「分からないってどういうことだよ。」
思いがけないさとりの返答に霊夢と魔理沙は困惑した。
「分からないというか、性格には"見えない"んですよね。彼女の心が。」
「よく分からないわよ、こいしみたいな感じ?」
「こいしとは少し違いますね。 こいしは心が"無い"ので、見るものが"無い"んです。それに比べて優憐さんは心を見ることが"できない"んです。」
頭の上にはてなを浮かばせたような顔をしている二人を見て、さとりは続けた。
「優憐さんの心を覗こうとしても、靄がかかっているような、壁でもあるような感じで見えないんです。 何者かに隠されているような感じですね。」
さとりの言葉に二人は、さらに難しそうな顔をした。
「よく分からないけど、とりあえずあいつは謎だらけってことだな。くっそお、せっかくあいつの弱みでも見つけてやろうと思ったのに、」
魔理沙が悔しそうに下にあった石ころを蹴った。
「そういうことですね。だから、人の心を覗こうなんて考えちゃいけませんよ。」
「お前にだけは言われたくねえぜ。」
ふふっと笑うさとりに、魔理沙は笑って返した。
「とりあえず用が済んだら帰って帰って。 参拝者来なくなっちゃうでしょ。」
しっしっとさとりと魔理沙に手を払った。
「今さらだろ。こんな神社、人より妖怪の方がよく来るぜ。」
べーっと舌を出す魔理沙を見てさとりは困ったように笑った。
「じゃあ、私はお暇させていただきますね。それでは。」
ぺこりと頭をさげてさとりは飛んでいった。
「優憐のこと、私達全然知らないのぜ。」
さとりが、見えなくなった頃、寂しそうに魔理沙が言った。
「優憐だって、きっと私達に心開いてくれてるんだろうけど、肝心なことは何にも教えてくれないのは、少し寂しいよな。」
拗ねたように魔理沙はその場に座った。
その様子を見た霊夢が、同じように魔理沙の隣に座った。
「あのさ、別に優憐のこと無理に知る必要ないんじゃない?」
霊夢の言葉に、魔理沙は顔を上げた。
「優憐のことを知らないと、優憐と仲良くできないわけじゃないでしょ。優憐にだって、なにか言えない事情があるってものよ。
私達が優憐のことが好きで、優憐も私達のことを好きなら、それだけで友達になるには充分じゃないの?」
夕焼けで少し、赤くなった空を見ながら霊夢は言った。
「……、そうだな。私が少しおかしかったぜ。」
「あんたがおかしいのはいつもの事じゃない。」
霊夢の返事に魔理沙は立ち上がって言った。
「霊夢、ちょっと弾幕ごっこに付き合ってくれないか?」
「いいわよ。また永遠亭のお世話になるわね。」
「安心しろ、責任もって私がちゃんと連れて行ってやるぜ。」
「こっちのセリフよ。」
にいっと笑った二人は、赤く染まった空に飛んだ。