ifストーリーですのでゴッドイーターの設定、登場人物の年齢設定はガン無視してます。こういう感じが苦手な方もいるかもしれませんが、どなたが読んでも楽しめるように頑張りましたので、読んでいただけたら嬉しいです。
もしもゴッドイーター達がゴッドイーターじゃない別の人生を歩んでいたらという思いつきで作りました。
現代からそう遠くはない未来。世界は、平和だった—
平和な日常、当たり前のように来る毎日。それが例え夜遅くまでゲームで遊んじゃったり、友人と一緒に騒いだりしても、当然朝日は訪れる。その朝日を拝んでは体中に日光を浴びてパワーを感じる。
誰もが自由に生き、自由に選択できる人生を歩み、自分のなりたい将来に向かって歩んでいける。それが普通なのだ。
今日は土日の休み明けの月曜日。学生も社会人も体が重く感じてしまう朝。この一週間がまた始まるのだ。
俺、神羅キワムはまだベッドの中に潜っている。時刻は6時30分、平日のルーティンのようにスマホのアラームが鳴り響いている。きっとみんなにも俺の心中を察してくれるだろう。そう、ベッドから出たくないのだ。この絶妙な温もりという魔の手が俺の体を縛り付け抜け出せなくなっているのだ。
とはいえ、別に不登校なわけでない。10分後にはのそのそとベッドから抜け出し一階に降りることになる。しかし、今日は2分も経たずに起きることになった。それは何故か?
「とぉ──!」
「ぐぁぁっ!?」
「おはよ! きわむ!」
声の高い、誰もが耳が幸せになりそうな、それでいて無邪気な子供のような声で俺の妹のシオが飛び乗ってきたからだ。
こうなってはもう白旗を上げるしかない。腹筋が限界を超えてしまう前にベッドから抜け出し一階に降りる。洗面所で顔を洗い、ついでに寝癖で髪の毛がフィーバーしているためお湯で髪をわしゃわしゃとかき回しながら濡らし、タオルで拭いた後はドライヤーで乾かす。
寝癖を直したところで台所に向かい冷蔵庫から昨日買ってきた卵とソーセージを取り出す。
「さてと、弁当作るか」
昨日の夜に炊いておいたご飯を弁当箱に詰め、もう一つの容器に入れるおかずを作る。俺とシオの弁当箱は二段弁当だ。食欲旺盛なシオは俺の弁当箱より少し大きめにしている。
ちなみにこの春から俺は高校2年生になり、シオは俺と同じフェンリル学園に入学した。そして今日は入学式が終わり最初の学校、つまり始業式の日だ。
「ごっはん♪ ごっはん♪」
朝食は弁当で余ったおかずとご飯、味噌汁だ。朝食は毎日俺が作っている。父と母がいない俺とシオは幼い頃に雨宮リンドウさん、同じくサクヤさんに拾われこの家に住んでいる。
この二人は既婚者であり、子供もいる。子供の名前はレン。なんでも最も付き合いが長かった親友の名前からとったそうだ。今その親友がどうしているのかは聞いていないためわからないがきっとカッコいい大人だったんだろうな。
あ、それとリンドウさんとサクヤさんはフェンリル学園の先生だ。サクヤさんは今育児休暇中であり、レンをお世話している。
「ちーす、キワム」
「寝起きの挨拶とは思えない言葉だな……まあ、おはようございますリンドウさん」
襖が開けられそこからリンドウさんとサクヤさんが出てきた。
「おはよう、キワム、シオ」
「おっはー!」
「おはようございますサクヤさん、もう朝ご飯できてますから」
と言いつつコーヒーを入れ二人に差し出すこの俺の心遣いマジ神がかっている。
食卓を五人で囲んで朝食をとる。毎日のことだが、我が家の食事は賑やかだ。基本シオがひたすら可愛い。おっと俺はシスコンじゃないぞ? いや、断言はできないかもしれない。何故ならシオは完全に誰から見てもブラコンだからだ。
