幻想の現実≠東方空界霊   作:幻将 彼id・tactstock

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連投だよ。

粗筋:事話題にちらほら出て居た予想の思想家じゃない少女「テララ」。
博麗霊夢への接触即ち博麗神社へ赴く事を止めるが、ヒツキは止まる気はなかった。
薄情なので、神社へ向かう。


第弐拾質話 始まるマチガイ~Ultimate Accident. ”H Running”

【息切】

 

 

 

 今の今迄有っただろうか。

 

 陽月さくらと言う歩くをポリシーとして居た生物が、今正に走って居たみたいな、息を荒げて木に隠れて身を潜めて居る事態等……。

 

 ひっそり顔を出せば、空中で博麗霊夢が、辺り一帯を焼き払わんと秤に見下げて居る。

 

「如何して……こうなった………」

 

 

 

 

 

【序言】

 

 

 

 事の始まりは、遡る事、数分前……。

 

 分刻みか、そんなにも走って居たのか、道理で過酷、道理で疲弊。

 

 村人Aの忠告を無視して、布団一式を担いで博麗神社の階段を登る陽月さくらは登頂し、境内其の中央に博麗霊夢が立って居る事を確認した、丸で誰かを待って居るかのように。

 

「よう、巫女さん。眠り振りだな、お早う」

 

 待って居る……お茶の準備でも宴の準備でも、益してや此れからデートと言う理由でも無い。

 

 服は装束何時も通り、眠り振り通り、頭にデカい蝶々を乗せてポニーテールで、リボンは蜜柑色、袖は二の腕開放状態のメガホンみたいなの、服の袖口からは腋と晒が曝したの。

 

 此れが何時もなのかは知らんが、コスプレ並に度胸居るよな。

 

「あら、お客さん。いらっしゃい」

 

 持ち物は大幣に針……何だ?

 

 針とお祓いのダブルマッサージかと思いたいが、彼女の言葉には感情が籠って居ない。

 

 取り敢えず何か言っとけ、顧客商売よりもずっと真下の乾いた挨拶だ。

 

「悪いが昨夜通り、賽銭は出さねぇぞ? お百度参りは目的にしてねぇからよ」

 

 と、縁側に布団を置く。

 

「此れ何処に仕舞えば良い?」

 

 実の処ぼったくり用、カツアゲ用の針と大幣だろうか、打撃に突撃、何撃だ針は、精神攻撃?

 

 あんまり考えない様にしよう、何処に刺すかを連想してしまう。

 

「別に出さなくて良いし、片付けなくて良いわよ。陽月さくら、アンタには………」

 

 そーうだ、あまり考えない。

 

 いや敢えて考えて於こう、其の先の大体解る台詞も…………。

 

「幻想郷から出てって貰うわ」

 

 

 

 

 

【開幕】

 

 

 

 だから考える様にしたのに何此の巫女、アンチ・ディリュージョン・スキル持ちですか、妄想耐性持ちですか、何ですか其れは?

 

 自問自答。

 

 布団を片付けるのではなく俺が片付けられる展開、突如ですよ又。

 

「此れは又、夜に話した時とは大層な心変わりだ。さも歓迎してくれたアプローチは何処へ、何だったんだ」

 

 霊夢は顔色変えず、涼やかに答える。

 

「歓迎、何の事、夢でも見て居たんじゃないの?」

 

 涼やか処では無かった。

 

 又もや、いや、きっと初めてなんだ、俺は彼奴じゃない、彼奴は蒸発したが、こんな寒波を感じて、全身が凍結してから砕け散る様な……。

 

「御託は良いから、大人しく退治されてくれるかしら?」

 

 其の瞬間、白の恋も、緑の裁きも、蒼の館も、紅の契約も、金の夜も、全て、夢だと想った、想ってしまった。

 

 俺は只意味も分からず空で寝ていた奇人変人。

 

 過去は思い出に非ず、只の妄想だ。

 

 だから幻覚か寝起きの夢現でみた烏天狗みたいなのは、写真を持つんだろう。

 

