「もう三年経つんだな」
その声の主は植物が生い茂る場所でただ一人で住んでいた
「みんなと会いたいなぁ、話がしたいなぁ」
今では何もつけられていない左腕を見る
「そろそろ会えるかな?」
そんなことを考え始めたのはつい最近、
「また神と人の競争の始まりだな」
黎明の亡都
ビビっ
『ジュリウス隊長、新人二人を任務に同行させるとは聞いていませんが』
少し怒りが込められた言葉だ
「すまない、だがあの二人には既に十分な実力を兼ね備えていると判断している」
「……わかりました。しかし、これからは少なくとも私に何か一言言って下さい」
「ああ、約束する」
背後から足音が聞こえる
「「フェンリル極地化技術開発局所属ブラッド第二期候補生二名到着致しました!」」
ヒロとナナが敬礼をする
「来たか。では、これより実地訓練を始める」
「えっ!?じ、実戦…ですか?」
ナナは驚き、いつもの明るい雰囲気はない
「そうだ、戦場で戦ってこその実地訓練だ」
「いきなりですね」
俺も少し驚いた
「お前らならやれるさ。それに爪も牙も持たない人類がなぜ今まで生き残れてきたと思う?」
「偶然だと思います。恐竜の方が長い時代を生き抜いています」
「そう…だな…」
隊長は黙ってしまった
その時
「グオォォオ!」
オウガテイルが襲って来た!普通はここまでの高台までジャンプしてこれないはずなのに!?その先はしかもナナだ!
「あ……」
ナナが声にならないような声を出す
自然と体が反応し、咄嗟にナナを庇う
ブシィイ
……痛みはない。そっと後ろを見る
「隊長!」
ジュリウス隊長は左腕でオウガテイルに噛みつかせている。ポタポタと血が垂れる
銃形態から剣形態に変えオウガテイルを斬り飛ばす
「せやっ!」
血を噴き出しながらオウガテイルは飛ばされる
ジュリウス隊長はこちらを向きドヤ顔で話す
「人類がここまで生き残れたのは人と人を繋ぐ意思だ。共闘し、連携し、助け合う戦略と戦術、意思こそが俺たちに与えられた最大の武器なんだ。それを忘れるな」
そう言って戦場に向き直る隊長。言い切ったというのが背中を見てもわかる
「では、始めようか」
「ごめんね、ヒロ」
「大丈夫」
ナナは俺に支えてもらいながら立ち上がり、神機を構え直す
「行くぞ!」
「「はい!」」
戦場に降りた俺は真っ先に目の前のオウガテイルに斬りかかった
ザシュ!
「ギャオオ!」
「すごい…」
「よし!」
回転斬りを決めた俺は体制を整えようと片足でけんけんするが
どさっ
「あたっ」
勢いに負け転んでしまった
「あちゃー」
ナナの声が聞こえた。恥ずかしい
「私も負けられないなー」
ナナは神機を握りしめる。そしてドレットパックを思い切り叩く
「おりゃああ!」
ゴツっと鈍い音を立てアラガミは動かなくなる
「ふっどうやら二期生は優秀なようだな。俺の出る幕はなさそうだ」
ヒロは新人とは思えないような動きでアラガミを倒す。背後からの攻撃も体をひねりそのまま宙返り、着地と同時に間合いを詰め斬りふせる
ナナはブーストを点火し、高速で動き周りながらアラガミを潰す
特に苦戦することなくアラガミを片付けた
『討伐対象の殲滅を確認。いい動きでしたよ』
「はぁはぁはぁ…ふぅー」
動き回ったナナは息を整えている
自分でもなかなかいい動きができたと思う。おそらくあの訓練のおかげだろう。本人に言うとドヤ顔をされそうなので言わない
『では、帰投準備に…これは!』
「どうした?」
『近くにオラクル反応!おそらくオウガテイルです!』
「わかった。こちらで対処する』
すると目の前にオウガテイルが3体現れた
「いい機会だ。お前たちが目覚めるべき血の力をここで見せておこう」
「隊長。足噛まれています」
ジュリウスはオウガテイルに足を噛まれている
「少し下がっていろ」
誤魔化した
「はぁ!」
ジュリウス隊長がゼロスタンスをとると、俺とナナがバースト化した
「体が…暑い!」
「なに…これ?」
「今から対象にブラッドアーツを放つ」
「ブラッドアーツ?」
ナナが不思議そうに言う
ジュリウス隊長は足を噛まれたまま説明する。いや、取れよ、オウガテイル
「血の力に目覚めた者だけが使える、どこまでも進化する、刻まれた血の為せる技」
ジュリウス隊長が地を蹴る、彼の神機からオラクルが溢れる
「はぁあ!!」
ズザザザザザザ!!
一振りしかしていないのにオウガテイルは無数の斬撃で切り裂かれる
「すげぇ……!」
ジュリウス隊長は服に付いた血を払いながら足に噛み付いているオウガテイルの頭に神機を突き刺す
「これがブラッドアーツだ。お前たちもいずれ目覚めるであろう力だ」
「血の力……」
「私も早く使えるようになりたい!ナナプレッシャー!とかやってみたい!」
「ふっ日々の鍛錬を怠らないようにな」
「「はい!」」
そして俺たちは帰投した
フライア
「お疲れー」
俺はジュースをナナに渡す
「えっ?いいの?ありがとう!」
ナナからはおでんパンを渡された
「あのさ……」
「ん?」
ナナはおでんパンを食べずにこちらを見る
「今日ありがとね…庇ってくれて」
「あぁ、気にしなくていいよ。なんか体が勝手に動いただけだから」
「でも…あの時ヒロが庇ってくれなかったら正直ヤバかったかも…ありがとう!」
少し照れくさそうに笑うナナ
その後二人で今日の出来事を話した。
隊長に挨拶をする時、噛まずに言えるように何度も練習したことなど…
「なかなかいい経験ができたな。今日は……」
一週間後
極東支部 ラボ
「こっこれは!!?」
コンピューターに映った画面を見て驚くサカキ
「ふむ、興味深いね…」
夜
前キワム 現カノンの部屋
「なんでしょう…この気持ち…」
カノンは何故かワクワクしていた。
「ドラ○ンボールの見過ぎでしょうか……」
気のせいかリストバンドがうずいているように感じる
コンコンっ
「あ、はい」
「シオだよー」
「はーい、今開けますね」
シオは中に入るとソファに座った
「そのまんまなんだね」
シオちゃんは周りを見て呟く
「うん、キワムが戻って来た時にすぐにここを使えるようにね」
「しおね ずっとワクワクしてる」
「え?シオちゃんも?」
「なんかわからないけどいいことがありそうだなーって」
「うーん、なんでしょうね…」
「きわむがきゅうにかえってきたりして!」
「ほんとにそうなったら嬉し過ぎて泣きそうですね」
あの日から彼を想わなかった日は一度もない。毎晩月を眺めている
「また会いたいなぁ……」
サカキ博士は支部長です