そしてすみません、めちゃくちゃ間空きました。
ルルからの情報提供によりバランが開発を進めていたアクセルトリガーについてジークの弟であるキースが解析を行うことになった。と言っても本人からやりたいと言い出したのだが。
キースはこの手に関しては優秀であり、自分で神機の整備、調整をするほどだ。もちろんペニーウォートの皆の神機もキースが整備している。戦闘よりも技術者としてのスキルが高いキースは本人自身も技術者としての興味があるようだ。
そんなわけでアクセルトリガーの解析はキースに任せて俺たちはいつも通り任務を遂行するわけだが……
「いてて!」
「少し我慢して」
俺は今別室でクレアに傷の手当てをしてもらっている。いや、大丈夫だと言ったが本人から半ば強引に手当てをさせられているわけだが。
それに手当てとなるとどうしても至近距離になる。ほら、わかるだろ?彼女の……あ、近い近い!どうすればいいの?平面かましとけばいいの?それだと不自然か?ならむしろガン見すれば!
「……どこ見てるの?」
「うーん、丸いお月さ……ぶべら!?」
まあそうなるよねー。
「お、リヒト終わったか……ってなんで頬腫れたんだ?」
「なんでもありません。本当です」
「……まあ、聞かないでおこう」
ユウゴも察したのかそれ以上は聞いてこなかった。
ロビーに戻るとエイミーがこちらに会釈する。
キースの解析はまだ時間がかかるそうだ。と言っても今は任務の追加が無く目的地に向かってキャラバンを走らせるだけだ。
「…………暇だな」
各自でひとときの休息を過ごしているわけだがこんな時代だ、ろくな娯楽があるわけでもなく寝るぐらいのことしかない。
リヒトはなんとなくロビーに行くとみんなも同じ考えだったのかロビーに集まっていた。ルルも少し硬い表情をしながらもカウンターに座っている。
「任務がないってのはある意味平和なんだろうけどなぁ……やっぱ俺たちってアラガミぶっ飛ばしてこそじゃん?」
「平和になることに越したことはないさ」
ユウゴとジークの会話にリヒトも混ざる。
少し雑談しているとイルダがこちらにやってきた。
「そんなに暇なら少し話をしてあげるわよ」
「「「え?」」」
「極東の英雄を聞いたことがある?」
「極東の英雄……確か、そいつ1人で軍の戦力に匹敵するほど強い神機使いで、今でも彼より強いやつはいないってやつか?」
そんな強い人がいたのか。
「でもさーその感じだともう昔のことだよな?ってことはその神機使いは……」
ジークの質問にイルダは頷く。つまりもう過去の人物、既に亡くなっているということだ。
「名前とかってわかるの?」
俺はなんとなくその人のことが気になった。まあ、もう会えないことはわかっているが彼の生き様が知りたくなった。
「名前はキワム。神羅キワム。データベースにも載っている有名な人よ」
「神羅キワム……神の血をひく者……」
クレアの発言に一同が注目する。
「神の血をひく?まさか、ただあまりに強すぎて周りがそんな風に言い出しただけの話だろ?」
ユウゴは信用していないのだろう。確かに神の血をひくなんて少々おかしな話だ。そもそも俺たちが今戦っているのは神の名を持つアラガミじゃないか。
「まあ……確かに私もそう思うけど……」
「それでもそういう噂が立つほどの実力者だったってことに間違えはないということよ。それともう1つ、彼について噂があるの」
「おいおい、そのキワムって人噂だらけだな」
「そう……でもこの噂はただの噂じゃない。もしこれが事実だとすれば現状の戦力だけじゃない、この灰域すらも突破口が見つかる可能性だってある」
「なっ……!」
それは世界の均衡をも変えてしまうということなのか?