 鳥は三歩歩けば忘れるから、音や匂いは解らずとも、情景は忘れない様に。

 

 ならば彼奴らは誰だ? 思想家と名乗る奴等は。

 

 幻想の無い現実? 幻想の現実? 何が真実で何が虚実? 写真も心霊が写る幻象は在る。

 

 又自分は人間か人形かに迷うのか……。

 

 藁にも縋る想いで、鞄を開ける。

 

「!」

 

 左手を動かせば、腰と手の間に針が飛んで来て、その空間に刺さる。

 

「矢っ張り何か在るのね。如何仕様も無い、見えない付喪の類が」

 

 他者には視認出来ないショルダーバック形状の、創作のしまわれる器”文房器”。

 

 其れを見抜いてしまうなんて巫女さんは本物らしい。

 

「賽銭箱を壊した時、直した時も其の付喪神での仕業でしょうけど、何にせよ全てを統率してしまう本だけは使わせないわよ」

 

 俺はそんな統率の為に軽率な行いを計る奴では無い。

 

 だが頭は軽量化なんてエコロジーと呼んで綺麗事、馬鹿に成って居る事に変わり無し。

 

 そんなIQエコロジーの陽月さくらでも解る事は、如何やら賽銭箱の破壊と修理の件は事実らしい。

 

 俺は左手で針を握り、その光景を空かさず第二第三の針を霊夢は投げ付ける。

 

 鞄から針を抜き取り、左手の増幅で対象とするは、針の磁力。

 

 此方向かう針は、鞄に刺さって居た針に吸い寄せられる。

 

「…ッ!」

 

 手首辺りに少し掠ったが、致命傷では無い。

 

 その間に右手では、とある紙を取り出す事が出来た。

 

「……昨夜が夢なら、全ては無かったな……」

 

 小さく、本当に小さく、モノ語の漏洩で聞き及ばれる事無く、然し俺と言う西遊記の物語は鮮明に壮大に想い出し、呟く。

 

「何、何て言ったのよ?」

 

 御覧の通り、巫女さんには聞こえなかった。

 

 距離が有るのと、蝉が喧しいのと有るが。

 

「何故、急に俺を追い出す対象にシフトしたよ、幻想郷の統治者の御用か?」

 

 蝉が喧しくて暑苦しいが、巫女さんは汗一つ掻いても、表情は変わらない。

 

「アンタや、他に幻想郷に来た奴らが、異変以上に厄介だと判明したのよ。家畜じゃあ在るまいし、悪い事は言わないし、痛い事もしないから、今すぐ元居た世界に帰ってくれるかしら?」

 

 見逃してやるから大人しく……と、だが残念だったな、生憎俺は子供なんでね。

 

「悪い事?痛い事?だぁ?? お前はさっき俺に嘘を付いて居たし、針も投げて来たよなぁ?」

 

「下らない揚げ足取りね」

 

「下らなかろうが何だろうが、歓迎だろうが如何だろうが、不当にして、不問にして、夜の出来事を無かった事に仕掛けた。お前が脅しで投げて来ても当たれば傷害罪で、嘘も方便だろうが、見破られれば閻魔もニッコリの舌抜きの刑だろがい」

 

 俺はくっついた針を放り棄て、下に向けた腕からは血が垂れる。

 

「そして博麗霊夢、正直に言って俺はお前が大嫌いだ。もう信じない……」

 

 俺はどんな顔で言って居るのだろう……コレが怒りなのだろうか。

 

 怒りに似たような事なら、正に閻魔に対しても使ったような気がするけどね。

 

 腕を交差させて、右手を下に、左手を上に構える。

 

「お前がどんな手を使おうが、俺だってどんな手を、力の増幅と消失を応用してでも抗って、幻想郷に居座らせて貰うぞ」

 

 博麗霊夢は手に針とお札を装備し、大幣を構えて、戦闘態勢に入る。

 

「そう、なら私はアンタを退治するわ。もう一度死んで、二度と戻って来るなっ!」

 

 

 

 

 

【大声】

 

 

 

 頭が沸いて居るのかも知れない。

 

