「きわむーゴハンー!」
「ちょっと待ってな」
俺は教会に来ることが日課になっていた。俺が教会に入るとどこからともなく現れて一緒にご飯、まぁコアを食べる。俺自身もアラガミを食べたことがあるため別に抵抗はなかった
「いただきます!」
「イタダキマス!」
この子の学習スピードはかなり早い。この短期間で少し言葉を話し理解をするようになった
「おいしーー」
「ははっそうか!」
この子…おそらく彼女といる時は不思議とアラガミが来ない。何かそういう能力があるのだろうか?
「んーそろそろ名前決めないとな」
「なまえ??」
「えーと……俺のことキワムって言うだろ?」
自分に指をさしながら説明する
「きわむ!おんなじ!」
つまり同じアラガミってことか
「まぁまた今度でいいか」
「んーー?」
「それじゃあ、俺そろそろ帰るわ」
「うん………」
彼女は悲しい顔をする。俺にもわかる…幼い頃ずっと一人で生きてきたから。一人の寂しさがどれほどのものか理解できる。だからこうしてこいつに会いに来てるのかもな
「また今度来るよ」
「こんどってなに?」
「え、えーと……周りが暗くなって、また明るくなったらだよ」
「そっか!わかった!」
「おう、またな」
俺はラボに来ていた
「博士。彼女のことなんですけど」
「あぁ、そろそろだね」
「え?」
「実は前からいろいろ準備していたのさ。そのためにヨハンにはヨーロッパに行ってきてもらっている」
「どういうことですか?」
「彼女をここに呼ぶのさ」
数日後
「で、なんで俺が博士の護衛をしなきゃならねぇんだ」
「いや、どうしても博士が野外観察したいって言うからさ」
「そんなもんてめーがしやがれ」
「その観察対象を俺が連れて来なきゃいけねーんだよ」
「まさか…あのアラガミのことじゃねーだろうな?」
「まぁソーマ。ここは私からもお願いしたい。今後のアラガミ研究で彼女は貴重なサンプルなんだ」
「……ちぃっ今回だけだ」
「助かるよ。じゃあキワム君は先に彼女を指定の場所まで連れて来てくれないか?」
「わかりました」
「では私が第一部隊に偽装した任務を受注してもらうから、ソーマ君。よろしく頼むよ」
「面倒なことしやがって」
鎮魂の廃寺
「第一部隊のみんなで任務なんて珍しいよね。ソーマいないけど」
「ま、たまにはいいんじゃないか?」
「でも、博士からの依頼なんて怪しいわね」
ソーマを除く第一部隊はアラガミの討伐を終え、辺りの探索をしていた
「お、みんないるね?」
「えっ!?博士!?なんでこんなところに?それにソーマ!?」
「詳しい話は博士に聞け」
第一部隊はサカキ博士に視線を送る
「実は今回あるお客さんを呼んでいるんだよ」
「お客さん?」
「そうだよ。おっ!来たね」
サカキ博士の視線の先に一同も一斉に見る。そこにはキワムとその隣に布一枚だけ羽織った少女が歩いて来た
「キワム!?それにその子は……?」
「イタダキマス!」
サクヤさんは目を丸くしている。他の人も同じような反応だ
「ここで立ち話もなんだし、とりあえず私のラボまで来てもらおうか」
ラボにて
「「「ええぇぇぇぇぇぇえ!!?」」」
俺とソーマ以外はみんな同じ反応をした
「は、博士……?今…なんて?」
「ふむ、何度でも言おう。この子はアラガミだよ」
「えぇ!ちょっ」
「ちょっなっあぶっ!」
「まぁ。落ち着きなよ。これは君たちを捕食したりしない」
サカキ博士の説明でみんな警戒を解く
「しっかしサカキのおっさん、こりゃまたとんでもないもんを」
「まぁ少し私の説明を聞いてくれたまえ」
一同は黙って博士の説明に耳を向ける
「知っての通り、アラガミの全ての個体は偏食という特性を有している」
「アラガミが個体独自に持っている捕食の傾向…私達の神機にも利用されている性質ですよね?」
アリサが答える
「その通り。君たち神機使いにとっては常識だね」
「………知ってた?」
「当たり前だ」
コウタ………
「このアラガミの偏食はより高次なアラガミに対して向けられているようだね。つまり我々は既に食物の範疇に入ってないってことさ」
「なるほどねぇ」
リンドウさんが頷く
「誤解されがちだが、アラガミは他の生物の特徴を持って誕生するのではない。あれは捕食を通して凄まじいスピードで進化しているようなものなんだ」
「だから、こいつみたいに多種多様な可能性が濃縮されてるってことか」
キワムは彼女を見ながら納得する
「つまりこの子は…」
サクヤさんは驚きの表情を隠せない
「そう、この子は我々と同じ、とりあえずの進化の袋小路に迷い込んだもの、ヒトに近しい進化をしたアラガミだよ」
「人間に近い……アラガミだと?」
「そう、先ほど調べてみたのだが、頭部神経節に相当する部分がまるで人間の脳のように機能してるみたいだね。学習能力もすこぶる高いと見える……実に興味深いね」
