亜種特異点 架空氷丘幻想 アイスエイジに関する記録 作:天城黒猫
モンハンワールドが楽しすぎるのがいけないんですよ……
この砦の壁の様子を観察していると、煉瓦のように長方形に削った石をいくつも積み上げて作られているのが分かる。しかし、こうした観察は誰でもできるものであり、君のような常人では考えられない頭脳、観察力を持った者ならば、こうした、私から見たらただの石を積むことによってつくられた壁からでも、いくつもの情報を得ることができるのだろう。それこそ、石の形状などからこの石を削った職人のあれこれとか、この壁が造られてから、今に至るまでどのような人物がこの壁の前で過ごしたのかなど、まさしく過去をも見渡す魔法の目を持った者の仕業のように、あらゆることを並び立てることができるのだろう。ところで、この部屋で暇をつぶすための道具というのは『ある』とはあまりにも言えないものばかりである。例えば、私が記録を残すために用意した紙の束だとか、それに私が書いた記録という文字の羅列だとか、そういうものぐらいであった。そのうえ、この時の私は記録を残すための作業を行うのは、明日の朝にしようと決めていたため、なおさら暇という感情を激しいものにしていた。君が退屈したときには、よく注射器を使用しておおよそ体や精神には良いと言えないあの薬を体内に取り入れていたものだが、この時の私は君の気持ちがほんの少しだけ理解できるぐらいには、あまりにも退屈であった。そのくせして、一向に眠くなることがないのだから、この感情と、この砦の湿気の多さと、あまり明るくないということから、私の気持ちは非常に滅入りそうであった。しかし、私は医師の端くれであったので、こうしたときに気を紛らわす方法を知っていたため、それを実行して過ごしてこの陰鬱な気分を取り払おうとしていた。その最中、私の耳がとらえたものといえば、私が動くことによって発生する衣擦れの音だとか、足音だとか、またどこともなく聞こえてくる水音だとか、外の吹雪の音だとかであった。これらの音の様子は一切変化することなく、いつも鳴り響いているものだから、私の耳はこれらに適応していた。そのため、これら以外の音があれば私はすぐさま気が付くことができるようになっていたのである。そうしたわけで、私はこの空間の中に新たに登場した音にすぐさま気が付いたのであった。その音は小さなものであったから、初めはあまり鮮明に聞くことができなかったが、その音に精神を集中していると、少しずつ鮮明なものとなってきた。その音とは、人の話し声であり、その内容は次のようなものであった。
「これは……なるほど……この砦の性質は……ということか……だとするとあの森は……か……いけない……非常にいけないな……しかし……」
さきほど、私はこの音が鮮明なものになったと書いたが、実のところ吹雪による轟音のなか、声の主は小さな声で呟いていたものだから、このようにほんの一部の声しか聴きとることができなかったのである。しかし、それでもこの声はこの砦、あの食堂で過ごした面々とは全く異なった性質の声だったため、私はこの声にどこか懐かしい感覚を覚えた。この時の私は、この声の主がこの砦に侵入した敵だという考えは一切なく、愚かにもなんの警戒もせずに部屋の扉を開き、廊下に出たのであった。すでに時刻は深夜を超えていたため、廊下に壁に設置されている松明やらロウソクやらの明かりは皆消えており、さらに外は激しい吹雪であったため、月明りが届くこともなかったため、廊下に立っていた人物の姿を見ることはできなかった。しかし、その動作などは見ることができたため、その人影は振り返り、私を見ると驚いたような様子を見せたのがわかった。その人影は言った。
「君は……そうか、成程。そういう訳か。ならば一つ忠告するとしようか、今はどう足掻こうが停滞のみしかない。運命が動き出すには、まだしばらく時間がかかるだろう。故に、この砦の中で過ごすがいい。外には出ないことをお勧めするとしよう」
