神と人と愉快な仲間達   作:パルモン

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第一章最終話です


終焉の時 (後編)

「なんだよ…これ」

 

キワムは全身に傷を負いながらも家についた

 

しかし、そこには家であったものがあり、見るも無残に破壊され二人で過ごしたあの家は面影すらなかった。隣のコウタの家も残骸だけが残っていた

 

「なんで…」

 

なんでいつも神は俺から大事なもんを奪う?否、神なんているはずがない。俺たちが戦っているのは神と呼ばれるアラガミだ

 

「親父ぃぃぃいい!!」

 

とにかく今は親父の生存確認だ。コウタとカノンの家族はヒバリさんから避難したと聞いたけど親父は避難したと聞いてない。妙な胸騒ぎがする。いや、何を考えているんだ!?そんなわけない。絶対に生きてる大丈夫。余計な心配はするな。とにかく探さないと

 

ガシャン、ガシャン

 

「ウォォォォオ!」

 

ゆっくりとそいつに振り返る。その目は再び赤く染まっていた

 

「ポセイドン…」

 

ノルンのデータに載っていた接触禁忌種だ

 

「邪魔ダ……ドケェェェ!!」

 

連戦を続けた体は疲労が溜まっている。だが、アラガミを見るとそんなもん関係ない。この身体が壊れてもアラガミを狩ることを止めることはないだろう

 

ドッドッドッ!

 

ポセイドンがミサイルを連射してくる。キワムはステップでかわす。そして一気に間合いを詰める。

 

「フッ!」

 

キィィン!

 

「チッ!」

 

ポセイドンの体は硬く弾かれた。すぐに銃形態に変えミサイルポットを撃ち抜く。

 

「グオォォオォォォォ!」

 

ポセイドンは叫びを上げながら突進してくる

 

「ハァッ!」

 

俺はポセイドンを余裕で超えるジャンプをし、上空から右側のミサイルポットに数発撃ち込み、結合崩壊する。そして、着地と同時に剣形態に変え、もう一度ジャンプをする。

 

「グオォォオ」

 

ポセイドンが振り返る。すると丁度ポセイドンの頭の真上に俺がいる状態になる。

 

「ハァァァアァア!」

 

チャージクラッシュを発動しそのまま垂直に落下そして重力を利用した強烈な一撃で頭を突き刺す

 

ブシャァアア!!

 

ポンプが破裂したかのような量の血が吹き出し俺も大量に血を浴びる

 

そのまま地面に叩きつける

 

「グオォ…オオ」

 

微かな声を上げ痙攣するポセイドン。俺はもう一度チャージクラッシュを発動した神機を振りかぶる

 

そして

 

ドツッ!

 

アラガミの死体を見下ろし俺は再び走り出した。あの人を探して

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うおおぉぉおおお!!」

 

リンドウの渾身の一撃が白いヴァジュラの体を切り裂く

 

「とどめだぁぁあ!!」

 

今切り裂いた体をさらに切り上げ、白いヴァジュラは仰向けに転がる。そして捕食形態に変え腹を喰らう

 

「終わりだ!」

 

通常のヴァジュラと同じ位置にコアがあり、コアを摘出。白いヴァジュラは生命活動を停止した

 

「はぁ…はぁ……」

 

リンドウは座り込み煙草に火をつける。こちらにゆっくりと近づいて来る黒いヴァジュラを見ながら…

 

「ははっちょっとくらい休憩させてくれよ…体がもたないぜ…」

 

疲労した体に鞭を打ち煙草を投げ捨てゆっくり立ち上がり、神機を肩に担ぎ、黒いヴァジュラに歩いて行く……

 

その様子はまるで最期の決戦が始まるかのようだった……

 

 

バッ!

ドッ!

 

お互いに同時に地を蹴り接近する。リンドウは避ける様子を見せない。そして

 

バシュン!!

バババババババ!!!

 

黒いヴァジュラの足に銃弾が叩き込まれる。堪らず黒いヴァジュラは地面に体を擦り付けながら倒れる。すかさずリンドウが黒いヴァジュラの片目を切り裂き潰す

 

「グオォォオォォォォ!!」

 

黒いヴァジュラは悲鳴を上げ、自身の周りに雷を発生させる

 

「おっと!」

 

リンドウはギリギリ回避する。そして、その場にサクヤ、ソーマ、コウタ、カノンが合流する

 

「リンドウ!無事で良かった!」

 

「なんとかな…」

 

「相手は一匹だ…さっさと片付けるぞ」

 

「みんなで戦えば楽勝さ!」

 

「こいつを倒してキワムを…!」

 

すると黒いヴァジュラは雄叫びを上げ背中から異形のものを出す

 

「おうおうどうした?お怒りかい?」

 

さっきまでとは違うオーラを放つ黒いヴァジュラ

 

「……なんだろうが関係ねぇ…ただぶっ潰すだけだ」

 

ソーマとリンドウが黒いヴァジュラに迫る

 