 ナツいアツの日に、ア違う暑い夏の日に、論争の末、戦争をするかの様な、神社境内で構える二人。

 

 だがお互い冷静だった。

 

 不動を貫くのは、目の前に居る敵を軽視して居ないからだ。

 

 こっちは卑怯チート、アッチは凶暴バイオレンス。

 

 チートでも凶暴性には敵わない事も有る、ガッツが半端無いからな。

 

 其れと実は、この本は他者に対して、損害的、障害的記術は無効なんだよな。

 

 相手は死ぬとか、俺に惚れるとか、後者は絶対無いが、以前俺定住の神社での功績の一つにモテたいが有ったが、アレはあくまで己の美化。

 

 後付け設定みたいだけど、良い塩梅に制限されているんだよな、この本。

 

 魔理沙にも『戻れ』の用紙を渡したが、別に損害では無い。

 

 朝飯と言う利益が有った、当時考えれば。

 

 と言うか腹が減ったな、又あの茸で造られた料理が喰いたいな。

 

 

 

 ――願いなら、一々書かなくても、口実が幻想と言う名の真実ならば、俺が幻想郷で過ごし、出会った奴らとの今日此の日迄の出来事が現実で事実ならば、俺の持つ『戻れ』の用紙が彼奴との絆ならば、俺は、この無情と言う、鎖で絞められた鍵穴の無い錠前で繋がれる傷だらけの心を持ってしても、天空を見上げ、目を見開かせ、口から大きく息を吸う。

 

 

 

 

 

「魔理沙ああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ……………………!!!!」

 

 

 

 

 

 生まれて初めての、絶叫に近い叫びだったと想う、妖夢の時はノーカン、霊魂だったからノーコン。

 

 山頂だから、声は木霊し、山彦を作る。

 

 辺り一帯の鳥類に蝉は、波動を編み出す咆哮に気圧されて、飛び立つ。

 

 何故か女声で「マリサ」と叫ぶ声も聞こえた気がするが、シリアスブレイカーだな。

 

 俺も人生に真面目展開シリアスシーンは御免だよ。

 

 そして静寂になる。

 

 扨て、只の魔法少女マリサ大好き恥野郎に成るか、本当に助けが来るか。

 

「揚げ足の次は、ハッタリ。下らないし、他人に媚びるなんてダサいわね」

 

「助けて欲しい時は助ける。そう言う口約束だ」

 

「口だけの約束は、約束じゃないわね。其れに距離も有る……声なんて抑々届く理由……」

 

「ハイ其れフラグ」

 

 空を切る音はジェット機の如く、いやぁ、彼奴は流星だったな。

 

 そして着地は隕石の如く、に、非ず、だが物凄いスライディングを決めて、霧雨魔理沙、万全を期して参上。

 

「お前の性格に合わない絶叫に大事を察して助けに来たぜ、ヒツキ☆」

 

 親指を立てる。

 

 「助けて」はヒロインっぽくて何か嫌だし、かと言って命令形で「助けろ」も何か違う、「ヘルプミー」も恰好付かない。

 

「有難う魔理沙。処で一昨日ぶりだな」

 

「ああそうだった! 復活御目出度う!」

 

「再び有難う。サッパリした奴は好きだぜ」

 

「止せよ、此処で告ってもマスパしか出ねぇぜ?」

 

「出来ればが悪いんだが、お前の友達にぶつけてくんねぇかな?」

 

 場所は理解して居る、そして救助の阻害対象も。

 

「魔理沙退きなさい。其奴は異変の主犯格よ?」

 

「そうか、大変だな。だけど私は友達との約束が大事なんでね。後、お前と異変の主犯候補共闘討伐ってのは聞き受けねぇぞ」

 

 清々しく、絶対付き合い期間俺より圧倒的に長い筈の友人より、高々一日の付き合いである俺を守る事に徹する魔法使い、霧雨魔理沙。

 

「ならアンタも其奴と同様、退治してやるわよっ!」

 

 霊夢が先制を取る。

 

 浮かして居た陰陽玉を二つ同時に放つ。

 