「シオ……ちょっと近くね?」
「んー!」
近くに居たいのかその一言だけ発して離れようとしない。もう高校生になるというのに登校時には手を繋ごうとする始末だ。
「毎日思うけどキワムの作るご飯はいつもさ……」
リンドウさんが満面の笑みでご飯をかきこんでいる。こんな風に直接美味いなんて言われると照れてしまう。
「……普通だな」
「そこは素直に言えよ!」
……まさかの反応に即答でツッコミをいれてしまった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「行ってきまーす」
「いってきまーす!」
「おう、道に迷うなよー」
「迷うか。てか、リンドウさんも早く行けよ」
「俺は車だからな」
「二人ともいってらっしゃい」
家から出てシオと二人で学校に向かう。天真爛漫な性格のシオは入学式の日に既に友達ができたらしく、気が合う友人を見つけられて内心ホッとしている。流石に教室までシオが来たらどうするべきかと考えていた。
「あ、キワム! シオちゃん! おはようございます!」
「おーカノン、おはよう」
「かのん! おはよ!」
家を出るとピンク色の髪をショートポニーテールに結び、大きな緑色の瞳をした少女が待っていた。彼女を見て誰もが最初に思うだろう感想は……
「その胸半端ねぇな」
「えぇえ!?」
何か詰めてんの? と言いたくなるほどの彼女の豊富な胸は走るとこれでもかというほど弾み男の目の保養になっているとか。それとカノンは超ド天然であるためより一層彼女の破壊力が増している
あ、言い忘れたけど、彼女、台場カノンは俺の彼女だ。ドャァ
「あの、どうしてそんなドヤ顔なんですか……?」
「別に、ただ可愛い彼女をもって俺は幸せだなぁって」
「えっ! そ、そんなこと言ったって……何も出ませんよ……?」
いや、何も出さなくていいから。
「むー」
シオが不機嫌そうに服の裾を引っ張ってきた。こういう時は頭を撫でてやると機嫌が直る。
「んっ……えへへ」
シオは頬を赤らめながら嬉しそうに肩を引っ付きてきた。隣の人がして欲しそうにこちらを見ているがスルーした。
「ひどい!」
カノンが頬を膨らませて俺に抱きついてきた。
いや、言動が一致してないから。
「おー朝から熱々なもんだな二人とも。正に真の愛ってやつか」
「ハルオミ先輩、おはざーす」
「おはようございます」
「今の俺の発言をスルーするあたり、俺の心はズタズタだぜ。ふっ、青いな」
彼は真壁ハルオミ先輩。高校三年生で通称ナンパ男。フェンリル学園の女子生徒をその甘いマスクで何人もナンパしてきたのだ。さらに、ハルオミ先輩は女性の美を追い求める『聖なる探索部』という要はストーカー的な行為をする部活を創立した。何故校長もそれを許可したのかわからないがあの校長だからこそなのかもしれない。
「で、何か用なんすか?」
「決まっているだろ? どうだ、お前も俺の部活に入らないか?」
「お断り……いや、どうしようかな……」
「えぇ!? キワム入るんですか!?」
「いや、入るとは一言も言ってないぞ。ま、考えときますよ」
「そうかそうか! 期待してるぜ。俺はこの辺りでもう少し口説いてるわ」
「はいはい頑張ってください」
新入部員を募集することに精を出しているハルオミ先輩を横目に見ながら俺たちは学校に向かい始めた。
「あ! 先輩! おはようございます!」
「おぉ、今度はエリナか」
「今度はって何ですか……」
俺のナイーブな反応に表情が曇るエリナ。
すると横から金髪青眼のいかにも金持ちそうだなという顔をした奴がニュッと出てきた。