黒いヴァジュラは雷を纏った手でなぎ払う。二人はそれをかわし、両サイドから斬りかかる

 

「グオォォオォォォォ!!」

 

「ぐぅう!!」

 

「ぐあっ!」

 

自身の周りに雷を発生させ二人を吹き飛ばす

 

「これなら!」

 

カノンはリッカと発明したバレットを撃つ

 

アサルトの弾丸を超える速さで黒いヴァジュラの体に命中、爆発を起こす。

 

黒いヴァジュラは宙を舞い地面に叩きつけられる

 

「グオォォオ」

 

まだ終わらない、コウタとサクヤの銃弾の嵐が襲う。翼のような異形のものは折れ、マントはボロボロになる

 

「グオ…オ……」

 

黒いヴァジュラはなんとか距離をとる……が先ほどのカノンの一撃で体に張り付いたオラクルが大爆発を起こす

 

ドカアァァァァァァァァァン!!

 

耳を閉じたくなるような爆発音を鳴らし、黒いヴァジュラの体の半分が消し飛ぶ。そしてこちら側に飛ばされて来る

 

「ォォォ………」

 

すでに虫の息だ。

 

「じゃあな……クソ野郎」

 

ソーマがチャージクラッシュでとどめを刺す

 

黒いヴァジュラは断末魔を上げ絶命した

 

「いよっしゃぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

コウタがガッツポーズをして歓喜の声を上げる

 

気付くとみんな体は傷だらけでボロボロになっていた

 

「コアを回収しとくか」

 

黒いヴァジュラのコアを回収し、一息つく、こいつが群れのリーダーだったのか他のアラガミの勢いもかなり弱まった

 

「もう一息だな」

 

「キワム……」

 

リンドウがみんなに言った

 

「俺とカノンでキワムの援護に向かう。お前らは残りのアラガミを倒してくれ」

 

「リンドウ…」

 

サクヤは心配そうにリンドウを見る

 

「大丈夫だ。一人で行くわけじゃねぇ。カノンもいる」

 

みんなは頷き、すでに為すべき術がない残りのアラガミを討伐しに向かった

 

「リンドウさん…ありがとうございます」

 

「気にすんな、可愛い後輩のためさ」

 

カノンとリンドウはE26エリアに向かった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「親父ぃぃぃ!」

 

叫ぶが返事はない。いつのまにか周囲のアラガミはいなくなり俺は一人で瓦礫の下や周囲を探した。だが、見つからない。嫌な予感がする。胸騒ぎがする。想像したくない未来が頭をよぎる

 

「くそっ!」

 

ガツッ

 

何かが後ろに立っている。アラガミじゃない……けど何か混ざったようなものを感じる。冷や汗が垂れる。その何かを見る

 

 

「アァアァァァ」

 

そこには異形の存在があった。あの人と似たその体は赤と黒の鱗で覆われており、右手にはレイピアのような剣を持ち、左腕には……………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キワムは信じたくなかった。左腕には……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オレンジ色のリストバンドがあった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

嘘だ…嘘だ……嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ

 

 

 

 

 

 

 

 

「おや………じ……?」

 

ゆっくりと彼であったものに近づく…そして彼の前でリストバンドを見る…間違いない…俺があげたリストバンドだ……

 

その瞬間彼の中の何かが壊れた……

 

ズボッ!!

 

「ブッ!!」

 

腹に激痛を感じる。腹を見るとさっきのレイピアで貫かれていた

 

「がはっ!」

 

血を吐く。だがキワムはそれに反撃ができない。今目の前にいるのは彼なのだから……

 

 

「お…やじ……」

 

目から涙が出る。もう彼はいない……その事実が今目の前にある……………

 

 

(でもな?キワム。人生ってのは何があるかわからねぇ。もしかしたらお前の大切なもんを失うかもしれねぇ。けど、そこで折れたらダメだ。しっかり前を向いて歩くんだ。どうしても立ち直れねぇ時は、また………俺のとこに顔を出しに来い……俺が喝を入れてやるからよ…)

 

「うぅぅ……くっ…」

 

(お前が二十歳になったら一緒に飲もう)

 

ブシッ

 

体からレイピアを引き抜かれる。そして

 

ザシュ!

 

斜め下に切り裂かれる

 

「あがっ!!」

 

よろける体をなんとか堪える

 

「俺は……俺の大切なものは…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「キワムぅぅぅうう!!」

 

「!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大切なものは…失くしたくないものは…

 

 

 

 

 

「カノン!!」

 

まだ守るべきものはある!!!

 

 

「うおおぉぉおおお!!」

 

雄叫びをあげる。傷から血が吹き出る

 

「キワム!大丈夫!?」

 

「まだ生きてるみたいだな!ん?そいつは…」

 

「二人は下がっててくれ!親父は俺が倒す!」

 

「え!?そんな……」

 

「遅かったか…キワム!一人でやれるか!?」

 

「任せて下さい!」

 

 

神機を構える。その先はかつての恩人である

 

「ちったぁ成長したとこ見せねぇとな」

 

二人の悲しい戦いが始まった

 

 

 

キンっ!キンっ!