「それは……」
皆がイルダの発言に息を呑む。一体どんな噂だというのか……
「神羅キワムの生存説よ」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
ビビっ
「こちらアルス、無線の状態はどうだ?聞こえてるか?」
『あーあーこちらアカネだよ。聞こえてるよー』
場所は変わってミナト『コカブ』
アルスが無線機を踏んで壊してしまったため予備の無線機で正常に動作するかのチェックをしている。
『まったく……君がそんなドジを踏むなんて思わなかったよ。幸い聖域で1つ予備で調達できたから良かったものの……』
「……すまん」
「あはは!きわむってどじだねー」
シオはいつのまにかアラガミを倒してコアを摘出している。
「…………」
シオはいつのまにかアラガミを倒してコアを摘出している。
「…………博士」
『なんだい?』
「……なんでシオがここにいる」
「ふふーん、しお、わかるよー?きわむはきわむなんだって」
『……って言ってこっそりついてきたそうだ。なんでもアリサたちには許可をもらったとかなんとか』
最悪シオがついてきたことは目を瞑ろう。
「で、いつからシオは俺がキワムのクローンだって気づいたんだ?」
「え?さいしょからだよ?」
どうやらシオは全て分かっていたようだ。っていうか本能的なもので俺が何者であるか把握したのかもしれない。
「それ、誰かに言ったのか?」
「うん!せーいきのみんなにおしえ……いたたた!!」
「何教えたんだぁ!何のために俺が気を遣ってたと思ったんだぁ!」
頭をグリグリと押さえつけられシオが悲鳴をあげる。
『ふむ……シオに有効なダメージを与えるとは……実に興味深い』
『シオちゃん可愛そう……』
「ったく、これじゃあ次に聖域に行った時どんな顔して行けばいいんだ。それに主力であるお前が抜けて大丈夫なのか?」
もう既にかつての神機使いは引退を迎えるぐらいの歳だろう。現にカノンだって引退したと言っていた。
「だいじょーぶ!こうたもありさもゆうもいるよ?それにかのんだってまだまだやれるっていってた!」
引退した身が何を言ってるんだ。あんまり無茶して死なれたらあいつに顔向けできないじゃないか。
煙草に火をつけて一服する。こんな時代になると煙草も吸える場所が限られてしまう。地下にあるミナトは全部屋禁煙の所が多く、ましては煙草もそれなりに値段が高くなっている。
「全く……生きにくい世界になっちまったもんだなぁ」
「あ!アルスまたゲテモノ吸ってる!」
「おいおいよしてくれよ。ただでさえ吸える場所が限られてるんだぞ?ニコチンチャージしないと俺バッテリー切れするからな?そう、俺は1日1回必ず煙草を吸わねばならないのだ!」
無線越しにため息を吐くアカネの姿を想像しながら物資の回収をする。博士ほどになると無線ぐらいは自分で作れるそうだ。ただそのためには金と素材が必要になる。今回の目的はそれだ。
「ねーねーアルス、どうして
アカネが疑問に思うのも当然だ。こんな時代でなぜ資源が回収できるのか。当然勝手に湧いてくるなんてことはない。
「そうだな。詳しい理由がわからんが、アラガミってのはなんでも食べるだろ?そんでそのアラガミが食べたものの端材……おこぼれみたいなもんがあちこちに落ちてるんだ。アラガミは食べたものの性質を取り込むから、コアを抜き取る際に金属なんかも一緒に採取できるのもそれが理由だ」
「うーん??わかったような……わからないような……」
「まあ、詳しい話は博士に聞いたらいい」
「えぇー博士話長いもん!無理!」
博士の説明はいつも長いのはみんな知っていることだ。急にスイッチが入ってどこでそんな情報を集めてたのかというほどだ。
やたら昔の極東文化が好みらしく、『ブショー』とかいう人が使っていた刀を大事そうに飾っている。実際、人を殺すにはいいかもしれないが、今の時代じゃなんの役にも立ちそうにない。
「さて、これだけ集まれば十分だろ。シオ、帰るぞ」
「はーい!」
手をブンブンと振りながらシオがこちらに走ってくる。彼女の見た目は変わってないが、ニンゲンと長い間関わったこともあり口調は少し大人の雰囲気が出始めている。
ていうか、そもそもアラガミってのは寿命がないのか?いや、寿命がないってことはないだろう。
アラガミはオラクル細胞の集合体。1つが活動を停止してもまた新たな細胞で補うはずだ。つまり、事実上寿命で死ぬことはないと考えるべきだ。
「人間の細胞が死ねば、きわむもアラガミになっちゃうんだよ?」