「やぁ、キワム君。ご機嫌いかがかな?」
「……」
「おっと、これは失礼。突然の挨拶に驚いたかな? ふふ、気にすることなどない。僕と君は……そう! 親友! この二人の間に結ばれた絆は固く誰にも破ることなどできない! 理由など必要ない、君は僕の友であり、僕は君の友である! その事実があれば僕たちは完全無欠! 語り合う必要などない、契約など必要ない! 友とは心の依り代であり、共に笑い、共に泣き、共に困難を乗り越えるまさに青春! ああ、僕はなんて幸せ者なんだ。良き友に出会いそしてまた今日も君に朝から出会った! これはまさに運命! 例えるならばポラーシュターンのように光り輝く君の魂のようだ! 例え朝の挨拶が曖昧になろうともそういう日もあるさ! 恥じることはない、気にすることなどない、友の気持ち、言葉、態度全てを受け入れることが友である僕にできること! この栄えあるフェンリル学園二年生! エミール・フォン=シュトラスブルクが君の全てを受け止めよう。君が僕を殴るというならば理由は聞かないさ。快く受け入れようではないか! 君が愚痴をこぼしたいというのであれば僕が相談に乗ろうではないか! 互いの腹を割って話し合える相手は一人は必ず必要なものさ。それが意識していなくとも心の支えとなりそれに気付いた時絆は一層深まる! そう! 今の君と僕のように……ぐぼはぁ!」
「朝からうるせぇぇえ!! それとお前と青春とか一生ナポリタンしか食えない体になるぐらい苦痛だわっ!」
「確かにそれは嫌!」
エリナが激しく同意した。
どんどんヒートアップして止まりそうにない彼、エミールの頬を助走をつけて全力で殴った。
日頃から鍛えている俺の体から渾身の力を込めて放たれたパンチは見事に彼の顔面を捉え高々と宙を舞った。
ドスンと体が地面に叩きつけられエミールは目を回している。全力で殴ったというのに目を回すだけで済むあたり相変わらずエミールの頑丈さは折り紙つきだ。
そのまま彼を放置して彼から逃げるように急ぎ足で学校に向かった。
「先輩も大変だね。あんな奴に絡まれたら誰だって殴っちゃうよ。それと今更だけどシオちゃんおはよ!」
「おはよ! エリナ!」
シオの横を歩いているのはエリナ。紹介が遅れたが、彼女は俺と同じフェリンル学園の1年生であり、シオと同じ新入生だ。エリナと俺は中学の時から先輩、後輩の立場であり、シオとも同じクラスだった。そのためよく家に遊びに来ることがありツンツンしがちな彼女が素直に話ができる相手が俺とシオというわけだ。
「しっかし今日は朝からイベント多いな。いや、エミールに会った時点で体力持ってかれただけか」
「今日は始業式だからでしょうか?」
「それは……あまり関係ない気がするけどなカノン」
その言葉がフラグとなったのか少し歩いたところでフードを被ったフェリンル学園の制服着た人と赤髪にサングラスをかけたこれまたエミールと同じく金持ちのオーラを放っている人の二人組と遭遇した。
だが、今回はキワムも親しい仲の二人であるため嫌な気は全くしなかった。
「よぉ、ソーマにエリック」
「ああ」
「これはこれはキワムくんじゃないか。ふむ、相変わらず君の妹は可愛いね。でも、僕の妹には敵わないかな……ってエリナ!?」
「え? 気付いてなかったの!?」
天然なのかよくわからんが今日も安定のエリックご馳走さまでした。しかし、我ながら俺の親友って変わり者が多い気がする。人とどこか距離を置いているソーマ、陽キャラ過ぎて気持ち悪いエリック……あれ、もしかして俺も変人? そんなこと……ないよね?