「コウタよりも頭のいいアラガミ…」
「アリサ?言っていいことと悪いことがあるよ?」
ユウがアリサに注意する。
コウタは……見るのはよそう…
「先生!」
コウタは開き直った
「はい、コウタ君」
「こいつのごはーんとか、いただきますとかってなんなんですかね?」
「ゴハーン!」
「こいつが言うとシャレにならないですけど」
「ああ、それは俺が教えた」
「え?」
みんなが俺を見る
「実はキワム君には私がお願いして前から彼女の観察をしてもらっていたのさ」
「なんとっ!?」
コウタは相変わらずのリアクションをとる
「どおりでキワムには随分懐いているわけだ」
リンドウは彼女を神妙な顔で見る
「……最後にこのことは第一部隊と私だけの秘密にしてほしい。キワム君とカノン君には前から協力してもらっているから、言わなくてもだね」
「ですが…教官と支部長には連絡したほうが」
サクヤさんの言うことも一理ある
「サクヤ君…君は天下に名だたる人類の守護者、ゴットイーターが…その最前拠点であるアナグラに秘密裏にアラガミを連れ込んだと、そう報告するつもりなんだね?」
「それは……しかし、いったいなんのために?」
「言っただろう?これは貴重なケースのサンプルなんだ。あくまで観察者としての私個人の研究対象さ」
サカキ博士が何を考えているかキワムには少し理解できた。おそらく彼は……
「大丈夫。この部屋は他の区間とは通信インフラやセキュリティ関係も独立させているんだ」
サカキ博士はサクヤさんにずいっと近づき
「君とリンドウ君だって今やってる個人的な活動に余計なツッコミは入れたくはないだろう?」
サクヤさんは、え?という顔をし、リンドウさんはピクッとサカキ博士を見る
「そう!我々は既に共犯なんだ!覚えておいてほしいね!」
サカキ博士はちらっとソーマを見る
「彼女とも仲良くしてほしいね。ソーマ。君も…よろしく頼むよ」
「ふざけるな!人間の真似事をしていようと…バケモノはバケモノだ…」
「お、おい…」
ソーマは部屋を出て行ってしまった
その後ろ姿をアラガミの少女はどこか悲しそうな表情で見ていた
その後キワムの自室
「むぅ……」
しまった。近頃あまりカノンと話をしていなかった
「キワム…前に言ってたアラガミの少女のことだけど」
カノンにはサカキ博士の承諾を得て前から話をしていた
「あぁ今日第一部隊のみんなにも協力してもらうことになったよ」
「そうなんですか…あの、私も今から見に行ってもいいですか?」
カノンも気になるようだ
「いいよ。まだ博士もいるだろうし」
俺とカノンはラボに来た
「おや?キワム君?ああ、カノン君を連れて来たんだね」
「あれ?彼女は?」
「そこの奥の部屋にいるよ」
博士に言われた奥の部屋に入る
「おおーきわむー」
「よっ!」
「うわぁ!ほんとに人間みたいですね!」
「だれー?」
「カノンって言うんだ」
「かのん?」
「そうですよー私はカノンです」
「かのん!」
「ほら、お前が気に入ってたお菓子を作ってくれたカノンだよ」
「あれおいし!」
「うふふっまた作りますね?」
彼女と何気ない会話をし、また俺の部屋に戻ってきた
「まるで普通の女の子と話している感覚でした」
「そうだな。博士から言われたけどこのことは絶対に他の人に言ったらダメだからな?」
「大丈夫です!任せて下さい!」
胸を張り何故か自慢げに言う
じーーー
カノンは俺を見つめている
「最近構ってやれなかったもんな」
カノンにキスをする。そしてまた熱いキスをする。
あの日、俺の何かが壊れた。でも、カノンが俺の心の穴を埋めてくれる。俺の支えになってくれる。俺はあることをずっと考えてる。親父にも話した。
「キワム……」
カノンは赤くなりつつボソッと言った
「わ…私は……してもいいですから……//」
俺の理性が彼女を欲しいと訴えかけてくる
「あっ……」
彼女をベットに押し倒す。でもしたのはキスだけだった
「むぅぅぅぅ」
彼女は変な声を出してこちらを見る
わかってる……でも、できない。あと一歩が踏み出せない。何故か……それは……自身がアラガミであるからだ
彼女を心配するあまりその一歩が踏み出せない
ぐいっ
「なっ…」
カノンは強引に俺をベットに戻す。彼女は湯気が出るのではないかと思うほど真っ赤になっている
「私は…大丈夫……キワムの身体がアラガミであっても私が大好きなキワムに変わりはないから……」
彼女はわかっていた。俺が悩んでいたことも。それを含めても彼女は俺を好きでいてくれた。俺は何を迷っているんだ。彼女を信じることは彼氏として当然のことだろ……
「カノン…いいんだな?」
「うん……その…優しくしてね…?」
その日二人は一つとなった
彼女を感じ、彼を感じ、ただ幸せな時間だった
原作をそのまんま利用してます。なにがオリストーリーだよってね。