 二人共躱し、空へ避難。

 

 霊夢も飛べるのだし、浮遊アイテムだから避難なぞ一時では有るが。

 

 躱した二人は空で合流し、言葉を交わす。

 

「悪いが魔理沙、囮に成ってくれ。俺は此の郷を逃げ回るぞ」

 

「ハッ、折角復活して再開しての会話そしてお前自身、地獄より最低だな。私は私でダチを裏切ってダチに加勢して居るのにさ」

 

「彼奴は俺に異変と言うカテゴライズ憎悪が有るみたいだが、俺には彼女に対して有るのは嫌悪だけだ」

 

「其処は事情とか感情伏せとけよ、俺には無いってさ~。寧ろ霊夢に立ち向かって行けよ」

 

「嫌いなだけで傷付けたい動機には当たらない」

 

「私だって動機こそは無いし」

 

「だからこその助け船だ。頼むよ魔理沙」

 

 魔理沙の肩に右手を乗せる俺、何か仕向ける積りですね。

 

「ハァ、仕方ねぇな。その手に甘んじてやるぜ。お前の消失の右手の手に、な」

 

「いーや、右手には何も付けてねぇよ?」

 

 二つの袖を片手片手で捲り、左手首には数珠、右手首には何も無い事を証明するべく、左手に右手首の数珠を摘まんで居る。

 

 手の能力がマジックアイテムで、右手には何も装備して居ない事実を突き付けられた魔理沙は、軋る歯を見せて悔しそうに睨み付けたが、

 

「もう一遍くたばっとけロクデナシ……」

 

 と、霊夢に目線を戻し、捨て台詞を残す。

 

 扨て逝こうと、じゃなくて行こうと想って振り返れば、見せびらかして居た右の数珠は何時の間にか左手から離れて居た。

 

「だが、くたばるには『生命力』を消さなきゃな」

 

 魔理沙が盗った。

 

「お前にギャフンと言わせる為に借りただけだ。返すからさっさっと行けよ、ほら」

 

 捨て台詞に飽き足らず、数珠をも放り捨てる魔女。

 

「私は囮で只の時間稼ぎだ。決着はテメェで付けろよ……」

 

「嗚呼、恩に着る」

 

 俺は階段を下りる様に空から身を降ろす。

 

 

 

 時既に飛んで居た霊夢は手を腰に付けて待って居た。

 

「全く、何であんな奴に手助け出来るのかしらねぇ、魔理沙は」

 

 片手で呆れたとジェスチャーを投げる霊夢に対し、魔理沙はヤレヤレと手を挙げて首を振る。

 

「そっくり其の儘、何であんな奴を助けるのか、私にも解らないぜ」

 

 だけど悪い気はしない、其れだけは解る……何故悪い気に成らないのかも説明が付かないが。

 

「扨あて、此処を通りたければ、私を倒して行くのだZE☆」

 

 

 

 

 

【逃走】

 

 

 

 走る。

 

 俺は、走る。

 

 何の為に走る。

 

 のか解らないが、走る。

 

 走る。

 

 と言っても、1フレームだけのポーズを取って低空浮遊移動しているだけに過ぎないんだがね。

 

 

 

 ズシャリ。

 

 

 

 んぁ、ズシャリ?

 

 木陰に隠れ、様子を窺う。

 

 木が重々しく砕ける音が聞こえると言うか、重く砕ける木の音を知って居る自分がおかしいと言うか、だけどまぁ何か木の扱いが酷かった奴一人居たなと言うか、環境破壊は快楽沿い、と言うか。

 

 砕けてからはゆっくりギシギシと倒れて、地に叩き付けられる音が、響き渡る。

 

 

 

 扨て、此処より冒頭に戻る。

 

 走って息切れている事が俺に有る訳ねぇだろバーカ。

 

 何時だって魔が差して生きるてやるわ。

 

 って、言って居る場合じゃねぇな。

 

 数分、嗚呼数分。

 

 霧雨魔理沙と言う贄、括弧、お助k……贄、括弧、犠牲は、辛くも二分と言う時間、俺の逃亡の為に繋いでくれたが、空を飛ぶ事を得手とする巫女にとって、いや、理屈じゃあこのインターバル稼ぐの早過ぎるし、魔理沙、マジで囮として頑張ったのよね?

