World High school 〜CROSS〜   作:火神零次

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今回は短めです。
全く書けなかった!(本音)
2000文字程度になってます。
短いし、これでいいのかと思う展開です。
早く落第騎士とこれの続きを書かなければ……

活動報告にて次回の話などが書かれていますので、気になる方は活動報告を確認ください。


異変調査・二日目:前編、その3

 不意討ちを防いだムラクモは、すぐに反撃に移る。

 爛から傷をつけるなと口酸っぱく言われているが、戦闘になれば話は別だ。自分の身を守るために戦うことだけは許してもらおう。

 

「ハァァァァァァ!」

 

 右手に顕れた細剣を握り、神速の攻撃を見舞う。

 しかし、少女たちには当たらない。

 何故なのか。それは少女たちが行った行動が原因ではなく───

 

「ッ…………わざと、外した……」

 

 ムラクモは、わざと神速の攻撃を外した。しかし、その攻撃回数は一回ではない。

 不意討ちをしていなかった愛は、その神速の攻撃が見えたのか、汗を流した。

 

「百十一回……!!??」

 

 百十一回、それはムラクモがわざと外した神速の攻撃の回数。それはわずか1秒で放った。

 最後の一撃は少女の目の前でピタリと止め、その技術は人とは言えないものの域を超している。

 

「はぁ……こんなことさせないでくれよ。『神崎琉綺』、『天崎唯』」

 

 細剣の切っ先を琉綺の目の前に突き付けたまま、溜め息をつきながらも、二人の名前を呼ぶ。

 

「刃は向けたくなかったんだけどよ。不意討ちしてくんだったら話は別だぜ?」

 

「ッ、速い………!」

 

 唯が苦虫を噛んだような表情となり、ムラクモの反応のスピード、あの神速の攻撃をわざとギリギリを狙って外すことができる制度。

 そんなのを相手に敵うのか。

 

「爛に傷をつけるなと口酸っぱく言われてるって言っただろ? 余計なことをさせんな。それとも、そうなるのが良いのか?」

 

 ムラクモの問いに、三人は身構えた。

 言葉の中にあった感情は、殺意。脅しでも何でもなかった。脅せばいいものを。何故、殺意をここで。疑問が頭を埋め尽くしている中で、ムラクモが殺意を放ったまま、話し出した。

 

「これは、脅しの道具じゃねぇ。殺す道具だ。それを勘違いすんじゃねぇぞ。

 人間(ヒト)を殺せるからこそ、人間(ヒト)はそれに怯える。脅しの道具だと勘違いを始める。命は簡単に奪えるもので、そこら辺の人間(ヒト)を虐殺することだって俺らは可能だ。

 けどよ、命を奪っても返ってくるもんはすくねぇ。ノーリスクノーリターンだ。そりゃあ、誰かが捕らわれて、捕らえた奴を殺したら、捕らわれた奴は帰ってくるかもしれない。リターンは何だ?

 平和な日常? 捕らわれた奴との生活?

 甘ったれるなよ。こんな世の中だから、こんな言葉は戯れ言になっちまう。結局は、裏を知って生きてくしかねぇんだよ」

 

 間違いはないかもしれない。しかし、裏を知ってしまっているムラクモは、そう言うしかできない。

 

「どうなってもいいなら、止めねぇよ。そうなったら、俺も止まらねぇ」

 

 細剣を投げ捨てたムラクモは構えた。

 戦うという意思を見せるのであれば、此方も戦うと言わんばかりに、闘気を表した。

 

「……………ッ」

 

「……なーんてな」

 

「えっ?」

 

 闘気が無くなり、笑みを向けられた。

 先程までにしていた表情からは、一歩でも動けば殺すような警戒をしていた。それに釣られるように警戒をしたが、結局はムラクモに踊らされる形になってしまった。

 思い通りにされているのは癪に障る。やり返したいのは三人とも同じ。しかし、それで戦意を見せられても困るのは確か。

 

「はぁ……結局、しないの」

 

「しないな。無理矢理にでも連れていくのはアリだが、爛に殺されかねないんでね。翔からもなんか言われるだろうし」

 

 呆気に取られていた愛は溜め息をつき、嫌味を言うように口を開いた。

 苦笑を浮かべたムラクモは、別人のように変わった。先程までとは違い、とても良い印象を与えるような雰囲気を漂わせている。

 本人の言葉からは嘘だとは見受けられない。警戒を怠ることはできないが、少しぐらいは緩めてもいいかと、愛は考えた。

 

「それじゃ、行くぜ」

 

 足を止めていたムラクモは、進もうとしていた道の方へと視線を向け、歩き始めた。

 三人はムラクモの変わりように振り回されたが、彼の言っていることが本当であるのなら、翔に会える。期待を密かに抱きながら、ムラクモの後ろを歩く。

 何処と無く、ムラクモの耳に届く三人の足音が軽く、嬉しそうに聞こえた。

 

(ったく……嬉しそうに歩いて。そんなもんを聞いちまったら、翔のところにちゃんと送らなきゃ行けねぇじゃねぇか。でもまぁ……悲しいよりは……いいか……)

 

 ムラクモの顔が緩み、笑みが浮かんだ。

 もし、また、人間(ヒト)を愛してもいいであれば───

 

人間(ヒト)人間(ヒト)を愛するように……(ヒト)人間(ヒト)を愛してしまっても構わねぇだろ? なぁ……『凪』)

 

 返事は聞こえない。だが、ムラクモは感じ取っていた。当人にしか聞こえないものが、ムラクモの耳には、正確に聞こえていた。

 

(まぁ、まだお前さんには……何一つしてやれなかった俺には、まだ愛することは出来ねぇのかもな)

 

 何を考えているんだと思いながら、ムラクモの笑みは苦笑に変わった。

 彼女たちを振り回して、罪悪感が無いわけではない。寧ろ、罪悪感が大きい。

 翔に会ってもらえれば問題はないのだろうけれども、爛が何て言うのだろうか。

 まぁ、別に問題は無いだろう。話せば分かってくれるはずだ。

 今は、翔たちと合流することを優先しよう。

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