辿り着いた末路   作:エスカリボルグ

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……お久し振りです。(毎回言ってる気がする……)
こんなに遅れた理由を言い訳させてもらうと
「僕と契約して……」
のプロットをチマチマと書いていたからです、はい。

……ほんとですよ? 別にゲームとかやってないですよ?

そ、それでは本編をお楽しみにください。



第9話

~さやか視点~

 

マミさんの家で魔法少女について聞いてから数日後、今日は先日決めた魔女退治見学会の日。今は校門前でマミさんのことを待っているところなのだ。

 

「うーむ……暇だ」

「全くさやかちゃんは……。マミさんは時間かかるから待ち合わせしようって言ってたのに、それを押しきったのはさやかちゃんだよ?なら、我慢して待とうよ」

「ぐぬぬ……」

 

私は何も持っていない為、暇を持て余していたが、まどかは一人ブックカバーの付いた本を読んで暇を潰している。

私は気になったので聞いてみることにした。

 

「まどかぁ、それ何読んでるの?」

「これ?これはねー……。何だっけ?」

 

そう言いながらブックカバーを外して中を見る。

 

まどかさんや、自分の読んでいた本の題名を忘れるのは将来、ボケが早めに来そうでさやかさんは心配だよ……。

 

「あぁ、これは『神曲』だね」

「……どうしよう、まどかがいつの間にか成長している気がする。私には難しすぎて理解できないよ」

「大丈夫、私も理解できてないから」

「理解出来てないのに読むって、それって本の内容楽しめるの?」

「うーん、まあ何もしないで時間が過ぎるのを待つのは無駄だから何となく読んでるだけだしねぇ」

「そうなんだ……。何か暇潰しになりそうな本、持ってたりしない?」

「えーと……。ごめん、これくらいしかないや……」

 

そう言って取り出された本は、何故か英単語の本とお菓子のレシピ本だった。

 

「……英単語の本はわかるけど、何故お菓子のレシピ本?」

「実は暁美さんからお菓子の作り方が分からないって聞いて貸してたの」

「へぇー、そうだったんだ……。私もそれ、暇潰しに借りてもいいかな?」

「うんいいよ、はいどうぞ」

「ありがとう、まどか」

 

ふむふむ、なるへそ。マドレーヌとかクッキーとかってそんな感じに作るのね。難しいと思ってたけど、これなら意外と簡単に作れそうかも。

……今度、恭介に会いに行くとき持っていこうかな。

 

「おまたせ、美樹さん、鹿目さん」

「お、来ましたかマミさん」

 

読み始めたと同じタイミングでマミさんがやって来る。彼女の左肩にはキュウベエが乗っていた。

 

「それじゃあ今から魔法少女体験会を始めるけど二人とも準備はいいかしら?」

「準備になってるかは微妙だけど……。私はこれを持ってきました!」

 

そう言って、私はもしもの時のことを考えて持ってきた金属バットをだした。

 

「まあ、()()()()ことが起きないようには極力するけどそう考えてくれてるのは助かるわ。鹿目さんも準備はいいかしら?」

「ええ大丈夫です、巴先輩。私はこれを持ってきました」

 

そう言ってまどかが取り出したのはボールペン五本、傘一本、棒一本だった。

 

「……え、えーと。この道具は?」

「ボールペンと傘はママから防犯用のを借りて、この棒はパパから借りました」

「というか、この棒ってかなり短いけど何なのまどか?」

「これはね……。えい!」

 

まどかが棒を少し弄ると伸びて、短い状態より三倍くらい大きい長さになった。

 

「こんな風に伸びる携帯用の警棒だよ」

「そうなんだ……。というか、まどかパパは何でこれ持ってるの? 確かこれって軽犯罪法に触れた気が……」

「……」

 

私がそう言うとまどかは今それに気が付いたのか、笑顔で固まって冷や汗を流している。

 

「……ク、クラスの皆には内緒だよ?」

「……」

 

弁明を求めているのに無言を貫く辺り、このまま押し通すつもりなのだろう。

 

「ま、まあとりあえずそれについては置いておくとして、これを渡しておきますね巴先輩、さやかちゃん」

 

まどかから何故かボールペンを一本渡された。マミさんもボールペンを渡されたはいいが、少し反応に困っている。

 

「お母さんから借りてきたと言ってたのに良いのかしら?」

「あ、その二本は私のお小遣いで買ったものなので大丈夫ですよ。もしものときに役立つかもしれないし、普段も使える物なので是非受け取ってください」

 

流れを誤魔化す為かと思ったが、最初からプレゼントとして渡すつもりだったようだ。なんとなく、ドヤ顔をしながら

 

「ふむ、このお返しはさやかちゃんの手作り御菓子を送ろう」

「は、ははあ」

 

そう言って咄嗟にお辞儀しながら乗ってくれるまどかが大好きです。

 

「それじゃあ鹿目さんも準備が出来てるようだし行きましょうか」

「はーい」

「分かりました巴先輩」

 

ということで私達は校門を後にした。

 