 

 

 

 

 

【霊魔】

 

 

 

「――私を倒して行くのだZE☆ とは言っても先手は私からだけどな! 喰らえっ、「恋符」マスタースパー……」

 

 と、ミニ八卦炉を取り出し、霊夢狙って、腕を前に構えるが

 

「悪いけど、遊びに付き合ってる暇は無いのよ」

 

 弾幕ごっことは、博麗霊夢が考えた誰でも勝機の有る半分遊びの勝負法なのだが、然し其の積りは魔理沙だけで、今回霊夢は標的を取り逃がし、其れ処ではない。

 

 前に構えた両腕は、何処からともなく現れた霊夢の護符、ホーミングアミュレットに括り付けられ、魔力を差し抑えられる。

 

 そして霊夢、間髪入れず魔理沙の上を取り、背中を張り手で地面へと叩き落とす。

 

 事迄はせず、地面間近で背中を掴み取り、ゆっくりと地面に下ろす。

 

「私は友達だと思って居るんだから、此れで済ましてあげるわ」

 

 友達だと思って居る者に対し、この仕打ちはあんまりじゃないか?

 

 何なら足も括り付けられる……。

 

「だけど、彼奴だけは容赦しない」

 

 霊夢は、そう言い残し、立ち去ろうとする。

 

「……あの~、私は此処に置き去りなんだろうか?」

 

「石段じゃなかっただけ有難く寝転がってなさい」

 

 そう言う事じゃないんだが。

 

 

 

 

 

【☆☆】

 

 

 

 扨て現在。

 

 日照りの快晴、陽炎見せる猛暑の夏日、成す術は無く、霧雨魔理沙は、神社の地面で拘束放置されて居た。

 

「うぅ~…油断したぜ……。元寇での相手みたいな奴に台詞なんか吐くんじゃなかった……あっつ~いぃ~…!!!」

 

 

 

 

 

【○●】

 

 

 

 所変わってヒツキの潜む、神社付近の森林。

 

「出て来なさいロクデナシっ! アンタなんか垢舐めにも相手にされない塵屑粕同然よ!」

 

 おっほぉ~えれぇ云われ様……まぁ事実だが、煽る奴は煽られる覚悟が有るのかねぇ~……。

 

 [記術式神]〈カラス〉、〈パックンチョ〉。

 

 折り紙で作られた遠隔メガホン。

 

 カラスが伝達替りで相手の元へ飛行し、パックンチョがマイクを担う。

 

 何処からともなく霊夢の間合い外、目の前に折り紙カラスが現れ、其処で止まり口を開く。

 

『煩ぇ垢嘗めの残す粕ですら食えない貧乏巫女が』

 

「其処かァー…ッ!!!」

 

 何かを投擲し、円環が二個作られたかと思ったら、俺の佇む木へ目掛けて一直線に大幣が大木を震わせる程勢い良く刺さり、何なら貫通、したので霊夢に見えない死角で避けて。

 

 出る杭は打たれるのだと説明して居るのか、陰陽玉が突き刺さった大幣を押し込み、もう一つの陰陽玉が梃子の原理を利用してか、木の上面に当たり俺の方へと倒れ込む。

 

 人間じゃねーだろ、あの巫女。

 

 魔力探知と言うのか其れとも地獄耳の類か。

 

 そんな事よりも普通木に棒が刺さるか?