どうやら考えていたことが無意識に口に出てしまっていたようだ。俺の独り言を聞いたシオは少し寂しそうに答えた。
「けど、それは人間の意思が残っていれば外見は変わらず人間のままで、いつものアイツってことじゃないのか?」
「んーどうだろーね?しおもそこまではわかんないな」
事実シオは成長している。キワムが居なくなった極東支部の雰囲気はとても暗かったそうだ。そこでシオは無邪気な幼いシオを
「守りたいもんがあるってのは、強いよな」
「……うん、みんなが一緒にいられる時間は限られてるから、その時間を大切にしたいよ」
この会話だけをみんなが聞けばきっとシオが別人のように思うだろう。そんなシオの姿を俺だけが今見ていることに少しだけ優越感に浸った。
「なぁ、シオ。いずれみんなとは別れる日がくる。今まで出逢ってきた全ての人たちとだ。その時が来たら……」
「うん。でも、しおは大丈夫」
「……そうだな。覚悟ができてなかったのは俺の方だったな」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「なあ、リヒト」
「ん?」
「あの話どう思う?俺は正直あの話はまだ信用できない。そもそも神羅キワムはもうずいぶん前に戦死したって話だ。現に極東支部に彼の墓もあるって話だしな」
イルダの話から1時間ほど経った。俺たちは各自でキャラバン周辺のアラガミの掃討を行いながらイルダの管理下にあるミナトまでキャラバンを進めていた。
「でももし、彼が生きていたとしたら、どうして今までそのことが伝わらなかったのか気になる」
「何か言えない事情がある……あるいは希望を持ちたいが故の妄想なのかもしれないな」
どんなに強いゴッドイーターであっても体は1つだ。守れるものも限りがある。何を捨て、何を拾うか。長くキャリアを積んでいるゴッドイーターほどその選択を何度もすることになる。
だから、神羅キワムが生きていたとしても俺たちがやるべきことは何も変わらない。そもそも会うことさえ一生ないかもしれない。
「もし、彼に会ったら……」
リヒトがそうこぼした時だった。
『緊急事態です!キャラバンに急速に接近するアラガミ反応!これは、灰域種です!!』
「「……!!」」
考えるよりも早く体が動く。向かう先は神機格納庫だ。
「ジーク!!ルル!!」
神機格納庫に着くと丁度2人も駆けつけたところだった。4人で顔を合わせ頷く。神機使いならば、アラガミを倒すのは当然のことだ。
屋上に行くためエレベータに向かおうとすると激しい揺れが船内を襲った。
『か、灰域種アラガミ……接敵しました!場所は後部コンテナです!』
エイミーの震えた声が船内に響き渡る。
「なんつー速さだよ!」
『きゃぁああ!』
「今の声はクレア!急ぐぞ!」
全速力で船内を走り、後部コンテナに辿りつく。コンテナは破壊され大きな風穴が空いている状態だ。奥へと続く通路に横たわるクレアを発見する。
「おい!大丈夫か!?」
ユウゴがクレアを起こし安否を確認する。どうやら大きな怪我はしていないようだ。
「くっ……うっ……こ、コンテナが……」
「馬鹿野郎!そんなもんより自分の心配をしろ!」
「コンテナを守るのが私の役目なんです!」
「1人じゃ無理だ!相手は灰域種だぞ!」
クレアの必死の叫びからして、かなり重要な積荷なのか。だが、クレアは積荷の中身は知らないと言っていた。
「あ、あれ!」
破壊されたコンテナの中央にはなんと人らしき少女が座り込んでいた。茶色に染まった肌でその瞳は赤い。そして頭からツノらしいものが生えている。
明らかに人ではない雰囲気を感じる。
「グオオォオ!!」
破壊されたコンテナに身をよじ登らせ、こちらに敵意を向けてきたアラガミは一目で今回の襲撃をした灰域種であると全員が理解した。
全身を黒い毛で纏い、ところどころ赤も金の毛が入り混じった狼のような巨体にふさわしい強靭な爪、鈍く光る赤い眼差しはまさに獲物を狙う獣だ。
「あいつが……っ!」
「ガァアッ!!」
アラガミは太い腕を振り上げると座り込んでいる少女に向かって振り下ろす。
「危ない!」
即座に反応したリヒトが少女のものに飛び込み、覆いかぶさるように庇う。
「ぐあっ…………」
結果的に少女を守れたがリヒトはアラガミの一撃を背中に受けることになった。身を裂かれ、血が飛び散り床を赤く染める。
「くそ!!ジーク、クレア!!」
「おう!」
「はい!」
3人は
「私も出る!」
好機と見たルルが突っ込み、高速の乱撃でアラガミの全身を切り刻む。
(硬い……!!)