「俺の将来どうなるんだ……!」
「君は相変わらずよくわからないよ」
頭を抱えて今後を心配するキワムをソーマはスルー。カノンは本気でキワムの心配をして、シオはソーマに挨拶、エリックは俺にツッコミを入れる。エリナは兄であるエリックに引っ付く。なにこのバランスのないコミュニーケーション。
やっといつもの調子が出てきたキワムは演技をやめ何事もなかったかのように、実質何事もないのだが、ある疑問をエリナにぶつけた。
「そういやエリナ、なんで今日はエリックと一緒じゃないのか?」
「え? いや、その……」
モジモジと頬を染め恥ずかしそうに俯く。
やだこの子可愛い。
「俺に惚れちまったか……だがあいにく俺の隣の席は……」
「シオちゃんと一緒に登校したかったから」
「俺じゃないんかーい」
そう言ってキワムは電柱に頭を叩きつけた。額が割れ血がドロドロと溢れ出すが、それでスッキリしたのかなんでもなかったかのように清々しい顔をしている。
「ちょちょ、ちょっとキワム!? 何やってるんですか!」
カノンが慌ててカバンから応急箱を取り出し手当てをしてくれた。有難や有難や。
「想像以上の出血でフラフラしてた。危ねぇ」
「キワム君自身が危ないと僕は思うけどね……」
「おー? 言ってくれるなぁ、俺ぁこう見えて……ピュー!」
傷が開き血が水鉄砲のように飛ぶ。ソーマはわかっていたのかその射線上から逸れることでキワム100%トマトジュースを浴びずに済んだ。
「……俺は先に行くぜ」
「僕も先に行かせてもらうよ。君たちも遅刻しないようにね」
相変わらず薄情なソーマに続きエリックもそれに続く。
額の傷をカノンに応急手当てしてもらい朝から頭を包帯で巻いて学校に向かう。
「きわむ、だいじょうぶ?」
「見ての通り瀕死だシオ。世界観間違えるとノリで死ぬ可能性がありそうだ」
「何のことですか? キワム」
「こっちの話だ。気にすんなよ」
「「?」」
二人揃って不思議そうにしているが、この件についてはいろいろと闇が深いためこれ以上は言えん。
「……やっと学校が見えたな」
「なんか長く感じましたね」
「エミールのせいだな」
校門前には生徒会役員が登校する人たちに挨拶をしている。皆すでに見知った顔であり、こちらに気づくと手を振ってきた。
「皆さんおはようございます」
彼女はアリサ。
白の髪はセミロングほどで、季節関係なく白い肌は男女問わず注目の的だ。ハルオミ先輩曰く、日焼けした方がもっと美しいらしい。
「おはようアリサ。朝早くから頑張るなぁ」
「これが私の仕事ですからね……ってなんで頭包帯巻いているんですか?」
「いろいろあってな。全部エミールのせいだ」
「キワムそれはちょっと……」
カノンが気の毒そうにしているが俺には関係ない。
全部エミールのせいにしておこう。
「まさか……エミールがそんなことを……」
「あの、ちょっと真に受けちゃってますよ? 冤罪ですよ?」
「大丈夫。あいつはドMだ。罵詈雑言を受けることに快感を得てんだよ」
「えぇ……」
あいつにドM要素があるかどうかは知らんが、タフさは随一だ。多少アリサからのアッパーや回し蹴りの1つ耐えられるだろう。
生徒会にはもちろん会長のアリサの他にもいる。
副会長にユウ、書記は……アリサか。会計も……アリサだな。まあ、要は二人が頑張ってる。
アリサとの挨拶を終えてやっと校舎内に入れた。ため息をはきながら下駄箱を開けると1通の手紙が入っていた。
「なんだこれ?」
裏返すと差出人の名前が書かれていた。
「あ、これサカキ校長からのてがm」
「粉砕!!」
「ええ!?」
中身を確認せず手紙をビリビリに破り裂きゴミ箱へゴーシュー!
「あの校長相変わらず気持ち悪いことしてきやがる……」
このフェンリル学園の校長はペイラー・サカキだ。本人曰く以前は科学者だったようで今でも実験室で怪しい研究をしている。中でも初恋ジュースという未知の飲み物を開発し、生徒に飲ませた際はそのあまりのまずさに絶叫をあげる者が多数続出したほどだ。
そして俺はなぜか校長に好かれているらしく試作品を飲まされたり、食べさせられたりなど、とにかくいつ死ぬかわからない状況になっている。だから今のこの行為になることは誰も責めることはできない。
しかしなんだ今日のイベントの多さは。いくらなんでも多過ぎるぞこれは。もうお腹いっぱいだというのにまだHRすら始まっていない。
二階でエリナとシオと別れたあと三階の教室に向かう。
