
「それが分からないのよ。もしかしたら、異変解決だと周知されているから、手出ししてないのかもしれない」
その話を聞いていた爛が口を開く。
「あっちは俺たちが来ているということはしってるのか?」
その言葉に霊夢は首を横に振った。
その事は紫に頼まれているから、人気のないところで話していたそうだ。もしこれが誰からも聞かれていなければ、ムラクモたちがここに来ているということは知らないだろう。
「じゃあ、何とかなるじゃないか」
爛が言ったことに霊夢はどのように異変解決だとバレないのかと考え始める。
ムラクモは既に気づいたのか、何も言わないまま未だに重く感じている目蓋を擦る。
「あ、そういうことか」
翔がそういうことかと、声にした。爛がいっていたことは簡単なものだった。
「確かに、そういうことね。なら、貴方たちに任せるわ」
霊夢も爛の考えていることがわかったようだ。霊夢はムラクモたちに任せると言う。
爛が考えていたことはこうだ。異変解決に来ていると悟られずに人里に入る。居なくなっているのであれば、何かしらされているはずだ。感知能力に優れているムラクモか爛が中心に動き、翔たちはその補助をする形で異変解決をする。
「居なくなってるのが誰か分かるか?」
ムラクモが尋ねると、霊夢は誰かは分からないと言った。誰かはわからないとなると、他には居なくなっている者たちの特徴などが分かれば、まだ対策ができる。
「なんか、特徴とかねぇか? 必ずなんかしてるとかさ」
翔が尋ねる。そんなのがあったのかと考え始める霊夢だが、その特徴が居なくなっている人物で一致しているのがあった。
「私が知ってる範囲になるけど、居なくなっているのは女性ね。後、戦うことのできる奴よ」
話を聞いている限りでは、怜を餌にムラクモたちが尾行をするというのが一番だろう。しかし、そんなのをムラクモは許すはずがない。もうひとつ方法があるとすれば───
「じゃあ、爛で決まりだな」
爛だ。爛であれば対処もできるし、問題はないだろう。溜め息をつきながらも、爛は頷いた。
準備のために、爛は博麗神社の一室を借りていた。その間に、ムラクモは一足早く、人里に来ていた。
「見たところ、可笑しいところはねぇな」
辺りを見回しながらも、特に可笑しなところは何一つない。
いや、あるとするならばここではなく───
「あっちか……」
人里から少し離れたところ。異質なものを感じたムラクモは、そこに向かって歩き出す。
自分の中の異質なものが疼く。暴れたいという欲求が表れてくる。それを既に感じ取っているムラクモは、急いで人里の外に出ていく。それを、見ている人物がいた。
「あれも、標的か……」
独りでに呟かれたその一言は誰にも聞こえない。ムラクモも聞くことはできない。その人物は、待っていたと言わんばかりにほくそ笑んだ。
「……あぁ、もう……」
ムラクモ本人の欲求が異質なものが疼き出したことで、表へと表れようとしている。
壊してやりたい。ここにいるのは、見下してきた奴等と同じ種族の奴等なんだ。恐れ、殺そうとして来た。
「……そんなの、わかってんだよ」
ムラクモは怒りの表情を浮かべる。どうやら、何かしらあったことは確かだろう。
「
本当に、本当に、人間という種族は興味深いし、憎悪を抱かずにはいられない。ても、それは自分の願いじゃない。自己満足な考えだ。溜め込んでいる憎悪だ。
「
人間は殺せない。それは、あの時に約束したのは守らなければならないから。
自分の手で殺してしまった……大切な人間からの約束だから。
「俺には、
ムラクモは自分に語りかけるように言った。その一言には、計り知れないほどの何かを抱えているということが、ムラクモの真剣な声音で分かってくる。
異質なものを感じ取り、その発生源となる場所についた。
「あ、痛ッ!」
進もうとしたところで、壁にぶつかったかのように、ムラクモは何かにぶつかる。
何なのかと思い、右手を前に出すと、それを拒むように見えない壁が存在しているのが分かる。
「……壁か……」
後少しだというのに。残念な気持ちになったムラクモは他にも入る方法がないかと探し始める。
そのムラクモに忍び寄るように来ている人物が、ムラクモに声をかける。
「……あんたも、不満を持ってるな」
「……誰だ、お前」