ルルの斬撃は肉を裂くことが出来ず、表面の皮膚に切り傷を残すだけで致命的な一撃を与えられない。それでもダメージが通っていないわけではない。
集中砲火を浴びたアラガミは威嚇しながらもズルズルと下に落ちていきやがて姿が消えた数秒後にズシンと鈍い音が響いた。アラガミがキャラバンから離れた証拠だ。
なんとか危機を乗り越えたが、その代償は大きい。
「ぐっ……」
「リヒト!しっかりしろ!」
リヒトは少女を庇い重傷を負っている。攻撃を受けた背中は裂け、血がドロドロと溢れる。
灰域種の特徴であり、脅威の捕食攻撃だ。侵食を受けたリヒトの体からは黒いオラクルが溢れて体を蝕んでいる。
「頼む!リヒト、死ぬな!生きろぉ!」
ユウゴの必死の叫びがやけに遠くに感じ、そのまま目の前の世界は暗転した————————
「——ん……?」
「あっ!」
「気がついたか!ったく心配させやがって……」
「オーナー!目が覚めました!はい!そうです!」
リヒトが目を覚ますと病室にいたみんなが歓喜をあげる。
どうやら俺は気絶していたらしい。ベッドの端の方であの少女がこちらを見て笑っている。
———————俺が目覚めた後、事の成り行きを教えてもらった。あの灰域種は撃退に成功したこと、俺が捕食されて気を失ったこと、そして何より、今目の前にいる少女が俺の傷を生身で癒したこと。
「未だに信じられんが、そいつがお前を救ったのは事実だ」
「んー?」
紺色の肌に紅い瞳、一見普通の女の子のようにも見えるが、この子が『荷物』として運ばれていたと考えると何かあるのは間違いない。ただその何かがまだはっきりとわかっていないためとりあえずら保護という形でいくそうだ。
「なあなあ」
ジークが女の子を見ながらばつが悪そうに頭を書いている。
「彼女とか、その子っていうのやめにしない?ほら、名前考えてようぜ!」
「いいんじゃないかしら?」
「イルダ……」
カツカツとヒールの音を立てて連絡を受けたイルダが病室に入ってきた。
「その子が何者であれ、外に出て今船内で保護しているということはこの船のクルーということ。なら、名前くらい私達が考えても誰も文句は言えないわ」
イルダからの許可もあり少女の名前について考えることにした。
「あー、悪い。言い出した俺が言うのもあれだけどあんまりこういうの得意じゃないんだよなぁ……」
ジークは悩みながら他の人の意見を待っている。
「あ、閃いた」
口を開いたのはリヒトだった。みんなからの注目が集まる。
「……ノラミってどう?」
「「「…………」」」
「うーん?」
その場が静まり返った。みんなから残念そうな視線が送られてリヒトはたじろいでしまう。だが本人はかなり自信があるそうだ。
「……な、なぁリヒト。流石にそれは……無しじゃね?」
「………………うん」
申し訳なさそうにジークが却下するとリヒトはそれはとても悲しそうに俯いてしまった。
なんとも思い空気。その沈黙を破ったのはクレアだった。
「……フィム」
「フィム!」
クレアが言った名前が気に入ったのか即答で少女は自身の名前に呼応した。どうやら他の意見も出そうにないためこの名前で決まりそうだ。
「…………ノラミ……」
リヒトがとても悲しそうにしているのに心が痛むが彼女自身が気に入った名前の方がいいのは確実だ。
翌日、ひと段落ついたところでイルダから今後の方針の説明があった。まず、先日の灰域種との接触の件からルートの変更をすることになった。少しグレイプニルまで遠回りすることになるが比較的安全な航路をとることになった。