 

 鋭利と言う理由でも無い、細い円柱の大幣。

 

 あの巫女どんだけ鉄分多いんだよ……拳だけじゃなくて腕もなのかよ。

 

 いや、この大幣ですら中身鉄説有る有r無ーよ。

 

 まぁ俺も人間か如何かは言えた事では無いと倒れる木の面を足で伝って、逆さ走りで空からは見えない程度に、他の木に移り込み移動する。

 

 移動と言うか、最早神社近辺の森から立ち去った方が良さそうだな。

 

 幻想郷からは立ち去らねぇゾ、意地でも。

 

 然し何処へ向かう。

 

 俺は此処の土地勘なんか、神社から南側に在る里と南西側の森、廃館、湖、紅魔館。

 

 神社出て左に向かって得たマッピングだが、今回は右。

 

 フレンドの空雛と、想いの力ってスゲェ村人A照裸々と会話したプレイスを突っ切って、今現在何処に到り、移動中、逃走中、迷走中。

 

「見つけたわよ。観念なさい、陽月さくら!」

 

 チィッ、低空飛行で追い掛けて来たか。

 

 こっちは足こそ浮遊を掛けて居るが、移動はちゃんとしたパルクールだゾ。

 

 然しそんな事露知らず容赦無く木々を避けて此方目掛けて大幣で殴りに掛かる。

 

『キィン』

 

 やっぱ鉄入ってんだろ。

 

 妖怪が鍛えた刀を木材で抑えられるか?

 

 

 

 

 

【妖咲】

 

 

 

「師匠、お怪我は?!」

 

 ”魂魄妖夢”の登場、桜観剣で応戦する。

 

「お前が師匠と呼んでくれた事で、心の傷の内の一つが晴れたよ」

 

 一番好印象だったお前との遣り取りが妄想じゃ無くて良かった。

 

「御役に立てて何よりです。己、霊夢、師匠の童心に傷を付けるとは」

 

 俺の成長を思っての言かな。

 

「傷つけられたく無ければ、脇を空けない事ねっ!」

 

「自虐ネタか、其れは」

 

 って言っている場合じゃねぇ、針だ。

 

『カキィン』

 

 木琴から鉄琴へと、今日は良く金属音が響く。

 

「馬鹿な事言ってないで……此処から逃げるわよ、ヒツキ君」

 

 ナイフで針を払い、凛として登場するは、メイド”十六夜咲夜”。

 

「あぁ~冷淡な君付け呼びはちゃんとパイ先だわマジパイ先パイ先」

 

 幻想だけど、夢じゃなかった。

 

「ハイハイ後で一杯呼んであげるから」

 

「ウザいから止めて」

 

「如何して欲しいのよ」

 

「今日の下着は青色?」

 

「赤と見ました」

 

 オシエテホシー。

 

「惜しいわね」

 

「惜しいんだ……」

 

「惜しいんですか……」

 

 じゃあ紫かな。

 

「紅魔館の労働力を削り取る事」

 

 削り取る(物理)。

 

「そっちの惜しいか」

 

「そっちの惜しいですか」

 

 呆け三人のツッコミ不在、あ、二点五人と零点五つ。

 

「私を蚊帳の外にするな! 何でアンタ達が此処に……」

 

 ツッコミ居たわ、オラが訪ねるべきだった事だけど、本当何故?

 

「処でヒツキ君、お嬢様から伝言―――」

 

 未だ蚊帳の外にするんだ、この時季多いから蚊取り線香備えた方が良いのに。

 

「『一日紅魔館の雑務をほっぽり出した挙句、異変を起こして博麗の巫女を敵に回したわね。解雇くびよ。』――ですって☆」

 

 ォオマイガァ。

 

 私の頭は殺虫スプレーでも撒かれて苦しみ藻掻く害虫の気持ちです、精神が虫の息です。

 

「なら何故来たのよ二人共……」

 

「ヒツキ君の大声が聞こえたのよ」

 

「師匠の御声が聞こえましたので」

 

 二人同時して同じ理由を述べる。

 

 咲夜さん、なら其れ単独行動だけど何で?

