今日はリンドウさんとユウ、アリサ、あと俺の四人で任務に出ていた
「今日はシユウ二体、コンゴウ一体が討伐対象だ」
俺が作戦を説明する
「まず聴覚に優れているコンゴウを四人で速攻で潰し、その後二手に分かれてシユウを二人で一体ずつ相手をする。で、いいか?」
「問題ありません」
「了解です」
「異議なーし」
贖罪の街での任務だか、俺の本来の目的は前に感じたあの気配をもう一度確かめたいというのもある
「しっかし、新型の皆さんに囲まれるのもなんか新鮮だな!足引っ張らないように気をつけるんでよろしく頼むわ」
新型の俺でもリンドウさんには敵わないのに何言ってんだか
リンドウさんがアリサの肩にポンっと手を置くと
ピシンっ
「きゃあっ!」
アリサはビクッとして後ろにバックステップをする
その場に沈黙が走る
「……おーおーこりゃ随分と嫌われたもんだなぁ」
「い、いえ…そんなつもりじゃ…」
「ははっ冗談だよ。そーだなーよしっアリサ」
リンドウさんは空に指を指す
「混乱しちまった時はな、空を見るんだ。そんで動物に似た雲を探して見ろ 落ち着くぞ。それまでここで待機だ。俺とユウでコンゴウを倒すその後こっちに合流して二手に分かれよう」
「そ、そんなことしなくても」
「これは命令だ。いいから探せ、な?」
そう言ってリンドウさんとユウは先に行った
「アリサはリンドウさんのこと嫌いなのか?」
さりげなく聞いてみる
「好きとか嫌いとかそういうんじゃないんです。ただ何か…」
彼女は何かを思い出すような仕草をするが駄目だったようで
「……私にも正直わかりません」
「…そっか。おっ!あれ見ろよ。新種のジャイアントトウモロコシみたいじゃないか?」
「え?どれですか?」
「ほら、あれだよ!あれ!」
「え?……ふふっそうですね」
彼女もだいぶ落ち着いたようだ
「ありがとうございます。キワムさん。少し楽になりました。さっ!行きましょう!」
その後リンドウさんたちと合流し、シユウ二体も苦戦することなく片付いた。リンドウさんからもお礼を言われ少し嬉しく思いつつヘリに乗り込んだ
その帰る途中
ビビビッ!!
「緊急事態です!アラガミ装甲壁が突破され大量のアラガミが外部居住区に侵入!総員直ちに帰投し撃退して下さい!」
「なっ!?嘘だろ!?場所は!?どこからの侵入だ!!」
キワムさんが珍しく動揺している。無理もない外部居住区には次郎さんをはじめ、コウタやカノンさんなどの家族がいるからだ
「場所はおそらくE26エリアだと思われます!」
「E26……!!」
キワムさんの顔が青ざめる
「おい!キワム!E26ってお前の…!」
「くそっ!もっとスピードだせねぇのかぁ!!」
「す、すみません!これが限界です!あと6分で着きます!」
「くっ…防衛班の状況は!!?」
「現在第一部隊のメンバー3名と第二部隊がアラガミと交戦中!しかし、アラガミの数が多く被害が大きいです!第三部隊は住民の避難をさせています!」
「カノンっ!コウタっ!頼むっ……!」
「わ、私達はどうすれば…」
「向こうに着いたらすぐに戦闘ができるように準備しておくんだ。おそらく今から見る景色は残酷で酷いものだろう。覚悟しとけ」
いつものキワムさんとは違う低く冷たい声だった
「キワム、気持ちはわかるが先走るなよ。まずは住民の安全確保が最優先だ」
「わかってる…わかってるさ…」
被害は想像以上に深刻だった家はほとんどが壊され、火があがり、あちこちで悲鳴が聞こえる。ここは対アラガミ装甲に囲まれており逃げ場は限られている
「許さなねぇ……!!」
キワムさんの手は強く握りしめられており怒りが伝わってくる
「キワム!お前はE26エリアに行け!逃げ遅れている人がいないか確かめるんだ!」
「リンドウさん…!」
「こっちは俺とユウとアリサでなんとかする!」
「わかりました!」
頼む…無事でいてくれ!!