次にフィムについて。あの灰域種は『アヌビス』と呼ぶことになり、未知の灰域種であることが判明。攻撃パターン、捕食攻撃の前兆、弱点など全てがわからない。そして、アヌビスが狙っていたのは明らかにフィムであったこと。これらからしてフィムが灰域種とのなんらかの関係をもっていると考察した。
フィムの人間離れした能力、そして頭から生えた角など人間ではないことはわかりきっている。しかし、リヒトを救ったことや彼女が脅威となるような点がないことから一時的にこの船で保護するが、彼女をグレイプニルに引き渡す予定は変わらないことも伝えられた。
フィムはリヒトが意識を失っている間、ずっと側にいたそうで、その容姿の可愛さもあり船内のマスコットキャラクター的な存在になっているそうだ。
フィム自身、アラガミから助けてもらったリヒトに一番懐いておりリヒトのことをパパと呼びどこに行くにしても後ろをちょこちょことついて回っている。ちなみにリヒトは目覚めた当日はベッドの上で寝たきりだったが、翌日には歩ける程度に回復しておりリヒト自身の潜在能力と、フィムの力に驚かされた。
それからの航海は順調に進み、変更した予定通り物資補給の為もありイルダが所有するミナトまであと3日となっていた。
リヒトが負った傷は完治し、任務に支障も出ていないため本格的に復帰することになった。
リヒトとジークがブリッジに向かうとターミナルを弄っていたキースがこちらに手を振り読んでいる。
「お!丁度いいところに!こっち来てくれよ2人とも!」
キースからの話となると技術関連の話だろう。彼は熱が入ると話が止まらなくなり延々と話を聞くことになる。ましてや、専門的な内容であるためそっち方面に明るくないリヒト、ジーク、ユウゴは何を言っているのかさっぱりわからないことも多々ある。
「やったよ!ついにやった!アクセルトリガーの解析が完了したんだ!」
「アクセルトリガーってルルが使ってたあの?結局あれはなんだったんだ?」
キースの目の下はクマができており徹夜して解析してたのだろう。
「よくぞ聞いてくれた!」
キースは誇らしげにふふんと鼻をこする。
あ、これ長いやつだ。
「特定条件下において発言した神機使用者の意思エネルギーが体内のオラクル細胞を経由して抽出されて腕輪に集積、腕輪に装着されたブースターがそれを増幅させて神機と肉体に同時的にフィードバックすることで即時能力向上を図る、オラクル細胞の主観的喚起システムなんだ!」
「なげえ!」
ジークが叫ぶ。
「つまり、戦闘中にある条件を満たすと身体ン中のオラクル細胞の力が解放されるってこと!いやぁ、バランの連中もなかなか粋なもん作るよな!」
しかし、体内のオラクル細胞を解放させるなんてかなり危険ではないのだろうか。
「もちろん、すげえ危険!下手にオラクル細胞を起こしたら身体が内側から喰われちまうからね!」
「おい!やべえやつじゃねぇか!てか、なんで嬉しそうなんだよ……」
「まぁようはヘマしなきゃいいってことさ。ルルが持ってきたのはキャリブレーションが足りてないから危なかったけど、みんなの神機に装着するやつはしっかり調整するから大丈夫だよ!」
「は?解析終わったばっかだろ?もうオレらのに付けるのかよ?」
果たしてそれは大丈夫なのだろうか……
「生き抜くためには武器は一つでも多い方がいい。そうだろ?先輩?」
「ああ、そうだな。少し賭けな気もするけど使えるものはどんどん使うべきだと思う」
「たしかに……そうだけどな」
「ひとまず一番安全で簡単に発動できるのを付けといたかは、次の戦闘で試してみてよ。ミッションはもう発行しといたからよろしくな!」
「仕事が早ぇな……」
「はは……抜かりないな」
こうしてキースが解析したアクセルトリガーの運用実験が行われることになった。