 

二人の高速の斬撃が繰り出される

 

なかなか速いな…!

 

「ここだ!」

 

神機で斬り上げる。彼の体から血が吹き出る

 

「まだまだぁ!」

 

今度は斜め下に斬る

 

彼の体にばつ印ができる

 

「オ…ォォォォ…」

 

「くっ……!」

 

思わず手が止まる

 

ザシュ!!!

 

「がぁっ!!」

 

レイピアで斬りつけられるが彼の首を掴み思い切りぶん投げる

 

「らぁあっ!!!!」

 

投げ飛ばされた彼は地面を転がる

 

 

 

「……もう、終わりにしよう」

 

キワムは神機を肩の上に上げ、腰を落とし、両足に力を入れる

 

ブオオオオオオオン!!

 

いつものチャージクラッシュとは違う

 

「あれは……!」

 

カノンはそのチャージクラッシュに神秘的なものを感じた

リンドウも同じくそれを見た

 

 

そのチャージクラッシュは溜め時間は長いものの神機の周りに集まるオラクルは金色に輝いており、神々しさを放っている。キワムのボロボロになった服は巻き上がる風でたなびいていた

 

 

「オオオオオオオオ!」

 

親父であったそれはキワムに突っ込む

 

「うおおぉぉおおお!!」

 

キワムも地を蹴る。その地面はえぐれる

 

そして—————

 

ブシャァァァァァ!!

 

彼はキワムの胸を貫き

キワムは彼の体を斜めに切り裂いた

 

()()()()()()()一撃だった

 

「キ……ワム…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、二人は泣いていた。

キワムは離すとずり落ちるであろう彼の上半身を支え

彼はキワムからレイピアを抜いた

 

「親父…俺…強くなったろ?」

 

「あぁ、立派になったな…それにすまない」

 

「気にすんなよ……もう、一人じゃない」

 

「そうだな…そうだこれをお前に返そう」

 

彼はリストバンドを外し、キワムの左腕につけた

 

「俺が持つよりお前が持った方がいいだろう」

 

二人は泣きながら笑う

 

そして

 

「親父……」

 

「キワム…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「ありがとう……さようなら」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして二人は同時に地面に倒れた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「キワム!しっかりして!目を開けて!」

 

次郎さんは黒いオラクルに包まれ消滅した

 

キワムはズタズタになった体でピクリとも動かない

 

「…………」

 

リンドウは煙草を無言で吸っている。その表情は髪でよく見えない

 

 

「お願い……私を…置いていかないで…」

 

大粒の涙が彼の顔に落ちる。血で汚れた顔を洗い流すように

 

アラガミは全て撃退した。多くの犠牲を出して…

 

 

 

 

「キワム……私…前に言ったよね…?貴方の居場所になるって……貴方をずっと支えるって……だからっ…」

 

その先は涙で言葉が出なかった

 

「うわあぁぁぁぁああ!!キワムぅぅぅうう!!」

 

彼女の泣き声がガラクタとなった居住区に響いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………………いてて」

 

「……へ?」

 

自分の手を微かな力で握られる

 

「誰も…死ぬなんて…言ってないだろ?」

 

絞り出すような声で彼は言った

 

「キワム…!キワム…!キワム!!良かったぁ…!良かったよぉぉ!!」

 

カノンは彼を抱きしめる。こみ上げる感情を溢れ出しながら

 

「痛い痛い!俺重傷なんだけど!?」

 

「ぶへぇぇぇ…!ごめんなじゃいぃ……」

 

「なんとかなるもんだなぁ」

 

「リンドウさん……」

 

「ったくアナグラの主戦力がなくなっちまったら俺の仕事が増えるからなぁ」

 

リンドウさんは煙草を吸いながら頭をボリボリかいている

 

「ほら、迎えが来たぜ」

 

 

 

 

「キワム…生きてたか…また無茶をしたな?」

 

「ソーマ…顔めっちゃ怖いんだけど」

 

「ふふっソーマずっと心配してたものね」

 

「なっ!?うるせぇ!」

 

「さて、アラガミは撃退したがまだ仕事はあるぞー」

 

リンドウさんが手をパンっと叩く

 

「アラガミ装甲の修復にそれに必要な素材の確保、居住区の復興作業にてんこ盛りだ」

 

「うげぇぇぇまじかよー」

 

コウタが落ち込む。その隣にはユウが合流していた

 

「アリサの容体は?」

 

「わかりません……今オオグルマ医師が看病しています」

 

「なるほどな…とにかくまずは帰るぞぉー」

 

「キワム?歩ける?」

 

「なんとか…」

 

カノンに支えてもらいながら俺はみんながいるアナグラに帰る

 

空を見上げるといつかのようにオレンジ色に染まっていた…………

 

 

 

 

 

 

 

 




第一章終了です。次からは第二章です。頑張ります
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