それっきり、その人影はほんの一瞬で私の目の前から姿を消していた。私は少しの間辺りを駆け回ったが、その人影を見つけることはできなかった。私はあきらめて自分の部屋に戻ろうとした最中、氷海のシールダーが廊下に立ち、砦の窓から外を眺めているのを見つけた。私はその様子があまりにも神妙なものだったので、思わず物陰に隠れて、彼を観察することにした。この老人の目は、あの時のようにどこか遠くを見つめていた。しかし、その視線の先は吹雪に包まれた全くの暗闇であったため、何かが見えているということはないのだろう。老人は呟いた。今回はその声を確実に聞き取ることができた。その内容は次のようなものであった。
「儂は英雄となる──この砦には、いつか敵がやってくるのじゃ……それがどのような敵かは分からぬ。じゃが、敵は確実にやってくるのじゃ。おそらく、強大な敵なのじゃろう。英霊どころか、幻霊に届くかどうかといった儂の力では、その敵と戦う事すらもできずに、ただ一方的に殺されるじゃろう。しかし、それでも構わない、儂はかつてこの砦でいつ来るかわからない戦いを、阿呆のように待ち続け、そして屈辱と後悔を抱え、我が人生、我が決意を踏みにじり、詰りながら死んだ……じゃが、今回はそうではない、そのようにはいかぬ。儂は必ずや戦いを行ってみせようではないか。そのためには、まだ時間が必要じゃ、この特異点が消滅するまであと11日、魔神柱が復活するまであと8日、儂の生涯と比べるとこの時間はとても短い。じゃが、十分じゃ。戦いはいずれ、必ずや発生するのじゃ。そして、その戦いが発生するまであとわずか、それこそ魔神柱が復活する頃には、華々しい戦いの場が作られるじゃろう……あのお方はそう言った。ならば、儂は待ち続けようではないか……この砦で、戦いを待ち続けるのみじゃ」
老人は呟き終えると、窓の外を見つめ続けた。私は氷海のシールダーに声を掛けようとしたその瞬間、私の肩に手が置かれた。振り向くと、私の後ろには帝都のキャスターが立っていた。彼は笑顔を浮かべながら言った。
「今晩は、ワトソンさん。このような夜更けに、このような場所で何をなさっているのですかな? 深夜は散歩をするよりも、ベッドの中で寝息を立てるのをお勧めしますが」
「今晩は。どうにも寝付けなかったものでして。狭い部屋の中をうろつくよりも、この廊下をうろつこうという気分になったのですよ。ところで、あそこにいる氷海のシールダーが何か気になることを言っていたのですが、あなたはその言葉を聞きましたか?」と私は氷海のシールダーがいる場所を指さしてみせた。
「氷海のシールダーが? どこですか? 彼の姿はどこにも見えませんが」
と彼は首を傾げた。私が指さした先に、あの老人の姿は全く見えなかった。私はその場から飛び出して、あたりを見回してみたが、彼の姿は確認できなかった。先ほど、帝都のキャスターと話している間に、老人がその場から移動したとしても、この廊下は左右に長く伸びており、そのうえこの場所から一番近い扉などもあの一瞬の間に移動できるような距離ではなかったため、私は彼が消えたことを疑問に思った。私は帝都のキャスターに言った。
「先ほどまで、あそこに氷海のシールダーは確かにいました。ですが、あなたと話している間に、まるで魔法のように一瞬と表現するにふさわしい時間の間で、彼は姿を消してしまったようですね。これは一体どういうことなのでしょうか? まったく不思議なことです」
「なるほど、そんなことはどうでも良いでしょう。ワトソンさん、人間がこのような夜更けに活動するものではありません。さあ、今すぐ部屋に戻って、眠りなさい。もう日をまたいでいます。朝まであと数時間しかありません……おやすみなさい。ワトソンさん」
私は彼の
私の部屋の扉を叩く音によって、私の意識は覚醒した。部屋の外に出てみると、氷海のシールダーがおり、彼は微笑みながら言った。
「お早うございます、ワトソン殿。イギリス紳士の朝は儂のような軍人と比べると、いささか遅いと聞いておりましたが、今日はさすがに遅すぎたのでこうして起こしに来た次第であります。時刻はもう昼前といったところでありますじゃ。朝食の用意はどういたしましょう? 昼食と一緒に取りますかな? それとも、別々にしますかな?」
「お早うございます。いやはや、ご迷惑をおかけしたようで申し訳ない。昨日の夜はあまり眠れなかったものでして。……はて? 何か貴方に用事があったような気がしますが、どうしたことでしょう、それがどのようなものかが思い出せませんね……いえ……しばらくお待ちください……思い出しますので……」