 

 そして俺の絶叫ヤバいな妖夢。

 

 確かに一度冥界で叫んだ事は有っても、顕界から冥界に迄、御迷惑掛かる程度の絶叫なんて……。

 

「お嬢様はクビにしたけど、私は別に従者後輩で無くとも、友達では有るからね」

 

「師匠がお困りで有るなら、不肖妖夢、何時でも助太刀に参りますよ?」

 

 何この二人格好良い、ヒロインなのにヒーローだわ、英雄と言う名のヒーローだわ、ヒロインなのにヒーローは女権損害だったわ御免。

 

「悪いけど其奴は異変候補よ。助ける義理は無いと想うのだけれど……」

 

 そう僕悪い子、『ヒロインなのに』なんて女括りで侮蔑みたいな事を考える異常で異端な異分子です。

 

 されど咲夜は右手を脇腹に付け、左手は何処へ行くのか顔と同じ高さ迄上げて、首を横に振って、漸く蚊帳外の苛立つ蚊に目を向ける。

 

「ええ、突然館に遣って来た此のロクデナシに紅魔館一同身包み剥がされて地下牢で監禁凌辱されるのかと思ったけど……」

 

 何思ってんの此のメイド、異常で異端で淫乱な異分子です。

 

 仕置きプレイ求め過ぎじゃない?

 

 下着の色を尋ねる奴には当然言われたく無いだろうけど。

 

「でも従者後輩として紅魔館で仕えて居たんだから、異変じゃ無いけど異変よね……不思議だわ」

 

 幻想郷で不思議と語る瀟洒な従者の其の瞳に、塵一つ等、有る訳無し。

 

「私も、何故此の方が師匠なのかと疑問を持った昨晩の屋台での飲み会でしたが……」

 

 矢っ張、愚痴話だったジャン昨日。

 

 御免なぁ、剣は圧倒的異端以下の異能頼り、粕雑魚ミカヅキモの俺が師匠で。

 

「見縊って居たり疑って居た理由では有りませんよ師匠?!」

 

 乙女は両手を胸に当て、微笑で語り、感情を膨大に曝け出す。

 

「寧ろ私には勿体無い限りの恩師が出来た事が恐縮千万、明日私は半霊諸共彼岸を渡るのかと、己の幸福に申し訳無さで悲観して卑下した限りです。有難う御座います師匠、師匠になってくれて。師匠凄いっ、格好良いっ! ……大好きです」

 

 俺を読まないで褒めないで好かないで、そして自分を貶めないで。

 

 何か恥ずかしいってこう言う事なのか、今すぐ誰か”陽月さくら”を交代して。

 

「~~~~//////」

 

 おい十六夜先輩何処向いてんだ、この状況如何にかしろや。

 

「茶番は茶の間でやれ」

 

 良く言った、敵乍ら天晴じゃ。

 

「いいえ本心です。本心は今この場で伝えるべきで、私は真剣に師匠の味方なんです」

 

 お前一寸黙ってろ有難いけど言い返すな。

 

 話の腰が折れ捲りって言うか俺捲りなんだよ。

 

 武器で犇ひしめく霊夢と妖夢は距離を取る。

 

「アンタ達、正気じゃないわね。異変に力を貸すなんて、幻想郷が如何なっても良いの?」

 

「ヴッ、ウン……」

 

 咲夜パイ先が正気、なのかを取り戻そうと咳込む。

 

「悪いけど、さっきも説明した通りヒツキ君が幻想郷に災害を齎もたらす程度の異変を起こす様な輩とは到底思えないわ」

 

 内容はこうだな、皆お昼寝の猫人異変とか如何だ?

 

「してるならとっくに私達首輪で野晒し恥曝しでしょうし」

 

 阿保か貴様、野良猫だよ。

 

「若し仕出かしたとしても、私は彼の味方に成るかもね」

 

 先輩一生付いて行くっス、貴様に首輪を着けて。

 

「其の思考の時点で異変だっての……」

 

 ホントだよ、洗脳かよ。

 

 だが二人は鼻で笑い、余裕の表情。

 

「さぁ、掛かって来なさい、正義の味方……」

 

 両者、俺の前に堂々と立ち、構える。

 

「ヒツキ君は私達が守るわ!」

 

「師匠は私達が守ります!」




別に妖夢が人気一位で可愛いから、ヒロインオーラ出し捲りでひいきしてる訳では無いです。うん。多分。
主人公は「自分(読者)」って考えで良いんですけどね。
度は過ぎないでねってところ。
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