「はぁ……」
今日何度目かわからないため息をついて教室に入ると奴がいた。
「お! キワムとカノンじゃん、おはよう!」
今日の中では割と普通の挨拶を交わしてきたのは同じクラスのコウタだ。こいつは明るく前向きで、このクラスのムードーメーカー的キャラにして超絶いじられキャラだ。
「黙れ!!」
「なんでだぁぁあ!!」
そしてどの世界でも重要なツッコミキャラでもある。
「いいかコウタ。俺はもう疲れたんだ。そろそろキリがいいところで区切りをつけたいんだよ。わかるだろ? 6000字超えてるんだよ。でもな、かなり間が空いちまったから中途半端に終われないんだよ。わかるかい? この葛藤。もうイベント十分なんだよ。お前で終わりで十分なんだよ。とでも言うと思ったかぁ!!」
「誰だよお前!? 途中から別のことなってるから!」
「あはははぁ! コウタ! 蚊がいるよぉ!」
裏モードに入ったカノンはそう言ってコウタの右頬をビンタした。
「なぜだぁぁ!! 今明らかに意図的にやったよね? この時期に蚊はいないよね? あとその人格さんお久しぶり!」
「こっちは蚊がもういるんだよ」
「だからさっきから一々そっちの世界観入れてくるな!」
「あはっ! もっと痛めつけてほしいの? ねぇ?」
「おいぃぃい!! お願いカノン! 元に戻ってぇ!」
「よくやった! 戻れ! カノン」
「むふぅぅ……」
「なにそのシステム!?」
教室に入るや否やでこのテンションは我ながらヤバイと思いながらもコウタをいじらずにはこの学園生活は始まらないのだ。
にしても登校からここまでぶっ通しだ。流石にもう限界が近いため少し休憩しよう。
「ふぅ……」
自分の席について一息つく。やっとたどり着いた安らぎの場で全身の力が抜ける。
「急なテンションの下がりようだなおい。まぁいつも通りっちゃいつも通りなんだけど」
「今日は朝からいろいろありまして」
カノンが代わりに受け答えしてくれた。
「まだ朝だけどね」
「トドメのコウタさんでブラックアウトです」
「いや、これ俺ほとんど関係ないよね? 9割朝の出来事で体力持っていかれているよね?」
コウタとは小さい頃からの親友だ。こういう冗談が通じるのもコウタとカノンぐらいだろう。
それからコウタとカノンと三人で雑談しているといつのまにか時間が経ち予鈴のチャイムが鳴った。
すでに教室にはみんな戻って来ておりそれぞれが昨日の出来事やどうでもいいような話をしている。平和だなぁ。
ちなみにコウタは一番端の後ろ。その隣が俺、そして俺の隣がカノンという最高の状態だ。
『ガラガラ!』
教室のドアが開く音がして担任の先生が入ってくる。
「よぉーし、みんなきりーつ!」
やる気があるのかないのか、気の抜けた声で担任の先生、リンドウさんが号令をかけみんなが起立する。
「礼、おはよう!」
「「おはようございまーす!」」
挨拶を済ませると、間を入れることなくリンドウさんは本題に入った。
「さて、今日はなんと転校生がいるぞ。みんな仲良くするように!」
「本当に今日イベントが多いZE!」
「なんだろう、こんなテンションの上がらない転校生の紹介なんてあるだな。ま、女の子なら大歓迎だけど」
「心配するなコウタ。お前に明るい未来は無い」
「ひでぇ……」
俺とコウタがペチャペチャ喋っていると二人の男女が入ってきた。
男子の方は白髪、女子の方は金髪だ。
そして、
「「ラ、ランドセル……だと?」」
キワムとコウタは新しい何かに目覚めたかのように目を見開いて二人を……いや、女子の方を見ていた。
「むぅ」
カノンは不服そうにキワムの頬を引っ張る。しかし、今のキワムには効果が無いようだ。
「えっと、俺はリヒトっていいます。エイジ高校から転校してきました。よろしくお願いします」
「わ、私はっ、あ、同じくエイジ高校から来ました、クレアといいます! これからよろしくお願いします!」
「「ふつくしい」」
「えい」
カノンは教科書の角でキワムの頭を殴り戦闘不能にした。
「リヒトとクレア、みんな仲良くしてやってくれよ。それじゃ他には特に報告することもないし、これで終わり!」
「あれ? そういや時系列が……」
「コ、コウタ……気にしたら負けだ……ぜ……」
新たに始まる新学期。なんだかいろいろありそうだけど楽しんだもん勝ちということで、
次回! キワム死す
一時限目スタンバイ!
続きは……みんなの評価次第ということで!