アナグラ内は混乱していた
エイジス計画は存在せず、アーク計画が本来の計画であるということ。そして、その計画に乗るか乗らないか。何を捨て、何を拾うか。その選択を迫られていた
「やっぱり混乱してるなぁ」
「これもあいつの狙いどおりか」
「これから…どうなるんでしょう」
三人だけとなってしまった第一部隊。シオの件もあり、思うように行動ができないでいた
「俺はアーク計画に乗るぜ」
「あぁ俺もだ」
アーク計画に乗る人が支部長室に向かう
「やっぱり生き残るって考えると計画に乗るのは当然ですよね…」
「家族がいる人だっている」
「そう…ですよね」
「でも残された人たちを守らないといけない人がいるんだ」
「ユウは…怖くないですか?」
「…怖いよ、それに不安だってある。でも見捨てるなんて俺にはできない。家族を…大切な人を失くす辛さを知ってるからこそ」
「やっぱりユウは強いですね…」
アリサはある決意をする
「私はあなたから大切なものを多くもらいました。私はその恩返しがしたいです。あなたの背中を守れるくらい強くなりたいです」
「アリサ…」
アリサはユウの瞳を強く見つめる。少し頬が赤くなる
「もし、全てが無事に終わったら…大事な話があるんです」
「それは今じゃできないこと?」
「そっそれは…えっと…」
アリサの顔はさらに赤くなる
気付くとユウの顔も赤くなっている
「俺は…その…違ったらごめんけど、アリサと同じ気持ちだと思う」
「えっ?そ、それって…」
「こんな時にする話じゃないと思うけど、こんな時だからこそ、もしかしたら想いを伝えることができないままになるかもしれない。だから…」
ユウはアリサの手を握る。アリサはトマト並みに赤くなる
「俺は…アリサのこと好きだ」
ボフンっときっと音が出たのではないだろうか。嬉しさと恥ずかしさが頂点に達した
「私でいいんですか……?」
「アリサだからこそだよ」
「ありがとう…私もユウのこと好きです。だからこんなことさっさと片付けてイチャイチャしましょう!!」
「そうだな!」
「……てめぇらはなにやってんだ?」
二人は気付いた。ここはラボの中だった。博士はなにやら孫を見るような顔をしており、ソーマはイライラが頂点に達している。シオはいまいち理解していないようだ
「そーま、いちゃいちゃってなーにー?」
「お前にはまだ早い。あえて言うなら、こいつらみたいにクソッタレなことを言うのさ」
「そっかーゆうとありさはくそったれかー」
「ちょっとソーマ!変なこと教えないでください!」
「今目の前で変なことを教えたお前らに言われたくはないな」
「ぐっ……」
「うっ……」
二人は何も言えなかった
外部居住区
コウタは家族のもとに訪れていた
「そこでガーっと襲って来るわけよ!」
「うん、うん」
「そこをヒラリとかわしてズドンっ!……勝った」
「すごい!お兄ちゃんバガラリーのイサムみたい」
「だろ?兄ちゃんはすげぇ強い!だから心配すんな」
「うん!」
「まったく…心配するに決まってるでしょ?」
「なんだよー大丈夫だって」
「はぁ……こうして家にいる間は母さんも安心できるんだけど……しばらくは休めるんでしょ?」
「あ、うん」
「ねぇねぇお兄ちゃん、お土産は?」
「おっとそうだった!今回はすげぇビックニュースさ!」
コウタはポケットからチケットを取り出す
「まだみんなには内緒なんだけど、実はスゴイ計画があるんだ!この魔法のチケットがあれば、ずっとみんなで暮らせるようになるんだよ!」
「ホントに!?」
「ああ!ホントだって!」
「みんなで暮らせるの?お兄ちゃんも?お母さんも?」
「ああ!」
「ユキちゃんも?ナオちゃんも?ヒロちゃんも?」
「え…!あぁ……たぶん」
「わぁーい!やったぁ!お母さん聞いた!?みんな安心して暮らせるんだって!!」
「そうね、母さんも嬉しいわ」
二人が明るい未来の話をしている間、コウタは何も言えなかった
そう、連れて行けるのは二人だけ、他の人は連れて行けないのだ
二人が寝た後、コウタは一人悩んでいた
「俺は………」
(君は正しい選択をしたのだ)
「俺は……みんなにウソついて…」
(私は君の望みを知っている。己の身を差し出し、死と隣り合わせの戦場へ向かった理由)
「ノゾミ…母さん…俺が守らなきゃいけないんだ」
(その方法を私は知っている。後は…君が『選べば』手に入るのだ。何を捨て、何を拾うか)
「だから俺は…選んだんだ」
コウタは机に置かれたチケットを見る
(おめでとう。これで君の家族は救われる)
「みんなと引き換えに、か?」
居住区のみんな、アナグラにいるみんな…神機使いになっていろんなことがあった。親友を得た。喧嘩もした。泣いたり笑ったり、でもそんな毎日がかけがえのないものになった。
でも仲間と過ごした思い出全てを引き換えに………
俺が守らなきゃいけないのは、母さんとノゾミだけなのか?いや、二人は当然俺が守るんだ。でも、それだけじゃない。みんなだって守らなきゃいけないんだ!大切な思い出、失くしたくない仲間全部!
コウタは覚悟を決めた
翌日の早朝、まだ日が出る少し前
「やっぱり行くのね」
「っ!母さん……ごめん。俺…ウソついた」
「いいのよ。私たちはここであんたの帰りを待ってるわ。私はあなたがこうして帰って来てくれたらそれだけでも充分嬉しいよ。あんたの大事な仲間が待っているんだろう?行っておやり」
「あれ?お兄ちゃん出かけるの?ノゾミはね、お兄ちゃんとお母さんといる時が一番幸せなの!だから、また帰って来てね!」
コウタは思わず泣きそうになる
「…親子して……同じこと言うなよな」
コウタは笑顔で言う
「おう!すぐ帰って来るからな!」
コウタは走り出した。みんながいるアナグラへ。新たな覚悟を胸に抱いて……
ここでいきなりユウとアリサの恋人宣言。もっと考えろよ?ごめんなさい