ブラッドがラウンジでミーティングをしていたある日のこと
「やはり銃での遠距離攻撃も視野に入れつつ…」
シエルがブラッドの戦術について語っている
「そういやナナ、なんかラケル博士に報告があるんだって?」
ナナとロミオはひそひそ話している
「うん、ちょっと定期的にさー」
ピシィィイン
「あ……やば……」
ナナは頭がクラクラし始めた
まただ……
そして
「お、おい!ナナ!?大丈夫か!」
ナナは意識を失った
(ナナ?美味しい?)
(美味しい!ナナ食べてる時が一番幸せ!)
(ナナが幸せって言うとお母さんも幸せよ)
(お母さん、出かけるね?いつものお約束守れる?)
(はーい!泣かない怒らない、寂しくなったらおでんパン食べる!)
(ナナは本当にいい子ね、お約束守って待っててね)
(はーい!)
そして最後に見たのは血まみれの母だった
「はっ!?」
ナナはそれを最後に見て飛び起きる
そこはブラッドの部屋だった
「あ……シエルちゃん、ヒロ…」
シエルとヒロは心配そうにナナを見る
「大丈夫ですか?」
「うん……すごく嫌な夢見ちゃった……お母さんさんが血まみれで……」
「…もう少し横になった方がいいですよ」
「うん、そうするー」
ナナは再び横になると自分の過去を話した
どこかよく雪が降るところで母と二人で暮らしていたこと。母はゴッドイーターで家にいることはあまりなかった。ある日家がアラガミに襲われて母が助けに来たが、自分を庇って亡くなったことなど…
「おでんパンを食べるとね、お母さんを思い出すの」
「…ナナ…」
ナナは起き上がる
「よーし!いろいろ話したら元気でたよ!」
「一応ラケル博士に診てもらった方がいいですよ」
「うん、そうするー」
ナナは背伸びする
「うーーん!よく寝たぁ」
一時間後
ブラッドでの任務にはラケル博士からの提案もありナナも同行することになった
「ナナ、本当に大丈夫か?」
「大丈夫だよ!ロミオ先輩!」
「ナナ、体調が悪くなったらすぐに下がるんだ」
みんなはナナの心配をしつつ任務に出る
鎮魂の廃寺
ビビっ
『アラガミが集まっています。警戒して下さい」
各自あまり離れずにアラガミを倒していく
ザシュ!
ドシュッ!
バン!バン!
ドドド!
「くっ数が多いな…」
ジュリウスが呟く
バン!バン!
「ナナ!大丈夫か!」
「……っ!」
過去が蘇る
あの時アラガミを読んだのは自分であり、母や他のゴッドイーターを巻き込んだのは自分であると…
「お母さん…みんな…私のせいで……!」
ピイィィィィイン!!
「うわぁぁぁぁぁぁああ!!」
「ナナ!?」
ナナは大声で泣きだす。その周りには赤いオラクルが溢れ出す
ビビっ!
『特殊な偏食場パルスがナナさんから発生しています!周囲のアラガミが集まって来ます!』
「くっ!ヒロ!ナナを連れて極東支部に戻るんだ!俺たちが退路を開く!」
「わかった!」
ナナを支え立ち上がる
「あぁぁああ!うわぁぁぁぁん!」
「ナナ!しっかりしろ!」
「今だ!ヒロ!」
ヒロはナナと退却する
「みんな!もう少し耐えるんだ!」
「わかってる、よ!」
ザシュ!
「すごい数だ!」
しばらく持ち堪え、なんとか数を減らした
「よし!撤退だ!」
ジュリウスの指示で全員撤退する
その時
ザシュ!ブシィィ!ドシュッ!ゴキ!
ジュリウスたちの後ろで鈍い音が響く
振り返ると異形の存在がさっきまでいたアラガミを皆殺しにしていた
本能で感じる…
勝てない敵が目の前にいると
両腕はアラガミのような形をしており、目は赤く不気味に輝き、口からはアラガミの一部をくわえ、返り血を浴び全身赤くなったその体はまさにバケモノに相応しい
「お前ら!先に行け!」
「隊長!」
このまま全員で戦っても全滅するだろう
ならば隊長である自分が隊員を逃すべきだ
「聞こえなかったか!早く帰還しろ!」
ジュリウスは普段見せることがない決死の表情でこちらを睨む
「くっ……」
ジュリウス以外はその場から撤退する
「一人で俺とやる気か?」
「なっ!?」
目の前の
そう考えた瞬間
「ぐはっ!?」
敵は一瞬で間合いを詰め腹に蹴りをいれた
ドカン!
壁に激突し、胃液を吐く
大型アラガミの一撃が軽く感じるほどのその蹴りの重さを感じ、肋骨が数本折れているとわかる
手も足も出ない
「ふっこんなあっけなく終わるとはな……」
ジュリウスは力が入らない体で笑う
「死ね!」
両腕から神機のようなものを生やした
そして
ドツ!—————————
満月の夜
運命の歯車が動き出す