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「それじゃあ、準備はいいかしら?」
紫の言葉にその場にいた全員が頷いた。
優憐もぐっと拳を握り、頷いた。
「今から穴の所までスキマをつないで行きます。」
そう言って紫の開いたスキマにぞろぞろと入っていった。
穴の前は不思議と雨が止んでいた。
黒く淀んだ空の中、真っ暗で何も見えない穴がぽかりと空いていた。
その中から伝わる強力な魔力はそこにいる誰もが感じ取っていた。
「優憐、お願いします。」
紫の声に反応し、優憐は穴の前に出た。
「今から、みなさんを連れて"無"の空間というところに行きます。向こうがどうなっているかは私にもわかりません。ですが、強力な魔力で充たされていることは確かです。気をしっかり持ってくださいね。それでは行きますよ。」
優憐がすうっと息を吸いこんだあと、霊夢達の意識はふっと消えた。
「大丈夫ですか??」
優憐の声に、みんなはハッとした。
あまりにも強すぎる魔力のせいで一瞬気を失っていたのだ。
そこはうす暗く、なにもないところだった。
霊夢と魔理沙が前に来た時とはかなり変わっていた。
「それでは、言っていたように私が合図するまでとにかく飛び回っていてください。時期にやつは出てくるはずです。」
強すぎて、気を失うほどの魔力にみんなの表情は固くなっていた。
しかし、誰よりもこの魔力を感じていたのは優憐だった。
あまりに強すぎる魔力に、優憐の身体は震えていた。
「優憐。」
魔理沙が優憐の肩を叩いた。
「無理をするのは絶対にだめだぜ。これは私との約束だ。」
ニコッと笑って魔理沙は優憐と自分の小指を絡めた。
魔理沙の笑顔に自然と、肩の力が抜け優憐の呼吸は整い、いつの間にか震えもおさまっていた。
「ありがとうございます。魔理沙さんも無理はだめですよ。」
にいっと笑い、魔理沙の肩を叩いた。
「みなさん、お願いします!!」
優憐の声にみんなは一斉に飛んだ。
優憐はひとり、精神を研ぎ澄ませていた。
-この膨大な魔力はさっきから流れている。
どこか1点に必ず、弱点があるはず。-
優憐がこの魔力をほどくには魔力の流れを感じ、見極める必要があった。
目をつぶり、ひたすら集中した。
-どこかに必ず"ほつれ"がある。
そこを狙って、気を一気に打ち込めば…-
しばらくそのままでいると、優憐は一瞬の"ほつれ"を感じた。
今まで流れていた魔力が一瞬乱れたのだ。
それを逃さなかった優憐は、その瞬間、優憐は腕を伸ばし、一気に自分の気を打ち込んだ。
空間にはドンッという大きな鈍い音が響いた。
「優憐!?」
その場にいた全員が優憐を見た。
「みなさんは自分のことに集中してください!!
他のことを考えていたら一気に持っていかれます!!」
辛そうな表情を浮かべながら優憐は言った。
さっきから優憐が気を送り続けているが、この手強い魔力には1発で効くはずが無かった。
なかなかほどけない魔力は優憐を焦らせた。
-いけない…。気が負けてしまうっ…。-
優憐が踏ん張り、さらに気を打ち込んだ。
すると、
『お前が幻想郷の"守り人"か。』
その空間に太く低い声が響いた。