World High school 〜CROSS〜 作:火神零次
「……ぅ」
ムラクモは頭痛を感じながらも、目を覚まして起き上がる。
「ありゃ、そういや俺は倒れたんだっけ」
今いる場所が医務室であることに気づいたムラクモは、ベッドから降りようとする。
「あら、起きたの?」
「あ、紫」
医務室の扉が開き、中に入ってきたのは紫色の装いをしている女性『
「幸斗くんから聞いたわよ。『
「そりゃ、幸斗の攻撃なんか殺さなきゃ、逆に殺られるし」
紫は鋭い目付きで怒っていることをムラクモに分かるように言うが、ムラクモは肩を竦めて弁解するだけだった。
「『
赤い目が紫の視線を釘付けにした。
底がないように感じさせる目の中心は、誘い込むように回っていた。
「まぁいい。ところで、紫はなんの用?何もないところに来るほど暇人なのか?」
「相変わらず言い方が酷いわね。お知らせに来たのよ」
元々、ムラクモは紫がなぜここに来ているのかが分かってはいなかった。だからこそ、尋ねた。
すると紫は持っていた扇子を口元へと持っていき、パチン、と閉じた。
「新しく、この学校に入る子達がいるの」
「はぁ、また新しく入るってか。んで、次はどんなやつが来るんだ?」
嬉しそうな笑みをしている紫を見て、ため息をつくしかなかったムラクモは、ため息をつきながらも知っておかないとなと感じ、誰が来るのか尋ねるのだった。
「ショウくんとエリシアちゃんよ」
「へぇ、爛の友人ねぇ。」
新しく来るのは、二人とも爛の友人だった。
以前から聞いていた名前の持ち主が、この学校に来るとなると楽しみで仕方ない。
「んじゃあ、これからはもっと楽しい生活になりそうだな。」
「そうね。もう少しで入学式。彼らも来ることだし、この学校はもっと楽しくなりそうね」
2人して笑みを浮かべていた。もう少しで始まる新たな生活と新しく入ってくる入学生。そしてその中にいるショウとエリシア。これからはワクワクが止まらない生活になりそうだと、胸の中は踊っていた。
「あと、一つ聞いていいかしら?」
「ん、何?」
紫が幸斗とムラクモの模擬戦の終わりからずっと心の中で引っかかり、ムラクモ本人に聞こうとしていたもの。
「貴方は何故、倒れたの?」
倒れることの無いムラクモが倒れて医務室に運ばれていたからだ。
力の使いすぎでもなんでもない。酷使した様子は見られないし、酷使したとしても、彼は平気なはずだ。だがなぜ、彼は倒れたのか。
「聞かなくてもいいんだけどさ。そんな大層な理由じゃないし」
ムラクモは肩を竦ませながら苦笑をする。
彼にとって聞かなくてもいいことは意外と大事なものだったりする。過去に彼は紫に相談して解決しなければならないことを、紫には何も伝えずに、勝手に一人で解決し、何も知らぬ顔をして来ていたからだ。
本来であれば、この時点でWorld High school 〜CROSS〜に居れることが可笑しいのだが、誰一人として彼に勝てる者はいないし、この学校が続く、抑止力ともなっているからだ。
そして、絶対にありえないようなことが起きていたため、紫は不安になっていたのだ。
「ただ単にさ。眠かったし、頭痛かった」
「──────────」
言葉を失った。
眠かったことと、頭が痛かった。ただそれだけの事だったのだ。眠かったから寝ただけのことだった。頭が痛いのを治したかったから寝たのかもしれない。
何か重要なことでも起きたのかと思った矢先にこれだった。
やはり、椎名ムラクモというイレギュラーな存在は妖怪の賢者をも振り回すことが出来るのか。
彼ならば可能だ。イレギュラーであり、自由人でもあるからこそだろう。
「んじゃあ、よく眠れたし、部屋に戻るとする」
気にもしていない顔をして、ムラクモは平然と帰っていった。
暫くあいだ、紫は呆けていたものの、「はぁ」とため息をついて、スキマの中へと戻っていった。
「アイツらが来るのか。本当に楽しみだなぁ───」
ムラクモは窓の外をの方を向いて、窓を開け放ち、空へと手を伸ばした。
「いつか、あの時みたく後悔することがないようにしないとな」
自分の胸に誓うようにそう言いながら、右手を握りこみ、自身の胸へと付けた。
暫く一人で目を瞑り、満足すると窓を閉め、自分の部屋へと戻っていく。
彼の顔には、笑顔ができていた。
スムーズに書くことが出来ました。
いやぁ、執筆が進むことはいいことだ!ということで頑張っていくのでよろしくお願いします