……まどかが腕の袖の下に棒を隠し持ったり、靴下のなかに見えにくいようにボールペンを入れてたのは見なかったことにした。

 

たくましくなりすぎでしょ、まどか……。

 

 

_______________________________________________

 

私達は今、マミさんがソウルジェムを使って歩きながら魔女を探してる後ろをついていってるところだ。

 

(しっかしこれ、便利ですね)

(ええ、話しにくいことや遠距離でも何も使わなくても連絡を取れるから重宝するわ)

 

実は今の会話は魔法少女なら誰でも使えるという念話というものを使って、口に出さずに会話をしている。

これを知った瞬間、テストで友達に答えを教えてもらい放題かもと舞い上がった。

 

(あ、さやかちゃん。これを使ってテストで答えを教えたりはしないから)

(……まどかはエスパーなの?何で分かったのよ……)

(いや、何となくそんなことを考えてる気がしたから言ってみただけ)

(ぐぬぬ……)

 

心を読めるとか、もうまどかの前では隠し事が通用しないじゃん……。

 

(美樹さん、そういう邪なことを考えちゃだめよ)

(はぁーい)

 

マミさんにも怒られてしまった……。

まあ、仕方ないか。マミさんはこういうの使わないで、自力でやろうとするだろう。まどかも、これを使わなくても普通にテストで満点取れるからいらない。

必然的にこれを必要としてるのは私だけだからなぁ。

 

……これが四面楚歌というやつか。

 

「……ぉーい、さやかちゃーん!」

「っ! ど、どうしたのそんな大声を出して?」

「いや、話しかけてるのに無視するだもん」

「あー……。いやぁー、ごめんね? 少しボーッとしちゃってさ」

「さやかちゃんが上の空になるなんて珍しいね。何かあったの?」

「どうでもいいこと考えてただけだから大丈夫だよー」

「そう、それならいいんだけど。何かあるなら言ってよ?」

「はいはい」

 

そう言ってるまどかが背伸びしてる子供の様に見えて、つい頭を撫でてしまった。そうするとまどかが頬を膨らませて子供の様に怒りだす。

 

「むーっ!さやかちゃんの背が高いからって子供扱いは止めてよぉ!」

「アハハッ。ごめん、ごめん。つい手が動いちゃってさ」

「……もうやらないでね?」

 

まどかが上目遣いでそう言ってくる。

 

……ハッ!

 

あまりの可愛さにまた撫でようとしていたのか、右手が自然とまどかの頭へ吸い寄せられていく。

そして、その右手を左手で掴んで止めるというよくわからないことをしていた。

 

あまりの可愛さに無意識に撫でさせようとしてくるとは、流石やで。

 

「二人とも魔女の反応があったわ。準備はいいかしら?」

 

そう言ってマミさんが止まった場所は廃ビルの前だった。

 

「ええ、何時でも大丈夫です」

「オーケーですっ!」

 

そう言って私は金属バットを、まどかは防犯傘を何時でも対応出来るように持った。

だが、私達を無視して何かに気が付いたのか、廃ビルの屋上を凝視しながら魔法少女の姿に変身する。私達もマミさんの視線の先を見ると一人の女性が飛び降りていた。

このままでは地面に落ちてしまうと茫然としていたが、彼女が落ちると同時にマミさんが黄色のリボンを出し、落下中の彼女に巻き付けてゆっくりと降ろした。

 

「マミさん、その人は一体……」

「……ここを見て」

 

マミさんは落ちてきた人の首を指差す。

そこには蝶々のマークが入った紋様があった。

 

「マミさん、これは一体?」

「これは魔女の口づけよ。これを付けられた人は、魔女の餌にされてしまうの」

「餌、ですか……?」

「大抵の被害者は自殺や事故死で片付けられてしまうから、気付かれないのよね。あなたたちの近くに怪しい行動をしてる人がいたら、このマークがあるか確認して、あったら連絡しなさい」

「了解っす!」

 

マミさんは落ちてきた人をその場において廃ビルの奥へ進む。

私たちもそれに続いた。

 

廃ビルの中に入ると入り口から少ししたところに階段があった。

普通ならなんの変哲もない階段なのだが、その上には先程見た、魔女の口づけと同じマークが空中に浮いていた。

 

「あれが魔女の結界の入り口よ」

「魔女の結界……?」

「ああ、いい忘れていたわね。魔女は周りの目から隠れるために自分のテリトリーを作り出すの。それのせいで普通の人では見ることすらできないって訳」

「だから、警察では役にたたないと言っていたんですね」

「そうよ。さてと、美樹さん。鹿目さん」

 

そう言ってマミさんは私の金属バッドとまどかの傘を掴んだ。

するとそれぞれに変化がおきて、白く可愛らしい装飾のついたバッドと傘になった。

 

「何かあればこれで身を守れるわ」

「ありがとうございます、巴先輩」

「それじゃあ、二人とも。行きましょう」

「はい、マミさん!」

 

そうして、マミさんを先頭に私達は魔女の領域へと踏み込んだ。

 

 

 

 





獣殿の因子の侵食率
約60パーセントのまま、変化なし

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