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「こちらタツミ!現在のエリアの住民の避難は完了した!まだ避難が完了していないエリアは!」
「E1から13!そしてE20とE14の住民は避難完了!それ以外のエリアはまだ住民が残っています!」
「ちっまだ半分も避難しきれてねぇ……!!」
外部居住区は文字通り乱戦となっていた。アナグラの戦力のほとんどを今外部居住区の防衛にあてている。その理由はここが突破されれば支部本体にもアラガミが来ることになるからだ
「タツミっ!そっちは終わったか!」
「シュン!カレル!」
「やべーぜこれは!いくらなんでも数が多過ぎる!」
「住民の安全確保が最優先だ!アラガミもできる限り減らすんだ!」
「んなことわかってる…よっ!!」
アラガミを蹴散らしながら避難をさせる防衛班。しかし犠牲者は増える
「うわああああ!」
「お父さん!」
「振り向かないで!逃げるのよ!」
「いやだぁぁ!お父さん!!」
「ギャオオオォォォォ!!」
「そんなっ!」
ザシュっ!!
「無事か!」
「あ、ありがとうございます!」
「さあ、私達についてきて下さい!」
「アリサっ!避難場所までその親子を連れて行け!避難が完了次第また戻って住民を避難させるんだ!」
「わかりました!」
「ユウ!お前もアリサと一緒に行動しろ!」
「はい!」
「リンドウさんは!?」
「俺はちょいとあいつらの相手してくらぁ」
リンドウさんの視線の先には中型種のアラガミが6体ほどいる
「一人じゃ危険です!」
「心配すんなユウ。全部殺せなくても引っかき回すぐらいできるさ」
口調とは裏腹に彼にも怒りが見える。神機を構えるとアラガミの群れに突撃した
「おらぁぁ!!」
次々とアラガミをなぎ倒す
「すごい…!」
「アリサ!急いで避難させよう!」
「はい!」
アリサとユウは無事に親子を避難場所に連れて来ることができたが
「うぅ……」
アリサは口を手で押さえ顔色も悪い。無理はないここまで来る間に殺された人を何人も見たからだ
「これが現実だ。だからクソッタレな仕事なんだ」
そこにはソーマとサクヤさん、そしてコウタとカノンさんがおり、その後ろにはコウタとカノンの家族がいた
「ったくコウタのやつ一人で突っ込みやがって」
「ごめん…でもみんな無事で良かった」
「でも次郎さんが……」
カノンの表情が曇る。話によるとコウタの家族を逃がすため自ら囮になったそうだ
「だとするともう生きてる可能性はほぼないな」
ソーマの言葉にカノンが睨む
「そんなのまだわからないですよ!可能性があるなら今すぐに助けに行かないと!」
「本当にそう思っているのか?」
ソーマの言葉に言い返せない。他のみんなも何も言えなかった
「この状況で神機使いでもない人間が囮になり生き残れるとでも思っているのか?悪いが現実はそんなに優しくない。それよりもっと生き残れる可能性のあるやつを助けることが優先されるはずだ。自分の感情だけで行動し、救えるもんも救えねぇんなら元も子もねぇだろうが」
ソーマの言うことは正論だ。今は一人でも多く避難させるべきだ
「……でも……キワムは……!」
彼はどうなるのか?自分の親だけが救えず自分を見失ってしまうのではないか?何より彼の心を一番に支えていたのは次郎さんだ。彼がいなくなったら彼は帰る場所がなくなる
「っ……!」
自分の無力を痛感する。彼の居場所になると言っておきながら自分に自信が持てない。本当に彼の居場所になれるのか?彼の心の穴を埋めることができるのか?
「お前らっ!ここにいたか!」
「リンドウ!」
サクヤさんは少しホッとした表情になる。が、すぐに真剣な表情に変わる
返り血で所々赤く染まった彼は第一部隊の全員の生存を確認すると軽く息を吐き現状を知らせる
「キワムの援護をしようと思ったがあいつの勢いが半端なくて先には行かれちまった。とにかく今は出来るだけ多くの人を避難させるんだ!あいつのことだきっと生きて帰るさ」
「ふん…それぐらいわかってる…行くぞお前ら」
それぞれが頷く
「……………」
「カノン」
「あ、はい!」
リンドウは肩に手を置き真剣な表情で言う
「お前が考えていることは大体わかる。けどな遠距離型神機は乱戦には少し不向きなとこがある。とっさの攻撃をガードできねぇからな。キワムを助けに行きたい気持ちも分かるが今はみんなで行動するべきだ。大丈夫。あいつを信じて待とう」
「……はい」
アラガミを倒し住民を避難させる。それが第二部隊である私の役目……
「キワム……死なないで……!」
今までにない規模でのアラガミ侵入。この緊急事態にゴッドイーター達にも焦りが出る。目の前で人が殺され、喰われる。救えたはずの命が消えていく…ここにいるだけでも自分が狂ってしまいそうになる。死と隣り合わせの戦場で人が勝つか神が勝つか……
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