「そのようにこめかみを抑え込んで、難しく考える必要はないでありましょう。何、人間ですから物忘れの一つや二つぐらいは不思議ではないですじゃ。それに、寝起きにそのようなことを考えても、頭も回らないでありましょう。まずは身なりを整えて、食堂においでくださりませぬか、それがよろしいですじゃ」
「そうですね。そうすることにしましょう」
君、君のように鋭敏な脳を持つものならわかっているであろうが、念のために言っておこう。こうして記録を行っているときは、あの夜の出来事を思い出して、このように文字に書き起こしてはいるものの、この時の私はその時の記憶を、脳内から完全に失っていたのである。そのため、私は夜に起きた出来事について思い出すこともできず、この語に氷海のシールダーに対する疑問はどのようなものであったかと、思い出すための努力をしてみたものの、夜の記憶といえば食堂から帰った後はベッドに入って眠ったというぐらいのものでしかなかったため、彼の言ったように夢でも見たのだろうと私は結論付けたのである。
その後、私は朝食と昼食を同時に取り終えると、どうしようかと考えた。吹雪は収まっており、青空が広がっていたため、城塞の見張り台で遠くを見渡して、何か見えないかどうかを試すことにした。見張り台に上がってみると、そこには藤丸少年が立っており、彼は氷の大地の上に広がる巨大な森と、その向こうにある氷礫の竜巻を見ていた。彼が、私が来たということに気が付いたのか、私の方を振り向いた。私は言った。
「お早う、少年。何を見ているんだい?」
「お早うございます、ワトソンさん。森と竜巻を見ていました」
「なるほど、あの森にあの竜巻は全くの未知に包まれているようだし、観察をするのは大事なことだろう。実際に探索に行くにも危険すぎるからね。こうして見るだけに留めておくのが良いだろう。さて、私も失礼させてもらおうかな、あの森や竜巻を子細に観察したことはなかったからね。ホームズのようにはいかないだろうが、こうしてみているだけでも何かわかることがあるだろう」
「そうですね。こうして見ているだけでも何かわかることがあるかもしれません」
「うむ、その通りだとも。この際だ、細かく観察してみるとしよう。例えば、森に生えている木の種類などが分かれば、あの森に潜むバーサーカーの正体もわかるかもしれないだろうし──植物について私は詳しいわけではないが、それでもホームズの付き合いで植物図鑑などを読み漁ったことがあるから、私の記憶に残っているものがあれば、わかるだろう。……おや、さっそく分かったぞ! あそこの木はイギリスの南部に生える木だろう……どれ、あの木は形が特徴的だからすぐに分かった、アレはドイツ原産の木だ。あそこの皮が厚くて、枝の位置が特徴的なやつはアメリカの木だろう……私にわかるのはこれぐらいしかないようだ。さて、これらから導き出される答えは──」
「何ですか? ワトソン先生!」
「色々な種類の木が集まっているということだね! 申し訳ないが、それぐらいしか思いつかない。ううむ、ホームズならばもっと多くの木の種類を言い当てるどころか、草やコケの種類まで言い当て、それらを更に細かく観察することによって、すぐさま真実にたどり着くのだろうが、私ではこれぐらいが精一杯だ」
「あなたはホームズをずいぶんと尊敬している?」
「ああ、しているさ。彼は私の友であり、この世でなによりも素晴らしい人物だ。欠点と言えば、そうだね。女性嫌いなことと、面白い事がなければすぐに薬を摂取しようとする悪癖があるぐらいだろう」
氷海のランサーの絵を描いてみました。読者の皆様のイメージとはすれ違っているかもしれませんが、まあとりあえずは、どんな姿をしているのかは各々お任せするという感じで……自分の中ではこのような姿をしているというだけです。村娘と騎士、ピエロを組み合わせたデザインという感じです。多分。コンセプトはそんな感じです。
【挿絵表示】
ちなみに、ピエロのヒラヒラのようなものは、宝具不使用時(序盤のランサー。左下のイラスト)の時はまとまって、一枚のマントのようになっているという感じで……あと、目の部分の仮面はスライドして、頬当てというか、面頬のようになっています。口部分も左右に分かれてマントの一部になるという感じで……
イラストが不要でしたら、削除いたします。ご意見くださると嬉しいです。
次回予告!
