World High school 〜CROSS〜   作:火神零次

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此方ではお久しぶりです。
中々、手をつけられない状態が続き、落第騎士の方とかも書いていたので、こんなにも遅れてしまいました。
やっぱり、毎日投稿できてる人は凄いなぁと思います。
後、二日目の後編はこれだけなんですよ。えぇ。まさかの一話に収まってしまったという……

活動報告にて次回の話などが書かれていますので、気になる方は活動報告を確認ください。


異変調査・二日目:後編

「ムラクモの方は心配しなくていいか」

 

 爛はムラクモと別れ、人里の方へと向かっていく。

 人里に入るなり、足を止める。

 

「…………………?」

 

 何かに気づいたのか、爛は周りを見渡す。

 だが、その違和感は次第に薄れていく。何事もなかったかのように、爛が感じた違和感は溶け込むように消えていった。

 

「気のせいか……?」

 

 爛はもう一度周りを見渡すが、先程と何も変わらない。それどころか、先程よりも違和感を感じたという事実事態が薄れていくという不可解な現象に陥る。

 翔たちの方でも同じように感知しているといいが。そんな爛の不安を尻目に人里の現状を確認しに行く。

 無論、爛の感じた違和感は感知能力の高い翔や霊夢も同じように感じた。

 

「……なんだ? 今の」

「さぁ、何かしら? 彼は気づいているようだけど……」

 

 二人して顔を見合わせるがどちらも首を傾げるだけであり、爛は気づいていると分かった霊夢は彼が違和感に気づきながらも無視をしていたのを見た。

 彼が特別気にしているようなものでもないので、問題はないと自分勝手だが納得し、人里の調査に入っている爛を見守る。

 

(ムラクモ……)

 

 三人の不安や違和感を余所に、怜はたった一人で調査に向かったムラクモを心配していた。

 ムラクモがとても強いのは分かる。爛だって心配はしないだろう。しかし、何とも言いがたい不安が怜の胸の中には一杯になっていた。

 たった一人で危険な場所へと赴いてはいないだろうか。ちゃんと戻ってきてくれるのだろうか。必ず帰ってくると約束してくれたムラクモを疑うわけではない。だがしかし、怜はそれでも不安だった。その理由がなんなのかは怜にも分からない。理由もない不安が襲い、頭が回らない。

 

「行くわよ」

 

 霊夢の声でハッと我に返る。どうやら、固まっていた怜を待っていたらしく、二人は声だけかけて怜が反応をしたのを見ると、先に歩いていってしまった。

 

「す、すまない」

 

 自分の不甲斐なさ故に迷惑をかけてしまったかと考えてしまう。

 あの日から、自分は変わってしまったように思えてならない。しかし、ムラクモや爛はそれを否定する。お前はいつも通りだと言い聞かすように。本当に変わっていないのであれば、何故今まで通りにならないのか。謎が謎を呼ぶような繰り返しの疑問に怜は未だに答えを出せていないが、ムラクモや爛は既に答えが分かっているのだろう。

 

「ここが……人里の中……」

 

 爛は周りに注意を向けながら人里内を歩き回る。

 ここに居ると昔の日本を見てるような気分になると言った方がいいだろうか。現代の街並みを見てきた爛からすると、凄く古いと感じる。

 人間社会には表と裏が存在している。表向きは平和でも裏では密輸売買、兵器やら麻薬やらの闇取引、情報操作による陰謀。簡単に命が落ちてしまうようなものだが、ここ幻想郷では妖怪の悪戯だったりするもので人の命が簡単に落ちるようなものは少ない。それに博麗の巫女がいるのだ。妖怪退治がされることで悪戯や異変は解決される。しかし、今回の異変はどうにも可笑しい。異変や妖怪の存在には察知しやすい彼女が、ここまで何もできないのか。平和ボケするほどの人物ではないのを知っているからこそ、今回の異変には引っ掛かる部分がある。彼女も最悪の状況を考えているはずだ。それは多分、紫も同じはず。被害が拡大する前に応急処置に似たような形でムラクモや爛に依頼をする。それが過去に二回あった。ただしここまで情報の少ないものではなく、もっと別な依頼であり、博麗の巫女の簡単な支援をするというものだった。そのせいもあってか、爛は異変の手伝いをするはめになり、彼女から敵対視するような視線を受けなければならなくなっていた。

 情報があまりにも少なく過ぎるため、判断することもできない。そのためにもここに来ている。何とかして情報を手に入れたいところだ。

 

「さて……人里の端から端まで調べ尽くしますか」

 

 先ずは片っ端から歩き回って異質なところはないか自分の目で確認をする。被害の起きている場所の一部分を見るだけではなく、全てを見なければ判断できることができなくなると考えたからだ。

 歩いて歩いて歩きまくって、変なところはないか。気になるところはないか。そんなことを気にしながら爛は歩き回る。手間のかかることだが爛にはさっさと終わらせたいと思っているからだ。

 

「とはいっても……簡単には見つかるわけない……か」

 

 博麗の巫女が気づくことができないほどなのだ。これほどまでに簡単に見つかるわけではない。……彼女が深読みしすぎたりして見落としていたりしていなければだが。

 

「やっぱりない……ん?」

 

