~まどか視点~
中学二年生になってから何ヵ月か過ぎた、さやかちゃんと仁美ちゃんとの帰り道。
今日も私は
「今更だけどまどかって成績良いよねぇ~。やっぱり塾に通ったりしてるの?」
「ううん。そういうのはしてないけど1日最低2時間は必ず勉強してるよ」
「へぇー。でもそれだけでテストは満点を総なめしてるんだから羨ましいな~」
「そうですわ。それに何か習っているわけではないのに、音楽の授業でも一番お上手ですし、何だか自信を無くしますわ……」
「もしかして言わないだけで何か習い事をしてたりしないの?」
「そんなことないよ。ホントに何もやってないから」
「このぉ~。さっさと白状しろぉ~」
「きゃぁっ!?もう!さやかちゃん、いきなりくすぐらないでよ!」
そんな風に表は表情豊かな仮面を、そして仮面の裏はつまらない日常にうんざりした顔をしつつ友達と歩き続けた。
そして、途中で仁美ちゃんとは習い事で別れ、さやかちゃんとは上条君が入院している病院に行くとの事で別れ、そうして私は一人帰路についた。
家族と夕食を食べ終え、寝間着を着てベッドに向かう。
そう言えば少しだけ話が変わるが、楽しみが無くつまらない日常を過ごす内に何時しか唯一の楽しみが出来た。
それは、誰にも言った事のない私だけが一年前から見る夢の事だ。
夢を見始めた最初の半年はあまり代わり映えがなかったが、半年経ったある日に見た夢は今までと大きく変わっていたのだ。
戦っていた少女の面子は変わらなかったが、戦闘場所が大きく変わっていた。
そこは、見たこともない黄金の大きな城でその城には誰も人影が見えないのに人の存在は確かにしている。
それどころか、城自体から数多の人の気配がしている場所だ。
私はそこで一人、城の中心にある玉座の様な椅子に脚を組んで片手で頬杖をつきながら座っていて、大きな化け物と対峙していたさやかちゃんも含めた四人の少女が座っている私に武器を向けて睨み付けている。
そんな、おかしな夢だがそれにも何時もと同じように既知感は有る。
有るにはあるのだが、つまらなくはなく、寧ろ見ていてワクワクした。
……そうだ。私はそんな風に戦える相手を望んでいた。
確かに前の様な他人を想い、友を想い、家族を想うような心は有るにはあった。
だが、今では
何時も自分で押さえつけている、今も日増しに強くなっていく力を解放したくて堪らない。
だが、現実でやれば相手を傷つけてしまうから出来ない。
ならば、そんなことにはならない夢の中で全力を出そう。
そうして私は、今日も夢の中で私と対峙する少女達を蹂躙するのだった。
「朝か……」
カーテンの隙間から日差しが差し込み、暗い部屋を照らしていく、その日差しが眩しくて目が覚めた。
楽しい夢も終わり、つまらない1日が始まる。
そう考えるとため息が止まらない。
とはいえ学校を休む訳にもいかない為、仕方なく何時ものように仮面をかぶって顔の表情を作ってから登校したのだった。
~ほむら視点~
まただ。またこの時間が来た。転校してきて最初の日が。
彼女にまた会えると思うと、笑うことを止めて動かそうと思わなかった顔も自然と笑顔になる。
「暁美さん。今日から新しい学校なので緊張してるかと思いますが、この学校の生徒は温厚な生徒が多いので安心してくださいね」
「分かりました。お心遣い痛み入ります」
「もし何かあれば何時でも先生は相談にのりますからね」
「はい。ありがとうございます。早乙女先生」
「よろしい!では行きましょうか暁美さん」
「はい」
そう言ってクラスの担任になる先生に連れられて教室に向かう。そして職員室から歩いて教室の前に着くと先生が私に
「ここで先生が呼ぶまで待っていてください」
そう言って先生が先に教室に入っていく。
教室の壁はガラス張りなので中が丸見えで、そこから中を覗くと彼女がいた。
救おうとして手を伸ばしたが届かず、それでも諦めきれなかった彼女の姿。
まどかを見るとやはり何時もと同じように、先生が彼氏に振られて怒っていて話している内容について、美樹さやかと苦笑いしながら話している。
そんな変わらない姿を見て安心しようとして……何故か出来なかった。
変わらない筈のまどかの姿。だが彼女を見ていると、とてつもない違和感を感じる。
救うと決めた相手な筈なのに、ここで彼女を
だが、そこで先生に呼ばれた私は何を馬鹿なと思い、そんな思考をすぐに捨て去った。
この時、時を戻しておけば良かったと永遠に後悔することになるのに。
「じゃ、暁美さん。入ってきて下さい」
そう言われて扉を開け、中に入る。
そして黒板の前に立って挨拶をしようとして、まどかの様子がおかしい事に気が付いた。
まどかは驚いた様子で、目を見開いて私を見てきていた。
そして、次の瞬間頭を押さえて痛そうな素振りをし始める。
「先生!彼女が!!」
「暁美さん?いきなりどうしたの……って、鹿目さん!?」
私を見ていて気付かなかった先生の視線をまどかに向けさせた後、先生は驚いた表情をして彼女に近づいてまどかの容態が悪そうに見えたため、先生が保健室に連れていく事になった。
こんな事は今までに起きなかったせいで頭が上手く働かなかったため、先生に支えられて保健室に向かうまどかを、私はただ見てることしか出来なかった。