【藤丸立香とワトソンの語り合い】
ついでに、更新が遅れたお詫びとして、現時点で公開可能なサーヴァント達のステータスを載せておきます。
【氷海のセイバー】
真名:ダルタニャン
出典:三銃士
身長:153㎝
体重:48㎏
筋力:C 耐久:B
俊敏:C 魔力:E
幸運:A 宝具:C
宝具:
彼の友である三人の銃士、つまりアトス、ポルトス、アラミスを呼び出し、自らに憑依させる宝具。使用時は、彼らのステータスがプラスされる。この宝具使用時のステータスは以下の通りである。また、彼らの特徴も同時に付与され、冷静さ、知力、激しさ、我慢強さなどの内面部分も強化される。
筋力:A++ 耐久:A+
俊敏:B+ 魔力:E
幸運:A 宝具:C
【氷海のランサー】
真名:ドン・キホーテ・デ・ラ・マンチャ
出典:ドン・キホーテ
身長:148㎝
体重:45㎏
筋力:A 耐久:A
俊敏:B 魔力:D
幸運:E- 宝具:A+
宝具:
この宝具は無辜の怪物の側面が大きい。小説におけるドン・キホーテは、騎士道物語に関する本を読みすぎたことによって、頭に異常をきたした老人が旅に出、彼の狂った言動、それによって起きた出来事を滑稽に書かれたものである。しかし、そのモデルとなった彼女は、どこかが狂っているわけではない。騎士に憧れ、騎士として旅に出た彼女は竜や悪魔、人同士による戦争にて多大なる活躍を収めた。しかし、彼女の功績を嫉妬した人々は、彼女の功績を認めず、あろうことか彼女をモデルに、小説『ドン・キホーテ』を書き起こし、彼女の功績を無かったことにし、彼女の行動を嘲笑ったのである。この小説は、世界中の人々に知られたことによって、宝具にまでそのカタチを昇華させた。
ドン・キホーテのモデルとなった彼女に、道化としての仮面を嵌め、道化としての行動しかとれないようにするというモノである。その言動は、見るもの聞くもの全てを笑わそうとするであろう──
しかし──【これより先は公開不可能】
なお、宝具使用時のステータスは以下の通りである。
筋力:E+ 耐久:C-
俊敏:D 魔力:E
幸運:E- 宝具:A+
【氷礫のライダー】
真名:不明
出典:不明
身長:185㎝
体重:75㎏
筋力:B 耐久:A+
俊敏:B- 魔力:B
幸運:EX 宝具:A
宝具:
船の形をした宝具。彼の航海を象徴するもの。その機動性は素晴らしく、海の上を鳥のように駆け、あらゆる荒波を乗り越えることができる。そう、この船に乗り越えられない海はない。たとえ陸上だとしても、搭乗者が強い意思を持つのならば、乗り越えてみせるであろう。船室にあるベッドの隣には、頑丈に造られた謎の小箱が置かれているという。
宝具2:【詳細不明】
宝具3:
現時点では、こんなところです。この先、機会があればこうした説明を載せていこうとおもいます。
来週には更新……できると思います。おそらく。のんびりした気持ちでお待ちいただけると幸いです!