 歩き回って見た程度では怪しいところがない。と思っていたところで、爛はあるものに気づく。

 地面を這うように人里の地下を流れている微かな魔力。何かに遮断されているようで、地上から地下の魔力をしっかりと確認することができない。

 異常とも思えるこの状況に、霊夢たちは気づけていないのか。或いはこれが通常なのか。実際のところ、どうなっているかは分からない。ここに来ることはほとんどなかったのだ。

 

「っと、何に反応したんだ?」

 

 突然立ち止まった爛に翔は首を傾げる。それと同時に頭の中に電流が走る。

 

「っつ………!」

 

 微弱な流れ。電気信号にしてはおかしいほど大きすぎる。何処かからの攻撃かと身構える。

 警戒の色を濃くした霊夢を見て、翔も同じように構えながら警戒する。

 しかし、その行為も無駄に終わる。

 

『やっぱり、警戒しちゃうよなぁ』

 

 頭に響くように爛の声が聞こえる。言っていることから察することができた三人は警戒を解く。

 

「あんたが何も言わないでそんなことするからでしょ」

 

『辛辣だな。けど、何も言わなかった俺が悪いな』

 

 警戒をして損をしたわ。と霊夢は聞こえるように言うと、申し訳なさそうにすまないと爛は謝る。

 何か見つけることが出来たのかと期待をしながら爛からの言葉を待つ翔。

 

「何か分かった?」

 

『何事もなく聞くのか……まぁいいか。分かったことがなければこんなことしないよ。それに、聞きたいこともあるしな』

 

 頭に響くように爛の声が聞こえるなか、当然かのように会話する二人。話を聞いているだけの二人は爛が何に気づいたのか。彼女に何を聞きたいのかは分からない。しかし、爛には何かがあるというのは気づいている。

 

『人里に微弱な魔力の流れがある。何かに遮断されているようだったが霊夢はおかしいと感じなかったか?』

 

「私は特に何も……というか、遮断されているようってどういうこと!?」

 

『その反応を見た限り、霊夢は遮断されてるというのには気づけていないのか。なるほどな、これで分かった』

 

「爛、それは一体……?」

 

 怜は首を傾げて爛に尋ねる。

 爛は霊夢の反応を見て謎が解けたかのようなことを言った。爛のように人里の中には実際に自分の足で歩いていない。爛にしか分からない謎があったのだろう。

 

『博麗の巫女に対する対策はしていたということ。それも、霊夢が放っておくほどにしておくように遮断するものまで用意していた。でも、異界からの来訪者には想定をしていないはずだ。だから俺は気づくことができた』

 

「そうだとしたら、どうして博麗の巫女以外が消えていく?」

 

 疑問があるとしたらそこだ。人里に顔を見せる妖怪やら人間やら特定の特徴を持った者たちだけが居なくなるのか。

 そこに当てはまるはずの霊夢は何故居なくなっていないのか。その疑問に爛が答えた。

 

『……推測の域でしかないが、俺が考えた上での答えを出す』

 

 まだ確証に足るものが少ない。少ないヒントとはいえ、爛の答えがヒントになる可能性も捨てきれない。ここで爛の推測で出した答えを聞かないという手はないだろう。

 

『博麗の巫女に対策をしかなければならないというのは大きい意味かあるはずだ。霊夢だけ対策をして、他の奴を居なくするのは相当面倒な話になる。それだったらもっと良い方法があるはずだ』

 

「それはまぁ……確かに」

 

 爛の言っていることに否定することはできない。

 

『それでも霊夢だけ居なくならないのには理由があると思うぞ』

 

「えっ?」

 

「どういうことよ」

 

『それに関しては知らん』

 

「知らん……て、それでも大丈夫なのかよ」

 

『さあな、それもお相手さん次第ってところか』

 

 推測の域でしか話していないからか。確信となりそうなところは爛の口からは出てこない。

 

『情報が少ない。人里の地下を調べることが最優先だ。といっても、すぐに行動ができるわけでもない。ムラクモと合流すべきだ』

 

 爛からの提案が来る。今最も怪しいのが人里の地下。爛の話を聞いてもそこが怪しいのは誰でも分かる。それを確認しない限り、次のヒントが出てこない可能性もある。霊夢はあらゆることを想定しているのか、爛の提案に考え込んで答えを出さない。

 

『……してほしくないならしない』

 

「ちょっと待て爛、可能性があるんだろ? だったらやるべきじゃねぇのか?」

 

『なくはない。ただあまりにも低いんだ。無理にするべきものでもない』

 

「っ………」

 

 翔は爛に反論するものの、爛は反論できるものとはいえ、やる状況とは言いがたいものであると言った。翔は苦虫を噛んだような表情を浮かべた。

 

「それについては、ムラクモと合流してからでも良いかしら」

 

『構わない。今日はこのところで引き上げるとしよう』

 

「えぇ、そうしてちょうだい」

 

 今後の行動を決めるためにも、先ずは全員集まって情報を合わせ、ムラクモとも話し合っていかなければならないと判断した霊夢。それに賛同した爛は今日の調査を止めて引き上げることにした。

 怜と翔も同じように頷き、博麗神社に戻っていく。そして、ムラクモと会う時、翔は思いがけない再会を果たすことになる───

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