神と人と愉快な仲間達   作:パルモン

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第2部の世界観はゴッドイーター3ですが、ストーリーはオリジナルにしたいと思っています。もしかしたらゴッドイーター3のキャラも出すかもしれませんけど。


スターゲイザー

 サカキと名乗った博士は懐かしむように俺の神機を見つめていた。詳しい話は聞かなかったが、俺のこの神機はかつて極東を救った英雄が使っていたものを改良したものらしい。その神機使いは今どうしているのかと聞くと黙り込んでしまったためそれ以上のことは聞かなかった。

 

 2088年 2月26日 17時15分

 

 胸に付いているポーチから煙草とライターを取り出す。地下は禁煙らしく煙草を吸うためには外に出ないといけない。面倒だが、ニコチンをチャージしなければ俺の体は悲鳴をあげてしまう。今日で何本目だろうか。煙を吐き出し周りを見渡す。見渡したところで景色は変わらないが、見張りにはなる。

 

「あ、お兄ちゃんまたゲテモノ吸ってる!」

 

 ひょいと後ろから顔を出してきたのは同じミナトで暮らしている赤髪のショートヘアをした少女の『アカネ』だ。俺の来る前日にこのミナトに連れてこられたらしく何故か懐かれてしまった。

 

「馬鹿野郎。これのどこがゲテモノだ。こいつを吸うと肺を生贄にストレス発散できて気分が落ち着くんだよ」

 

「いや、もうそれ危ないやつだよ!?」

 

 ポコポコと背中を叩くアカネに受動喫煙させるわけにもいかず、渋々煙草を地面に擦り付ける。この世界での愉しみの一つである煙草を中断させられたことにため息をつき、押さえつけるようにアカネの頭をぐしゃぐしゃにかき乱した。

 充分な生活はできていない。アカネの髪は俺でも傷んでいることがわかった。だが、いくら俺が体を張って稼いだところでその大半はミナトの奴らが持っていく。アカネたちに充分な生活品を揃えてやれないことに憤りを覚える。

 今じゃゴッドイーター、主にAGEは奴隷のような存在だ。瘴気が濃く危険な地域に派遣され強力なアラガミと戦い、使い物にならなくなると捨てられる。灰域での行動限界の検査のために命を削らなければならないこともあるという。

 

「お兄ちゃん、怒ってる…?」

 

 俺の表情で察したのか一歩後ろに下がり両手を胸に当て表情が強張っている。この数日間で俺には守らなければならないものができた。このミナトで唯一の子供であるアカネは特にだ。彼女の可愛らしい笑顔が消えてしまわないように俺が頑張らならなければ。

 

「んーや。もっと頑張って稼がねぇとなって思ってさ」

 

 それを聞いてホッとしたのか表情を緩め俺の左腕に抱きつき隣にぴったりと引っ付いて座った。彼女曰く、これが一番落ち着くらしい。

 

「やっぱりお兄ちゃんの側が一番落ち着く…」

 

 ほらな。

 

「でも、あんまり無茶しないでね?お兄ちゃんがいてくれたらアカネ十分だよ?」

 

「……ああ。わかってる。『生きて帰る』約束だ」

 

「うん!」

 

 この時期はまだ寒い。ゴッドイーターの俺はこの程度の寒さは適応できるが、幼いアカネは別だ。風邪を引かせないために帰ることを薦めたが戻る気は無いらしい。仕方なく自分のコートを着させてしばらく二人で外で過ごした。

 外が暗くなり始め周囲は黄昏色に変わった。この景色を見る度に心の奥がぽっかりと空いたような感覚がする。寂しいような悲しいような言葉では表せられない感情だ。アカネはいつのまにか寝てしまったようだ。その可愛らしい寝顔がほんのり赤色に染まっているのは黄昏時のせいか。

 アカネを起こさないようにそっと抱き上げ地下に戻った。俺とアカネはミナトの奥にある簡易な寝室で過ごしている。ミナトの奴らは俺たちのことをただの道具としか見ていない。博士も本心はどう思っているのかわからない。俺は構わないがアカネが心配だ。彼女はなんとかしてやりたい。しかし、信用できる人なんていない。今は俺が面倒をみるしかない。

 

「安心して暮らせる場所があればなぁ」

 

「極東支部が以前あった場所から少し離れた所に『聖域』と呼ばれる場所があるよ」

 

「は、博士!?」

 

 いつの間にいたのか博士が眼鏡を人差し指で位置を整えながら答えた。

 

「それより、今なんて…?聖域だって?」

 

「そうさ、そこはアラガミが…いや、オラクル細胞が存在しない空間。極東支部やその外部居住区の人たちは今そこに避難している。あそこは農園といった自給自足ができるための施設が整えられているのさ」

 

「なんだ、博士知ってたのか?極東支部の現状を」

 

「ある程度はね。ただ一つ確かめたいことがあるのさ」

 

「で、その確かめたいことのために俺があっちこっちに極東支部について聞き回されているわけか」

 

 博士は無言でまた眼鏡の位置を調整する。その態度が肯定しているということだろう。何を確かめたいのか。それを聞いたところで何も教えてはくれないのだろう。しかし、それでも安心して暮らせる場所があるということを知れた。アカネをこんな場所に居させるわけにはいけない。その情報だけ唯一の朗報と言えるだろう。

 いつの間にか時間が過ぎていたようでそろそろ寝たほうが良さそうだ。アカネのいる部屋に彼女を起こさないように入り、アカネのベッドから少し離れた位置にある簡易な敷布団に寝そべる。睡魔はすぐにやってきて目を閉じると深い闇の中に意識が吸い込まれていく。束の間の戦士の休息だ。

 明日に備えて意識を手放した。

 

「今日は随分と大きく見えるね」

 

 スターゲイザーは煌めく星々を見上げ、美しく輝く月を眺める。

 

「さて、これから人類は何を成す?神が我々に遺したものはこの真っ黒な世界で永遠に罪を償い続ける道だ。それになぞって歩むか、あるいはそれに反して無謀な抵抗をするか、しっかりと見届けさせてもらうよ。()()()()

 

 

 

 

 

 

 

 

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